君への気持ちが冷めたと夫から言われたので家出をしたら、知らぬ間に懸賞金が掛けられていました

結城芙由奈@コミカライズ連載中

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第19話 上機嫌な父

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 結局この後、ドナは店の入り口に臨時休業の札を下げてしまった。

ソフィアはドナからの質問攻めに合い……いつもよりも倍、疲れ果てて家に帰宅したのだった……。


――夕方

「ただいま帰りました」

疲れた身体でソフィアは扉を開けると、母が慌てた様子で出迎えに現れた。

「お帰りなさい、ソフィア」

「どうしたのですか? お母様。随分慌てているようですけど? あ……もしかして、又お父様と揉め事でも起こりましたか?」

眉を顰めるソフィア。
ソフィアの結婚話が持ち上がるようになってからは、日に日に両親の仲は不仲になっていたからである。

「いえ、揉め事では無くて……」

そこへ、父親のムーアがリビングから姿を現した。

「お帰り、ソフィア。仕事、御苦労だったな」

「あ! お父様。 もうお帰りになっていたのですね? 遅くなって申し訳ございません」

働くことを禁じられていたソフィアは、慌てて謝罪の言葉を述べる。どんな言い訳をしようか考えていると、父親は笑顔になる。

「いや、仕事だったのだから仕方あるまい。疲れただろう、御苦労だったな。自分の用事を済ませたらリビングに来なさい。待っているからな」

ムーアはそれだけ告げると、上機嫌でリビングへ戻って行った。

「……あ、あの。お母様、一体何があったのでしょうか……?」

少しの間唖然としていたソフィアだったが、すぐに我に返ってアメリに尋ねた。

「さぁ……? 私も何が何だかさっぱり分からないの。ただ、上機嫌で帰って来たのは確かね。そして『ソフィアはまだ帰らないのかい?』って聞いて来たのよ。それで『さぁ、私には分かりません』と答えたら、『そうか、仕事が忙しいのかもしれないな。では待つことにしよう』と言ったのよ」

「え!? それって、つまりお父様は私が働いていることを御存知だったということですよね?」

「そうみたいね……一体、どこで知ったのかしら。あ、言っておくけどソフィア。私は絶対に話していないわよ?」

アメリは真剣な眼差しでソフィアを見つめる。

「ええ、勿論分かっております。お母様は口の堅いことは良く知っておりますので……」

母娘は廊下でコソコソ小声で話をしていると、ムーアが顔を覗かせてきた。

「何だ? 2人とも。そんなところで話をしているならリビングに来なさい」

「あ、私は料理の続きがありますから」

「私は部屋に荷物を置いてきます」

アメリとソフィアはそれぞれ自分の気持ちを落ち着かせる為、一旦その場を離れた……。


****

 3人はアメリの用意した料理を前に、テーブルに集まっていた。

「うむ、今夜の料理も美味しそうだ。アメリ、腕を上げたようだな?」

ムーアは2人が薄気味悪く思うくらい上機嫌だった。

「……そうですか。それは良かったですわ」

毅然とした態度で返事をするアメリ。
次にムーアは笑顔でソフィアに話しかけてきた。

「ソフィアも仕事御苦労だったな。私のせいで働かせてしまって本当に申し訳ないと思っている。だが、そのおかげで素晴らし良縁に巡り会えたのだろう?」

「え?」

(まさか……アダムさんが何か言ったのかしら?)

ソフィアに緊張が走る。すると……。

「ソフィア、あのアダム・ジョンソンという人物が再び私の元を訪ねてきたのだよ。そして色々2人で話をしたのだ。私は彼を随分と誤解していたようだ。いや、あの青年は実に素晴らしい! 気に入った! そこでソフィアよ、私は彼とお前の結婚を許そうと思う! 何も案ずることなく、彼の元へ嫁ぐが良い!」

「「え……? ええっ!?」」

ソフィアとアメリが同時に驚きの声を上げたのは……言うまでも無い――
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