命がけの恋~13回目のデスループを回避する為、婚約者の『護衛騎士』を攻略する

結城芙由奈@コミカライズ連載中

文字の大きさ
77 / 107

4-16 医務室

しおりを挟む
 カチコチカチコチ…

何処かで時計の音が聞こえている…。
薄っすらと目を開けると、今まで一度も見たことが無かった天井が目に入った。

「…?」

不思議に思い、周囲を見渡すと周りは白いカーテンで覆われている。私は堅いベッドの上で寝かされていた。ここは…一体どこだろう?まるで医務室の様に見える。
その時、カーテンの奥で人の気配を感じた。起き上がろうと、ベッドに肘をついたものの身体が思うように動かせない。まるで自分の身体では無いようだ。

嘘…!ど、どうして…?

堪らなく不安になってきた。まさか声まで出ないのでは無いだろうか?試しに声を出してみよう。

「あ…」

出せた!するとカーテンの奥で人が動く気配を感じた。

「え?!目が覚めたのか?」

え…?その声は…?

次の瞬間―。

シャッ!

目の前の仕切りカーテンが開けられて、キリアンが現れた。彼は心配そうな眼つきで私を見下ろしている。

「あ…キリアン…様…」

身体は思うように動かせなかったけれども、言葉は話す事が出来た。

「よ、良かった…」

キリアンはガクッと首を項垂れてため息をついた。

「意識が戻らなかったらどうしようかと思った…」

ベッドの傍に置いてある椅子に座ると彼は言った。

「どうも…ご心配をおかけしてしまったようで…」

話しながら思った。
あれからどのくらい経過していたのだろう?よく見ればキリアンは上着を脱いでいた。腰には剣が差され、はめていた白い手袋はそのままになっている。

「目が覚めたようですね」

すると次にカーテンの奥から白衣を着た初老の男性が顔を覗かせて来た。

「先生、助けて頂きどうもありがとうございました」

キリアンは白衣の男性に頭を下げて礼を言う。

「いえ、発見が早くて良かったです。後もう少し遅ければ手遅れになっていたかもしれないですから。それにしても運が良かった。たまたま血清が残っていましたから」

私は2人の話を未だぼんやりする頭で聞いていた。

手遅れ…?血清…?一体どういう事だろう…?

そこで意識を失う直前の出来事を思い出した。

「!そ、そうだわ!私…確か部屋の中で蛇に噛まれて…!」

するとキリアンが言った。

「俺が部屋に戻ったら君は足首を毒蛇に噛まれていたんだ。すぐに剣で蛇の頭を切り落としたんだが…君は真っ青な顔で身体も冷たくなっていて…それで慌てて医務室へ連れて来たんだ。」

「医務室…やっぱりここは医務室だったんですね…」

「ここは特殊な医務室でね…王族の人々は常に命を狙われているから様々な毒消しの薬や、毒蛇の事も考えて血清も置いてあるんだよ。たまたま今日はストックがあったから君に使う事が出来たんだ。君は運が良かったよ。もう少し遅ければ手遅れになる処だった」

白衣の先生は言った。

「でも本当に良かった…もう助からないんじゃないかと思ったよ。ここに運んできた時はシルビアの身体は氷の様に冷たくなって、顔面も蒼白になっていたんだ」

キリアンの言葉を私は黙って聞いていた。そうか…私はそれ程の猛毒の蛇に噛まれて、あの時死んだんだ…。ひょっとしたら私は最悪、今回死んでいたかもしれないのだ。私はキリアンを見た。

「ありがとうございます、キリアン様。貴方は私の命の恩人です。何とお礼を申し上げればよいか…」

「御礼なんかいいさ。俺は君の護衛騎士だからね。どうだ?ユベールなんかよりも俺の方がずっと頼りになると思わないか?」

キリアンは何処か引っかかるような言い方をした―。



しおりを挟む
感想 7

あなたにおすすめの小説

完結 辺境伯様に嫁いで半年、完全に忘れられているようです   

ヴァンドール
恋愛
実家でも忘れられた存在で 嫁いだ辺境伯様にも離れに追いやられ、それすら 忘れ去られて早、半年が過ぎました。

【完結】✴︎私と結婚しない王太子(あなた)に存在価値はありませんのよ?

綾雅(りょうが)要らない悪役令嬢
恋愛
「エステファニア・サラ・メレンデス――お前との婚約を破棄する」 婚約者であるクラウディオ王太子に、王妃の生誕祝いの夜会で言い渡された私。愛しているわけでもない男に婚約破棄され、断罪されるが……残念ですけど、私と結婚しない王太子殿下に価値はありませんのよ? 何を勘違いしたのか、淫らな恰好の女を伴った元婚約者の暴挙は彼自身へ跳ね返った。 ざまぁ要素あり。溺愛される主人公が無事婚約破棄を乗り越えて幸せを掴むお話。 表紙イラスト:リルドア様(https://coconala.com/users/791723) 【完結】本編63話+外伝11話、2021/01/19 【複数掲載】アルファポリス、小説家になろう、エブリスタ、カクヨム、ノベルアップ+ 2021/12  異世界恋愛小説コンテスト 一次審査通過 2021/08/16、「HJ小説大賞2021前期『小説家になろう』部門」一次選考通過

白い結婚の末、離婚を選んだ公爵夫人は二度と戻らない』

鍛高譚
恋愛
白い結婚の末、「白い結婚」の末、私は冷遇され、夫は愛人を溺愛していた――ならば、もう要らないわ」 公爵令嬢 ジェニファー・ランカスター は、王弟 エドワード・クラレンス公爵 のもとへ政略結婚として嫁ぐ。 だが、その結婚生活は冷たく空虚なものだった。夫は愛人 ローザ・フィッツジェラルド に夢中になり、公爵夫人であるジェニファーは侮辱され、無視され続ける日々。 ――それでも、貴族の娘は耐えなければならないの? 何の愛もなく、ただ飾り物として扱われる結婚に見切りをつけたジェニファーは 「離婚」 を決意する。 しかし、王弟であるエドワードとの離婚は容易ではない。実家のランカスター家は猛反対し、王宮の重臣たちも彼女の決断を 「公爵家の恥」 と揶揄する。 それでも、ジェニファーは負けない。弁護士と協力し、着々と準備を進めていく。 そんな折、彼女は北方の大国 ヴォルフ公国の大公、アレクサンダー・ヴォルフ と出会う。 温かく誠実な彼との交流を通じて、ジェニファーは 「本当に大切にされること」 を知る。 そして、彼女の決断は、王都の社交界に大きな波紋を呼ぶこととなる――。 「公爵夫人を手放したことを、いつか後悔しても遅いわ」 「私はもう、あなたたちの飾り人形じゃない」 離婚を巡る策略、愛人の凋落、元夫の後悔――。 そして、新たな地で手にした 「愛される結婚」。

悪役令嬢、第四王子と結婚します!

水魔沙希
恋愛
私・フローディア・フランソワーズには前世の記憶があります。定番の乙女ゲームの悪役転生というものです。私に残された道はただ一つ。破滅フラグを立てない事!それには、手っ取り早く同じく悪役キャラになってしまう第四王子を何とかして、私の手中にして、シナリオブレイクします! 小説家になろう様にも、書き起こしております。

悪役令嬢の逆襲

すけさん
恋愛
断罪される1年前に前世の記憶が甦る! 前世は三十代の子持ちのおばちゃんだった。 素行は悪かった悪役令嬢は、急におばちゃんチックな思想が芽生え恋に友情に新たな一面を見せ始めた事で、断罪を回避するべく奮闘する!

断罪される前に市井で暮らそうとした悪役令嬢は幸せに酔いしれる

葉柚
恋愛
侯爵令嬢であるアマリアは、男爵家の養女であるアンナライラに婚約者のユースフェリア王子を盗られそうになる。 アンナライラに呪いをかけたのはアマリアだと言いアマリアを追い詰める。 アマリアは断罪される前に市井に溶け込み侯爵令嬢ではなく一市民として生きようとする。 市井ではどこかの王子が呪いにより猫になってしまったという噂がまことしやかに流れており……。

【完結】すり替わられた小間使い令嬢は、元婚約者に恋をする

白雨 音
恋愛
公爵令嬢オーロラの罪は、雇われのエバが罰を受ける、 12歳の時からの日常だった。 恨みを持つエバは、オーロラの14歳の誕生日、魔力を使い入れ換わりを果たす。 それ以来、オーロラはエバ、エバはオーロラとして暮らす事に…。 ガッカリな婚約者と思っていたオーロラの婚約者は、《エバ》には何故か優しい。 『自分を許してくれれば、元の姿に戻してくれる』と信じて待つが、 魔法学校に上がっても、入れ換わったままで___ (※転生ものではありません) ※完結しました

悪役令嬢、猛省中!!

***あかしえ
恋愛
「君との婚約は破棄させてもらう!」 ――この国の王妃となるべく、幼少の頃から悪事に悪事を重ねてきた公爵令嬢ミーシャは、狂おしいまでに愛していた己の婚約者である第二王子に、全ての罪を暴かれ断頭台へと送られてしまう。 処刑される寸前――己の前世とこの世界が少女漫画の世界であることを思い出すが、全ては遅すぎた。 今度生まれ変わるなら、ミーシャ以外のなにかがいい……と思っていたのに、気付いたら幼少期へと時間が巻き戻っていた!? 己の罪を悔い、今度こそ善行を積み、彼らとは関わらず静かにひっそりと生きていこうと決意を新たにしていた彼女の下に現れたのは……?! 襲い来るかもしれないシナリオの強制力、叶わない恋、 誰からも愛されるあの子に対する狂い出しそうな程の憎しみへの恐怖、  誰にもきっと分からない……でも、これの全ては自業自得。 今度こそ、私は私が傷つけてきた全ての人々を…………救うために頑張ります!

処理中です...