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川口直人 73
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ピピピピ…
「う~ん…」
スマホで6時にセットしたアラームが鳴り響いている。手さぐりで探し出し、アラームを止めるとそのままネットニュースを表示させた。
「一体、何が書いてあるって言うんだ…?」
スマホをタップしながら、次々と記事を表示させ…ある記事に目が留まり思わずベッドから起き上がった。
「な、何だ?これは…っ!」
その記事を目にし、身体が震えて来た。
『常盤商事と低迷を続けていた川口家電、ついに合併』
「そんな…ど、どうして…」
内容なんか読みたくも無かった。心臓が口から飛び出してきそうだ。しかし、俺に関する記事はそれだけでは無い。
『セレブ婚』
『常磐商事の社長令嬢と川口家電の時期跡取り、ついに婚約発表』
そこにはいつの間に、隠し撮りされていたのか俺と常盤恵理が腕を組んで…いや、あの女が一方的に腕を組んできた写真が記事と共に掲載されている。
「ど、どういう事なんだ…?」
そうだ、昨夜別れ際…父が何か言いたそうにしていた。それだけじゃない、叔父さんからも電話があった。もしかして何かあったのかもしれない!
まだ6時を少し過ぎたばかりだったが父に連絡をいれるべく、スマホをタップした。
トゥルルルル…
トゥルルルル…
2回目のコール音で父が電話に出た。まるで俺からの連絡を待っていたかのように早い反応だった。
『もしもし、直人か?』
「一体…一体どういう事なんだよっ!!」
気付けば俺は電話越しに父に怒鳴りつけていた―。
****
20分後―
「くそっ!どうすればいいんだ…?!」
電話を切った俺はベッドに座り込んで頭を抱えていた。父からの話しは驚くべきことだった。俺と父が会社の買収を防ぐべく、金策に走っている間、叔父は水面下で動き、常盤社長と密かに手を組んでいたそうだ。そして川口家電という名を残し、常盤商事が母体会社となって社名を残せるように手を打っていたのだ。その代償が…俺と常盤恵理との結婚だった。
社長は娘が俺とどうしても結婚したがっている気持ちを汲み、俺と父には内緒で副社長である叔父に接近し、常盤商事のグループ企業に入らないかと川口家電を組み込む提案を持ちかけ、叔父が承諾した。
つまり…俺は叔父に売られたのだ。
しかし、叔父は昔からワンマンなところがあって社内の評判は悪かった。そこで役員会議に掛け、即刻副社長の座から引きずり下ろしたそうだ。
「よくも俺を騙していたな…」
常盤社長に対する激しい怒りがこみあげて来る。叔父の事は…もうどうでも良かった。きっと叔父なりに会社を思ってやった事…そう思いたかった。仮にも親戚であり、子供の頃は可愛がってもらった記憶があるからだ。
「だけど、こんな年末に…こんな手を使うなんて…卑怯な手を…!」
その時―
俺のスマホが着信を告げて来た。それは岡本からだった。やっぱり電話をかけてきたか…。
ピッ
スマホをタップして電話に出た。
「もしもし…」
『おいっ!お前…いったいどういうつもりだよっ!』
岡本の反応は…俺の思った通りだった―。
「う~ん…」
スマホで6時にセットしたアラームが鳴り響いている。手さぐりで探し出し、アラームを止めるとそのままネットニュースを表示させた。
「一体、何が書いてあるって言うんだ…?」
スマホをタップしながら、次々と記事を表示させ…ある記事に目が留まり思わずベッドから起き上がった。
「な、何だ?これは…っ!」
その記事を目にし、身体が震えて来た。
『常盤商事と低迷を続けていた川口家電、ついに合併』
「そんな…ど、どうして…」
内容なんか読みたくも無かった。心臓が口から飛び出してきそうだ。しかし、俺に関する記事はそれだけでは無い。
『セレブ婚』
『常磐商事の社長令嬢と川口家電の時期跡取り、ついに婚約発表』
そこにはいつの間に、隠し撮りされていたのか俺と常盤恵理が腕を組んで…いや、あの女が一方的に腕を組んできた写真が記事と共に掲載されている。
「ど、どういう事なんだ…?」
そうだ、昨夜別れ際…父が何か言いたそうにしていた。それだけじゃない、叔父さんからも電話があった。もしかして何かあったのかもしれない!
まだ6時を少し過ぎたばかりだったが父に連絡をいれるべく、スマホをタップした。
トゥルルルル…
トゥルルルル…
2回目のコール音で父が電話に出た。まるで俺からの連絡を待っていたかのように早い反応だった。
『もしもし、直人か?』
「一体…一体どういう事なんだよっ!!」
気付けば俺は電話越しに父に怒鳴りつけていた―。
****
20分後―
「くそっ!どうすればいいんだ…?!」
電話を切った俺はベッドに座り込んで頭を抱えていた。父からの話しは驚くべきことだった。俺と父が会社の買収を防ぐべく、金策に走っている間、叔父は水面下で動き、常盤社長と密かに手を組んでいたそうだ。そして川口家電という名を残し、常盤商事が母体会社となって社名を残せるように手を打っていたのだ。その代償が…俺と常盤恵理との結婚だった。
社長は娘が俺とどうしても結婚したがっている気持ちを汲み、俺と父には内緒で副社長である叔父に接近し、常盤商事のグループ企業に入らないかと川口家電を組み込む提案を持ちかけ、叔父が承諾した。
つまり…俺は叔父に売られたのだ。
しかし、叔父は昔からワンマンなところがあって社内の評判は悪かった。そこで役員会議に掛け、即刻副社長の座から引きずり下ろしたそうだ。
「よくも俺を騙していたな…」
常盤社長に対する激しい怒りがこみあげて来る。叔父の事は…もうどうでも良かった。きっと叔父なりに会社を思ってやった事…そう思いたかった。仮にも親戚であり、子供の頃は可愛がってもらった記憶があるからだ。
「だけど、こんな年末に…こんな手を使うなんて…卑怯な手を…!」
その時―
俺のスマホが着信を告げて来た。それは岡本からだった。やっぱり電話をかけてきたか…。
ピッ
スマホをタップして電話に出た。
「もしもし…」
『おいっ!お前…いったいどういうつもりだよっ!』
岡本の反応は…俺の思った通りだった―。
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