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第3章 17 夜明け
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ハアッハアッ!
息を切らせながら私は何処までも続く長い廊下を走り続けている。オスカーの部屋の扉なら先程確認してあるから、大丈夫。問題は・・・・・。
どうか・・・どうか、誰にも見つからずにオスカーの元へ辿り着けますようにっ!
恐らく、ここで誰かに見つかってしまえば私はフリードリッヒ3世の元へ連れ去られてしまうだろう。
この城で・・・私の味方・・力になってくれる人は・・あのオスカーしかいないっ!
心臓は早鐘を打ち、口から今にも飛び出してしまいそうだ。だが、幸いにも人の気配は何処にも感じられない。
「あ・・・あったわ・・っ!」
ハアハアと荒い息を整えながら、私はそっとドアを開けて中へと入った。
「オスカー様・・・。」
私は静かにベッドへと近づき・・・危うく悲鳴をあげそうになった。
「!!」
オスカーの姿は傷を負った部分を中心に、身体の半分は黒い靄に包まれている。目をつぶったオスカーの肌は土気色で・・・まるで死者のようにも見える。
「ま・・・まさか・・・死んでしまったの・・・・?」
私はそっと指輪をはめていない左手でオスカーの手首に触れた。
冷たい。
触れたその手はゾクリとするほど冷たかった。けれど・・・弱々しいが、脈はある。
オスカーは死んではいない。今ならまだ間に合うはず・・・!
だけど、どうすれば先程の様に指輪を光らせる事が出来るのか私には全く分からなかった。
「どうしよう・・?どうすればいいの・・?」
私はベッド周りを歩き回りながら何か方法が無いか考え・・・窓に目を向けた。
最初に目を覚ました部屋は窓が一切無かった。けれどこの部屋には大きな掃き出し窓が3枚ある。そして分厚いカーテンで閉められているが・・・。
「多分・・・じきに夜が明けるはずっ!」
窓に駆け寄ると、分厚いカーテンを開けた。すると地平線から眩しい太陽の光が飛び込んできた。
「太陽・・・夜が明けるんだわっ!」
私は急いで全ての部屋のカーテンを開け放し、オスカーが眠っている天蓋つきのベッドのカーテンも開け放した。
太陽はじわじわ登り、ついにこの部屋の中にも太陽の筋が伸びてきたが、オスカーの眠っているベッドにまでは太陽の光が届かない。
「そ、そんな・・・場所が悪すぎるんだわ・・・。」
眠っているオスカーの身体はもう殆ど靄に多い尽くされている。
どうしよう・・・・!このままでは・・本当にオスカーは死んでしまうっ!何か・・何か方法はないの・・・?!
私は部屋をぐるりと見渡し・・・ある一点で目を止めた。目線の先には大きな楕円形の鏡が飾られている。
そうだ・・・!あの鏡を使えば・・・っ!
私は急いで鏡のある壁に駆け寄ると、壁から外した。そして鏡を持って窓の傍へ寄ると、鏡に太陽を映し込み、角度を調整しながら反射する光をオスカーに向けて照らした。
そして靄の中心部に狙いを定めて光を当てる。
「お願い・・・どうかうまくいって・・・っ!」
鏡は予想以上に重かった。それでも私はその重みに必死で耐え、光を当て続けた。
すると・・・。
< ギャアアアアアーッ!! >
怖ろしい魔物の断末魔のような悲鳴が部屋中に響き渡り、靄が徐々に薄れていく。
もう腕は鏡の重さで限界だ。でも・・駄目・・・!耐えるのよ・・っ!
そして・・・ついに靄が鏡の反射の光で消え去る頃には、部屋はすっかり明かるくなっていた。
ドサッ!
私は床に座り込んだ。ベッドの中迄今は太陽の光が行き届いている。
「やったわ・・・つ、ついに靄が消えた・・・。」
すると・・・。
ベッドの上でオスカーが動く気配を感じた。
「オスカー様っ?!」
急いで駆け寄り、ベッドの傍で跪いた。オスカーはまだ目を閉じたままでいたが、顔色はすっかり元の肌色にもどり、穏やかな寝顔だった。
そっと右手でオスカーの手に触れた。
温かい・・・。オスカーは助かったんだ・・・。良かった・・・!
私はギュッと目をつぶり、俯いた。その時・・・。
「アイリス・・・?」
オスカーが私の名を呼ぶ声が聞こえた。
「オ・・オスカー様っ?!」
顔を上げるとオスカーは私をじっと見つめていた。そして笑みを浮かべながら言った。
「アイリス・・・とても綺麗だ・・・。そのドレス・・・よく似合っているな・・・俺が選んだんだぞ・・・?」
オスカー・・・・。
私の目から涙が溢れ・・・気付けば私は横たわったオスカーの胸に頭を埋め、肩を震わせ泣いていた。
そしてそんな私の髪をオスカーは優しく撫でるのだった—。
息を切らせながら私は何処までも続く長い廊下を走り続けている。オスカーの部屋の扉なら先程確認してあるから、大丈夫。問題は・・・・・。
どうか・・・どうか、誰にも見つからずにオスカーの元へ辿り着けますようにっ!
恐らく、ここで誰かに見つかってしまえば私はフリードリッヒ3世の元へ連れ去られてしまうだろう。
この城で・・・私の味方・・力になってくれる人は・・あのオスカーしかいないっ!
心臓は早鐘を打ち、口から今にも飛び出してしまいそうだ。だが、幸いにも人の気配は何処にも感じられない。
「あ・・・あったわ・・っ!」
ハアハアと荒い息を整えながら、私はそっとドアを開けて中へと入った。
「オスカー様・・・。」
私は静かにベッドへと近づき・・・危うく悲鳴をあげそうになった。
「!!」
オスカーの姿は傷を負った部分を中心に、身体の半分は黒い靄に包まれている。目をつぶったオスカーの肌は土気色で・・・まるで死者のようにも見える。
「ま・・・まさか・・・死んでしまったの・・・・?」
私はそっと指輪をはめていない左手でオスカーの手首に触れた。
冷たい。
触れたその手はゾクリとするほど冷たかった。けれど・・・弱々しいが、脈はある。
オスカーは死んではいない。今ならまだ間に合うはず・・・!
だけど、どうすれば先程の様に指輪を光らせる事が出来るのか私には全く分からなかった。
「どうしよう・・?どうすればいいの・・?」
私はベッド周りを歩き回りながら何か方法が無いか考え・・・窓に目を向けた。
最初に目を覚ました部屋は窓が一切無かった。けれどこの部屋には大きな掃き出し窓が3枚ある。そして分厚いカーテンで閉められているが・・・。
「多分・・・じきに夜が明けるはずっ!」
窓に駆け寄ると、分厚いカーテンを開けた。すると地平線から眩しい太陽の光が飛び込んできた。
「太陽・・・夜が明けるんだわっ!」
私は急いで全ての部屋のカーテンを開け放し、オスカーが眠っている天蓋つきのベッドのカーテンも開け放した。
太陽はじわじわ登り、ついにこの部屋の中にも太陽の筋が伸びてきたが、オスカーの眠っているベッドにまでは太陽の光が届かない。
「そ、そんな・・・場所が悪すぎるんだわ・・・。」
眠っているオスカーの身体はもう殆ど靄に多い尽くされている。
どうしよう・・・・!このままでは・・本当にオスカーは死んでしまうっ!何か・・何か方法はないの・・・?!
私は部屋をぐるりと見渡し・・・ある一点で目を止めた。目線の先には大きな楕円形の鏡が飾られている。
そうだ・・・!あの鏡を使えば・・・っ!
私は急いで鏡のある壁に駆け寄ると、壁から外した。そして鏡を持って窓の傍へ寄ると、鏡に太陽を映し込み、角度を調整しながら反射する光をオスカーに向けて照らした。
そして靄の中心部に狙いを定めて光を当てる。
「お願い・・・どうかうまくいって・・・っ!」
鏡は予想以上に重かった。それでも私はその重みに必死で耐え、光を当て続けた。
すると・・・。
< ギャアアアアアーッ!! >
怖ろしい魔物の断末魔のような悲鳴が部屋中に響き渡り、靄が徐々に薄れていく。
もう腕は鏡の重さで限界だ。でも・・駄目・・・!耐えるのよ・・っ!
そして・・・ついに靄が鏡の反射の光で消え去る頃には、部屋はすっかり明かるくなっていた。
ドサッ!
私は床に座り込んだ。ベッドの中迄今は太陽の光が行き届いている。
「やったわ・・・つ、ついに靄が消えた・・・。」
すると・・・。
ベッドの上でオスカーが動く気配を感じた。
「オスカー様っ?!」
急いで駆け寄り、ベッドの傍で跪いた。オスカーはまだ目を閉じたままでいたが、顔色はすっかり元の肌色にもどり、穏やかな寝顔だった。
そっと右手でオスカーの手に触れた。
温かい・・・。オスカーは助かったんだ・・・。良かった・・・!
私はギュッと目をつぶり、俯いた。その時・・・。
「アイリス・・・?」
オスカーが私の名を呼ぶ声が聞こえた。
「オ・・オスカー様っ?!」
顔を上げるとオスカーは私をじっと見つめていた。そして笑みを浮かべながら言った。
「アイリス・・・とても綺麗だ・・・。そのドレス・・・よく似合っているな・・・俺が選んだんだぞ・・・?」
オスカー・・・・。
私の目から涙が溢れ・・・気付けば私は横たわったオスカーの胸に頭を埋め、肩を震わせ泣いていた。
そしてそんな私の髪をオスカーは優しく撫でるのだった—。
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