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第4章 9 呪い
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その時。
「お待たせ致しました。」
店員が箱に並べられた靴を運んでくると、私の目の前に降ろした。
「さあ、全てアイリス様の足のサイズにぴったりの靴です。どれでもお好きな靴をお選び下さい。」
店員が持ってきた靴は全てヒールの高い靴ばかりであった。本当はかかとが低い靴を履きたいのだが、私が今着ているのは高級そうなドレスだ。恐らくそのドレスに合う靴を選んで運んできたのだろう。なので、私は一番ヒールの低い靴を選んだ。しかも偶然な事に・・・やはりその靴の色も青だった―。
「ありがとうございました。」
店員に見送られ、店を出た私達。
「アイリス。そのドレスに靴では・・・町を歩くのは不向きだ。馬に乗った方が良いだろう。」
オスカーは私の返事を聞かないうちに、軽々と私を抱え上げると馬に乗せ手綱を持って歩きだした。
「ありがとうございます・・。それにしても・・・靴を頂いてしまってもよろしかったのでしょうか・・・。」
私は先程訪れた靴屋を振り返りながらぽつりと言った。
「店主がプレゼントすると言ったのだから別に構わないのだろう。アイリスにプレゼントしたと宣伝するだけでも客は殺到するはずだ。それより・・・。」
「?」
「すまなかった・・。お前を巻き込んでしまって・・。俺は・・お前を城へ連れて行くべきではなかったのに・・。」
「でも・・・オスカー様。私を城へ連れてきたのは・・・入学式の時にお話ししてくれた影武者なのですよね・・・?」
すると、オスカーは何故か顔を押さえ、苦し気に言った。
「アイリス・・・。すまん。俺は・・お前に嘘をついていた。」
「嘘?」
ドクン
私の心臓の音が大きくなる。ああ・・やはりオスカーは今世でも私の敵になるのだろうか?また私は裏切られ・・処罰されてしまうのだろうか・・?
「ウィンザード家は・・・代々呪わているのだ・・・。」
「え?呪い・・・?」
そんな話は初耳だ。前世でもそのような話は聞いたことがない。
「遥か昔・・今から1000年以上前の話だ。当時のウィンザード家は王族では無く、上級貴族だったらしい。この地域一帯を治めていたのは今は滅亡したエルトリアという名の王族が配していた・・・。ここまでは知っているか?」
「はい。知っています。有名な話ですし・・世界史でも習いましたから。」
「そしエルトリアに仕えていたウィンザード家が周辺諸国の貴族達を巻き込んで反旗をひるがえし、クーデターを起こしてエルトリア家を一族もろとも皆殺しにしたそうだ。」
「!」
「しかし・・・エルトリア家は古代魔法を操ることが出来た一族らしく・・この一族の一番の魔法の使い手がウィンザード家に末代まで続く呪いをかけたそうだ。この世に生を受けた時からすでに身体は呪いに侵され、成長するとともに徐々に身体が黒い靄に包まれ・・若くして苦しみながら死に至るという・・恐ろしい呪いだ」
「そんな・・話は初耳です・・・。」
私は身体を震わせながら話を聞いていた。
「それはそうだ。大事な主君に対してクーデターを起こし、挙句の果てには体が黒い靄に包まれ、死に至る呪いを掛けられてしまったことなど・・・決して誰にも知られてはならない秘密なのだからな。初めは何故ウィンザード家の人間たちが黒い靄に包まれて死んでいくのか謎を解き明かすのに相当苦労したそうだ。当時の国王は世界中から占い師を呼び集め占ってもらった結果、これがエルトリア一族の呪いであるという事をつきとめることが出来た。しかし・・・どうすればこの呪いを解除することが出来るかまでは方法を見つけ出すことが出来なかった。ついに業を煮やした国王は世界中から魔術師たちを集め、呪いを解く方法を探させた。そしてある一人の魔術師が悪魔の力を借りることを提案し、召喚することに成功したのだ。」
「あ・・悪魔を・・召喚・・・?」
私の言葉にオスカーは黙って頷いた―。
「お待たせ致しました。」
店員が箱に並べられた靴を運んでくると、私の目の前に降ろした。
「さあ、全てアイリス様の足のサイズにぴったりの靴です。どれでもお好きな靴をお選び下さい。」
店員が持ってきた靴は全てヒールの高い靴ばかりであった。本当はかかとが低い靴を履きたいのだが、私が今着ているのは高級そうなドレスだ。恐らくそのドレスに合う靴を選んで運んできたのだろう。なので、私は一番ヒールの低い靴を選んだ。しかも偶然な事に・・・やはりその靴の色も青だった―。
「ありがとうございました。」
店員に見送られ、店を出た私達。
「アイリス。そのドレスに靴では・・・町を歩くのは不向きだ。馬に乗った方が良いだろう。」
オスカーは私の返事を聞かないうちに、軽々と私を抱え上げると馬に乗せ手綱を持って歩きだした。
「ありがとうございます・・。それにしても・・・靴を頂いてしまってもよろしかったのでしょうか・・・。」
私は先程訪れた靴屋を振り返りながらぽつりと言った。
「店主がプレゼントすると言ったのだから別に構わないのだろう。アイリスにプレゼントしたと宣伝するだけでも客は殺到するはずだ。それより・・・。」
「?」
「すまなかった・・。お前を巻き込んでしまって・・。俺は・・お前を城へ連れて行くべきではなかったのに・・。」
「でも・・・オスカー様。私を城へ連れてきたのは・・・入学式の時にお話ししてくれた影武者なのですよね・・・?」
すると、オスカーは何故か顔を押さえ、苦し気に言った。
「アイリス・・・。すまん。俺は・・お前に嘘をついていた。」
「嘘?」
ドクン
私の心臓の音が大きくなる。ああ・・やはりオスカーは今世でも私の敵になるのだろうか?また私は裏切られ・・処罰されてしまうのだろうか・・?
「ウィンザード家は・・・代々呪わているのだ・・・。」
「え?呪い・・・?」
そんな話は初耳だ。前世でもそのような話は聞いたことがない。
「遥か昔・・今から1000年以上前の話だ。当時のウィンザード家は王族では無く、上級貴族だったらしい。この地域一帯を治めていたのは今は滅亡したエルトリアという名の王族が配していた・・・。ここまでは知っているか?」
「はい。知っています。有名な話ですし・・世界史でも習いましたから。」
「そしエルトリアに仕えていたウィンザード家が周辺諸国の貴族達を巻き込んで反旗をひるがえし、クーデターを起こしてエルトリア家を一族もろとも皆殺しにしたそうだ。」
「!」
「しかし・・・エルトリア家は古代魔法を操ることが出来た一族らしく・・この一族の一番の魔法の使い手がウィンザード家に末代まで続く呪いをかけたそうだ。この世に生を受けた時からすでに身体は呪いに侵され、成長するとともに徐々に身体が黒い靄に包まれ・・若くして苦しみながら死に至るという・・恐ろしい呪いだ」
「そんな・・話は初耳です・・・。」
私は身体を震わせながら話を聞いていた。
「それはそうだ。大事な主君に対してクーデターを起こし、挙句の果てには体が黒い靄に包まれ、死に至る呪いを掛けられてしまったことなど・・・決して誰にも知られてはならない秘密なのだからな。初めは何故ウィンザード家の人間たちが黒い靄に包まれて死んでいくのか謎を解き明かすのに相当苦労したそうだ。当時の国王は世界中から占い師を呼び集め占ってもらった結果、これがエルトリア一族の呪いであるという事をつきとめることが出来た。しかし・・・どうすればこの呪いを解除することが出来るかまでは方法を見つけ出すことが出来なかった。ついに業を煮やした国王は世界中から魔術師たちを集め、呪いを解く方法を探させた。そしてある一人の魔術師が悪魔の力を借りることを提案し、召喚することに成功したのだ。」
「あ・・悪魔を・・召喚・・・?」
私の言葉にオスカーは黙って頷いた―。
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