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8.ロイアン家の花嫁修業
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翌日、家族そろって和やかに朝食を食べた後から本格的に私の花嫁修業が始まることになった。
私は事前に既婚の友人達からどんな感じで花嫁修業を行っていたのか聞いていた。みんな住み込みではなく通いで行っていたが、内容はほぼ同じだった。
義母になる人からその家のしきたりや伝統を学んだり、その家独自の家庭料理を教わったり、親戚の人と顔合わせをしたり簡単なものがほとんどだった。
だが友人達は口を揃えて『凄く大変だった』と言っていた。何がというと、やることは簡単だが兎に角気疲れしてヘトヘトになるらしい。
その時はふ~んと聞き流していたが、今となっては友人達の言っている意味が骨身に沁みていた。
---確かにあんなのが続いたらヘトヘトどころかヘロヘロになっちゃうわね。
私が行う花嫁修業も友人達と大差ないとばかり思っていた。特に事前に確認しなかったが、世間一般での花嫁修業はそんなものだし、サリムも『ロイアン家の雰囲気に慣れればいい』と言っていたので簡単に考えしまっていた。
でも義母の口から語られた花嫁修業の内容は、驚くべきものだった。
「さあ、今日から花嫁修業を始めましょうね」
「お義母さん、よろしくお願いします」
「カリナにはロイアン家とロイアン商会のことを三か月間でしっかり学んでもらいたいと思っているわ。それには実際に一通りやってみるのが近道でしょう。家のことは侍女長のアンから簡単な家事を教わってね。昼間は古参従業員のトムから指示を受けて商会の雑用を手伝ってちょうだい」
「えっ。お義母さんから教わるのではなく、使用人や従業員から教わるのですか…」
「そうよ、私は色々と忙しいから二人に頼んであるわ」
「そ、そうですか…」
私の驚きと動揺の反応を、義母は私が内容に不満を持っていると感じたらしい。義母は『はぁー』と困ったようにため息を吐くと、先ほどとは違いちょっと強めの口調で話しを続けた。
「家事や雑用だなんて馬鹿にしては駄目よ!こういう細かい仕事をやってくれる人がいなくては家の中や商会は回っていかないのだから。
貴女に経験させるのは、家族を支えると言う本当に大切な役割なのよ。
それをちゃんと理解してやらなければ意味はないの」
「はい、分かりました。でも凄く変わった花嫁修業なんですね…」
私は勇気を振り絞って『これは厳しいのではないか?』と遠回しに伝えてみた。これで義母が世間一般的な花嫁修業に変更してくれる事を願っていた。
---どうか奇跡が起きますように!
「そうかしら?これは花嫁修業というよりもロイアン家の子供達も一通りやってきたことなのよ」
「えっ、サリム達もですか?」
「そうよ。貴女と違って子供の時にみんな頑張っていたわ。私もその姿を陰から涙ながらに応援したわね、懐かしいわ。だから大人のカリナには簡単に出来るはずよ、頑張って!」
「…はい、頑張ります」
最初はこれは嫁いびりかと思ったが、どうやらそうではなかった。義母は意地悪な顔でなく真剣な表情で、私に対して花嫁修業について熱弁していた。それにロイアン家では子供達も必ず通る道で当たり前のことのようだった。
そう言われたら、私に逃げ道などなかった。
---ロイアン家って、こんなに厳しいお家だったんだ。サリムからの聞いてなかったな。はぁー、私ちゃんと出来るかしら。自信はないけどこれがロイアン家流なら頑張るしかないわね。
始まる前から気分はどん底迄落ちていてが、今更両親に泣きついて花嫁修業を断ることも出来ない。
『子供に出来るなら私にも出来るはず!』と自分に暗示を掛けて頑張ることにした。
そんな私を義母は優しい顔で見つめながら『でも無理はしないでね、カリナ』と言って、侍女長のアンが待っている場所に連れて行った。
歩きながら私は不安で胸が押しつぶされそうだったが、義母はそんな私の様子に気づかずに上機嫌で『花嫁修業、楽しみでしょう♪』と笑いかけてきた。
私は事前に既婚の友人達からどんな感じで花嫁修業を行っていたのか聞いていた。みんな住み込みではなく通いで行っていたが、内容はほぼ同じだった。
義母になる人からその家のしきたりや伝統を学んだり、その家独自の家庭料理を教わったり、親戚の人と顔合わせをしたり簡単なものがほとんどだった。
だが友人達は口を揃えて『凄く大変だった』と言っていた。何がというと、やることは簡単だが兎に角気疲れしてヘトヘトになるらしい。
その時はふ~んと聞き流していたが、今となっては友人達の言っている意味が骨身に沁みていた。
---確かにあんなのが続いたらヘトヘトどころかヘロヘロになっちゃうわね。
私が行う花嫁修業も友人達と大差ないとばかり思っていた。特に事前に確認しなかったが、世間一般での花嫁修業はそんなものだし、サリムも『ロイアン家の雰囲気に慣れればいい』と言っていたので簡単に考えしまっていた。
でも義母の口から語られた花嫁修業の内容は、驚くべきものだった。
「さあ、今日から花嫁修業を始めましょうね」
「お義母さん、よろしくお願いします」
「カリナにはロイアン家とロイアン商会のことを三か月間でしっかり学んでもらいたいと思っているわ。それには実際に一通りやってみるのが近道でしょう。家のことは侍女長のアンから簡単な家事を教わってね。昼間は古参従業員のトムから指示を受けて商会の雑用を手伝ってちょうだい」
「えっ。お義母さんから教わるのではなく、使用人や従業員から教わるのですか…」
「そうよ、私は色々と忙しいから二人に頼んであるわ」
「そ、そうですか…」
私の驚きと動揺の反応を、義母は私が内容に不満を持っていると感じたらしい。義母は『はぁー』と困ったようにため息を吐くと、先ほどとは違いちょっと強めの口調で話しを続けた。
「家事や雑用だなんて馬鹿にしては駄目よ!こういう細かい仕事をやってくれる人がいなくては家の中や商会は回っていかないのだから。
貴女に経験させるのは、家族を支えると言う本当に大切な役割なのよ。
それをちゃんと理解してやらなければ意味はないの」
「はい、分かりました。でも凄く変わった花嫁修業なんですね…」
私は勇気を振り絞って『これは厳しいのではないか?』と遠回しに伝えてみた。これで義母が世間一般的な花嫁修業に変更してくれる事を願っていた。
---どうか奇跡が起きますように!
「そうかしら?これは花嫁修業というよりもロイアン家の子供達も一通りやってきたことなのよ」
「えっ、サリム達もですか?」
「そうよ。貴女と違って子供の時にみんな頑張っていたわ。私もその姿を陰から涙ながらに応援したわね、懐かしいわ。だから大人のカリナには簡単に出来るはずよ、頑張って!」
「…はい、頑張ります」
最初はこれは嫁いびりかと思ったが、どうやらそうではなかった。義母は意地悪な顔でなく真剣な表情で、私に対して花嫁修業について熱弁していた。それにロイアン家では子供達も必ず通る道で当たり前のことのようだった。
そう言われたら、私に逃げ道などなかった。
---ロイアン家って、こんなに厳しいお家だったんだ。サリムからの聞いてなかったな。はぁー、私ちゃんと出来るかしら。自信はないけどこれがロイアン家流なら頑張るしかないわね。
始まる前から気分はどん底迄落ちていてが、今更両親に泣きついて花嫁修業を断ることも出来ない。
『子供に出来るなら私にも出来るはず!』と自分に暗示を掛けて頑張ることにした。
そんな私を義母は優しい顔で見つめながら『でも無理はしないでね、カリナ』と言って、侍女長のアンが待っている場所に連れて行った。
歩きながら私は不安で胸が押しつぶされそうだったが、義母はそんな私の様子に気づかずに上機嫌で『花嫁修業、楽しみでしょう♪』と笑いかけてきた。
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