9 / 77
9 応援したいから
しおりを挟む
動物園は家族連れやカップル・・友人同士で連れ立っている人達ばかりだった。私の様に1人で周っている人は1人もいない。・・折角お洒落してきたのに・・・結局無駄だったみたいだ。さっさと1週したら、すぐにここを出よう。大体日差しも強いし、偏頭痛持ちの私にはこの照り付ける暑さと太陽は正直言って辛いし。
動物園を出たら・・どこか木陰の涼しい場所で休むことにしよう・・・。
ぐるりと1周周って動物園を出ると、先ほど私が馬車から降りる時に手を貸してくれた御者の男性が木陰に馬車を移動させて馬の毛の手入れをしていた。そうだ・・あの人に手を貸してくれたお礼を伝えておこう。
「先程は有難うございました。」
私は男性に近付くと背後からお礼を言った。
「え?あ・・・お嬢様・・ヘンリー様と先程のお嬢様はどうされたのですか?」
彼は私が1人でいる事に疑問を抱いたのか尋ねてきた。
「ヘンリーとキャロルは2人で動物園の中を見て周っているんです。私は一足先に出てきました。馬車を降りる時は手を貸して頂いて有難うございました。」
「いえ・・・俺のような使用人が、お嬢様に手を差し出すのは恐れ多いのに・・お気の毒で見ていられなくて。」
同情のこもった目で見つめられた。
「ありがとうございます・・・。」
思わず胸がジンとなってうつむきながらお礼を言った。
「それではお2人が戻られるまで・・馬車の中で待っていますか?」
男性が馬車のドアを開けてくれた。
「いえ、いいんです。私はこの馬車には乗りませんから。2人にもそう話してあります。」
手を振って断ると、男性は驚いた表情を浮かべた。
「ええ・・?それではどうやってお屋敷迄帰られるのですか?」
「辻馬車を拾って帰ります。だから気にしないでください。」
「ですが・・・・」
尚も男性は言いよどむけれども、私は言った。
「ヘンリーとキャロルを2人きりにしてあげたいんです。お似合いだと思いませんか?あの2人は。それに・・・私の見たところヘンリーはキャロルに好意を持っていると思うんです。」
「た、確かに・・・そう見えますけど・・・。」
「私は・・・ヘンリーに嫌われたくないので・・もしヘンリーとキャロルが両想いなら、私は応援してあげたいんです。」
「お嬢様・・・。」
彼は声を詰まらせて私を見た。
「そういうわけですので・・私はここで退散しますね。」
頭を下げると、私はその場を立ち去った―。
****
「う~ん・・どれにしようかしら・・。」
私は今雑貨屋さんに来ていた。明後日からはいよいよ私たちは大学生になる。高校時代とはガラリと生活スタイルか変わるので、この際心機一転新しい文房具を買いにやってきていた。
「わあ~・・・このガラスペン・・すごくきれいで書きやすそう・・。」
手に取ったガラスペンは太陽の光にかざすとキラキラ輝いてそれは美しかった。
「うん、決めたわ。このガラスペンを今度から筆記用具代わりにしましょう。」
私はペンの軸部分が青い色のガラスペンを手に取るとお会計をする為にカウンターへ向かった―。
「ありがとうございましたー。」
店員さんの声に見送られ、私はお店を出た。
「フフフ・・・素敵な買い物が出来たわ。大学で使うのが今から楽しみだわ・・。」
素敵なガラスペンを買えたことで、先ほどまで落ち込んでいた自分の心が少しだけ浮上した。お店を出た目の前には大きな広場があり、高さ2mほどの時計塔がある。時刻はそろそろ12時を指そうとしていた。
「え・・?もうこんな時間だったの・・?」
何だか動物園にいた時よりも長い時間を雑貨屋さんで過ごしてしまっていたようだった。
「どこかでお昼を食べて・・辻馬車を拾えば丁度帰るのに都合が良い時間かもしれないわね・・。」
あたりを見渡すと、若い男性が商売をしているドーナツ屋さんの屋台が目に入った。屋台の隣には大きなパラソルが立てられ、ベンチが置かれている。
「ドーナツ・・・美味しそう。あれを食べて帰りましょう。」
私ドーナツ屋さんへ向かうと、そこでドーナツを2個、アイスミルクティーを注文し、ベンチで涼みながらお腹を満たした。
「お嬢さん。おひとりなんですか?」
屋台の男性が声をかけてきた。
「はい、先ほどまでは連れがいたのですけど・・今は1人です。あ、あの・・このあたりで辻馬車が拾える場所はありませんか?」
「辻馬車?ああ・・・それなら丁度この屋台の先・・を行ったところに辻馬車を経営している店があるから直接訪れてみるといいよ。」
「本当ですか?ありがとうございます。」
ドーナツを食べえた私はすぐに辻馬車の店に向かい、運よく1台借りることが出来た。そしてそのまま屋敷迄送ってもらい、帰宅したのは午後3時を過ぎていた―。
動物園を出たら・・どこか木陰の涼しい場所で休むことにしよう・・・。
ぐるりと1周周って動物園を出ると、先ほど私が馬車から降りる時に手を貸してくれた御者の男性が木陰に馬車を移動させて馬の毛の手入れをしていた。そうだ・・あの人に手を貸してくれたお礼を伝えておこう。
「先程は有難うございました。」
私は男性に近付くと背後からお礼を言った。
「え?あ・・・お嬢様・・ヘンリー様と先程のお嬢様はどうされたのですか?」
彼は私が1人でいる事に疑問を抱いたのか尋ねてきた。
「ヘンリーとキャロルは2人で動物園の中を見て周っているんです。私は一足先に出てきました。馬車を降りる時は手を貸して頂いて有難うございました。」
「いえ・・・俺のような使用人が、お嬢様に手を差し出すのは恐れ多いのに・・お気の毒で見ていられなくて。」
同情のこもった目で見つめられた。
「ありがとうございます・・・。」
思わず胸がジンとなってうつむきながらお礼を言った。
「それではお2人が戻られるまで・・馬車の中で待っていますか?」
男性が馬車のドアを開けてくれた。
「いえ、いいんです。私はこの馬車には乗りませんから。2人にもそう話してあります。」
手を振って断ると、男性は驚いた表情を浮かべた。
「ええ・・?それではどうやってお屋敷迄帰られるのですか?」
「辻馬車を拾って帰ります。だから気にしないでください。」
「ですが・・・・」
尚も男性は言いよどむけれども、私は言った。
「ヘンリーとキャロルを2人きりにしてあげたいんです。お似合いだと思いませんか?あの2人は。それに・・・私の見たところヘンリーはキャロルに好意を持っていると思うんです。」
「た、確かに・・・そう見えますけど・・・。」
「私は・・・ヘンリーに嫌われたくないので・・もしヘンリーとキャロルが両想いなら、私は応援してあげたいんです。」
「お嬢様・・・。」
彼は声を詰まらせて私を見た。
「そういうわけですので・・私はここで退散しますね。」
頭を下げると、私はその場を立ち去った―。
****
「う~ん・・どれにしようかしら・・。」
私は今雑貨屋さんに来ていた。明後日からはいよいよ私たちは大学生になる。高校時代とはガラリと生活スタイルか変わるので、この際心機一転新しい文房具を買いにやってきていた。
「わあ~・・・このガラスペン・・すごくきれいで書きやすそう・・。」
手に取ったガラスペンは太陽の光にかざすとキラキラ輝いてそれは美しかった。
「うん、決めたわ。このガラスペンを今度から筆記用具代わりにしましょう。」
私はペンの軸部分が青い色のガラスペンを手に取るとお会計をする為にカウンターへ向かった―。
「ありがとうございましたー。」
店員さんの声に見送られ、私はお店を出た。
「フフフ・・・素敵な買い物が出来たわ。大学で使うのが今から楽しみだわ・・。」
素敵なガラスペンを買えたことで、先ほどまで落ち込んでいた自分の心が少しだけ浮上した。お店を出た目の前には大きな広場があり、高さ2mほどの時計塔がある。時刻はそろそろ12時を指そうとしていた。
「え・・?もうこんな時間だったの・・?」
何だか動物園にいた時よりも長い時間を雑貨屋さんで過ごしてしまっていたようだった。
「どこかでお昼を食べて・・辻馬車を拾えば丁度帰るのに都合が良い時間かもしれないわね・・。」
あたりを見渡すと、若い男性が商売をしているドーナツ屋さんの屋台が目に入った。屋台の隣には大きなパラソルが立てられ、ベンチが置かれている。
「ドーナツ・・・美味しそう。あれを食べて帰りましょう。」
私ドーナツ屋さんへ向かうと、そこでドーナツを2個、アイスミルクティーを注文し、ベンチで涼みながらお腹を満たした。
「お嬢さん。おひとりなんですか?」
屋台の男性が声をかけてきた。
「はい、先ほどまでは連れがいたのですけど・・今は1人です。あ、あの・・このあたりで辻馬車が拾える場所はありませんか?」
「辻馬車?ああ・・・それなら丁度この屋台の先・・を行ったところに辻馬車を経営している店があるから直接訪れてみるといいよ。」
「本当ですか?ありがとうございます。」
ドーナツを食べえた私はすぐに辻馬車の店に向かい、運よく1台借りることが出来た。そしてそのまま屋敷迄送ってもらい、帰宅したのは午後3時を過ぎていた―。
311
あなたにおすすめの小説
私が愛する王子様は、幼馴染を側妃に迎えるそうです
こことっと
恋愛
それは奇跡のような告白でした。
まさか王子様が、社交会から逃げ出した私を探しだし妃に選んでくれたのです。
幸せな結婚生活を迎え3年、私は幸せなのに不安から逃れられずにいました。
「子供が欲しいの」
「ごめんね。 もう少しだけ待って。 今は仕事が凄く楽しいんだ」
それから間もなく……彼は、彼の幼馴染を側妃に迎えると告げたのです。
三年の想いは小瓶の中に
月山 歩
恋愛
結婚三周年の記念日だと、邸の者達がお膳立てしてくれた二人だけのお祝いなのに、その中心で一人夫が帰らない現実を受け入れる。もう彼を諦める潮時かもしれない。だったらこれからは自分の人生を大切にしよう。アレシアは離縁も覚悟し、邸を出る。
※こちらの作品は契約上、内容の変更は不可であることを、ご理解ください。
白い結婚で結構ですわ。愛人持ちの夫に興味はありません
鍛高譚
恋愛
公爵令嬢ルチアーナは、王太子アルベルトとの政略結婚を命じられた。だが彼にはすでに愛する女性がいた。そこでルチアーナは、夫婦の義務を果たさない“白い結婚”を提案し、お互いに干渉しない関係を築くことに成功する。
「夫婦としての役目を求めないでくださいませ。その代わり、わたくしも自由にさせていただきますわ」
そうして始まった王太子妃としての優雅な生活。社交界では完璧な妃を演じつつ、裏では趣味の読書やお茶会を存分に楽しみ、面倒ごととは距離を置くつもりだった。
——だが、夫は次第にルチアーナを気にし始める。
「最近、おまえが気になるんだ」
「もっと夫婦としての時間を持たないか?」
今さらそんなことを言われても、もう遅いのですわ。
愛人を優先しておいて、後になって本妻に興味を持つなんて、そんな都合の良い話はお断り。
わたくしは、自由を守るために、今日も紅茶を嗜みながら優雅に過ごしますわ——。
政略結婚から始まる痛快ざまぁ! 夫の後悔なんて知りませんわ
“白い結婚”を謳歌する令嬢の、自由気ままなラブ&ざまぁストーリー!
王命により、婚約破棄されました。
緋田鞠
恋愛
魔王誕生に対抗するため、異界から聖女が召喚された。アストリッドは結婚を翌月に控えていたが、婚約者のオリヴェルが、聖女の指名により独身男性のみが所属する魔王討伐隊の一員に選ばれてしまった。その結果、王命によって二人の婚約が破棄される。運命として受け入れ、世界の安寧を祈るため、修道院に身を寄せて二年。久しぶりに再会したオリヴェルは、以前と変わらず、アストリッドに微笑みかけた。「私は、長年の約束を違えるつもりはないよ」。
婚約破棄されたので、もう誰の役にも立たないことにしました 〜静かな公爵家で、何もしない私の本当の人生が始まります〜
ふわふわ
恋愛
王太子の婚約者として、
完璧であることを求められ続けてきた令嬢エリシア。
だがある日、彼女は一方的に婚約を破棄される。
理由は簡単だった。
「君は役に立ちすぎた」から。
すべてを失ったはずの彼女が身を寄せたのは、
“静かな公爵”と呼ばれるアルトゥール・クロイツの屋敷。
そこで待っていたのは――
期待も、役割も、努力の強要もない日々だった。
前に出なくていい。
誰かのために壊れなくていい。
何もしなくても、ここにいていい。
「第二の人生……いえ、これからが本当の人生です」
婚約破棄ざまぁのその先で描かれる、
何者にもならなくていいヒロインの再生と、
放っておく優しさに満ちた静かな溺愛。
これは、
“役に立たなくなった”令嬢が、
ようやく自分として生き始める物語。
お二人共、どうぞお幸せに……もう二度と勘違いはしませんから
結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
【もう私は必要ありませんよね?】
私には2人の幼なじみがいる。一人は美しくて親切な伯爵令嬢。もう一人は笑顔が素敵で穏やかな伯爵令息。
その一方、私は貴族とは名ばかりのしがない男爵家出身だった。けれど2人は身分差に関係なく私に優しく接してくれるとても大切な存在であり、私は密かに彼に恋していた。
ある日のこと。病弱だった父が亡くなり、家を手放さなければならない
自体に陥る。幼い弟は父の知り合いに引き取られることになったが、私は住む場所を失ってしまう。
そんな矢先、幼なじみの彼に「一生、面倒をみてあげるから家においで」と声をかけられた。まるで夢のような誘いに、私は喜んで彼の元へ身を寄せることになったのだが――
※ 他サイトでも投稿中
途中まで鬱展開続きます(注意)
かつて番に婚約者を奪われた公爵令嬢は『運命の番』なんてお断りです。なのに獣人国の王が『お前が運命の番だ』と求婚して来ます
神崎 ルナ
恋愛
「運命の番に出会ったからローズ、君との婚約は解消する」
ローズ・ファラント公爵令嬢は婚約者のエドモンド・ザックランド公爵令息にそう言われて婚約を解消されてしまう。
ローズの居るマトアニア王国は獣人国シュガルトと隣接しているため、数は少ないがそういった可能性はあった。
だが、今回の婚約は幼い頃から決められた政略結婚である。
当然契約違反をしたエドモンド側が違約金を支払うと思われたが――。
「違約金? 何のことだい? お互いのうちどちらかがもし『運命の番』に出会ったら円満に解消すること、って書いてあるじゃないか」
確かにエドモンドの言葉通りその文面はあったが、タイミングが良すぎた。
ここ数年、ザックランド公爵家の領地では不作が続き、ファラント公爵家が援助をしていたのである。
その領地が持ち直したところでこの『運命の番』騒動である。
だが、一応理には適っているため、ローズは婚約解消に応じることとなる。
そして――。
とあることを切っ掛けに、ローズはファラント公爵領の中でもまだ発展途上の領地の領地代理として忙しく日々を送っていた。
そして半年が過ぎようとしていた頃。
拙いところはあるが、少しずつ治める側としての知識や社交術を身に付けつつあったローズの前に一人の獣人が現れた。
その獣人はいきなりローズのことを『お前が運命の番だ』と言ってきて。
※『運命の番』に関する独自解釈がありますm(__)m
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる