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第2章 54 尾行?
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辺りの空気が変わった
「…着いたか」
目を開けると、こちらの世界で使用しているスマホをリュックから取り出した。時刻は9時だった。
「…よし、いつものようにマンスリーマンションの契約をしてくるか」
そして、駅前の不動産に足を向けた―。
****
「どうもありがとうございました」
不動産店員に見送られ、店を後にする。今回も不動産を紹介してきたのは『田中』となのる男性社員だった。
「接客してくるのは、毎回同じ男なんだな…」
そのことが、少しだけ心を不安にさせる。
また同じ歴史を繰り返してしまうことになるのではないかと…。
「いや、駄目だ!最初からそんな弱気な態度でどうする?今度こそ俺は彩花と恋人同士になって、彼女の命を救うんだろう?!」
気合を入れて自分の両頬をピシャリと叩き…町中を歩く人々の注目の的になってしまった―。
****
不動産の店を出て15分ほど歩き、いつものマンスリーマンションに到着した。
「まだこっちの世界の俺は引っ越してきていないのか…」
向かい側のアパートには引っ越しの運送トラックの姿はない。そしてこの世界の彩花はまだ生きている…。
「彩花…早くお前の元気な姿が見たいよ…」
ポツリと呟くと、自分が借りている部屋へ足を向けた―。
持参してきたリュックから荷物を取り出し、整理していると向かい側の道路に車が停車する音が聞こえた。
「ついに来たか?!」
窓から外を眺めると、引越し会社の大型トラックが2台停車していた。
「よし…来たな…」
そこから先はじっと外の様子を伺うことに専念した。
トラックは少しの間そのまま停車していたが、やがて1台のタクシーが現れて、トラックを追い抜いて止まった。
そして扉が開き、降りてきたのは…。
「ついにやってきたな…親父…!」
見ていろよ。今度こそ…お前に彩花を殺させたりするものか。
憎悪を込めた目で奴を見ていると、その背後に子供の頃の俺の姿を見た。
「相変わらずやせ細って…惨めな身体つきだな…」
待ってろよ。子供の頃の俺…。あいつから救ってやるからな…。
その後もしばらくアパートとトラックの様子を伺っていると、彩花の部屋の扉が開かれた。
「彩花っ!」
きっと引っ越しの音がうるさくて部屋を出るかもしれない。
「彩花…どこへ行くつもりなんだ?」
とにかく後を付けてみよう。
急いで玄関へ向かい、スニーカーを履くとマンションを出た。
****
一定の距離を保ちながら彩花の後をつけた。
「…これじゃまるでストーカーだな…警察から不審者扱いされなければいいが…」
いや、その前に彩花に見つかれば元も子もない。
「何か話しかけられるきっかけがあれば…」
俺はそのチャンスを伺いながら、彩花の後ろ姿を追った―。
「…着いたか」
目を開けると、こちらの世界で使用しているスマホをリュックから取り出した。時刻は9時だった。
「…よし、いつものようにマンスリーマンションの契約をしてくるか」
そして、駅前の不動産に足を向けた―。
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「どうもありがとうございました」
不動産店員に見送られ、店を後にする。今回も不動産を紹介してきたのは『田中』となのる男性社員だった。
「接客してくるのは、毎回同じ男なんだな…」
そのことが、少しだけ心を不安にさせる。
また同じ歴史を繰り返してしまうことになるのではないかと…。
「いや、駄目だ!最初からそんな弱気な態度でどうする?今度こそ俺は彩花と恋人同士になって、彼女の命を救うんだろう?!」
気合を入れて自分の両頬をピシャリと叩き…町中を歩く人々の注目の的になってしまった―。
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不動産の店を出て15分ほど歩き、いつものマンスリーマンションに到着した。
「まだこっちの世界の俺は引っ越してきていないのか…」
向かい側のアパートには引っ越しの運送トラックの姿はない。そしてこの世界の彩花はまだ生きている…。
「彩花…早くお前の元気な姿が見たいよ…」
ポツリと呟くと、自分が借りている部屋へ足を向けた―。
持参してきたリュックから荷物を取り出し、整理していると向かい側の道路に車が停車する音が聞こえた。
「ついに来たか?!」
窓から外を眺めると、引越し会社の大型トラックが2台停車していた。
「よし…来たな…」
そこから先はじっと外の様子を伺うことに専念した。
トラックは少しの間そのまま停車していたが、やがて1台のタクシーが現れて、トラックを追い抜いて止まった。
そして扉が開き、降りてきたのは…。
「ついにやってきたな…親父…!」
見ていろよ。今度こそ…お前に彩花を殺させたりするものか。
憎悪を込めた目で奴を見ていると、その背後に子供の頃の俺の姿を見た。
「相変わらずやせ細って…惨めな身体つきだな…」
待ってろよ。子供の頃の俺…。あいつから救ってやるからな…。
その後もしばらくアパートとトラックの様子を伺っていると、彩花の部屋の扉が開かれた。
「彩花っ!」
きっと引っ越しの音がうるさくて部屋を出るかもしれない。
「彩花…どこへ行くつもりなんだ?」
とにかく後を付けてみよう。
急いで玄関へ向かい、スニーカーを履くとマンションを出た。
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一定の距離を保ちながら彩花の後をつけた。
「…これじゃまるでストーカーだな…警察から不審者扱いされなければいいが…」
いや、その前に彩花に見つかれば元も子もない。
「何か話しかけられるきっかけがあれば…」
俺はそのチャンスを伺いながら、彩花の後ろ姿を追った―。
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