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第17話 プロポーズの決め手は
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「あ、あの……私に好意を抱いているって……ほ、本当のことでしょうか……?」
アダムがあまりにもいつもと変わらぬ様子でプロポーズしてきたので、ソフィアはにわかには信じられなかった。
「はい、そうです。ソフィアさんは私の素性を御存知無いかもしれないので、申し上げます。私は10代の頃から自動車整備工場で働き、23歳で独立。24歳で『ジョンソン自動車』という会社を設立し、今は社長という立場にいます。おかげさまで現在27歳ですが、全従業員合わせて350名の従業員を抱えるまでに成長することが出来ました。自動車は馬車に成り代わる、人々の足として今後も間違いなく発展していく分野になると自負しております」
プロポーズの話から、いきなり自分の経歴や信念を語りだすアダム。
「はぁ……そうなのですね?」
ソフィアは話の展開についていけない。
(分からない……アダムさんは一体私に何を言いたいのかしら?)
「お待たせいたしました」
そこへウェイターが2人分の料理を持って現れ、2人の前に料理の乗った皿を置く。
ソフィアにはレディースセット。アダムにはランチプレートを置き、「どうぞごゆっくりなさってください」 と言い残して去って行った。
「料理が来ましたね。時間が惜しい、それに温かいうちにいただきましょう」
「そ、そうですね」
アダムに勧められ、2人は早速料理を口にした。
レディースセットはグラタンにバケットトースト、それにサラダのセットだった。
一方のアダムは、デミグラスソースのかかったハンバーグプレートにトーストである。
アダムの話も気になったが、それよりもソフィアは目の前の料理に釘付けになっていた。早速グラタンをフォークですくって口にしてみる。
「……美味しい。とても美味しいですわ」
グラタンはあまりに美味しく、ソフィアは思わず笑顔になる。
「そうですか。お気に召して良かったです。つまり、ソフィアさんはグラタンが大好きということですね? 良く覚えておきます。こちらの店は最近開店したばかりなのですが、メニューが豊富なことと料理が早いことで良く来ているのですよ」
意味深の台詞をいいながら、アダムはビーフシチューを食べている。
「成程、確かにそれは魅力的な店ですね。働く人々にとっては理想的なお店です。就労時間の規則は守らなければなりませんからね」
「ええ。そこが一番重要です。なので私はソフィアさんに好意を抱き、結婚の提案をさせていただいたのです」
「ええっ!?」
またもや求婚の話に戻り、ソフィアは顔を上げた。
(い、一体今の話の何処から私に好意を抱くことになったの!?)
思わずフォークを持つ手が止まると、アダムが怪訝そうに首を傾げる。
「どうされましたか? 召し上がらないのですか?」
「い、いえ。いただきます。そ、それでアダムさん。先ほどのお話の続きですが……」
どうしてもアダムが何故自分に好意を抱いたのかを知りたかった。
「はい。ソフィアさんは女性でありながら、職業婦人として立派に働いてる方です。時には苦手な客や、生理的に受け付けない客だっている事でしょう。けれど、そのようなこともおくびにも出さず接客する姿に前々から好意を抱いておりました。そこで同じ労働者としてソフィアさんなら良きパートナーになって貰えるのではないかと思い、結婚の提案をさせていただいたのです。……どうでしょうか?」
何だか思っていたプロポーズとは、程遠い物だったが……熱い瞳で自分を見つめるアダム。そして何よりソフィア自身がアダムに好意を抱いていた。
「……はい、アダムさん。その提案……謹んでお受けいたします」
こうしてソフィアは、何ともムードの無い場所でアダムのプロポーズを受けたのであった――
アダムがあまりにもいつもと変わらぬ様子でプロポーズしてきたので、ソフィアはにわかには信じられなかった。
「はい、そうです。ソフィアさんは私の素性を御存知無いかもしれないので、申し上げます。私は10代の頃から自動車整備工場で働き、23歳で独立。24歳で『ジョンソン自動車』という会社を設立し、今は社長という立場にいます。おかげさまで現在27歳ですが、全従業員合わせて350名の従業員を抱えるまでに成長することが出来ました。自動車は馬車に成り代わる、人々の足として今後も間違いなく発展していく分野になると自負しております」
プロポーズの話から、いきなり自分の経歴や信念を語りだすアダム。
「はぁ……そうなのですね?」
ソフィアは話の展開についていけない。
(分からない……アダムさんは一体私に何を言いたいのかしら?)
「お待たせいたしました」
そこへウェイターが2人分の料理を持って現れ、2人の前に料理の乗った皿を置く。
ソフィアにはレディースセット。アダムにはランチプレートを置き、「どうぞごゆっくりなさってください」 と言い残して去って行った。
「料理が来ましたね。時間が惜しい、それに温かいうちにいただきましょう」
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アダムに勧められ、2人は早速料理を口にした。
レディースセットはグラタンにバケットトースト、それにサラダのセットだった。
一方のアダムは、デミグラスソースのかかったハンバーグプレートにトーストである。
アダムの話も気になったが、それよりもソフィアは目の前の料理に釘付けになっていた。早速グラタンをフォークですくって口にしてみる。
「……美味しい。とても美味しいですわ」
グラタンはあまりに美味しく、ソフィアは思わず笑顔になる。
「そうですか。お気に召して良かったです。つまり、ソフィアさんはグラタンが大好きということですね? 良く覚えておきます。こちらの店は最近開店したばかりなのですが、メニューが豊富なことと料理が早いことで良く来ているのですよ」
意味深の台詞をいいながら、アダムはビーフシチューを食べている。
「成程、確かにそれは魅力的な店ですね。働く人々にとっては理想的なお店です。就労時間の規則は守らなければなりませんからね」
「ええ。そこが一番重要です。なので私はソフィアさんに好意を抱き、結婚の提案をさせていただいたのです」
「ええっ!?」
またもや求婚の話に戻り、ソフィアは顔を上げた。
(い、一体今の話の何処から私に好意を抱くことになったの!?)
思わずフォークを持つ手が止まると、アダムが怪訝そうに首を傾げる。
「どうされましたか? 召し上がらないのですか?」
「い、いえ。いただきます。そ、それでアダムさん。先ほどのお話の続きですが……」
どうしてもアダムが何故自分に好意を抱いたのかを知りたかった。
「はい。ソフィアさんは女性でありながら、職業婦人として立派に働いてる方です。時には苦手な客や、生理的に受け付けない客だっている事でしょう。けれど、そのようなこともおくびにも出さず接客する姿に前々から好意を抱いておりました。そこで同じ労働者としてソフィアさんなら良きパートナーになって貰えるのではないかと思い、結婚の提案をさせていただいたのです。……どうでしょうか?」
何だか思っていたプロポーズとは、程遠い物だったが……熱い瞳で自分を見つめるアダム。そして何よりソフィア自身がアダムに好意を抱いていた。
「……はい、アダムさん。その提案……謹んでお受けいたします」
こうしてソフィアは、何ともムードの無い場所でアダムのプロポーズを受けたのであった――
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