18 / 56
第18話 また明日
しおりを挟む
食事が終わり、2人はカフェを出るとアダムが声をかけてきた。
「折角なので店までお見送りいたしましょう」
「は、はい。ありがとうございます」
「では参りましょう」
「はい」
並んで歩きながら、ソフィアはチラリとアダムの様子を伺った。
(本当にアダムさんは美しい人だわ……私、この人と結婚するのよね……)
思わず見惚れていると、アダムが振り返る。
「どうかしましたか?」
「い、いえ。なんでもありません」
赤らむ顔を見られない為、サッと視線を逸らすとアダムが尋ねてきた。
「そういえば、ソフィアさん。ソフィアさんのご両親は私との結婚に賛成して下さっていますか?」
「はい、母は賛成しております。ですが父の方は……」
そこで言葉を切る。
「そうですか、やはり父君は私との結婚を反対されているのですね。最初に申し込みに行った時から絶対に結婚を認めないと言われたのですが……」
「でも、父の言い分は無視して下さって結構ですから」
「いいえ、そういう訳にはまいりません。……そうですか、やはり今も反対されていたとは……」
アダムは真剣な顔で考え込んでいる。その姿にソフィアは不安が込み上げる。
(まさかアダムさん……父が反対しているのを理由に私との結婚を考え直すつもりじゃ……)
「あ、あの。アダムさん。父のことですが……」
その時、不意にアダムが足を止めてソフィアを見つめてきた。
「ソフィアさん」
「は、はい!」
「お店に到着しましたよ」
「え? あ! そ、そうですね」
気付けば、いつの間にか『スミス商店』の前に到着してきた。
「では、ソフィアさん。私はこれで一旦失礼いたします。又すぐにお会いいたしましょう。それでは失礼いたします」
アダムは会釈すると、そのまま立ち去ろうとした。一方焦ったのはソフィアの方だ。
(え!? う、嘘! それだけ? 今後の予定はどうなっているの!?)
「あの! アダムさん!」
気付けば、アダムのスーツの裾を掴んでいた。
「はい?」
不思議そうに振り向くアダム。
「あ、す、すみません!」
(私ったら、なんてはしたない真似を……!)
真っ赤になって、ソフィアは手を離した。
「ソフィアさん? どうかしましたか?」
「い、いえ。あの……こ、今度はいつ会うことになりますか?」
それだけ聞くのがやっとだった。
「今度? 明日……またお会いしに来ようと思っていましたが?」
「明日ですか!?」
思わずソフィアの声が上ずる。
「はい。……ひょっとして迷惑だったでしょうか?」
「いいえ! ま、まさか! 明日ですね? ではお待ちしております」
平静を装って笑顔を作るソフィア。
「はい、ではまた明日。失礼します、ソフィアさん」
今度こそ、アダムは背を向けると、人混みの中を去って行った。
「アダムさん……」
ソフィアはアダムの姿が見えなくなるまで見送り、店の中へ入っていった。
――カランカラン
「ただいま戻りまし……」
「ソフィアさん! お帰りなさい! ちょっとこっちへ来て」
カウンターにいたドナが大きな声で手招きしてきた。その様子からただ事では無いものを感じ取り、ソフィアはすぐにドナの元へ向かう。
「オーナー、どうかしましたか? もしかしてお釣りの間違いでもありましたか?」
「いえ、そんなことは無かったわ。それよりソフィア。今アダムさんと一緒に帰って来たわよね? 一体どういうこと? 何かあったの?」
興味津々でソフィアを見つめるドナ。
(そうよね……元はと言えば、オーナーのお陰でアダムさんに知り合えたのだから……)
そこでソフィアは正直に話すことにした。
「聞いて下さい、オーナー。私、実はアダムさんにプロポーズされたのです」
「あらそうなの? へ~プロポーズねぇ……それは良かったわねぇ……え? プ、プロポーズ……? 今、プロポーズって言った? まさかあの結婚の申し込みの?」
「はい、そのまさかのプロポーズです」
「え……ええええ~っ!?」
ドナの大きな声が店内に響き渡るのだった――
「折角なので店までお見送りいたしましょう」
「は、はい。ありがとうございます」
「では参りましょう」
「はい」
並んで歩きながら、ソフィアはチラリとアダムの様子を伺った。
(本当にアダムさんは美しい人だわ……私、この人と結婚するのよね……)
思わず見惚れていると、アダムが振り返る。
「どうかしましたか?」
「い、いえ。なんでもありません」
赤らむ顔を見られない為、サッと視線を逸らすとアダムが尋ねてきた。
「そういえば、ソフィアさん。ソフィアさんのご両親は私との結婚に賛成して下さっていますか?」
「はい、母は賛成しております。ですが父の方は……」
そこで言葉を切る。
「そうですか、やはり父君は私との結婚を反対されているのですね。最初に申し込みに行った時から絶対に結婚を認めないと言われたのですが……」
「でも、父の言い分は無視して下さって結構ですから」
「いいえ、そういう訳にはまいりません。……そうですか、やはり今も反対されていたとは……」
アダムは真剣な顔で考え込んでいる。その姿にソフィアは不安が込み上げる。
(まさかアダムさん……父が反対しているのを理由に私との結婚を考え直すつもりじゃ……)
「あ、あの。アダムさん。父のことですが……」
その時、不意にアダムが足を止めてソフィアを見つめてきた。
「ソフィアさん」
「は、はい!」
「お店に到着しましたよ」
「え? あ! そ、そうですね」
気付けば、いつの間にか『スミス商店』の前に到着してきた。
「では、ソフィアさん。私はこれで一旦失礼いたします。又すぐにお会いいたしましょう。それでは失礼いたします」
アダムは会釈すると、そのまま立ち去ろうとした。一方焦ったのはソフィアの方だ。
(え!? う、嘘! それだけ? 今後の予定はどうなっているの!?)
「あの! アダムさん!」
気付けば、アダムのスーツの裾を掴んでいた。
「はい?」
不思議そうに振り向くアダム。
「あ、す、すみません!」
(私ったら、なんてはしたない真似を……!)
真っ赤になって、ソフィアは手を離した。
「ソフィアさん? どうかしましたか?」
「い、いえ。あの……こ、今度はいつ会うことになりますか?」
それだけ聞くのがやっとだった。
「今度? 明日……またお会いしに来ようと思っていましたが?」
「明日ですか!?」
思わずソフィアの声が上ずる。
「はい。……ひょっとして迷惑だったでしょうか?」
「いいえ! ま、まさか! 明日ですね? ではお待ちしております」
平静を装って笑顔を作るソフィア。
「はい、ではまた明日。失礼します、ソフィアさん」
今度こそ、アダムは背を向けると、人混みの中を去って行った。
「アダムさん……」
ソフィアはアダムの姿が見えなくなるまで見送り、店の中へ入っていった。
――カランカラン
「ただいま戻りまし……」
「ソフィアさん! お帰りなさい! ちょっとこっちへ来て」
カウンターにいたドナが大きな声で手招きしてきた。その様子からただ事では無いものを感じ取り、ソフィアはすぐにドナの元へ向かう。
「オーナー、どうかしましたか? もしかしてお釣りの間違いでもありましたか?」
「いえ、そんなことは無かったわ。それよりソフィア。今アダムさんと一緒に帰って来たわよね? 一体どういうこと? 何かあったの?」
興味津々でソフィアを見つめるドナ。
(そうよね……元はと言えば、オーナーのお陰でアダムさんに知り合えたのだから……)
そこでソフィアは正直に話すことにした。
「聞いて下さい、オーナー。私、実はアダムさんにプロポーズされたのです」
「あらそうなの? へ~プロポーズねぇ……それは良かったわねぇ……え? プ、プロポーズ……? 今、プロポーズって言った? まさかあの結婚の申し込みの?」
「はい、そのまさかのプロポーズです」
「え……ええええ~っ!?」
ドナの大きな声が店内に響き渡るのだった――
297
あなたにおすすめの小説
どうやら夫に疎まれているようなので、私はいなくなることにします
文野多咲
恋愛
秘めやかな空気が、寝台を囲う帳の内側に立ち込めていた。
夫であるゲルハルトがエレーヌを見下ろしている。
エレーヌの髪は乱れ、目はうるみ、体の奥は甘い熱で満ちている。エレーヌもまた、想いを込めて夫を見つめた。
「ゲルハルトさま、愛しています」
ゲルハルトはエレーヌをさも大切そうに撫でる。その手つきとは裏腹に、ぞっとするようなことを囁いてきた。
「エレーヌ、俺はあなたが憎い」
エレーヌは凍り付いた。
夫が妹を第二夫人に迎えたので、英雄の妻の座を捨てます。
Nao*
恋愛
夫が英雄の称号を授かり、私は英雄の妻となった。
そして英雄は、何でも一つ願いを叶える事が出来る。
そんな夫が願ったのは、私の妹を第二夫人に迎えると言う信じられないものだった。
これまで夫の為に祈りを捧げて来たと言うのに、私は彼に手酷く裏切られたのだ──。
(1万字以上と少し長いので、短編集とは別にしてあります。)
結婚しても別居して私は楽しくくらしたいので、どうぞ好きな女性を作ってください
シンさん
ファンタジー
サナス伯爵の娘、ニーナは隣国のアルデーテ王国の王太子との婚約が決まる。
国に行ったはいいけど、王都から程遠い別邸に放置され、1度も会いに来る事はない。
溺愛する女性がいるとの噂も!
それって最高!好きでもない男の子供をつくらなくていいかもしれないし。
それに私は、最初から別居して楽しく暮らしたかったんだから!
そんな別居願望たっぷりの伯爵令嬢と王子の恋愛ストーリー
最後まで書きあがっていますので、随時更新します。
表紙はエブリスタでBeeさんに描いて頂きました!綺麗なイラストが沢山ございます。リンク貼らせていただきました。
短編【シークレットベビー】契約結婚の初夜の後でいきなり離縁されたのでお腹の子はひとりで立派に育てます 〜銀の仮面の侯爵と秘密の愛し子〜
美咲アリス
恋愛
レティシアは義母と妹からのいじめから逃げるために契約結婚をする。結婚相手は醜い傷跡を銀の仮面で隠した侯爵のクラウスだ。「どんなに恐ろしいお方かしら⋯⋯」震えながら初夜をむかえるがクラウスは想像以上に甘い初体験を与えてくれた。「私たち、うまくやっていけるかもしれないわ」小さな希望を持つレティシア。だけどなぜかいきなり離縁をされてしまって⋯⋯?
お望み通り、別れて差し上げます!
珊瑚
恋愛
「幼なじみと子供が出来たから別れてくれ。」
本当の理解者は幼なじみだったのだと婚約者のリオルから突然婚約破棄を突きつけられたフェリア。彼は自分の家からの支援が無くなれば困るに違いないと思っているようだが……?
婚約者の私を見捨てたあなた、もう二度と関わらないので安心して下さい
神崎 ルナ
恋愛
第三王女ロクサーヌには婚約者がいた。騎士団でも有望株のナイシス・ガラット侯爵令息。その美貌もあって人気がある彼との婚約が決められたのは幼いとき。彼には他に優先する幼なじみがいたが、政略結婚だからある程度は仕方ない、と思っていた。だが、王宮が魔導師に襲われ、魔術により天井の一部がロクサーヌへ落ちてきたとき、彼が真っ先に助けに行ったのは幼馴染だという女性だった。その後もロクサーヌのことは見えていないのか、完全にスルーして彼女を抱きかかえて去って行くナイシス。
嘘でしょう。
その後ロクサーヌは一月、目が覚めなかった。
そして目覚めたとき、おとなしやかと言われていたロクサーヌの姿はどこにもなかった。
「ガラット侯爵令息とは婚約破棄? 当然でしょう。それとね私、力が欲しいの」
もう誰かが護ってくれるなんて思わない。
ロクサーヌは力をつけてひとりで生きていこうと誓った。
だがそこへクスコ辺境伯がロクサーヌへ求婚する。
「ぜひ辺境へ来て欲しい」
※時代考証がゆるゆるですm(__)m ご注意くださいm(__)m
総合・恋愛ランキング1位(2025.8.4)hotランキング1位(2025.8.5)になりましたΣ(・ω・ノ)ノ ありがとうございます<(_ _)>
お二人共、どうぞお幸せに……もう二度と勘違いはしませんから
結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
【もう私は必要ありませんよね?】
私には2人の幼なじみがいる。一人は美しくて親切な伯爵令嬢。もう一人は笑顔が素敵で穏やかな伯爵令息。
その一方、私は貴族とは名ばかりのしがない男爵家出身だった。けれど2人は身分差に関係なく私に優しく接してくれるとても大切な存在であり、私は密かに彼に恋していた。
ある日のこと。病弱だった父が亡くなり、家を手放さなければならない
自体に陥る。幼い弟は父の知り合いに引き取られることになったが、私は住む場所を失ってしまう。
そんな矢先、幼なじみの彼に「一生、面倒をみてあげるから家においで」と声をかけられた。まるで夢のような誘いに、私は喜んで彼の元へ身を寄せることになったのだが――
※ 他サイトでも投稿中
途中まで鬱展開続きます(注意)
本日、貴方を愛するのをやめます~王妃と不倫した貴方が悪いのですよ?~
なか
恋愛
私は本日、貴方と離婚します。
愛するのは、終わりだ。
◇◇◇
アーシアの夫––レジェスは王妃の護衛騎士の任についた途端、妻である彼女を冷遇する。
初めは優しくしてくれていた彼の変貌ぶりに、アーシアは戸惑いつつも、再び振り向いてもらうため献身的に尽くした。
しかし、玄関先に置かれていた見知らぬ本に、謎の日本語が書かれているのを見つける。
それを読んだ瞬間、前世の記憶を思い出し……彼女は知った。
この世界が、前世の記憶で読んだ小説であること。
レジェスとの結婚は、彼が愛する王妃と密通を交わすためのものであり……アーシアは王妃暗殺を目論んだ悪女というキャラで、このままでは断罪される宿命にあると。
全てを思い出したアーシアは覚悟を決める。
彼と離婚するため三年間の準備を整えて、断罪の未来から逃れてみせると……
この物語は、彼女の決意から三年が経ち。
離婚する日から始まっていく
戻ってこいと言われても、彼女に戻る気はなかった。
◇◇◇
設定は甘めです。
読んでくださると嬉しいです。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる