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第24話 俺に任せろ
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「ねぇ、どうしても理事長室へ行かなければならないのかしら?」
腕を引かれて連行?されながら前を歩くジョンに尋ねる。
「当然だろう?校内放送で呼び出しを受けているのだから」
ジョンは私の方を振り向くこともなく、ズンズン歩いてゆく。
「だけど、理事長室へ行ってもますます状況が悪化しそうな気がするわ。行かないほうがいいと私の勘が訴えかけているのよ」
何とか理事長室へ行くのを回避するべく、必死になって言い訳する。
「何を訳の分からない事を言っているんだ?大体記憶喪失者の勘ほど当てにならないものはない」
バッサリ切り捨てられてしまった。
「それにユリアだって退学はしたくないだろう?あんなに望んでこの学園に入学してきたのだから」
「私は今記憶喪失なのよ?望んで入学してきたと言われても、そんな事覚えているはず無いじゃない。大体今の私にはこの学園に少しも未練は無いのよ?それにむしろ退学したくないのはジョン、貴方の方でしょう?」
「…理事長室というのは随分遠い場所にあるな…」
私の言葉を無視するジョン。
「ちょっと!聞こえないフリしないでよ!それに私は何も悪くはないのに…」
するとピタリと足を止めるジョン。そして振り向くと言った。
「ユリア。聞こえたぞ?今自分は何も悪くないと言っただろう?」
「ええ、ついでにその前には退学したくないのは貴方の方でしょうとも言ったわ」
「その話は今は関係無い。それより問題なのはユリアの方だ。自分がどんな罪を働いたのか自覚が無いのか?さぁ、今すぐ思い出せ」
余程私に退学処分を受けさせたくないのだろう。ジョンは私から視線をそらす事なくジリジリとにじりよって来る。その様子を興味深げに見ている学生達。
ちょ、ちょっと…!
「おい、見てみろよ。悪女が追い詰められているぞ?」
「あら…素敵な男性じゃない」
「私もあんな事されてみたいわ…」
ささやき声が聞こえてくるも、止めに入る人物は誰もいない。そして完全に壁際に追い詰められた私にジョンは言った。
「どうだ?自分の罪を思い出したか?」
「お、思い出せるはずないでしょう?!だ、大体私は記憶喪失なんだから!」
するとジョンは言った。
「仕方ない…思い出せないなら教えてやろう。そもそも俺と言う替え玉を使って魔法学のテストを受けた事自体が罪だ。そう思わないか?」
「な、何言ってるの?あれは貴方が勝手にやった事でしょう?『もう我慢出来ない!』と言って、魔法を使って私に成り代わった挙げ句、炎の玉をあの先生にぶつけたんじゃないの」
「それは結果論だ。元はと言えば魔力も無いのにこの学園に入学してきたユリアが悪い。それこそがユリアの背負う罪なんだ」
「あ、あのねぇ…」
何という言い草だろう。ああ言えばこう言う…。
しかし、私は学習した。口では決してジョンに敵わない…と。
「わ、分かったわ。確かに皆を騙してテストを受けたのは…悪い事だったわ。でもそうなるとますます言い訳がつかないじゃないの。私が魔法を使えないのは恐らく学園側は知っているという事よね?」
「ああ、そういう事になるな」
ジョンは腕組みして返事をする。
「それじゃどうするの?どうやって炎の玉を魔法で出したのかって聞かれても答えられないじゃない?やっぱりここは逃げ出して…2人揃って退学しましょうよ」
私はじっとジョンの目を見て訴える。
「…」
ジョンは少しの間、考え込むと口を開いた。
「大丈夫、案ずる事は無い。理事長室に着いたら挨拶だけしてユリアはただ黙って隣に立っていればいい。後は俺に任せておけば全て解決してやるさ」
得意げに言うジョン。
「本当?本当に任せて大丈夫なのよね?」
「ああ、勿論!」
あれだけはっきり言い切れるのだから、ジョンは余程自信があるに違いない。
「それじゃ…ジョンに任せるわ」
その後…ジョンに自分の行く末を任せたばかりに、私は激しく後悔する事になるのだった―。
腕を引かれて連行?されながら前を歩くジョンに尋ねる。
「当然だろう?校内放送で呼び出しを受けているのだから」
ジョンは私の方を振り向くこともなく、ズンズン歩いてゆく。
「だけど、理事長室へ行ってもますます状況が悪化しそうな気がするわ。行かないほうがいいと私の勘が訴えかけているのよ」
何とか理事長室へ行くのを回避するべく、必死になって言い訳する。
「何を訳の分からない事を言っているんだ?大体記憶喪失者の勘ほど当てにならないものはない」
バッサリ切り捨てられてしまった。
「それにユリアだって退学はしたくないだろう?あんなに望んでこの学園に入学してきたのだから」
「私は今記憶喪失なのよ?望んで入学してきたと言われても、そんな事覚えているはず無いじゃない。大体今の私にはこの学園に少しも未練は無いのよ?それにむしろ退学したくないのはジョン、貴方の方でしょう?」
「…理事長室というのは随分遠い場所にあるな…」
私の言葉を無視するジョン。
「ちょっと!聞こえないフリしないでよ!それに私は何も悪くはないのに…」
するとピタリと足を止めるジョン。そして振り向くと言った。
「ユリア。聞こえたぞ?今自分は何も悪くないと言っただろう?」
「ええ、ついでにその前には退学したくないのは貴方の方でしょうとも言ったわ」
「その話は今は関係無い。それより問題なのはユリアの方だ。自分がどんな罪を働いたのか自覚が無いのか?さぁ、今すぐ思い出せ」
余程私に退学処分を受けさせたくないのだろう。ジョンは私から視線をそらす事なくジリジリとにじりよって来る。その様子を興味深げに見ている学生達。
ちょ、ちょっと…!
「おい、見てみろよ。悪女が追い詰められているぞ?」
「あら…素敵な男性じゃない」
「私もあんな事されてみたいわ…」
ささやき声が聞こえてくるも、止めに入る人物は誰もいない。そして完全に壁際に追い詰められた私にジョンは言った。
「どうだ?自分の罪を思い出したか?」
「お、思い出せるはずないでしょう?!だ、大体私は記憶喪失なんだから!」
するとジョンは言った。
「仕方ない…思い出せないなら教えてやろう。そもそも俺と言う替え玉を使って魔法学のテストを受けた事自体が罪だ。そう思わないか?」
「な、何言ってるの?あれは貴方が勝手にやった事でしょう?『もう我慢出来ない!』と言って、魔法を使って私に成り代わった挙げ句、炎の玉をあの先生にぶつけたんじゃないの」
「それは結果論だ。元はと言えば魔力も無いのにこの学園に入学してきたユリアが悪い。それこそがユリアの背負う罪なんだ」
「あ、あのねぇ…」
何という言い草だろう。ああ言えばこう言う…。
しかし、私は学習した。口では決してジョンに敵わない…と。
「わ、分かったわ。確かに皆を騙してテストを受けたのは…悪い事だったわ。でもそうなるとますます言い訳がつかないじゃないの。私が魔法を使えないのは恐らく学園側は知っているという事よね?」
「ああ、そういう事になるな」
ジョンは腕組みして返事をする。
「それじゃどうするの?どうやって炎の玉を魔法で出したのかって聞かれても答えられないじゃない?やっぱりここは逃げ出して…2人揃って退学しましょうよ」
私はじっとジョンの目を見て訴える。
「…」
ジョンは少しの間、考え込むと口を開いた。
「大丈夫、案ずる事は無い。理事長室に着いたら挨拶だけしてユリアはただ黙って隣に立っていればいい。後は俺に任せておけば全て解決してやるさ」
得意げに言うジョン。
「本当?本当に任せて大丈夫なのよね?」
「ああ、勿論!」
あれだけはっきり言い切れるのだから、ジョンは余程自信があるに違いない。
「それじゃ…ジョンに任せるわ」
その後…ジョンに自分の行く末を任せたばかりに、私は激しく後悔する事になるのだった―。
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