私は大切にされていますか~花嫁修業で知る理想と現実~

矢野りと

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14.サリムから見た真実

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ーーーサリム視点ーーー

夕食を食べている途中からカリナが浮かない表情をしていたのが気になっていた。家族の前で理由を尋ねても答えずらいこともあるだろうと思い、俺は夕食が終わってから彼女と二人っきりで話そうと思った。

夕食を食べ終えるとカリナは急ぎ足で部屋に戻ろうとしていて、俺は慌てて彼女を追いかけた。

「カリナ、ちょっといいかな」
「私、用事があるから急いでいるの。話なら手短にお願い」

カリナは夕食を終えたばかりなのに何故か急いでいたが、その理由を聞く事より夕食でのカリナの沈んだ様子の方が気になっていた。

「あのさカリナ、夕食の途中から元気なかったよね?なにかあった?」

俺が尋ねるとカリナは少し考えている様子で直ぐには答えてくれなかった。俺とカリナは付き合っている時から隠し事はせずになんでも話し合って解決してきた。
だから今もちゃんとカリナと話し合って、俺は安心したかった。

「カリナ隠し事はなしだよ。なにか辛いことがあるなら俺に話してごらん。一緒に解決しよう、一人で悩む必要はないからね」

そう言うとカリナは意を決したように話し始めた。

「あのね、こんな事言いたくないんだけど…。花嫁修業の内容がちょっと厳し過ぎると思うの。世間一般的なものと違っているっていうか、忙しいかなって。もう少し負担を減らしてくれるようお義母さんに頼んでもらえないかしら」
「えっ、でもあの内容は子供の俺達でも出来たものだよ。それを厳しいって言うのはどうかな、もうちょっと頑張れない?」
「でも、世間一般の内容とはかけ離れているわ!」
「カリナ、君はロイアン家に嫁ぐのであって、世間一般と結婚するわけじゃない。比べてどうこう言うのは可笑しいよ。それにロイアン家の雰囲気に馴染むために来たのに、それを拒否したら意味ないだろう」

ちょっとカリナは新しい環境に戸惑っていて、簡単な仕事も必要以上に負担に感じているようだ。
ここで俺が『それならもっと簡単な内容にしよう』と言うのは簡単だが、それでは後々彼女が大変になると思い、心を鬼にしてビシッと言ってみた。

カリナは納得できないようで、俺に怒ったような顔をする。

「では花嫁修業が大変なら『義家族と食事を共にしなくてもいい』という事にもサリムは賛成なの?!お義母さんには『カリナが辛いなら無理はしないで』と言われているけど!」

それは初耳だった。家族揃って食事を取ることは我が家では当然な事だが、それを変えてまで母さんがカリナの事を優先してくれているなんて知らなかった。
俺の未来の花嫁が特別待遇を許されているようで、なんだか嬉しかった。

「カリナと食事を一緒に取れないのは淋しいけど、俺は大丈夫だよ。カリナが無理をしないのが一番だから。気にしなくていいよ、母さんもそう言ってくれて良かったな」
「…もういいわ」

カリナは顔を俯かせたまま小さな声でそういうと足早に俺の前から去っていった。俺はまだカリナと話しをしたかったが、用事があると言っていたのを思い出し、追いかけることはしなかった。
何の用事か気になっていたが、後日聞けばいいと思っていた。

カリナは辛いような事を言っていたが、俺は彼女が花嫁修業で母から優遇されているのが分かりホッとしていた。

---世間でいう嫁姑問題は、我が家には関係ないな。

新しい環境にカリナも慣れず困惑しているだろうが、すぐに慣れてくれると俺は思い込んでいた。


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