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第10章 2 悪魔との対峙
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「オスカー・・いえ、フリードリッヒ3世・・・。」
私は立ち上がると偽物のオスカーと対峙した。偽オスカーの隣には・・タバサが立っている。
「ほう・・俺が本物のオスカーでは無い・・と言う事が分ったのか?」
フリードリッヒ3世は膝を組み、肘掛けに自らの肘を乗せると言った。
「ええ・・当然です。私の愛するオスカーは・・そんな趣味の悪い玉座には座らないし・・そんな黄金まみれのマント等羽織るような人では決してありませんから。」
すると私の言葉にフリードリッヒ3世は憎々し気に顔を歪めると吐き捨てるように言った。
「俺の前で・・『愛するオスカー』などと言う台詞を言うなっ!アイリス、お前は・・今日、ここで・・この俺の花嫁となるのだっ!そのドレスはお前の為に用意した婚姻のドレスだ。フフフ・・・良く似合っているぞ?流石は傾国の美女と呼ばれたあの女の娘だ・・。」
そして指をパチンと鳴らすと、それまで無言を通し、虚ろな瞳で立っていたタバサが動いた。玉座の後ろに回りこんだかと思うと、次の瞬間後ろ手に縛られ、酷い暴力を受けたのか・・まるでぼろ雑巾の様な姿のオスカーがタバサに引きずられるように現れた。オスカーの口にはさるぐつわが噛ませられている。
「オスカー様っ!」
私は半ば悲鳴を上げるようにその名を叫んだ。
「ウーウッウゥッ!!」
オスカーは必死で縄をほどこうともがくが・・背後からフリードリッヒ3世に蹴り飛ばされて、床に倒された。
ドサッ!!
激しく床に叩きつけられたオスカーが激痛に顔を歪めた。
「やめてっ!オスカー様に乱暴な事はしないでっ!!」
私の叫び声にフリードリッヒ3世は冷たい笑みを浮かべた。
「クックック・・・・どうだ?アイリス。お前の愛する男が痛めつけられる様を・・。しかし・・我が息子ながら目障りな男だ・・・。俺のアイリスを・・奪うとは・・っ!」
悔しそうに睨み付けると、フリードリッヒ3世は立ち上がり・・・
ドガッ!!
オスカーの腹を思い切りけり上げた。
「ウッ!!」
さるぐつわをはめられたオスカーは苦し気にもがく。
「お願いっ!やめてっ!」
思わずオスカーに駆け寄ろうとした瞬間・・・。
「止まれ。」
それまで一言も口を利かなかったタバサの目が怪しく光り、私は一歩も動けなくなってしまった。
「タ・・タバサ・・・。」
身動きできない身体で私はタバサの名を呼んだ。
「フハハハ・・・どうだ?動けまい?タバサの邪眼の力は・・俺が分け与えたものだからな・・・。」
邪眼・・・分け与えた・・・やはりそうだったのだ。フリードリッヒ3世に取りついた悪魔は・・・・!
「やめなさいっ!ロキッ!!」
私はその名を口にした。すると途端に真っ青になるフリードリッヒ3世。
「な・・何だって・・・何故・・・俺の真名をお前が・・・?」
フリードリッヒ3世・・・いや、ロキは顔を青ざめさせて私を見る。そうか・・ロキは・・すっかり魔界に染まってしまったのだ。きっと今の彼には天界にいた時の記憶が・・殆ど残っていないのだろう。ただ潜在的に残された神の記憶が・・私への執着に繋がっていたのだろう。
だから私は、はっきり言った。
「そう・・・貴方の正体は・・・。かつては天界に住み・・そして人間を殺し、この私を『神殺しの剣』で殺して神の力を奪った・・その名も・・ロキよっ」
すると・・フリードリッヒ3世の身体から黒い靄が吹きあがった―。
私は立ち上がると偽物のオスカーと対峙した。偽オスカーの隣には・・タバサが立っている。
「ほう・・俺が本物のオスカーでは無い・・と言う事が分ったのか?」
フリードリッヒ3世は膝を組み、肘掛けに自らの肘を乗せると言った。
「ええ・・当然です。私の愛するオスカーは・・そんな趣味の悪い玉座には座らないし・・そんな黄金まみれのマント等羽織るような人では決してありませんから。」
すると私の言葉にフリードリッヒ3世は憎々し気に顔を歪めると吐き捨てるように言った。
「俺の前で・・『愛するオスカー』などと言う台詞を言うなっ!アイリス、お前は・・今日、ここで・・この俺の花嫁となるのだっ!そのドレスはお前の為に用意した婚姻のドレスだ。フフフ・・・良く似合っているぞ?流石は傾国の美女と呼ばれたあの女の娘だ・・。」
そして指をパチンと鳴らすと、それまで無言を通し、虚ろな瞳で立っていたタバサが動いた。玉座の後ろに回りこんだかと思うと、次の瞬間後ろ手に縛られ、酷い暴力を受けたのか・・まるでぼろ雑巾の様な姿のオスカーがタバサに引きずられるように現れた。オスカーの口にはさるぐつわが噛ませられている。
「オスカー様っ!」
私は半ば悲鳴を上げるようにその名を叫んだ。
「ウーウッウゥッ!!」
オスカーは必死で縄をほどこうともがくが・・背後からフリードリッヒ3世に蹴り飛ばされて、床に倒された。
ドサッ!!
激しく床に叩きつけられたオスカーが激痛に顔を歪めた。
「やめてっ!オスカー様に乱暴な事はしないでっ!!」
私の叫び声にフリードリッヒ3世は冷たい笑みを浮かべた。
「クックック・・・・どうだ?アイリス。お前の愛する男が痛めつけられる様を・・。しかし・・我が息子ながら目障りな男だ・・・。俺のアイリスを・・奪うとは・・っ!」
悔しそうに睨み付けると、フリードリッヒ3世は立ち上がり・・・
ドガッ!!
オスカーの腹を思い切りけり上げた。
「ウッ!!」
さるぐつわをはめられたオスカーは苦し気にもがく。
「お願いっ!やめてっ!」
思わずオスカーに駆け寄ろうとした瞬間・・・。
「止まれ。」
それまで一言も口を利かなかったタバサの目が怪しく光り、私は一歩も動けなくなってしまった。
「タ・・タバサ・・・。」
身動きできない身体で私はタバサの名を呼んだ。
「フハハハ・・・どうだ?動けまい?タバサの邪眼の力は・・俺が分け与えたものだからな・・・。」
邪眼・・・分け与えた・・・やはりそうだったのだ。フリードリッヒ3世に取りついた悪魔は・・・・!
「やめなさいっ!ロキッ!!」
私はその名を口にした。すると途端に真っ青になるフリードリッヒ3世。
「な・・何だって・・・何故・・・俺の真名をお前が・・・?」
フリードリッヒ3世・・・いや、ロキは顔を青ざめさせて私を見る。そうか・・ロキは・・すっかり魔界に染まってしまったのだ。きっと今の彼には天界にいた時の記憶が・・殆ど残っていないのだろう。ただ潜在的に残された神の記憶が・・私への執着に繋がっていたのだろう。
だから私は、はっきり言った。
「そう・・・貴方の正体は・・・。かつては天界に住み・・そして人間を殺し、この私を『神殺しの剣』で殺して神の力を奪った・・その名も・・ロキよっ」
すると・・フリードリッヒ3世の身体から黒い靄が吹きあがった―。
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