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第7章 14 女神の素顔
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「国王陛下は恐ろしい力を持っています。それは闇夜や影の中から自在に姿を現す事が出来るのです。」
それを聞いたアドニスたちの顔が顔面蒼白になっていく。
「な・・何ですって・・?それは本当の話ですか・・・?」
アドニスは声を震わせて尋ねてきた。
「はい・・国王陛下本人が・・そう言ったのです。」
「え・・?どういうことですか?まさかアイリス様は陛下と会われたのですか?」
私はユリアナがまだ戻って来ない事を確認すると言った。
「はい・・実はこの隠れ家へユリアナと向かっていた時に・・突然地下通路でユリアナが意識を失って倒れたのです。そして・・倒れたユリアナの足元から突然国王陛下が現れて・・・わ、私はそこで襲われそうに・・・。」
そこまで言って、私は自分の両肩を抱きしめた。あの時流れ込んできたフリードリッヒ3世の思考・・・。それを思い出すだけで身体の震えが止まらない。
「アイリス様?どうされましたか?顔色が悪いですが・・。」
アドニスが心配そうに声を掛けた、その時―。
キイイ・・・。
ドアが開く音がして、トレーにカップを乗せたユリアナが現れた。
「アイリス様、ハーブティーをお持ちしました。」
「あ、ありがとう・・・。」
礼をのべるとユリアナはニコリとほほ笑み、目の前のテーブルにコトンと置いてくれた。陶磁器のカップに注がれたハーブティーから香るのは・・・。
「これは・・ラベンダーの香り・・・?」
私が尋ねるとユリアナは言った。
「はい、そうです。ラベンダーは精神を落ち着かせる効果があります。今のアイリス様には必要なものかと思われたので・・。」
「ありがとう、ユリアナ。頂くわ。」
カップから立ち上る湯気に含まれる香りを嗅ぐと、フウフウと冷ましながら一口飲んでみる。
「・・・美味しい。」
優しい味が渇いた喉を潤してくれる。自分では気が付いていなかったが、一口飲んで喉が渇いていることに気が付いた私は・・いつの間にか夢中になってハーブティーを飲んでいた。
「・・ふう。」
ハーブティーを飲み終えると、ユリアナが再び声を掛けてきた。
「アイリス様・・・余程喉が渇いていらしたのですね・・。良かったらもう1杯お持ちしましょうか?」
「あ・・・。」
その時になって私は公爵令嬢としての嗜みも忘れてお茶を一気に飲み干してしまった事に気付き、思わず赤面してしまった。
「い、いえ。もう十分よ。とても美味しかったわ、ユリアナ。ありがとう。」
ユリアナに礼を述べると、途端に頬を赤らめる。
「い、いえ・・そんな。こ、光栄です・・・。女神『リオス』の生まれ変わりと称されるアイリス様にお礼を言われるなんて・・・。」
「え?何・・・その話は?」
思わずポカンとして首を傾げると、逆にアドニスたちに驚かれた。
「アイリス様・・・ご存じなかったのですか?ご自身が何と呼ばれていたのかを・・。」
「え、ええ・・・。私は何と呼ばれていたの?」
するとアドニスは言った。
「女神『リオス』の再来と呼ばれていたのですよ?女神像の町『リオス』には彼女の大きな彫像がありますが・・ここ、自由都市『リーベルタース』もかって女神リオス様の加護を与えられた都市で・・・商いをする者達はリオス様の加護を貰おうと、彼女の肖像画を店に飾るのが風習として残っているのです。丁度、ここにも肖像画あります。ご覧になられますか?」
アドニスの話に、私は女神リオスの素顔に興味を持った。
「ええ、見せて頂けますか?」
するとアドニスは自分の部下に命じた。
「おい、アイリス様に肖像画を持ってきてくれ。」
「はい、わかりました。」
命じられた騎士は頭を下げると、足早に隣の倉庫へむかい・すぐに1枚の額縁を持ってきた。
「こちらが女神リオス様でございます。」
騎士は額縁を表に返して見せてくれた。わたしはその肖像画を見て息を飲んだ。
そこに描かれた人物は・・私だった―。
それを聞いたアドニスたちの顔が顔面蒼白になっていく。
「な・・何ですって・・?それは本当の話ですか・・・?」
アドニスは声を震わせて尋ねてきた。
「はい・・国王陛下本人が・・そう言ったのです。」
「え・・?どういうことですか?まさかアイリス様は陛下と会われたのですか?」
私はユリアナがまだ戻って来ない事を確認すると言った。
「はい・・実はこの隠れ家へユリアナと向かっていた時に・・突然地下通路でユリアナが意識を失って倒れたのです。そして・・倒れたユリアナの足元から突然国王陛下が現れて・・・わ、私はそこで襲われそうに・・・。」
そこまで言って、私は自分の両肩を抱きしめた。あの時流れ込んできたフリードリッヒ3世の思考・・・。それを思い出すだけで身体の震えが止まらない。
「アイリス様?どうされましたか?顔色が悪いですが・・。」
アドニスが心配そうに声を掛けた、その時―。
キイイ・・・。
ドアが開く音がして、トレーにカップを乗せたユリアナが現れた。
「アイリス様、ハーブティーをお持ちしました。」
「あ、ありがとう・・・。」
礼をのべるとユリアナはニコリとほほ笑み、目の前のテーブルにコトンと置いてくれた。陶磁器のカップに注がれたハーブティーから香るのは・・・。
「これは・・ラベンダーの香り・・・?」
私が尋ねるとユリアナは言った。
「はい、そうです。ラベンダーは精神を落ち着かせる効果があります。今のアイリス様には必要なものかと思われたので・・。」
「ありがとう、ユリアナ。頂くわ。」
カップから立ち上る湯気に含まれる香りを嗅ぐと、フウフウと冷ましながら一口飲んでみる。
「・・・美味しい。」
優しい味が渇いた喉を潤してくれる。自分では気が付いていなかったが、一口飲んで喉が渇いていることに気が付いた私は・・いつの間にか夢中になってハーブティーを飲んでいた。
「・・ふう。」
ハーブティーを飲み終えると、ユリアナが再び声を掛けてきた。
「アイリス様・・・余程喉が渇いていらしたのですね・・。良かったらもう1杯お持ちしましょうか?」
「あ・・・。」
その時になって私は公爵令嬢としての嗜みも忘れてお茶を一気に飲み干してしまった事に気付き、思わず赤面してしまった。
「い、いえ。もう十分よ。とても美味しかったわ、ユリアナ。ありがとう。」
ユリアナに礼を述べると、途端に頬を赤らめる。
「い、いえ・・そんな。こ、光栄です・・・。女神『リオス』の生まれ変わりと称されるアイリス様にお礼を言われるなんて・・・。」
「え?何・・・その話は?」
思わずポカンとして首を傾げると、逆にアドニスたちに驚かれた。
「アイリス様・・・ご存じなかったのですか?ご自身が何と呼ばれていたのかを・・。」
「え、ええ・・・。私は何と呼ばれていたの?」
するとアドニスは言った。
「女神『リオス』の再来と呼ばれていたのですよ?女神像の町『リオス』には彼女の大きな彫像がありますが・・ここ、自由都市『リーベルタース』もかって女神リオス様の加護を与えられた都市で・・・商いをする者達はリオス様の加護を貰おうと、彼女の肖像画を店に飾るのが風習として残っているのです。丁度、ここにも肖像画あります。ご覧になられますか?」
アドニスの話に、私は女神リオスの素顔に興味を持った。
「ええ、見せて頂けますか?」
するとアドニスは自分の部下に命じた。
「おい、アイリス様に肖像画を持ってきてくれ。」
「はい、わかりました。」
命じられた騎士は頭を下げると、足早に隣の倉庫へむかい・すぐに1枚の額縁を持ってきた。
「こちらが女神リオス様でございます。」
騎士は額縁を表に返して見せてくれた。わたしはその肖像画を見て息を飲んだ。
そこに描かれた人物は・・私だった―。
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