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第2章 53 健闘を祈る
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この日、深夜を過ぎるまで教授から新しく改良された『磁場発生装置』の使い方を教わり…そのまま教授と共に研究室に泊ることになった―。
午前1時―
教授はソファベッド、俺は長ソファに横たわると部屋の明かりを消した。
すると、ブラインドカーテンの隙間から大きな満月がのぞき見え…部屋の中を微かに青白く照らしている。
彩花…待っていろよ。
必ずお前の命を救ってやるからな…。
そして眠る為に目を閉じた―。
****
午前10時―
教授と2人で『時巡神社』にやってきていた。
「すみません、教授。結局昨夜からずっとお世話になりっぱなしで…」
教授に頭を下げた。
「な~に、気にするなって。今日は土曜日なんだ。どうせ1人身なんだ。家に帰っても暇なだけだしな?」
こちらを見て笑っている教授を見ながらふと思った。
そう言えば奥さんのことは昨日初めて聞いたけれども…教授にはお子さんはいないのだろか…?
すると、俺の気持ちがまるで伝わったかのように教授が言った。
「大体、お前は子供のいない俺にとっては息子みたいなものだしな」
「教授…」
「それで?今度はいつにタイムトラベルするんだ?」
「はい、15年前の3月30日土曜日です。この日…俺が彩花の隣の部屋に越してくる日なので」
「そうだな。それがいいかもな。よし、なら今度からはずっとタイムトラベルする日はその日程に合せろ」
教授の言葉は縁起が悪い。
「そんな、今度からずっとなんて…今回のタイムトラベルで俺は必ず彩花を助けるのでこれきりですよ。そして…ずっと過去の世界にとどまるつもりです。あ、でも一応教授にはご挨拶しますので」
「ああ、分かった。それじゃ俺はここでお前が戻るのを待っているからな?今のこの時間と場所の座標をあわせておけよ。そうだな…今から5分後に戻れるようにセットしておけ。操作方法はもう覚えているよな?」
「はい、大丈夫です」
俺は『磁場発生装置』の座標を合わせた。
「上野…無理するなよ?駄目でも…次を狙えばいいんだ」
神妙そうな顔で教授は俺の肩を叩いた。
「いやだな、だからもう失敗はしませんて。だからそんな辛気臭い顔はしないで下さいよ」
笑って教授を見た。
「そ、そうか?辛気臭い顔…してたか?」
「ええ。してましたよ。では、教授。行ってきます!」
「ああ、健闘を祈る」
まるで今から俺を戦地に送り付けるような教授に俺は敬礼した。
「はい!行ってきますっ!」
「なんだ?その言い方は?」
教授が『時巡神社』にやってきて始めて笑った。
「いえ、何となくやってみたかっただけです」
言いながら磁場発生装置を起動させた。
途端に周囲に霧が発生する。
そして…俺は鳥居を潜り抜けた――。
午前1時―
教授はソファベッド、俺は長ソファに横たわると部屋の明かりを消した。
すると、ブラインドカーテンの隙間から大きな満月がのぞき見え…部屋の中を微かに青白く照らしている。
彩花…待っていろよ。
必ずお前の命を救ってやるからな…。
そして眠る為に目を閉じた―。
****
午前10時―
教授と2人で『時巡神社』にやってきていた。
「すみません、教授。結局昨夜からずっとお世話になりっぱなしで…」
教授に頭を下げた。
「な~に、気にするなって。今日は土曜日なんだ。どうせ1人身なんだ。家に帰っても暇なだけだしな?」
こちらを見て笑っている教授を見ながらふと思った。
そう言えば奥さんのことは昨日初めて聞いたけれども…教授にはお子さんはいないのだろか…?
すると、俺の気持ちがまるで伝わったかのように教授が言った。
「大体、お前は子供のいない俺にとっては息子みたいなものだしな」
「教授…」
「それで?今度はいつにタイムトラベルするんだ?」
「はい、15年前の3月30日土曜日です。この日…俺が彩花の隣の部屋に越してくる日なので」
「そうだな。それがいいかもな。よし、なら今度からはずっとタイムトラベルする日はその日程に合せろ」
教授の言葉は縁起が悪い。
「そんな、今度からずっとなんて…今回のタイムトラベルで俺は必ず彩花を助けるのでこれきりですよ。そして…ずっと過去の世界にとどまるつもりです。あ、でも一応教授にはご挨拶しますので」
「ああ、分かった。それじゃ俺はここでお前が戻るのを待っているからな?今のこの時間と場所の座標をあわせておけよ。そうだな…今から5分後に戻れるようにセットしておけ。操作方法はもう覚えているよな?」
「はい、大丈夫です」
俺は『磁場発生装置』の座標を合わせた。
「上野…無理するなよ?駄目でも…次を狙えばいいんだ」
神妙そうな顔で教授は俺の肩を叩いた。
「いやだな、だからもう失敗はしませんて。だからそんな辛気臭い顔はしないで下さいよ」
笑って教授を見た。
「そ、そうか?辛気臭い顔…してたか?」
「ええ。してましたよ。では、教授。行ってきます!」
「ああ、健闘を祈る」
まるで今から俺を戦地に送り付けるような教授に俺は敬礼した。
「はい!行ってきますっ!」
「なんだ?その言い方は?」
教授が『時巡神社』にやってきて始めて笑った。
「いえ、何となくやってみたかっただけです」
言いながら磁場発生装置を起動させた。
途端に周囲に霧が発生する。
そして…俺は鳥居を潜り抜けた――。
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