余命宣告を受けたので私を顧みない家族と婚約者に執着するのをやめる事にしました 〜once again〜

結城芙由奈@コミカライズ連載中

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ヤンの章 ㉙ アゼリアの花に想いを寄せて 

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「メロディ…じ、実は…」

「ゴホン」

僕が口を開きかけると、近くの席に座っていた眼鏡をかけた学生らしき女性が咳払いした。

そうだった…ここは図書館。静かに本を読むか、勉強する場所だった。僕はノートの切れ端に言葉を綴って、メロディに見せた。


『少し外へ出ない?』

するとそれを見たメロディがコクリと頷く。僕は手早く私物を片付けてカバンにしまい、借りた本を閉じると2人で連れ立って図書館を出た。



「ねぇ、図書館を出たけど…何所に行くの?」

メロディがすぐに尋ねて来た。

「う~ん…そうだ。この図書館の裏手に芝生の公園があるから…そこに行こうか?」

公園なら…あまり人もいないし、昨夜の話を聞けるかもしれない。

「ええ、いいわよ。それじゃ行きましょう」

「うん」

そして僕達は公園へ足を向けた―。



****

「う~ん…今日はお天気で良かったわね~」

2人で木の下のベンチに並んで座ると、メロディが大きく背伸びをした。

「そ、そうだね…」

僕はさっきから落ち着かない気持ちでメロディの隣に座っていた。どうしよう。やっぱり僕はおかしい。さっきから心臓がドキドキして落ち着かない。一体どうしてしまったのだろう。突然メロディを…1人の女性として意識し出してしまうなんて…。

そんな僕の気持に全く気付かない様子でメロディが笑顔で僕を見た。

「でも、本当に嬉しいわ。ベンジャミン先生の養子になってくれて…。大学ならきっと大丈夫よ。ヤンは成績優秀だから推薦状を書いてもらえるし、一般入試よりも論文が重要視されるようだから…。ヤンは文章を書くのも得意だものね。絶対合格するわよ。『ハイネ』へ行くときは一緒に行きましょうね?住む所がすぐに決まらなければ簡易宿泊所に泊まればいいわよ」

メロディはまだ試験すら受けていないのに、もう僕が合格したことを前提に話しかけてくる。

「メロディは随分気が早いね。僕はまだ試験だって受けていないのに」

「あら、そんなの当然よ。ヤンは優秀なんだもの。試験を受けるまでも無いくらいよ。でも…何故突然養子になろうと思ったの?何かあったんでしょう?」

メロディが好奇心一杯の目で尋ねて来る。

「うん、実は…」

そして僕は昨日のアゼリア様からの手紙の事をメロディに報告した。



「ふ~ん…そんな事があったのね」

「うん。アゼリア様の思いを知ることが出来たから…僕はもう罪悪感を持たなくてもいいのかな?って思ったら…大学進学を考えて見たくなったんだ」

「アゼリア様のお陰ね。感謝しなくちゃ。だけど…ヤン」

メロディは突然僕を見ると、すねた様に言った。

「どうしてそんな大切な事…もっと早く教えてくれなかったの?」

「そ、それは…こ、声を掛けられなかったから…」

「え?どういう事?」

そうだ、今ここでメロディに尋ねればいいんだ。

「実は、昨夜…メロディの家に報告に行こうとしたんだ。そうしたら…メロディが外で…男の人と一緒にいたから…」

「え…?あ!」

メロディが何かに気付いたかのように声を上げた。

「メロディ…昨夜、一緒にいた男の人は…誰?」

僕は意を決してメロディに尋ねた―。
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