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アゼリア&カイの章 ⑳ また…会えたね(カイside)
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翌日―
僕とラルフはタクシーに乗ってアゼリアとケイトが宿泊しているホテルを目指していた。今の運転手は…昨日とは違う運転手だ。
「それにしても…昨夜の話は衝撃的だったな」
ラルフが話しかけてきた。
「うん、確かにそうだけど…でも僕よりラルフのほうがショックだったんじゃないかい?」
「いや~…別にそうでもないかな。何しろ俺はカイと違って前世の記憶なんて全く持っていないから…前世の妻が今は別の相手と結婚してるって話聞かされてもな…正直、何も思うところは無いよ。ただ…」
そこでラルフは言葉を切ると窓の外を眺めた。
「ラルフ?どうしたんだ?」
「ケイトは…どうなんだろうなって思ったんだ…。ほら、彼女…俺以上に前世の記憶に引きずられいるみたいだったから…かつての夫だった人がもう既に結婚してるって話を知ったら…ショックを受けるんじゃないかなって思ってさ」
ラルフはポツリと言った。
「だったら…どうする?ケイトには内緒にしておく?」
「けどな…『ヨハン診療所』があったあの場所で…あんなに感極まって泣き出したのに黙っているのも悪い気がするんだよ。それにアゼリアにしたって、ヨハン先生は特別な人だったんだろう?俺達だけがその事実を知っていて、2人には内緒にしておくっていうのもどうだろう…」
確かにラルフの言う事も最もだ。それに第一、彼女を『アゼリアの丘』までタクシーで連れて行ったのは…あの人なのだから。イングリットさんだってアゼリアの友人だったわけだし…。
するとラルフが言った。
「あの…さ、カイ」
「何?」
「ヨハン先生の話…するかどうかは俺に任せてもらえるかな?ほら、今日俺達は別行動するんだろ?ケイトにそれとなく話をしてみるから、それまでは…さ」
「うん…分かった。いいよ」
頷くと、今度は突然ラルフが態度を変えて僕のクビに腕を回してくると耳元で言った。
「それより、今日はアゼリアと本格的なデートなんだろ?」
「う、うん。そうなるよね」
「…別に今夜、無理して帰って来ることは無いからな?」
そしてラルフは僕を見て笑みを浮かべた―。
****
ホテルに到着すると、すでにホールにはアゼリアとケイトがソファに座って待っていた。
「ごめん、2人とも、待ったか?」
ラルフが朗らかな口調でアゼリアとケイトに声をかける。
「いいえ、そんな事ないわ」
「私達もさっき、下りてきたところだから」
アゼリアとケイトが交互に返事をする。
「よし、それじゃ早速行こうか?」
僕は3人に声を掛けた―。
ホテル前で僕達は2手に別れることになった。
「ラルフ、私達はこっちに行くのよ」
ケイトが右側の方向を指さした。
「向こうに運河を渡る渡し船乗り場があるの」
「よし、早速行こうぜ。又な、2人とも」
「又後でね」
ラルフとケイトが手を振り、僕達も2人に手を振った。
「うん、又ね」
「行ってらっしゃい」
そして2人が連れ立って行く姿を見届けると、僕はアゼリアの右手をしっかり握りしめると言った。
「アゼリア…僕達も行こう」
「ええ…」
アゼリアは頬を染めて返事をしてくれた―。
僕とラルフはタクシーに乗ってアゼリアとケイトが宿泊しているホテルを目指していた。今の運転手は…昨日とは違う運転手だ。
「それにしても…昨夜の話は衝撃的だったな」
ラルフが話しかけてきた。
「うん、確かにそうだけど…でも僕よりラルフのほうがショックだったんじゃないかい?」
「いや~…別にそうでもないかな。何しろ俺はカイと違って前世の記憶なんて全く持っていないから…前世の妻が今は別の相手と結婚してるって話聞かされてもな…正直、何も思うところは無いよ。ただ…」
そこでラルフは言葉を切ると窓の外を眺めた。
「ラルフ?どうしたんだ?」
「ケイトは…どうなんだろうなって思ったんだ…。ほら、彼女…俺以上に前世の記憶に引きずられいるみたいだったから…かつての夫だった人がもう既に結婚してるって話を知ったら…ショックを受けるんじゃないかなって思ってさ」
ラルフはポツリと言った。
「だったら…どうする?ケイトには内緒にしておく?」
「けどな…『ヨハン診療所』があったあの場所で…あんなに感極まって泣き出したのに黙っているのも悪い気がするんだよ。それにアゼリアにしたって、ヨハン先生は特別な人だったんだろう?俺達だけがその事実を知っていて、2人には内緒にしておくっていうのもどうだろう…」
確かにラルフの言う事も最もだ。それに第一、彼女を『アゼリアの丘』までタクシーで連れて行ったのは…あの人なのだから。イングリットさんだってアゼリアの友人だったわけだし…。
するとラルフが言った。
「あの…さ、カイ」
「何?」
「ヨハン先生の話…するかどうかは俺に任せてもらえるかな?ほら、今日俺達は別行動するんだろ?ケイトにそれとなく話をしてみるから、それまでは…さ」
「うん…分かった。いいよ」
頷くと、今度は突然ラルフが態度を変えて僕のクビに腕を回してくると耳元で言った。
「それより、今日はアゼリアと本格的なデートなんだろ?」
「う、うん。そうなるよね」
「…別に今夜、無理して帰って来ることは無いからな?」
そしてラルフは僕を見て笑みを浮かべた―。
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ホテルに到着すると、すでにホールにはアゼリアとケイトがソファに座って待っていた。
「ごめん、2人とも、待ったか?」
ラルフが朗らかな口調でアゼリアとケイトに声をかける。
「いいえ、そんな事ないわ」
「私達もさっき、下りてきたところだから」
アゼリアとケイトが交互に返事をする。
「よし、それじゃ早速行こうか?」
僕は3人に声を掛けた―。
ホテル前で僕達は2手に別れることになった。
「ラルフ、私達はこっちに行くのよ」
ケイトが右側の方向を指さした。
「向こうに運河を渡る渡し船乗り場があるの」
「よし、早速行こうぜ。又な、2人とも」
「又後でね」
ラルフとケイトが手を振り、僕達も2人に手を振った。
「うん、又ね」
「行ってらっしゃい」
そして2人が連れ立って行く姿を見届けると、僕はアゼリアの右手をしっかり握りしめると言った。
「アゼリア…僕達も行こう」
「ええ…」
アゼリアは頬を染めて返事をしてくれた―。
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