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50.祝福される結婚①
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待ちに待った私とヒューイの結婚式当日。
前日の雨が嘘のように空は晴れ渡り、まるで私達の結婚を祝福しているようだ。
招待客もみな着飾って席に着き、式の始まりを今か今かと待っている。
その顔にはみな喜びが溢れていてる。
花嫁である私の支度はすでに終わっている。
今は両親や兄に囲まれ嫁ぐ前の別れの挨拶をしている。
「お父様お母様、そしてお兄様。本当にお世話になりました。心配ばかり掛けている私をどんな時も支えてくださり感謝しております、本当に…有り難うございました。
私はヒューイに嫁ぎ幸せになります。
いいえ、違いますね。温かい家族に囲まれ幸せでしたから『もっと幸せになります』ですね」
涙ぐむ私を両親と兄が優しく抱きしめてくれる。
言葉はいらなかった。
彼らがどんなに私を愛してくれていたか何も言わずとも伝わってくる。
どんな時も優しくて見守ってくれていた家族。
彼らがいなければ今の私はいなかった。
しんみりとした雰囲気のなか兄ノーマンが目に浮かぶ涙を誤魔化すかのように明るい口調で話し出す。
「おい、マリア。もしヒューイが嫌な奴だったら兄である俺を頼れ!俺がアイツをボコボコにしてやるからなっ」
お兄様…それは無理。
きっとではなく絶対に無理ですから…。
兄とヒューイは同じく文官だが、全くの別物だ。
ノーマンは中身だけでなく見た目も文官だが、ヒューイは武官も敵わないほど鍛え上げられている。
絶対にこの兄に勝ち目はない。
「あらノーマン、やめておきなさい。ヒューイに挑んだら良くて半身不随、悪ければあの世行きよ」
息子のことをしっかり理解している母は笑いながらも厳しい現実を教えている。
「ノーマンなら瞬殺されるな。だがヒューイならその事実さえなかったものにするだろうから、いいとこ行方不明だな」
そう言って楽しげに笑う父に家族の笑い声が続く。
兄の発言のお陰で一気にいつもの明るい家族の雰囲気に戻る。
お兄様、ありがとうございます。
きっと兄は私を笑わす為にこんな事を言ってくれたのだろう。
「父上、母上安心してください。正々堂々となんて勝負しませんから。事前に毒を盛ってから闇討ちします!」
更に馬鹿なことを宣言する兄。
心のなかで一瞬でも兄のお陰と思ったことを悔やみつつもまた笑ってしまう。父と母も昔から変わらない笑顔で仲睦まじく笑っている。
家族で過ごす最後の時間が温かい笑いで満たされていく。
涙の別れよりもこの方が我が家らしかった。
真剣な表情で父は言葉を紡ぐ。
「ノーマンの言葉は冗談ではないからな。何かあったらすぐに頼れ、私でも母でもノーマンでも誰でもいい。決して一人で我慢はするな。お前は私達の大切な娘だ、それはこれからも変わることはない」
嫁いでいく娘にいつまでも味方だと言ってくれる父。母と兄が父の言葉に優しく頷いている。
彼らは離縁後の私を近くで見守り続けてくれていた。
だからこその言葉だった。
家族の想いが心に響く。
この家族の元に生まれたことが誇らしかった。
私は温かい家族ともう一度熱い抱擁を交わす、『もう幸せにしかなりませんから』と囁きながら。
『そんなの決まっている!』と言って兄は私に背を向ける。それと同時にお酒を飲んでいない兄の優しい泣き声が聞こえてきた。
前日の雨が嘘のように空は晴れ渡り、まるで私達の結婚を祝福しているようだ。
招待客もみな着飾って席に着き、式の始まりを今か今かと待っている。
その顔にはみな喜びが溢れていてる。
花嫁である私の支度はすでに終わっている。
今は両親や兄に囲まれ嫁ぐ前の別れの挨拶をしている。
「お父様お母様、そしてお兄様。本当にお世話になりました。心配ばかり掛けている私をどんな時も支えてくださり感謝しております、本当に…有り難うございました。
私はヒューイに嫁ぎ幸せになります。
いいえ、違いますね。温かい家族に囲まれ幸せでしたから『もっと幸せになります』ですね」
涙ぐむ私を両親と兄が優しく抱きしめてくれる。
言葉はいらなかった。
彼らがどんなに私を愛してくれていたか何も言わずとも伝わってくる。
どんな時も優しくて見守ってくれていた家族。
彼らがいなければ今の私はいなかった。
しんみりとした雰囲気のなか兄ノーマンが目に浮かぶ涙を誤魔化すかのように明るい口調で話し出す。
「おい、マリア。もしヒューイが嫌な奴だったら兄である俺を頼れ!俺がアイツをボコボコにしてやるからなっ」
お兄様…それは無理。
きっとではなく絶対に無理ですから…。
兄とヒューイは同じく文官だが、全くの別物だ。
ノーマンは中身だけでなく見た目も文官だが、ヒューイは武官も敵わないほど鍛え上げられている。
絶対にこの兄に勝ち目はない。
「あらノーマン、やめておきなさい。ヒューイに挑んだら良くて半身不随、悪ければあの世行きよ」
息子のことをしっかり理解している母は笑いながらも厳しい現実を教えている。
「ノーマンなら瞬殺されるな。だがヒューイならその事実さえなかったものにするだろうから、いいとこ行方不明だな」
そう言って楽しげに笑う父に家族の笑い声が続く。
兄の発言のお陰で一気にいつもの明るい家族の雰囲気に戻る。
お兄様、ありがとうございます。
きっと兄は私を笑わす為にこんな事を言ってくれたのだろう。
「父上、母上安心してください。正々堂々となんて勝負しませんから。事前に毒を盛ってから闇討ちします!」
更に馬鹿なことを宣言する兄。
心のなかで一瞬でも兄のお陰と思ったことを悔やみつつもまた笑ってしまう。父と母も昔から変わらない笑顔で仲睦まじく笑っている。
家族で過ごす最後の時間が温かい笑いで満たされていく。
涙の別れよりもこの方が我が家らしかった。
真剣な表情で父は言葉を紡ぐ。
「ノーマンの言葉は冗談ではないからな。何かあったらすぐに頼れ、私でも母でもノーマンでも誰でもいい。決して一人で我慢はするな。お前は私達の大切な娘だ、それはこれからも変わることはない」
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私は温かい家族ともう一度熱い抱擁を交わす、『もう幸せにしかなりませんから』と囁きながら。
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