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1-3 胸騒ぎとお守り
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「失礼致します。」
父の書斎を出た私はがっくりと肩を落とし、スゴスゴと自室へ向かった。これから自室へ戻り、王宮へ向かう為の準備をしなくてはならないからだ。
長い廊下を歩いていると、パタパタと軽い足音が聞こえてきた。
「お姉さまっ!」
振り向くと3歳年下の妹のデイジーが後を追いかけてきてた。
「デイジー。」
デイジーは余程走って来たのかハアハア言いながら私の前に駆けてきた。
「お姉さま・・・やはり脱走に失敗してしまったのね・・・?」
「そうなのよ。デイジー、歩きながら話しましょう?」
2人で並んで歩いているとデイジーが尋ねてきた。
「え?ええ・・・そうね。」
そうだった。過去12回とも私は王宮へ行きたくない為に、デイジーに王宮へ出る前にこの屋敷を出ようと思うとほのめかしていたのだった。けれど実際に行動に出たのは今回が初めてだったのだけど・・・。
「可愛そうなお姉さま・・・。それにしても国王様達は酷すぎるわ。半年間も貴族令嬢達の自由を奪ってお城に軟禁して妃になる為の試験を受けさせるなんて・・。中にはお姉さまの様に望んでいない令嬢だっているでしょうに・・。」
デイジーは溜息をつきながら言う。
「本当に・・そうよね。」
でもその反面、妃の座を狙って自ら望んでお城にやって来る令嬢たちがいたのも確かだった。私が試験に勝ち残っていくにつれ、彼女たちの嫌がらせがエスカレートしていったんだっけ・・。
「でも大丈夫よ、お姉さま。」
突如デイジーが明るい口調で言う。
「何が大丈夫なの?」
「お姉さまならきっとすぐに最初の試験で振り落とされてお屋敷に帰されるわよ。だからそんなに悩む必要は無いわ。」
うん、確かに私もそう思っていた。それなのに、気付いてみれば私は次々と試験をクリアしていき・・最終的に私が王子の婚約者に選ばれてしまったのだ。
でも・・・。
「そうよ!その手があったわ!」
私はデイジーの両肩をガシッとつかむと言った。
「な?何?どうしたの?」
「つまり、試験にさっさと落ちてしまえばいいのよっ!」
「え?え?一体何を言ってるの?お姉さま。」
デイジーは訳が分からない様子で目をぱちくりさせている。
「ありがとう、デイジー。貴女のお陰で希望が見えてきたわ。」
「そ、そう?ならいいけど・・。あ、お姉さま。お部屋に着いたわよ。」
「ええ。そうね。それじゃ・・準備があるから部屋に戻るわね。」
ドアノブに手を掛けながらデイジーに言う。
「あ、あの・・・お姉さま。」
「何?」
すると何故か神妙そうな顔でデイジーが言った。
「さっきはあんな言い方したけど・・・。本当はすごくお姉さまの事が心配で・・・。どうか気を付けてね?何だか・・・すごく嫌な胸騒ぎがするの。」
「デイジー・・・。貴女・・まさか・・?」
私達、ルグラン家の祖先は魔術師だった。しかし、徐々にその血は薄れてゆき・・今では誰一人として魔法を使える人間はいなくなってしまった。けれども私達姉妹に関しては違った。私も妹も何故か昔から人一倍勘が鋭かったし、予知夢的な物を見てきたのだ。
「王宮へ行ったお姉さまが・・・危険な目に遭っている夢を何度も見たの。だから心配でたまらなくて、早く帰って来て欲しいの。お姉さま、これ・・・受け取って。」
妹が渡して来たのは水晶のネックレスだった。
「お姉さまの無事を祈って・・ネックレスを作ったの。」
「デイジー・・・。」
今まで12回ループを繰り返してきたが、妹からお守りを貰うのは初めてだった。
私は早速ネックレスを首から下げると言った。
「ありがとう、デイジー。私・・・負けないわ。」
そう、今度こそ私は生き残って・・・この屋敷に帰って来る。
心に強く誓った―。
父の書斎を出た私はがっくりと肩を落とし、スゴスゴと自室へ向かった。これから自室へ戻り、王宮へ向かう為の準備をしなくてはならないからだ。
長い廊下を歩いていると、パタパタと軽い足音が聞こえてきた。
「お姉さまっ!」
振り向くと3歳年下の妹のデイジーが後を追いかけてきてた。
「デイジー。」
デイジーは余程走って来たのかハアハア言いながら私の前に駆けてきた。
「お姉さま・・・やはり脱走に失敗してしまったのね・・・?」
「そうなのよ。デイジー、歩きながら話しましょう?」
2人で並んで歩いているとデイジーが尋ねてきた。
「え?ええ・・・そうね。」
そうだった。過去12回とも私は王宮へ行きたくない為に、デイジーに王宮へ出る前にこの屋敷を出ようと思うとほのめかしていたのだった。けれど実際に行動に出たのは今回が初めてだったのだけど・・・。
「可愛そうなお姉さま・・・。それにしても国王様達は酷すぎるわ。半年間も貴族令嬢達の自由を奪ってお城に軟禁して妃になる為の試験を受けさせるなんて・・。中にはお姉さまの様に望んでいない令嬢だっているでしょうに・・。」
デイジーは溜息をつきながら言う。
「本当に・・そうよね。」
でもその反面、妃の座を狙って自ら望んでお城にやって来る令嬢たちがいたのも確かだった。私が試験に勝ち残っていくにつれ、彼女たちの嫌がらせがエスカレートしていったんだっけ・・。
「でも大丈夫よ、お姉さま。」
突如デイジーが明るい口調で言う。
「何が大丈夫なの?」
「お姉さまならきっとすぐに最初の試験で振り落とされてお屋敷に帰されるわよ。だからそんなに悩む必要は無いわ。」
うん、確かに私もそう思っていた。それなのに、気付いてみれば私は次々と試験をクリアしていき・・最終的に私が王子の婚約者に選ばれてしまったのだ。
でも・・・。
「そうよ!その手があったわ!」
私はデイジーの両肩をガシッとつかむと言った。
「な?何?どうしたの?」
「つまり、試験にさっさと落ちてしまえばいいのよっ!」
「え?え?一体何を言ってるの?お姉さま。」
デイジーは訳が分からない様子で目をぱちくりさせている。
「ありがとう、デイジー。貴女のお陰で希望が見えてきたわ。」
「そ、そう?ならいいけど・・。あ、お姉さま。お部屋に着いたわよ。」
「ええ。そうね。それじゃ・・準備があるから部屋に戻るわね。」
ドアノブに手を掛けながらデイジーに言う。
「あ、あの・・・お姉さま。」
「何?」
すると何故か神妙そうな顔でデイジーが言った。
「さっきはあんな言い方したけど・・・。本当はすごくお姉さまの事が心配で・・・。どうか気を付けてね?何だか・・・すごく嫌な胸騒ぎがするの。」
「デイジー・・・。貴女・・まさか・・?」
私達、ルグラン家の祖先は魔術師だった。しかし、徐々にその血は薄れてゆき・・今では誰一人として魔法を使える人間はいなくなってしまった。けれども私達姉妹に関しては違った。私も妹も何故か昔から人一倍勘が鋭かったし、予知夢的な物を見てきたのだ。
「王宮へ行ったお姉さまが・・・危険な目に遭っている夢を何度も見たの。だから心配でたまらなくて、早く帰って来て欲しいの。お姉さま、これ・・・受け取って。」
妹が渡して来たのは水晶のネックレスだった。
「お姉さまの無事を祈って・・ネックレスを作ったの。」
「デイジー・・・。」
今まで12回ループを繰り返してきたが、妹からお守りを貰うのは初めてだった。
私は早速ネックレスを首から下げると言った。
「ありがとう、デイジー。私・・・負けないわ。」
そう、今度こそ私は生き残って・・・この屋敷に帰って来る。
心に強く誓った―。
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