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アゼリア&カイの章 ① また…会えたね(アゼリアside)
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<アゼリア…愛している…僕が愛する女性はこの世でただ1人…君だけだよ…>
誰かが私に語り掛けて来る。それは…とても切なげな声だった。
聞いているだけで私まで悲しくなってくる。
私も…私も貴方を愛している。だからお願い、そんな風に泣かないで―。
ピピピピピピ…!
狭い部屋に突如として鳴り響く音。
「あ…」
突然の目覚まし時計の音で目が覚めた。
「もう朝なのね…」
ベッドの上からムクリと起きあがると長い髪をかき上げた。それにしても昨夜は早く寝たはずなのに、身体はだるいし頭はズキズキするしで最悪な気分だった。
そして…ふと気が付いた。
「やだ、私ったらまた…」
頬に触れると涙の後がついている。まただ…また私は泣きながら眠っていたのだ。
「本当にどうしてかしら…」
何気なく壁にかけてあるカレンダーが目に留まり…そして気付いた。
「あ…今日は15日だったわ。だからかしら…」
思わずため息をついてしまった。
15日…毎月、この日になると泣きながら眠りにつくのが恒例行事になっていた。それは時に自分の泣き声で目が覚める事もある程に…。
これほど泣きながら眠っているのだから相当悲しい夢を見ているに違いないのに、不思議な事に目が覚めると夢の内容を一切思い出す事が出来ずにいた。
それが私にはもどかしくて仕方無い。
「全く…今日は試験がある日なのに…」
ためいきをつくとベッドから起き上がり、ベッド下に置いた室内履きを履くと着替える為にクローゼットへ向かった。
ここは『キーナ』にある私の住む築40年の古いアパートメント。
私は『キーナ国立大学』の医学部1年生で昨年の9月から一人暮らしをしている。
パーカー、ジーンズ姿に着換えると、洗面所の冷たい水で顔を洗ってタオルで拭きとり、鏡に向き合う。そこには緑の瞳のいつもの自分の顔が鏡に映りこんでいる。
「うん、涙の後は無いわね…。さて、それじゃ大学へ行く準備をしなくちゃ」
そして朝食の準備をするべく、小さなキッチンに入ると調理棚からフライパンを取り出した―。
****
お皿の上にベーコンエッグにサラダ、トースターにコーヒーをトレーに乗せて小さなテーブルの上に置くと壁に掛けてあるテレビのリモコンを付けた。
そしてテレビを見ながらいつものように朝食を食ベ始めた。
『本日は快晴、気温は22度。傘の心配はありません。1日を通して過ごしやすい陽気となるでしょう…』
テレビの中では女性アナウンサーが天気予報を発表していた。
「ふ~ん…今日は1日快晴なのね…」
朝食を食べ終えると食器をキッチンに運んで手早く洗う。
部屋に戻るとカバンの中に貴重品と携帯を入れて玄関を出て戸締りし、私は大学へと向かった―。
私の住むアパートメントから大学までは歩いて20分程の場所にあった。私の通う大学は海外でも有名な名門大学で、色々な国から学生達が集まっている。その為学生達の多くは寮生活をしているのだが、中には私の様にアパートメントを借りて住んでいる学生達もいる。本当なら私も寮に入りたかったのだが、抽選で漏れてしまった為に、大学生用に貸し出している賃貸アパートメントに入居しているのだ。
15分程歩き、ようやく大学のキャンパスに到着した。
「やっぱり…自転車買おうかしら…。そうすれば片道10分で着くものね…」
その時―
「アゼリアーっ」
誰かが私に声を掛けて来る。振り向くと、こちらへ向かって駆け寄って来るのは医学に入学してから親しくなった友人のケイトだった。
「おはよう、ケイト」
「おはよ」
そして私とケイトは並んで歩き始めた。
「ねぇ。聞いたわよ。アゼリア。また交際申し込まれたのに…断ったんですって?」
「え?知ってたの?」
その話に驚く。
「それはそうよ。だって昨日アゼリアに告白してきた人は父親が大学病院の院長で、女子学生達のあこがれのザカリーじゃないの。どうして断ったりしたの?」
「う~ん…何だか違うと思ったのよ…」
「違うって何が?」
「この人は運命の人ではないって」
するとケイトは呆れた様に私を見た。
「また運命の人とか…アゼリアは19歳にもなって、まだそんな夢みたいなこと言ってるのね?」
「だって…本当に違うと思うのよ。私の心が言ってるんだもの」
そう…私は19歳になるのに、いまだに『運命の人』の存在を信じていたのだ―。
誰かが私に語り掛けて来る。それは…とても切なげな声だった。
聞いているだけで私まで悲しくなってくる。
私も…私も貴方を愛している。だからお願い、そんな風に泣かないで―。
ピピピピピピ…!
狭い部屋に突如として鳴り響く音。
「あ…」
突然の目覚まし時計の音で目が覚めた。
「もう朝なのね…」
ベッドの上からムクリと起きあがると長い髪をかき上げた。それにしても昨夜は早く寝たはずなのに、身体はだるいし頭はズキズキするしで最悪な気分だった。
そして…ふと気が付いた。
「やだ、私ったらまた…」
頬に触れると涙の後がついている。まただ…また私は泣きながら眠っていたのだ。
「本当にどうしてかしら…」
何気なく壁にかけてあるカレンダーが目に留まり…そして気付いた。
「あ…今日は15日だったわ。だからかしら…」
思わずため息をついてしまった。
15日…毎月、この日になると泣きながら眠りにつくのが恒例行事になっていた。それは時に自分の泣き声で目が覚める事もある程に…。
これほど泣きながら眠っているのだから相当悲しい夢を見ているに違いないのに、不思議な事に目が覚めると夢の内容を一切思い出す事が出来ずにいた。
それが私にはもどかしくて仕方無い。
「全く…今日は試験がある日なのに…」
ためいきをつくとベッドから起き上がり、ベッド下に置いた室内履きを履くと着替える為にクローゼットへ向かった。
ここは『キーナ』にある私の住む築40年の古いアパートメント。
私は『キーナ国立大学』の医学部1年生で昨年の9月から一人暮らしをしている。
パーカー、ジーンズ姿に着換えると、洗面所の冷たい水で顔を洗ってタオルで拭きとり、鏡に向き合う。そこには緑の瞳のいつもの自分の顔が鏡に映りこんでいる。
「うん、涙の後は無いわね…。さて、それじゃ大学へ行く準備をしなくちゃ」
そして朝食の準備をするべく、小さなキッチンに入ると調理棚からフライパンを取り出した―。
****
お皿の上にベーコンエッグにサラダ、トースターにコーヒーをトレーに乗せて小さなテーブルの上に置くと壁に掛けてあるテレビのリモコンを付けた。
そしてテレビを見ながらいつものように朝食を食ベ始めた。
『本日は快晴、気温は22度。傘の心配はありません。1日を通して過ごしやすい陽気となるでしょう…』
テレビの中では女性アナウンサーが天気予報を発表していた。
「ふ~ん…今日は1日快晴なのね…」
朝食を食べ終えると食器をキッチンに運んで手早く洗う。
部屋に戻るとカバンの中に貴重品と携帯を入れて玄関を出て戸締りし、私は大学へと向かった―。
私の住むアパートメントから大学までは歩いて20分程の場所にあった。私の通う大学は海外でも有名な名門大学で、色々な国から学生達が集まっている。その為学生達の多くは寮生活をしているのだが、中には私の様にアパートメントを借りて住んでいる学生達もいる。本当なら私も寮に入りたかったのだが、抽選で漏れてしまった為に、大学生用に貸し出している賃貸アパートメントに入居しているのだ。
15分程歩き、ようやく大学のキャンパスに到着した。
「やっぱり…自転車買おうかしら…。そうすれば片道10分で着くものね…」
その時―
「アゼリアーっ」
誰かが私に声を掛けて来る。振り向くと、こちらへ向かって駆け寄って来るのは医学に入学してから親しくなった友人のケイトだった。
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「おはよ」
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