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アゼリア&カイの章 ㉑ また…会えたね(カイside)

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 僕とアゼリアは150年前に結婚式を挙げた教会にやって来ていた。この教会も驚いた事に今も同じ形で現存しているだけでなく、実際に教会として使用されていた。教会の垣根にはアゼリアの花が揺れている。

「アゼリア…僕たちはここで皆に祝福されて150年前に結婚式を挙げたんだよ」

僕はアゼリアの手をしっかり握りしめながら尋ねた。

「…」

アゼリアは暫くじっと教会を見つめていたけれども…その緑の瞳からポロリと涙が零れ落ちた。

「え…?ど、どうしたの?アゼリア」

突然アゼリアが涙を流したのを見て、戸惑ってしまった。

「カイ…この教会を見ていると…何だかとても切ない気持ちになって来るわ。それだけじゃない…。懐かしい気持ちにもなって来るし…」

「アゼリア…もしかして何か思い出せたの?」

そっとアゼリアの肩を抱き寄せると僕は尋ねた。

「ごめんなさい。思い出したわけではないけど…私はここを知っているわ。この教会が大切で…とても大好きだった気がするの…」

「そうなんだね?中に入ってみる?見学が出来るみたいだから」

「ええ、入るわ」


そして僕たちは教会の中へと足を踏み入れた。


「今は…こうなっているのか…」

150年前は電気なんか無かったからオイルランプが通路の端々に置かれていた。けれども今は天井を見上げれば電灯が付いている。とても奇妙な気分だった。
教会の壁には沢山写真が飾られ、アゼリアは写真を見て回っていた。

その時―。

「あっ!」

観覧客がほとんどいない静かな教会にアゼリアの声が響き渡った。驚いて彼女を見ると壁に飾られている1枚の写真にくぎ付けになっていた。

「アゼリア、どうしたの?」

急いでアゼリアの元へ行く。

「カ、カイ…こ、この写真…」

アゼリアは震えながら僕を見た。

「え…?写真…?」

何気なく僕も写真を見て…息を飲んだ。何とそこに映っていたのは150年前に撮影された僕とアゼリアの結婚写真だったのだ。
写真は白黒で、中央にはウェディングドレスを着たアゼリアと、タキシードを着た僕。そしてアゼリアの両親やケリー、マルセル、ヨハン先生…懐かしい人たちが皆笑顔で映っている。

僕の胸に懐かしい気持ちが蘇って来て目頭が熱くなってきた。

するとアゼリアが嗚咽し始めた。

「う…ううぅ…」

「ア、アゼリア…?」

込み上げて来そうになる涙を押さえながら僕はアゼリアに声を掛けた。するとアゼリアはボロボロと泣きながら僕を見つめると言った。

「カイ…。わ、私…思い出したわ。全て…ここで結婚式を挙げたことも、貴方と結婚して幸せだった日々も…最期に…何を思ってこの世を去って行ったのかも…」

「アゼリア…ほ、本当に…?」

「ええ、本当よ。カイ…ごめんなさい…貴方とクリスマスを過ごす事が出来なくて…貴方を置いて…あんなに早く…し、死んでしまって…」

そしてアゼリアは僕の胸に縋りつき、肩を震わせて泣きだした。

「アゼリア…」

アゼリアを抱きしめながら、いつしか僕の目にも涙が流れていた―。
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