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第2章 52 運命を辿るルート
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「…起きろ、上野」
肩を揺すぶられて、突然目が覚めた。
「え…?教授…?」
目を開けると、俺を真上から覗き込んでいる教授がいる。
「随分よく眠っていたな…寝不足だったのか?」
俺を起こした教授は机に向かうと、マグカップを手に取りゴクリと飲んだ。
「うん、このコーヒー…インスタントだが美味いな」
「そう…ですか…」
寝起きでぼ~っとする頭で窓の外を眺め…真っ暗になっていることに気付いた。
「え…?ひょっとして、今…夜ですか?」
「ああ、そうだ。今は‥21時半ってところだな」
「ええっ?!21時半っ?!」
ソファベッドに横たわったのが恐らく18時頃…。俺は3時間近く眠ってしまったことになる。
「す、すみませんっ!こんな時間まで眠ってしまって…!」
慌てて飛び起きると教授は笑った。
「何、気にするなって。寝不足だったんだろう?それより腹がすいたんじゃないか?何か食べるか?」
「え…そうですね…」
ぐぅ~…
教授に食べ物の話をされただけで…俺の腹の虫が鳴った。
「あははは…やはりな。よし、今夜は俺がお前に食事をご馳走してやろう。好きなものを選ぶといい」
「え?!本当ですか?!」
「ああ、勿論だ」
教授は笑って俺を見た―。
****
「どうだ?美味いか?上野」
カップ麺をすすりながら教授が尋ねてきた。
「え?ええ…まぁ、普通に美味いですよ」
俺は自分の手元にある味噌ラーメンのカップ麺を見つめながら返事をした。
…甘かった。
期待していた俺が馬鹿だった。そもそもケチで有名な教授が俺に食事をご馳走してくれるはずが無かったのだ。
「ああ、そうだ。美味いだろう?ちなみに今お前が食べているカップ麺は新作だ。最近CMでよくやっているだろう?」
「さ、さあ…俺は正直カップ麺はあまり食べないので」
「ふ~ん。そうか。だが時間の無い時や金が無い時、カップ麺は便利だぞ?買い置き位はしておくべきだ」
「はい…考えておきます。ところで、教授。『磁場発生装置』はどうなりましたか?別のプログラミングを加えると仰っていましたよね?」
「ああ。そうだ。もう作業は終わった。それでお前を起こしたんだよ」
「そうだったんですかっ?!ありがとうございますっ!」
カップ麺を手にしたまま、教授に頭を下げた。
「食べたら、早速説明してやるからな」
「はい!」
そして俺は残りの麺を急いで食べることにした―。
****
「それで?今度はどんな改良を加えたのですか?」
カップ麺を食べ終えた俺と教授はPCの前に座っていた。
「ああ、この画面だがさっきは見えにくかったからな。今度は画面表示を縦にしたん
だ。一番頂点が当然今の世界…スタート地点だ。ここから下へ辿って行くと…今までお前が辿って来た道筋が枝分かれしていく」
青白く光る画面には白く枝分かれしたラインが映し出されている。
「そして…ここが今までのゴールだ」
教授が画面をスクロールさせていくと、枝分かれしていたラインが最終的には一部にに集まり、そこでラインは途切れている。
「これが…6月9日。南彩花が死んだ日だ」
「!」
教授の言葉に思わず肩がビクリとなった。
「このラインが集約された場所で、彼女は様々な形で死んでいる。要はこのルートに運命の流れを乗せてはいけないんだ。分かるな?」
「はい…」
ごくりと息を呑んだ。
「今回、俺が改良を加えたのは、この運命座標が今、自分がどの道筋をたどっているのか表示出来る様にしたことだ。お前の過去でとった行動が今どのルートをたどっているか確認することが出来るんだ」
「それって…つまり、自分が今どのルートを進んでいるか分かるってことですよね?自分が謝って彩花の死に直結するルートに乗らないようにリアルタイムで確認出来るようになったってことですか?」
興奮のあまり声が大きくなってしまった。
「ああ、そうだ。これさえあれば…途中で南彩花の死を回避出来るかもしれない」
教授は笑みを浮かべて俺を見た―。
肩を揺すぶられて、突然目が覚めた。
「え…?教授…?」
目を開けると、俺を真上から覗き込んでいる教授がいる。
「随分よく眠っていたな…寝不足だったのか?」
俺を起こした教授は机に向かうと、マグカップを手に取りゴクリと飲んだ。
「うん、このコーヒー…インスタントだが美味いな」
「そう…ですか…」
寝起きでぼ~っとする頭で窓の外を眺め…真っ暗になっていることに気付いた。
「え…?ひょっとして、今…夜ですか?」
「ああ、そうだ。今は‥21時半ってところだな」
「ええっ?!21時半っ?!」
ソファベッドに横たわったのが恐らく18時頃…。俺は3時間近く眠ってしまったことになる。
「す、すみませんっ!こんな時間まで眠ってしまって…!」
慌てて飛び起きると教授は笑った。
「何、気にするなって。寝不足だったんだろう?それより腹がすいたんじゃないか?何か食べるか?」
「え…そうですね…」
ぐぅ~…
教授に食べ物の話をされただけで…俺の腹の虫が鳴った。
「あははは…やはりな。よし、今夜は俺がお前に食事をご馳走してやろう。好きなものを選ぶといい」
「え?!本当ですか?!」
「ああ、勿論だ」
教授は笑って俺を見た―。
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「どうだ?美味いか?上野」
カップ麺をすすりながら教授が尋ねてきた。
「え?ええ…まぁ、普通に美味いですよ」
俺は自分の手元にある味噌ラーメンのカップ麺を見つめながら返事をした。
…甘かった。
期待していた俺が馬鹿だった。そもそもケチで有名な教授が俺に食事をご馳走してくれるはずが無かったのだ。
「ああ、そうだ。美味いだろう?ちなみに今お前が食べているカップ麺は新作だ。最近CMでよくやっているだろう?」
「さ、さあ…俺は正直カップ麺はあまり食べないので」
「ふ~ん。そうか。だが時間の無い時や金が無い時、カップ麺は便利だぞ?買い置き位はしておくべきだ」
「はい…考えておきます。ところで、教授。『磁場発生装置』はどうなりましたか?別のプログラミングを加えると仰っていましたよね?」
「ああ。そうだ。もう作業は終わった。それでお前を起こしたんだよ」
「そうだったんですかっ?!ありがとうございますっ!」
カップ麺を手にしたまま、教授に頭を下げた。
「食べたら、早速説明してやるからな」
「はい!」
そして俺は残りの麺を急いで食べることにした―。
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「それで?今度はどんな改良を加えたのですか?」
カップ麺を食べ終えた俺と教授はPCの前に座っていた。
「ああ、この画面だがさっきは見えにくかったからな。今度は画面表示を縦にしたん
だ。一番頂点が当然今の世界…スタート地点だ。ここから下へ辿って行くと…今までお前が辿って来た道筋が枝分かれしていく」
青白く光る画面には白く枝分かれしたラインが映し出されている。
「そして…ここが今までのゴールだ」
教授が画面をスクロールさせていくと、枝分かれしていたラインが最終的には一部にに集まり、そこでラインは途切れている。
「これが…6月9日。南彩花が死んだ日だ」
「!」
教授の言葉に思わず肩がビクリとなった。
「このラインが集約された場所で、彼女は様々な形で死んでいる。要はこのルートに運命の流れを乗せてはいけないんだ。分かるな?」
「はい…」
ごくりと息を呑んだ。
「今回、俺が改良を加えたのは、この運命座標が今、自分がどの道筋をたどっているのか表示出来る様にしたことだ。お前の過去でとった行動が今どのルートをたどっているか確認することが出来るんだ」
「それって…つまり、自分が今どのルートを進んでいるか分かるってことですよね?自分が謝って彩花の死に直結するルートに乗らないようにリアルタイムで確認出来るようになったってことですか?」
興奮のあまり声が大きくなってしまった。
「ああ、そうだ。これさえあれば…途中で南彩花の死を回避出来るかもしれない」
教授は笑みを浮かべて俺を見た―。
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