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1-12 宿命の姫 3
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けれどもユリアナはそのような事は少しも気にしない。
「いいですか? 私は貴女の言葉には一切惑わされていません。それに皆は貴女の事が黒髪に赤い瞳の少女に見えているでしょうが、私の目には以前と変わらない金の髪にアクアマリンの美しい瞳の少女にしか見えませんよ?」
(え!? まさか!)
意外な事を言われてレイリアは目を見開いた。
「私は魔力以外に真実の姿を見分ける事が出来る能力を持っています。代々、優れた王家の力を引き継ぐ人間には魔力以外に特殊能力を持って生まれて来た王族もいます。生憎この力は女にしか引き継がれないのですが、貴女にも魔力以外に間違いなく特殊能力が備わっているはずです。それを自分の力で見つけるのです。そうすればより確実にサバトスを倒す力となるでしょう」
「私に特別の能力が……?」
レイリアは顔を上げた。
「ええ、その為にも貴女はより強い魔力を身に付け、剣術を学び、サバトスを倒さなければならないのです。それが貴女に与えられた宿命です。まだ10歳の女の子に酷な事を言うと思うでしょう。けれども人には生まれ持っての役割という物が定められているのです。その役割を受け入れなければなりません」
「分かったわ。でも勘違いしないでね。貴女に言われて受け入るんじゃないって事に。このまま何もせずに呪われた短い一生を終わる気は無いからよ。必ずサバトスを倒して、復讐してやるわ」
レイリアはゾッとする位に美しい笑みを浮かべる。その姿は魔界の姫君の様にも見えた。
(自分の命が尽きてしまう前に、絶対呪いを解いてみせるわ……)
レイリアは固く誓ったのである。
****
その日の夜、レイリアはユリアナと一緒に夕食をとっていた。
考えてみればサバトスの呪いを受けてからのレイリアは何故か空腹感を一切感じる事が無くなっていた。
けれどユリアナがレイリアの身体から溢れ出している禍々しい瘴気を吸い取ってくれたお陰でようやく食欲が戻って食べる事が出来るようになったのである。
円卓のテーブルに向かい合って座るレイリアにユリアナは声をかけた。
「どう? 我が屋敷の食事はレイリアの口に合うかしら?」
フォークとナイフで肉を切り分けながらユリアナは尋ねた。
「そうね。まあまあかしら? こんな山奥にある館の料理人にしては中々の腕前なんじゃないの?」
レイリアは肉を口に運びながら答える。
「そう、それなら良かったわ」
ユリアナは笑顔で頷いた……。
****
二人きりの食事も終わり、夜になった。
「お休みなさいレイリア。明日朝食が終わったら早速訓練を始めるので、今夜は早くお眠りなさい」
ユリアナはレイリアのベッド脇のサイドテーブルにアルコールランプを置いた。
「ええ、言われなくても眠るわよ。だから早く出て行ってくれる?」
最後までレイリアは可愛げのない言葉を使っている。
「そう? それじゃお休みなさい。レイリア、良い夢を」
ユリアナは部屋から出て行った。
レイリアはユリアナが出て行った扉を見つめた。
「ありがとう、おばあ様……。それにしても誰かの前だと思っている事と反対の言葉をしゃべってしまうのに、何故一人きりの時は素直な気持ちで話せるのかしら」
レイリアはベッドから起き上がると、窓に近寄りカーテンを開けた。
森の木々の真上に丸く大きな月が輝いている。
「今夜は満月だったのね……」
そこでレイリアは秋風の寒さも厭わず、窓を開けると月に祈りを捧げた。
「お月様、どうぞお願いします。サバトスを無事に倒して、お父様とお母様の元へ帰る事が出来ますように……。どうか私に力を御貸し下さい……」
レイリアは一心不乱に祈り続けるのであった—―
「いいですか? 私は貴女の言葉には一切惑わされていません。それに皆は貴女の事が黒髪に赤い瞳の少女に見えているでしょうが、私の目には以前と変わらない金の髪にアクアマリンの美しい瞳の少女にしか見えませんよ?」
(え!? まさか!)
意外な事を言われてレイリアは目を見開いた。
「私は魔力以外に真実の姿を見分ける事が出来る能力を持っています。代々、優れた王家の力を引き継ぐ人間には魔力以外に特殊能力を持って生まれて来た王族もいます。生憎この力は女にしか引き継がれないのですが、貴女にも魔力以外に間違いなく特殊能力が備わっているはずです。それを自分の力で見つけるのです。そうすればより確実にサバトスを倒す力となるでしょう」
「私に特別の能力が……?」
レイリアは顔を上げた。
「ええ、その為にも貴女はより強い魔力を身に付け、剣術を学び、サバトスを倒さなければならないのです。それが貴女に与えられた宿命です。まだ10歳の女の子に酷な事を言うと思うでしょう。けれども人には生まれ持っての役割という物が定められているのです。その役割を受け入れなければなりません」
「分かったわ。でも勘違いしないでね。貴女に言われて受け入るんじゃないって事に。このまま何もせずに呪われた短い一生を終わる気は無いからよ。必ずサバトスを倒して、復讐してやるわ」
レイリアはゾッとする位に美しい笑みを浮かべる。その姿は魔界の姫君の様にも見えた。
(自分の命が尽きてしまう前に、絶対呪いを解いてみせるわ……)
レイリアは固く誓ったのである。
****
その日の夜、レイリアはユリアナと一緒に夕食をとっていた。
考えてみればサバトスの呪いを受けてからのレイリアは何故か空腹感を一切感じる事が無くなっていた。
けれどユリアナがレイリアの身体から溢れ出している禍々しい瘴気を吸い取ってくれたお陰でようやく食欲が戻って食べる事が出来るようになったのである。
円卓のテーブルに向かい合って座るレイリアにユリアナは声をかけた。
「どう? 我が屋敷の食事はレイリアの口に合うかしら?」
フォークとナイフで肉を切り分けながらユリアナは尋ねた。
「そうね。まあまあかしら? こんな山奥にある館の料理人にしては中々の腕前なんじゃないの?」
レイリアは肉を口に運びながら答える。
「そう、それなら良かったわ」
ユリアナは笑顔で頷いた……。
****
二人きりの食事も終わり、夜になった。
「お休みなさいレイリア。明日朝食が終わったら早速訓練を始めるので、今夜は早くお眠りなさい」
ユリアナはレイリアのベッド脇のサイドテーブルにアルコールランプを置いた。
「ええ、言われなくても眠るわよ。だから早く出て行ってくれる?」
最後までレイリアは可愛げのない言葉を使っている。
「そう? それじゃお休みなさい。レイリア、良い夢を」
ユリアナは部屋から出て行った。
レイリアはユリアナが出て行った扉を見つめた。
「ありがとう、おばあ様……。それにしても誰かの前だと思っている事と反対の言葉をしゃべってしまうのに、何故一人きりの時は素直な気持ちで話せるのかしら」
レイリアはベッドから起き上がると、窓に近寄りカーテンを開けた。
森の木々の真上に丸く大きな月が輝いている。
「今夜は満月だったのね……」
そこでレイリアは秋風の寒さも厭わず、窓を開けると月に祈りを捧げた。
「お月様、どうぞお願いします。サバトスを無事に倒して、お父様とお母様の元へ帰る事が出来ますように……。どうか私に力を御貸し下さい……」
レイリアは一心不乱に祈り続けるのであった—―
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