期間限定の悪役令嬢

結城芙由奈@コミカライズ連載中

文字の大きさ
13 / 45

エピソード11 本気の参加者たち

しおりを挟む
「お、館内放送があったな。リア、それじゃ一緒にエントランスホール行くか。」

アレクが私を見ろして言うけれども・・。

「ごめんね・・・。一緒には行けないよ。別々に行こう。」

「何でだよ?」

一瞬、ムッとした顔でアレクは言う。

「だって・・・私は友達の前で『悪役令嬢』を演じないといけないんだよ?つまり、友達の前では王子様に気がある役を演じないといけないの。友達と王子様が仲良く過ごしているのを見て、嫉妬して・・友達を王子様の見てる前で虐めなくちゃいけないの。それなのに、私が他の男の人と一緒に行動していたらおかしいでしょう?」

私はアレクに必死で説明した。

「・・・。」

しかし、アレクは腕組みしたまま黙って私を見下ろしている。

「ねえ、アレク。聞いてる?」

「ああ・・・聞いている。全く馬鹿らしくて聞くに堪えない内容の話だな?」

「な・・・!ちょっと、それはいくら何でも言い過ぎなんじゃないの?そんなに馬鹿らしい内容なの?!」

さすがにアレクの言葉にカチンときた私は言い返した。

「ああ、そうだ。実に馬鹿々々しい・・くだらない話だな。わざと友達と王子がいっしょにいるところを狙って友達を虐めるだって?そして王子に友達を心配させる?本当にそんな子供だましの手が通用すると思っているのか?大体・・仮にその方法がうまくいったとして・・友達と王子が恋仲になったとすれば・・今度はリアが王子から憎まれる対象になるかもしれないんだぞ?本当にお前はそれでいいのか?この島へ来た連中はなあ・・皆将来の自分の結婚相手を探す為にやって来てるんだぞ?最も俺は王子の付き人と頭数合わせとしてついてきただけだけどな。リア、お前が友人に意地悪をしている姿を王子以外にほかの奴らに見られたら・・お前の評判はがた落ち。ここで恋人なんかみつけられないぞ?」

「べ、別にそれでも構わないよ。だって私が・・・この島へやってきたのは・・友達と王子様を恋仲にさせる為の・・・当て馬要員としてやってきたようなものだもの。恋人や結婚相手を探しに来たわけじゃないから。」

「分かったよ、それなら好きにすればいいさ。ま、せいぜい・・・あいつらには気を付けておくんだな。」

アレクは吐き捨てるように言うと、さっさと階段を下りて行ってしまった。

「・・・もう、アレクの馬鹿。折角・・・友達になれると思っていたのに・・。」

でも、仕方ない。どう一月限りの関係なんだから、気にしていてもしょうがない。

「急いでいかなくちゃ。」

私も慌てて階段を下りて行った―。


****

ホテル1Fのエントランスホールには既にほぼ全員の姿が揃っていた。そして気が付いたことがる。

「あれ・・・?」

何と、すでにさりげなく3組のカップルが出来上がってグループになっていたのだ。彼らは私に背を向ける格好で立っていたので顔はうかがい知れないが、腕を組んで親し気に話をしている。その光景を見て私は唖然としてしまった。
アレクやフォスティーヌの話は本当だったんだ・・・・。皆本気で恋愛する為にこのサマースクールに参加していたのだ。・・何だか悪役令嬢を演じる為だけにこの島へやってきた私って一体・・・。その時・・・・。

「何してるの、リアンナ。こっちへ来てよ。」

突然背後から声がかかり、私はグイッと腕を掴まれて無理やり振りむかされると、そこにはフォスティーヌが立っていた。

「あ、フォスティーヌ。やっと会えたね。」

「何が、やっと会えたね、なの?どうして着替えちゃったのよ、リアンナ。」

フォスティーヌは機嫌が悪そうに言う。

「だ、だって、あの服を着ていたおかげで変な男3人組に目を付けられちゃったんだよっ?!それにあんな服・・恥ずかしくていつまでも着てられないからっ!」

「あら、そうなの?すごく良く似合っていたのに・・。あと、リアンナが目をつけられた3人組って・・・彼らの事じゃないの?」

言いながらフォスティーヌが指さした先には、すでにカップルが成立していたグループの人物たちだったのだ。

「あ・・そうそう!あの人たちだよっ!」

「なら、良かったじゃない。彼らはカップル成立したんだから・・もうリアンナにちょっかい掛けてくることは無いわよ。このサマースクールの決まりでね、仮にカップル成立した場合は・・浮気は絶対に許されないってことなのよ。もし、浮気した場合、この島から出て行かなくちゃならないんだから。」

「えっ?!そ、そうなのっ?!」

私は驚いてしまった。そして内心怖くなった。

本気だ・・・本気でこのサマースクールに参加する人たちは・・将来の伴侶を見つける為にやってきたんだ―!





しおりを挟む
感想 1

あなたにおすすめの小説

私が王子との結婚式の日に、妹に毒を盛られ、公衆の面前で辱められた。でも今、私は時を戻し、運命を変えに来た。

MayonakaTsuki
恋愛
王子との結婚式の日、私は最も信頼していた人物――自分の妹――に裏切られた。毒を盛られ、公開の場で辱められ、未来の王に拒絶され、私の人生は血と侮辱の中でそこで終わったかのように思えた。しかし、死が私を迎えたとき、不可能なことが起きた――私は同じ回廊で、祭壇の前で目を覚まし、あらゆる涙、嘘、そして一撃の記憶をそのまま覚えていた。今、二度目のチャンスを得た私は、ただ一つの使命を持つ――真実を突き止め、奪われたものを取り戻し、私を破滅させた者たちにその代償を払わせる。もはや、何も以前のままではない。何も許されない。

悪役令嬢と誤解され冷遇されていたのに、目覚めたら夫が豹変して求愛してくるのですが?

いりん
恋愛
初恋の人と結婚できたーー これから幸せに2人で暮らしていける…そう思ったのに。 「私は夫としての務めを果たすつもりはない。」 「君を好きになることはない。必要以上に話し掛けないでくれ」 冷たく拒絶され、離婚届けを取り寄せた。 あと2週間で届くーーそうしたら、解放してあげよう。 ショックで熱をだし寝込むこと1週間。 目覚めると夫がなぜか豹変していて…!? 「君から話し掛けてくれないのか?」 「もう君が隣にいないのは考えられない」 無口不器用夫×優しい鈍感妻 すれ違いから始まる両片思いストーリー

タイムリープ〜悪女の烙印を押された私はもう二度と失敗しない

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
<もうあなた方の事は信じません>―私が二度目の人生を生きている事は誰にも内緒― 私の名前はアイリス・イリヤ。王太子の婚約者だった。2年越しにようやく迎えた婚約式の発表の日、何故か<私>は大観衆の中にいた。そして婚約者である王太子の側に立っていたのは彼に付きまとっていたクラスメイト。この国の国王陛下は告げた。 「アイリス・イリヤとの婚約を解消し、ここにいるタバサ・オルフェンを王太子の婚約者とする!」 その場で身に覚えの無い罪で悪女として捕らえられた私は島流しに遭い、寂しい晩年を迎えた・・・はずが、守護神の力で何故か婚約式発表の2年前に逆戻り。タイムリープの力ともう一つの力を手に入れた二度目の人生。目の前には私を騙した人達がいる。もう騙されない。同じ失敗は繰り返さないと私は心に誓った。 ※カクヨム・小説家になろうにも掲載しています

乙女ゲームのヒロインに転生したのに、ストーリーが始まる前になぜかウチの従者が全部終わらせてたんですが

侑子
恋愛
 十歳の時、自分が乙女ゲームのヒロインに転生していたと気づいたアリス。幼なじみで従者のジェイドと準備をしながら、ハッピーエンドを目指してゲームスタートの魔法学園入学までの日々を過ごす。  しかし、いざ入学してみれば、攻略対象たちはなぜか皆他の令嬢たちとラブラブで、アリスの入る隙間はこれっぽっちもない。 「どうして!? 一体どうしてなの~!?」  いつの間にか従者に外堀を埋められ、乙女ゲームが始まらないようにされていたヒロインのお話。

気配消し令嬢の失敗

かな
恋愛
ユリアは公爵家の次女として生まれ、獣人国に攫われた長女エーリアの代わりに第1王子の婚約者候補の筆頭にされてしまう。王妃なんて面倒臭いと思ったユリアは、自分自身に認識阻害と気配消しの魔法を掛け、居るかいないかわからないと言われるほどの地味な令嬢を装った。 15才になり学園に入学すると、編入してきた男爵令嬢が第1王子と有力貴族令息を複数侍らかせることとなり、ユリア以外の婚約者候補と男爵令嬢の揉める事が日常茶飯事に。ユリアは遠くからボーッとそれを眺めながら〘 いつになったら婚約者候補から外してくれるのかな? 〙と思っていた。そんなユリアが失敗する話。 ※王子は曾祖母コンです。 ※ユリアは悪役令嬢ではありません。 ※タグを少し修正しました。 初めての投稿なのでゆる〜く読んでください。ご都合主義はご愛嬌ということで見逃してください( *・ω・)*_ _))ペコリン

悪役令嬢の心変わり

ナナスケ
恋愛
不慮の事故によって20代で命を落としてしまった雨月 夕は乙女ゲーム[聖女の涙]の悪役令嬢に転生してしまっていた。 7歳の誕生日10日前に前世の記憶を取り戻した夕は悪役令嬢、ダリア・クロウリーとして最悪の結末 処刑エンドを回避すべく手始めに婚約者の第2王子との婚約を破棄。 そして、処刑エンドに繋がりそうなルートを回避すべく奮闘する勘違いラブロマンス! カッコイイ系主人公が男社会と自分に仇なす者たちを斬るっ!

婚約破棄された悪役令嬢の心の声が面白かったので求婚してみた

夕景あき
恋愛
人の心の声が聞こえるカイルは、孤独の闇に閉じこもっていた。唯一の救いは、心の声まで真摯で温かい異母兄、第一王子の存在だけだった。 そんなカイルが、外交(婚約者探し)という名目で三国交流会へ向かうと、目の前で隣国の第二王子による公開婚約破棄が発生する。 婚約破棄された令嬢グレースは、表情一つ変えない高潔な令嬢。しかし、カイルがその心の声を聞き取ると、思いも寄らない内容が聞こえてきたのだった。

彼女が高級娼婦と呼ばれる理由~元悪役令嬢の戦慄の日々~

プラネットプラント
恋愛
婚約者である王子の恋人をいじめたと婚約破棄され、実家から縁を切られたライラは娼館で暮らすことになる。だが、訪れる人々のせいでライラは怯えていた。 ※完結済。

処理中です...