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第2章 京極正人 18 <終>
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「飯塚さん・・・大丈夫でしたか?」
俯き、身体を震わせている飯塚に京極が気づかわし気に声を掛けてきた。
「京極さん・・何故、ここが・・・分かったんですか・・?」
飯塚は振り向きもせずに京極に尋ねた。すると京極は申し訳なさげに言った。
「申し訳ございません・・。飯塚さんに渡したスマホ・・・実はGPS機能がついていて・・それで貴女の居場所が分ったんです。・・すみません。監視するような真似をして・・ですが・・貴女の事が心配で・・。」
「・・。」
しかし、飯塚は返事をしない。
「飯塚さん・・?大丈夫ですか・・?」
すると飯塚の肩が震えていることに京極は気が付き、飯塚の正面に回り・・・ハッと息を飲んだ。
飯塚は涙を流して震えていたのだ。
「飯塚さん・・・。」
京極はためらいがちに飯塚の肩に手を置くと・・。
「こ・・怖かった・・っ!」
飯塚は京極の胸に飛び込み、肩を震わせながらボロボロと泣いた。そんな飯塚を京極は抱きしめると言った。
「飯塚さん・・・帰りましょう。僕達のマンションに・・・。」
僕達のマンション・・・。
その言葉によって・・ずっと不安に思っていた飯塚の心に少しだけ明るい未来がさしこんだのであった・・・。
****
「飯塚さん・・・どうしたんですか?部屋に入らないんですか?」
京極が玄関の中で立ち止まったまま黙って立っている飯塚に声を掛けた。すると飯塚が口を開いた。
「あの・・京極さん・・・。」
「何ですか?」
「私・・ここにいていいんですか・・・?」
「え?」
京極は飯塚の突然の言葉に首を傾げた。
「私・・・いつまでここに住んでいられるのか・・ずっと不安だったんです・・家族にも・・見捨てられて・・友達もいないし・・お金も無くて・・。それに仕事は自分の力では見つける事が出来なくて・・そ、それで・・ずっと京極さんには感謝していたのに・・私・・可愛げの無い態度ばかり・・とって・・!」
飯塚はそこで口を閉ざした。何故なら京極が力強く抱きしめてきたからだ。
京極は飯塚を胸に埋め込まんばかりに強く抱きしめると言った。
「可愛いですよ。」
「!」
飯塚は自分の耳を疑った。
「飯塚さんが努力家だって言うのは・・貴女が事件を起こす前から知っていました。語学は堪能だし・・仕事も良くできる人だって言うのは・・貴女と一緒に仕事を始めるようになってそれが良く分かりました。家事の腕前も素晴らしい・・。だから・・僕は貴女を独占したくて・・わざとスマホを渡しませんでした。外で誰かと繋がりを持って欲しくなかったから・・。でも、それではいけないと思い・・スマホを渡しましたが、結局GPSなんかつけてしまって・・。でもそのおかげで貴女を助ける事が出来た。」
京極の声にはどこか甘さが含まれていた。飯塚は京極の言葉を一言一句聞き漏らすまいと神経を集注させた。
「飯塚さんが・・・別の男とホテルの前に立っていた時・・自分でも驚くくらいい頭に血が上って・・つい、飯塚さんの事を恋人だって言ってしまいました。・・すみません。」
しかし、京極が飯塚を抱きしめる手にはますます力がこめられる。そして・・・その力強さが飯塚は嬉しかった。そこで飯塚は言った。
「京極さん・・・もし・・もしご迷惑でなければ・・京極さんの恋人が出来るまでは・・・ここにおいてもらえませんか・・?」
飯塚は京極の胸に顔をうずめながら尋ねた。すると京極は言った。
「それは・・無理な話ですね・・。」
「え?」
飯塚は京極の言葉に驚いて顔を上げると、京極はフッと笑みを浮かべると言った。
「僕が好きなのは貴女だから・・・恋人を作るのは・・無理ですよ。」
笑みを浮かべた京極は目を閉じて顔を近づけてきたので、飯塚も瞳を閉じ・・2人はキスをした。
そして、そのまま2人は互いの気持ちを確かめ合い・・・愛を交わした。
それから1年後・・・飯塚咲良は京極咲良へと名前を変え・・ネットで検索しても二度と飯塚咲良と言う名前が出て来る事は無かった―。
<終>
俯き、身体を震わせている飯塚に京極が気づかわし気に声を掛けてきた。
「京極さん・・何故、ここが・・・分かったんですか・・?」
飯塚は振り向きもせずに京極に尋ねた。すると京極は申し訳なさげに言った。
「申し訳ございません・・。飯塚さんに渡したスマホ・・・実はGPS機能がついていて・・それで貴女の居場所が分ったんです。・・すみません。監視するような真似をして・・ですが・・貴女の事が心配で・・。」
「・・。」
しかし、飯塚は返事をしない。
「飯塚さん・・?大丈夫ですか・・?」
すると飯塚の肩が震えていることに京極は気が付き、飯塚の正面に回り・・・ハッと息を飲んだ。
飯塚は涙を流して震えていたのだ。
「飯塚さん・・・。」
京極はためらいがちに飯塚の肩に手を置くと・・。
「こ・・怖かった・・っ!」
飯塚は京極の胸に飛び込み、肩を震わせながらボロボロと泣いた。そんな飯塚を京極は抱きしめると言った。
「飯塚さん・・・帰りましょう。僕達のマンションに・・・。」
僕達のマンション・・・。
その言葉によって・・ずっと不安に思っていた飯塚の心に少しだけ明るい未来がさしこんだのであった・・・。
****
「飯塚さん・・・どうしたんですか?部屋に入らないんですか?」
京極が玄関の中で立ち止まったまま黙って立っている飯塚に声を掛けた。すると飯塚が口を開いた。
「あの・・京極さん・・・。」
「何ですか?」
「私・・ここにいていいんですか・・・?」
「え?」
京極は飯塚の突然の言葉に首を傾げた。
「私・・・いつまでここに住んでいられるのか・・ずっと不安だったんです・・家族にも・・見捨てられて・・友達もいないし・・お金も無くて・・。それに仕事は自分の力では見つける事が出来なくて・・そ、それで・・ずっと京極さんには感謝していたのに・・私・・可愛げの無い態度ばかり・・とって・・!」
飯塚はそこで口を閉ざした。何故なら京極が力強く抱きしめてきたからだ。
京極は飯塚を胸に埋め込まんばかりに強く抱きしめると言った。
「可愛いですよ。」
「!」
飯塚は自分の耳を疑った。
「飯塚さんが努力家だって言うのは・・貴女が事件を起こす前から知っていました。語学は堪能だし・・仕事も良くできる人だって言うのは・・貴女と一緒に仕事を始めるようになってそれが良く分かりました。家事の腕前も素晴らしい・・。だから・・僕は貴女を独占したくて・・わざとスマホを渡しませんでした。外で誰かと繋がりを持って欲しくなかったから・・。でも、それではいけないと思い・・スマホを渡しましたが、結局GPSなんかつけてしまって・・。でもそのおかげで貴女を助ける事が出来た。」
京極の声にはどこか甘さが含まれていた。飯塚は京極の言葉を一言一句聞き漏らすまいと神経を集注させた。
「飯塚さんが・・・別の男とホテルの前に立っていた時・・自分でも驚くくらいい頭に血が上って・・つい、飯塚さんの事を恋人だって言ってしまいました。・・すみません。」
しかし、京極が飯塚を抱きしめる手にはますます力がこめられる。そして・・・その力強さが飯塚は嬉しかった。そこで飯塚は言った。
「京極さん・・・もし・・もしご迷惑でなければ・・京極さんの恋人が出来るまでは・・・ここにおいてもらえませんか・・?」
飯塚は京極の胸に顔をうずめながら尋ねた。すると京極は言った。
「それは・・無理な話ですね・・。」
「え?」
飯塚は京極の言葉に驚いて顔を上げると、京極はフッと笑みを浮かべると言った。
「僕が好きなのは貴女だから・・・恋人を作るのは・・無理ですよ。」
笑みを浮かべた京極は目を閉じて顔を近づけてきたので、飯塚も瞳を閉じ・・2人はキスをした。
そして、そのまま2人は互いの気持ちを確かめ合い・・・愛を交わした。
それから1年後・・・飯塚咲良は京極咲良へと名前を変え・・ネットで検索しても二度と飯塚咲良と言う名前が出て来る事は無かった―。
<終>
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