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第183話 行方不明のセシル
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「セシル、遅くなってごめんなさい……」
声を掛けながら書斎の扉を開け……セシルが不在なことに気付いた。
「セシル……?」
私が部屋を出るまでは確かにセシルは書斎で仕事をしていたのに……?
「何処へ行ったのかしら……?」
けれどセシルは車椅子をからまだ動けない。何か用があって少し席を外しているだけに違いない。
「セシルがいなくて仕事を進めていたほうが良さそうね……」
ベビーベッドにルークを寝かせると、再び私は仕事を再開した――。
****
ルークが一度泣いた為、授乳後におむつ交換を終えた私は窓の外を見た。
いつの間にか外は雨が降り始めている。
「セシル…一体どうしたのかしら?」
時刻はもうすぐ15時になろうとしている。
かれこれセシルが不在になり、1時間近く経過している。
初めは本館に戻って何か仕事の資料でも取りに行っているのかと思っていたけれどもいくら何でも遅すぎる。
お腹も膨れて眠りについているルークをベビーベッドに寝かせると、廊下に出てみた。
「誰かいないかしら……?」
すると、運良くデイブが掃除用具を持ってこちらへ歩いてくる姿が見えた。
「エルザ様、どうかされましたか?」
デイブは私に気づくと、声を掛けてきた。
「ええ、セシルを見なかったかしら?」
「セシル様ですか……?そう言えば上着を羽織られて車椅子で何処かへ行かれましたよ。てっきり本館に戻られたのかと思い、行き先は聞かなかったのですが…」
「そう……なの?分かったわ、ありがとう」
「いえ、それでは失礼致します」
デイブは足早に去っていった。
「セシル……」
上着を羽織って行った?それでは本館にやはり行ったのだろうか?
「本館に電話を掛けてみようかしら……」
私は電話が置いてあるリビングルームへ向かった――。
****
「え?セシルは来ていないのですか?」
『ええ、そうよ。セシルは離れに移ってからは一度も本館に戻っていないわよ』
受話器越しから義母の声が聞こえてくる。
「そんな……」
『え?もしかするとセシルがいないの?!』
「はい、そうなんです……」
そして私は事情を説明した――。
**
「エルザッ!」
エントランスでチャールズさんと2人で待っていると母が慌てた様子でやってきた。
「お待ちしておりました。お義母様、雨の中お越しいただきありがとうございました」
「それで?セシルはどこにもいなかったの?」
慌てた様子で義母が尋ねてくる。
「はい、左様でございます。お部屋中をくまなく探しましたが、セシル様のお姿は発見出来ませんでした」
申し訳なさげにチャールズさんが頭を下げる。
「一体何処へ行ったのかしら?セシルは…。あんな身体で、それに雨も降っているのに……」
義母はため息をついて窓の外を見つめる。
「……」
少しの間、私はセシルの行く先を考えていたが…ふと思った。
やはり、あの廊下で聞こえた音は…ひょっとするとセシルだったのでは無いだろうか…と――。
声を掛けながら書斎の扉を開け……セシルが不在なことに気付いた。
「セシル……?」
私が部屋を出るまでは確かにセシルは書斎で仕事をしていたのに……?
「何処へ行ったのかしら……?」
けれどセシルは車椅子をからまだ動けない。何か用があって少し席を外しているだけに違いない。
「セシルがいなくて仕事を進めていたほうが良さそうね……」
ベビーベッドにルークを寝かせると、再び私は仕事を再開した――。
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ルークが一度泣いた為、授乳後におむつ交換を終えた私は窓の外を見た。
いつの間にか外は雨が降り始めている。
「セシル…一体どうしたのかしら?」
時刻はもうすぐ15時になろうとしている。
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「誰かいないかしら……?」
すると、運良くデイブが掃除用具を持ってこちらへ歩いてくる姿が見えた。
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「ええ、セシルを見なかったかしら?」
「セシル様ですか……?そう言えば上着を羽織られて車椅子で何処かへ行かれましたよ。てっきり本館に戻られたのかと思い、行き先は聞かなかったのですが…」
「そう……なの?分かったわ、ありがとう」
「いえ、それでは失礼致します」
デイブは足早に去っていった。
「セシル……」
上着を羽織って行った?それでは本館にやはり行ったのだろうか?
「本館に電話を掛けてみようかしら……」
私は電話が置いてあるリビングルームへ向かった――。
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「え?セシルは来ていないのですか?」
『ええ、そうよ。セシルは離れに移ってからは一度も本館に戻っていないわよ』
受話器越しから義母の声が聞こえてくる。
「そんな……」
『え?もしかするとセシルがいないの?!』
「はい、そうなんです……」
そして私は事情を説明した――。
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「エルザッ!」
エントランスでチャールズさんと2人で待っていると母が慌てた様子でやってきた。
「お待ちしておりました。お義母様、雨の中お越しいただきありがとうございました」
「それで?セシルはどこにもいなかったの?」
慌てた様子で義母が尋ねてくる。
「はい、左様でございます。お部屋中をくまなく探しましたが、セシル様のお姿は発見出来ませんでした」
申し訳なさげにチャールズさんが頭を下げる。
「一体何処へ行ったのかしら?セシルは…。あんな身体で、それに雨も降っているのに……」
義母はため息をついて窓の外を見つめる。
「……」
少しの間、私はセシルの行く先を考えていたが…ふと思った。
やはり、あの廊下で聞こえた音は…ひょっとするとセシルだったのでは無いだろうか…と――。
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