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65.幽霊の正体①
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‥‥またしても犬である。
子犬だからきっとあの5年前の恩知らずの犬ではないだろうが、それでも犬は私にとって鬼門だ。
ど、どうする…?
無邪気に入っていちゃった。
誰も子犬には危険な場所を教えてないの?!
教えておきなさいよー。
『ここは幽霊出没あり』って!
見ないふりをしたかった。本当に心の底からそう思った…嘘ではない。
だけれど気づけば勝手に身体が離宮へと入って行き、あの能天気な子犬を探していた。
‥‥本当に馬鹿である。
自分のことをこれほど恨んだのは初めてだ。
「ワンちゃん、どこにいるの?ここは立ち入り禁止なんだよ、知らなかった?あとね…ここ幽霊が出るんだって、捕まったら大変だから早く一緒に逃げよう」
怖くて震えているけど必死に子犬に呼び掛けてみる。だが能天気な子犬の返事はない。
嫌な予感がしてきた。
もしかしたら子犬は入って早々に幽霊に捕まっているのかもしれない。
自分だけ逃げようかと考え始めたその時、奥の部屋から微かに『キャン』という鳴き声が聞こえてきた。
えっ…、なんか聞こえちゃった。
逃げようとした時になんで聞こえちゃうかな。
うっう、逃げたいよ…。
で、でも見捨てるなんてできない。
自分のよく聞こえる自慢の耳が今だけは恨めしくて堪らない。
‥‥耳の馬鹿。
足音をたてないように子犬がいるだろう奥の部屋へと進んで行く。部屋の前につくと涙目になりながら扉をそっと開く…つもりだったのに使われていないせいか盛大な音を立て扉が開いて行く。
ゴゴ、ギッギギーーー。
‥‥もう馬鹿じゃない、それを超越してしまった。
あんな音を立てたら誰でも気づく。それは部屋にいた七不思議の幽霊にもしっかりと聞こえていたようだ。
子犬を捕まえている幽霊はゆっくりと振り向いてくる。
いやー、やめて!駄目、振り向かないで!
今ならまだやり直せるから。
目が合わなかったらきっとなかったことになる?…よねっ!
心の中で盛大に訳の分からない事を叫んでいると、なんと幽霊が話しかけてきた。それも低い声で…。
「ここでなにをしている…」
子犬だからきっとあの5年前の恩知らずの犬ではないだろうが、それでも犬は私にとって鬼門だ。
ど、どうする…?
無邪気に入っていちゃった。
誰も子犬には危険な場所を教えてないの?!
教えておきなさいよー。
『ここは幽霊出没あり』って!
見ないふりをしたかった。本当に心の底からそう思った…嘘ではない。
だけれど気づけば勝手に身体が離宮へと入って行き、あの能天気な子犬を探していた。
‥‥本当に馬鹿である。
自分のことをこれほど恨んだのは初めてだ。
「ワンちゃん、どこにいるの?ここは立ち入り禁止なんだよ、知らなかった?あとね…ここ幽霊が出るんだって、捕まったら大変だから早く一緒に逃げよう」
怖くて震えているけど必死に子犬に呼び掛けてみる。だが能天気な子犬の返事はない。
嫌な予感がしてきた。
もしかしたら子犬は入って早々に幽霊に捕まっているのかもしれない。
自分だけ逃げようかと考え始めたその時、奥の部屋から微かに『キャン』という鳴き声が聞こえてきた。
えっ…、なんか聞こえちゃった。
逃げようとした時になんで聞こえちゃうかな。
うっう、逃げたいよ…。
で、でも見捨てるなんてできない。
自分のよく聞こえる自慢の耳が今だけは恨めしくて堪らない。
‥‥耳の馬鹿。
足音をたてないように子犬がいるだろう奥の部屋へと進んで行く。部屋の前につくと涙目になりながら扉をそっと開く…つもりだったのに使われていないせいか盛大な音を立て扉が開いて行く。
ゴゴ、ギッギギーーー。
‥‥もう馬鹿じゃない、それを超越してしまった。
あんな音を立てたら誰でも気づく。それは部屋にいた七不思議の幽霊にもしっかりと聞こえていたようだ。
子犬を捕まえている幽霊はゆっくりと振り向いてくる。
いやー、やめて!駄目、振り向かないで!
今ならまだやり直せるから。
目が合わなかったらきっとなかったことになる?…よねっ!
心の中で盛大に訳の分からない事を叫んでいると、なんと幽霊が話しかけてきた。それも低い声で…。
「ここでなにをしている…」
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