2 / 4
第2話 明るい彼女と口下手な僕
しおりを挟む
僕とクリスは高校生になっていた。クリスはますます魅力的な女性になって、大勢のボーイフレンドが出来ていた。せめてクリスと僕が同じクラスだったら、彼女に近付く男子学生達を追い払う事が出来たかもしれないのに・・。でも僕は口下手出し、クリスに気の利く言葉の1つもかけてあげる事が出来ない。だから僕は自分を変えたくて柄にもなく演劇部に入部してしまった。そして不思議な事に、普段は引っ込み思案で駄目な僕なのに、何故か演技をすればまるで別人のように変わる事が出来きた。そうして僕はますます演劇に飲める込むようになっていった。
「リアム様ーっ!」
校門に差し掛かったところで、背後から僕を大きな声で元気よく呼ぶ声が聞こえてきた。振り向くと僕の可愛い婚約者のクリスが息を切らせながら走って追いかけて来てくれる。フフ・・本当にクリスは可愛いなあ。僕なんかには勿体ない位の女の子だ。
だから僕はいつも少しだけ彼女と距離を空けて接している。それはつまらない男だと思われて、クリスにいつか捨てられてしまうのでは無いかと恐怖心があった為だ。
だって皆隙あればクリスに告白しようとしてるのだから。彼女には僕と言う婚約者がいるっていうのに・・・。
「おはよう、クリス。」
だから僕はせめて挨拶だけは笑顔でしようと務めている。
「おはようございます、リアム様。」
クリスは僕に満面の笑みを浮かべてくれている。そのあまりの可愛さに思わず彼女に触れそうになって・・・僕は慌てて手を引っ込めると言った。
「クリスは今日も元気だね。」
駄目だ、クリスと話していると嬉しさでどうしても顔が笑ってしまう。
「ウッ!」
すると何故かクリスが突然胸を押さえてしまった。
「ど、どうしたの?クリス。」
心配になって僕は声を掛けた。
「い、いえ・・・リアム様のあまりの眩しい笑顔に胸が射貫かれただけですから。でも大丈夫。心臓は避けてくれたので私は見ての通り無事ですよ。」
クリス・・・。ああ、本当に君はどうしていつも僕が欲しいと思う言葉をくれるんだろう?ねえ、クリス。僕は君の意見も聞かずに強引に婚約を結んでしまったけど・・後悔していなよね?僕の事・・・好き?
だけど、その台詞は怖くて聞けない。だから代わりに別の事を伝える。
「本当に・・クリスはいつも面白いことを言うよね?」
「そうでしょうか?でもきっとそれはリアム様のせいですよ。」
「え?僕の?」
どうして僕のせいなんだろう?
「ええ、そうです。リアム様の笑顔があまりにも美しくて、大好きだからその笑顔が見たくて、つい笑わせるような事を言ってしまうんです。お望みならあと30個以上は笑わせる話を持っていますよ?」
クリス・・・。僕も気の利いたセリフを言って君を喜ばせてあげたいよ・・・。でも僕には女性を喜ばせる言葉が思いつかない。何て駄目な男なんだろう。
「クリスは本当に明るいよね。一緒にいると飽きないよ。」
「ええ、それが私の長所ですから。」
やっぱりクリスを婚約者に選んで正解だった。だってこんなに可愛くて、明るくて、人を楽しませる話術を持っているんだから。僕には勿体ない位の婚約者だなあと改めて思ってしまう。
「おはようございます。リアム様、エバンズさん。」
その時、僕達の背後から同じ演劇部のナディア・トーレスが声を掛けてきた。
彼女は2か月後の舞台で僕と恋人同士の役を演じるんだけど、どうにも思い込みの激しい性格みたいで、最近はプライベートでも僕にべったりしてくるようになってきて、正直に言うと迷惑な存在だ。
嫌だなあ・・・折角の僕とクリスの時間を邪魔しないで貰いたいよ。
「やあ、おはよう。トーレス。」
「おはようございます、トーレスさん。」
するとナディアは少しむくれた顔をすると僕に言う。
「もう、リアム様。あれ程私の事はナディアと呼んで下さいと言っているではありませんか。」
ええ?何故僕が君の事をとファーストネームで呼ばなければならないの?!すると次にナディアは僕のクリスにとんでもない事を言って来た。
「エバンズさん、今度の学園際でリアム様と大事なお話があるので席を外して頂けませんか?」
え?!僕は別に大事な話なんて君とは無いよっ?!驚いてナディアを見ると、クリスが言った。
「あ、すみませんでした。気が付かなくて。それでは私は失礼しますね。」
そして止める間もなくクリスは走り去って行ってしまった。
「クリスさん・・・やっと行ってくれましたね?」
2人きりになるとナディアは僕に声を掛けてきた。仕方ないからナディアと並んで校舎に向って歩いていると、突然僕の腕に絡みついて来た。
「え?!何してるの?!」
思わず腕を振り払うと、ナディアは目に涙を浮かべた。
「酷い・・・リアム様・・。私達は今度の舞台で恋人同士を演じるのですよ?演技の為には日常生活も恋人同士のふりをするのは当然だと思いませんか?」
う~ん・・・そんなものなのだろうか・・・。でも講演までは後2か月。それさえ終わればナディアと関わらなければいい事だし・・・。だから僕はナディアの提案を受け入れる事にした。でも、それがあんな結果を招く事になるなんて、あの時の僕は思いもしなかった。
お昼休みになった。僕は自分の席に座ってクリスが迎えに来るのを待っている。さて、そろそろクリスが迎えに来てくれる頃だ。・・今日は何処で一緒にお昼を食べようかな?お天気もいいし・・・中庭のベンチにでも行ってみようかな・・・。
その時、再びナディアが声を掛けてきた。
「リアム。」
え?今・・・リアムって呼ばれた気がするけど・・?
「な?何?トーレス。」
するとナディアの顔が険しくなる。
「リアム。私の事はナディアと呼んでとあれ程言っておいたでしょう?まだその事が理解出来ないの?」
「え、だ・だけど・・・。」
駄目だ、僕はどうしても彼女のことが苦手だ。性格はきついし、わがままで高飛車な所も・・・何もかもが僕にはうけいれられない。
「お天気もいいし、お昼休み2人で劇の練習をしましょう?」
ナディアはニコニコしながら言う。
「ええ?2人で・・?他の人達は・・?」
「他の人達はいいのよ。だって主役は私達なんだから。さ、行きましょう。学園のバラ園で練習しましょうよ。きっと雰囲気が出るわ。」
「だ、だけど・・・クリスが僕を迎えに・・・。」
「大丈夫よ、私からリアムの友達のヒューゴにエバンズさんに伝えておいてと言ってあるから。」
「え?!ヒューゴにっ?!」
あいつじゃ駄目だっ!だってヒューゴは僕の親友のくせに・・・クリスの事が好きなんだからっ!
だけど・・・気の小さい僕は苦手なナディアに逆らえなくて、ズルズルと半ば引きずられるように教室から連れ出され、バラ園に連れて行かれてしまった。
「ねえ・・・トーレスさ・・じゃ無かった。ナディア。何処のシーンを練習するの?」
バラ園にやって来ると僕はナディアに尋ねた。
「台本の37ページ目のシーンよ。ほら、男主人公が許嫁がいるのに、真に愛する女性を見つけて、告白するシーン。」
ああ・・・あそこか・・・。あんまり気乗りしないシーンだけど、ナディアに逆らうともっと怖いし・・・。
「いい?それじゃ私は右手を上げて合図をしたら演技を始めてよ?」
「うん、分かったよ。」
するとそれから1分位経過したところでナディアが右手をサッと上げた。
よし。僕は深呼吸すると演技を始めた。
「僕には許嫁がいるけど・・やっぱり僕の好きな女性は・・・君だと気づいたよ。どうか僕の恋人になって下さい。」
するとナディアが言った。
「本当に・・・?夢では無いのね・・?嬉しい・・・。」
そして僕たちは近付き・・・抱き合った。
ああ・・この腕の中にいるのがナディアではなく、クリスだったらどんなにか幸せなのに・・。
だけど、この時の僕は知らなかった。まさかこの練習現場をクリスが演技とは思わずに見ていた事を―。
「リアム様ーっ!」
校門に差し掛かったところで、背後から僕を大きな声で元気よく呼ぶ声が聞こえてきた。振り向くと僕の可愛い婚約者のクリスが息を切らせながら走って追いかけて来てくれる。フフ・・本当にクリスは可愛いなあ。僕なんかには勿体ない位の女の子だ。
だから僕はいつも少しだけ彼女と距離を空けて接している。それはつまらない男だと思われて、クリスにいつか捨てられてしまうのでは無いかと恐怖心があった為だ。
だって皆隙あればクリスに告白しようとしてるのだから。彼女には僕と言う婚約者がいるっていうのに・・・。
「おはよう、クリス。」
だから僕はせめて挨拶だけは笑顔でしようと務めている。
「おはようございます、リアム様。」
クリスは僕に満面の笑みを浮かべてくれている。そのあまりの可愛さに思わず彼女に触れそうになって・・・僕は慌てて手を引っ込めると言った。
「クリスは今日も元気だね。」
駄目だ、クリスと話していると嬉しさでどうしても顔が笑ってしまう。
「ウッ!」
すると何故かクリスが突然胸を押さえてしまった。
「ど、どうしたの?クリス。」
心配になって僕は声を掛けた。
「い、いえ・・・リアム様のあまりの眩しい笑顔に胸が射貫かれただけですから。でも大丈夫。心臓は避けてくれたので私は見ての通り無事ですよ。」
クリス・・・。ああ、本当に君はどうしていつも僕が欲しいと思う言葉をくれるんだろう?ねえ、クリス。僕は君の意見も聞かずに強引に婚約を結んでしまったけど・・後悔していなよね?僕の事・・・好き?
だけど、その台詞は怖くて聞けない。だから代わりに別の事を伝える。
「本当に・・クリスはいつも面白いことを言うよね?」
「そうでしょうか?でもきっとそれはリアム様のせいですよ。」
「え?僕の?」
どうして僕のせいなんだろう?
「ええ、そうです。リアム様の笑顔があまりにも美しくて、大好きだからその笑顔が見たくて、つい笑わせるような事を言ってしまうんです。お望みならあと30個以上は笑わせる話を持っていますよ?」
クリス・・・。僕も気の利いたセリフを言って君を喜ばせてあげたいよ・・・。でも僕には女性を喜ばせる言葉が思いつかない。何て駄目な男なんだろう。
「クリスは本当に明るいよね。一緒にいると飽きないよ。」
「ええ、それが私の長所ですから。」
やっぱりクリスを婚約者に選んで正解だった。だってこんなに可愛くて、明るくて、人を楽しませる話術を持っているんだから。僕には勿体ない位の婚約者だなあと改めて思ってしまう。
「おはようございます。リアム様、エバンズさん。」
その時、僕達の背後から同じ演劇部のナディア・トーレスが声を掛けてきた。
彼女は2か月後の舞台で僕と恋人同士の役を演じるんだけど、どうにも思い込みの激しい性格みたいで、最近はプライベートでも僕にべったりしてくるようになってきて、正直に言うと迷惑な存在だ。
嫌だなあ・・・折角の僕とクリスの時間を邪魔しないで貰いたいよ。
「やあ、おはよう。トーレス。」
「おはようございます、トーレスさん。」
するとナディアは少しむくれた顔をすると僕に言う。
「もう、リアム様。あれ程私の事はナディアと呼んで下さいと言っているではありませんか。」
ええ?何故僕が君の事をとファーストネームで呼ばなければならないの?!すると次にナディアは僕のクリスにとんでもない事を言って来た。
「エバンズさん、今度の学園際でリアム様と大事なお話があるので席を外して頂けませんか?」
え?!僕は別に大事な話なんて君とは無いよっ?!驚いてナディアを見ると、クリスが言った。
「あ、すみませんでした。気が付かなくて。それでは私は失礼しますね。」
そして止める間もなくクリスは走り去って行ってしまった。
「クリスさん・・・やっと行ってくれましたね?」
2人きりになるとナディアは僕に声を掛けてきた。仕方ないからナディアと並んで校舎に向って歩いていると、突然僕の腕に絡みついて来た。
「え?!何してるの?!」
思わず腕を振り払うと、ナディアは目に涙を浮かべた。
「酷い・・・リアム様・・。私達は今度の舞台で恋人同士を演じるのですよ?演技の為には日常生活も恋人同士のふりをするのは当然だと思いませんか?」
う~ん・・・そんなものなのだろうか・・・。でも講演までは後2か月。それさえ終わればナディアと関わらなければいい事だし・・・。だから僕はナディアの提案を受け入れる事にした。でも、それがあんな結果を招く事になるなんて、あの時の僕は思いもしなかった。
お昼休みになった。僕は自分の席に座ってクリスが迎えに来るのを待っている。さて、そろそろクリスが迎えに来てくれる頃だ。・・今日は何処で一緒にお昼を食べようかな?お天気もいいし・・・中庭のベンチにでも行ってみようかな・・・。
その時、再びナディアが声を掛けてきた。
「リアム。」
え?今・・・リアムって呼ばれた気がするけど・・?
「な?何?トーレス。」
するとナディアの顔が険しくなる。
「リアム。私の事はナディアと呼んでとあれ程言っておいたでしょう?まだその事が理解出来ないの?」
「え、だ・だけど・・・。」
駄目だ、僕はどうしても彼女のことが苦手だ。性格はきついし、わがままで高飛車な所も・・・何もかもが僕にはうけいれられない。
「お天気もいいし、お昼休み2人で劇の練習をしましょう?」
ナディアはニコニコしながら言う。
「ええ?2人で・・?他の人達は・・?」
「他の人達はいいのよ。だって主役は私達なんだから。さ、行きましょう。学園のバラ園で練習しましょうよ。きっと雰囲気が出るわ。」
「だ、だけど・・・クリスが僕を迎えに・・・。」
「大丈夫よ、私からリアムの友達のヒューゴにエバンズさんに伝えておいてと言ってあるから。」
「え?!ヒューゴにっ?!」
あいつじゃ駄目だっ!だってヒューゴは僕の親友のくせに・・・クリスの事が好きなんだからっ!
だけど・・・気の小さい僕は苦手なナディアに逆らえなくて、ズルズルと半ば引きずられるように教室から連れ出され、バラ園に連れて行かれてしまった。
「ねえ・・・トーレスさ・・じゃ無かった。ナディア。何処のシーンを練習するの?」
バラ園にやって来ると僕はナディアに尋ねた。
「台本の37ページ目のシーンよ。ほら、男主人公が許嫁がいるのに、真に愛する女性を見つけて、告白するシーン。」
ああ・・・あそこか・・・。あんまり気乗りしないシーンだけど、ナディアに逆らうともっと怖いし・・・。
「いい?それじゃ私は右手を上げて合図をしたら演技を始めてよ?」
「うん、分かったよ。」
するとそれから1分位経過したところでナディアが右手をサッと上げた。
よし。僕は深呼吸すると演技を始めた。
「僕には許嫁がいるけど・・やっぱり僕の好きな女性は・・・君だと気づいたよ。どうか僕の恋人になって下さい。」
するとナディアが言った。
「本当に・・・?夢では無いのね・・?嬉しい・・・。」
そして僕たちは近付き・・・抱き合った。
ああ・・この腕の中にいるのがナディアではなく、クリスだったらどんなにか幸せなのに・・。
だけど、この時の僕は知らなかった。まさかこの練習現場をクリスが演技とは思わずに見ていた事を―。
42
あなたにおすすめの小説
【完結】ひとつだけ、ご褒美いただけますか?――没落令嬢、氷の王子にお願いしたら溺愛されました。
猫屋敷 むぎ
恋愛
没落伯爵家の娘の私、ノエル・カスティーユにとっては少し眩しすぎる学院の舞踏会で――
私の願いは一瞬にして踏みにじられました。
母が苦労して買ってくれた唯一の白いドレスは赤ワインに染められ、
婚約者ジルベールは私を見下ろしてこう言ったのです。
「君は、僕に恥をかかせたいのかい?」
まさか――あの優しい彼が?
そんなはずはない。そう信じていた私に、現実は冷たく突きつけられました。
子爵令嬢カトリーヌの冷笑と取り巻きの嘲笑。
でも、私には、味方など誰もいませんでした。
ただ一人、“氷の王子”カスパル殿下だけが。
白いハンカチを差し出し――その瞬間、止まっていた時間が静かに動き出したのです。
「……ひとつだけ、ご褒美いただけますか?」
やがて、勇気を振り絞って願った、小さな言葉。
それは、水底に沈んでいた私の人生をすくい上げ、
冷たい王子の心をそっと溶かしていく――最初の奇跡でした。
没落令嬢ノエルと、孤独な氷の王子カスパル。
これは、そんなじれじれなふたりが“本当の幸せを掴むまで”のお話です。
※全10話+番外編・約2.5万字の短編。一気読みもどうぞ
※わんこが繋ぐ恋物語です
※因果応報ざまぁ。最後は甘く、後味スッキリ
地味な私では退屈だったのでしょう? 最強聖騎士団長の溺愛妃になったので、元婚約者はどうぞお好きに
有賀冬馬
恋愛
「君と一緒にいると退屈だ」――そう言って、婚約者の伯爵令息カイル様は、私を捨てた。
選んだのは、華やかで社交的な公爵令嬢。
地味で無口な私には、誰も見向きもしない……そう思っていたのに。
失意のまま辺境へ向かった私が出会ったのは、偶然にも国中の騎士の頂点に立つ、最強の聖騎士団長でした。
「君は、僕にとってかけがえのない存在だ」
彼の優しさに触れ、私の世界は色づき始める。
そして、私は彼の正妃として王都へ……
当て馬令息の婚約者になったので美味しいお菓子を食べながら聖女との恋を応援しようと思います!
朱音ゆうひ@11/5受賞作が発売されます
恋愛
「わたくし、当て馬令息の婚約者では?」
伯爵令嬢コーデリアは家同士が決めた婚約者ジャスティンと出会った瞬間、前世の記憶を思い出した。
ここは小説に出てくる世界で、当て馬令息ジャスティンは聖女に片思いするキャラ。婚約者に遠慮してアプローチできないまま失恋する優しいお兄様系キャラで、前世での推しだったのだ。
「わたくし、ジャスティン様の恋を応援しますわ」
推しの幸せが自分の幸せ! あとお菓子が美味しい!
特に小説では出番がなく悪役令嬢でもなんでもない脇役以前のモブキャラ(?)コーデリアは、全力でジャスティンを応援することにした!
※ゆるゆるほんわかハートフルラブコメ。
サブキャラに軽く百合カップルが出てきたりします
他サイトにも掲載しています( https://ncode.syosetu.com/n5753hy/ )
女避けの為の婚約なので卒業したら穏やかに婚約破棄される予定です
くじら
恋愛
「俺の…婚約者のフリをしてくれないか」
身分や肩書きだけで何人もの男性に声を掛ける留学生から逃れる為、彼は私に恋人のふりをしてほしいと言う。
期間は卒業まで。
彼のことが気になっていたので快諾したものの、別れの時は近づいて…。
始まりはよくある婚約破棄のように
喜楽直人
恋愛
「ミリア・ファネス公爵令嬢! 婚約者として10年も長きに渡り傍にいたが、もう我慢ならない! 父上に何度も相談した。母上からも考え直せと言われた。しかし、僕はもう決めたんだ。ミリア、キミとの婚約は今日で終わりだ!」
学園の卒業パーティで、第二王子がその婚約者の名前を呼んで叫び、周囲は固唾を呑んでその成り行きを見守った。
ポンコツ王子から一方的な溺愛を受ける真面目令嬢が涙目になりながらも立ち向い、けれども少しずつ絆されていくお話。
第一章「婚約者編」
第二章「お見合い編(過去)」
第三章「結婚編」
第四章「出産・育児編」
第五章「ミリアの知らないオレファンの過去編」連載開始
記憶を無くした、悪役令嬢マリーの奇跡の愛
三色団子
恋愛
豪奢な天蓋付きベッドの中だった。薬品の匂いと、微かに薔薇の香りが混ざり合う、慣れない空間。
「……ここは?」
か細く漏れた声は、まるで他人のもののようだった。喉が渇いてたまらない。
顔を上げようとすると、ずきりとした痛みが後頭部を襲い、思わず呻く。その拍子に、自分の指先に視線が落ちた。驚くほどきめ細やかで、手入れの行き届いた指。まるで象牙細工のように完璧だが、酷く見覚えがない。
私は一体、誰なのだろう?
平民とでも結婚すれば?と言われたので、隣国の王と結婚しました
ゆっこ
恋愛
「リリアーナ・ベルフォード、これまでの婚約は白紙に戻す」
その言葉を聞いた瞬間、私はようやく――心のどこかで予感していた結末に、静かに息を吐いた。
王太子アルベルト殿下。金糸の髪に、これ見よがしな笑み。彼の隣には、私が知っている顔がある。
――侯爵令嬢、ミレーユ・カスタニア。
学園で何かと殿下に寄り添い、私を「高慢な婚約者」と陰で嘲っていた令嬢だ。
「殿下、どういうことでしょう?」
私の声は驚くほど落ち着いていた。
「わたくしは、あなたの婚約者としてこれまで――」
9時から5時まで悪役令嬢
西野和歌
恋愛
「お前は動くとロクな事をしない、だからお前は悪役令嬢なのだ」
婚約者である第二王子リカルド殿下にそう言われた私は決意した。
ならば私は願い通りに動くのをやめよう。
学園に登校した朝九時から下校の夕方五時まで
昼休憩の一時間を除いて私は椅子から動く事を一切禁止した。
さあ望むとおりにして差し上げました。あとは王子の自由です。
どうぞ自らがヒロインだと名乗る彼女たちと仲良くして下さい。
卒業パーティーもご自身でおっしゃった通りに、彼女たちから選ぶといいですよ?
なのにどうして私を部屋から出そうとするんですか?
嫌です、私は初めて自分のためだけの自由の時間を手に入れたんです。
今まで通り、全てあなたの願い通りなのに何が不満なのか私は知りません。
冷めた伯爵令嬢と逆襲された王子の話。
☆別サイトにも掲載しています。
※感想より続編リクエストがありましたので、突貫工事並みですが、留学編を追加しました。
これにて完結です。沢山の皆さまに感謝致します。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる