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1-14 要塞城アイゼンシュタット
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今を去ること少し前―
アリアドネを乗せた馬車はまるで2人の騎士に連行されるような形で城門へと向かっていた。
やがて山の様にそり建つ巨大な城壁に取り付けられた鉄の城門が見えてくるとヨゼフはうなる様に言った。
「な、何と立派な城壁なのだ…」
すると、その言葉が耳に入ったのか、1人の騎士が振り向いた。
「どうだ?驚いただろう?城を取り囲む城壁は過去に一度も破られた事が無い鉄壁の壁なのだ。鼠一匹通した事は無い。なので城に忍び込もうとするような愚かな考えは捨てる事だな」
「!わ、私は決してそのような事は考えておりません!」
「フンッ!どうだかな…分った物では無い」
さらに別の騎士が鼻で嘲笑う。
馬車の中からその様子をじっと見守っていたアリアドネは益々不安が募って来る。
(お父様はお姉さまを花嫁にと辺境伯が望んでいると話して下さったけれども…本当にそうだったの?とてもそんな風に思えないわ…)
しかし、アリアドネは首を振った。
(いいえ、きっと何かの手違いよ。辺境伯に会えば…全て誤解だったと分かる筈だわ…)
アリアドネはここに来てもまだ少しの望みを持っていたのだった―。
やがて馬車が城の敷地内に入っていくと、眼前にまるで要塞のような巨大な城が現れた。その城は壁も屋根も全て石で出来ており、とても城とは呼べない武骨な作りであった。
「あ、あれが…アイゼンシュタット城なの…?」
馬車の中から城を見たアリアドネは息を飲んだ。
目の前にそびえ立つアイゼンシュタット城は…真っ白な壁に青い屋根の美しいステニウス伯爵家の城とは似ても似つかない物で、アリアドネにとってはまるで監獄の様に見えてしまった。
それはここまで御者としてアリアドネを連れて来たヨゼフにとっても同様だった。
(な、何だ…?この建物は…これでも城と呼べるのだろうか…?城と呼ぶよりは砦のようだ)
そこで改めてヨゼフはこの城が何と呼ばれているのかを思い出した。
厳塞要徼―
まさにその言葉を表すのに、これほどふさわしい呼び名は無いだろうとヨゼフは感じた。
やがて城の鉄の大門に辿り着くと2人の騎士は馬から降り、ヨゼフに命じた。
「城に到着した。降りるんだ」
「は、はい…」
別の騎士は馬車の中のアリアドネに声を掛けた。
「おい!お前も降りろ!」
「はい」
アリアドネは顔を隠す為にかぶっていたベールをもう一度、しっかりかぶり直すと返事をした。
アリアドネは2人の騎士がこの馬車に近付いてきた時から手荷物の中から父であるステニウス伯爵から手渡されたヴェールを被っていたのだ。アリアドネは言い含められていた。
『お前はミレーユではない。ミレーユの瞳は青だ。他の者にその紫の瞳を見られてはお前が偽物だとバレて辺境伯に会う前に追い出されてしまうかもしれない。決して彼に会うまではヴェールを脱ぐなよ』
そう言われていた。
「…」
アリアドネは無言で馬車の扉を開けると、手摺につかまり降りて来た。
「何だ?そのみすぼらしい恰好は?」
「ヴェール等被って…本当にエルウィン様と婚姻するつもりでやってきたのか?愚かな女だ」
2人の騎士はアリアドネを見て嘲け笑った。アリアドネが着ているドレスは騎士たちの目から見ても粗末なドレスだったのだ。
「…」
しかし、アリアドネは黙って騎士の言葉を聞いていた。このような嘲笑は散々受けて来たので今更何を言われても動じるようなアリアドネでは無かった。
「何だ?この女…」
「少しは怯えれば可愛げがあるものを」
(アリアドネ…)
ヨゼフは騎士たちの手前、アリアドネに声を掛けてあげる事が出来ずに胸を痛めながらその様子を見守っていた。
「よし、お前たち。中へ入るぞ。エルウィン様にお前たちの処遇を判断して貰おう」
「「はい」」
アリアドネとヨゼフは返事をすると、2人の騎士に連れられて城の中へと入って行った―。
アリアドネを乗せた馬車はまるで2人の騎士に連行されるような形で城門へと向かっていた。
やがて山の様にそり建つ巨大な城壁に取り付けられた鉄の城門が見えてくるとヨゼフはうなる様に言った。
「な、何と立派な城壁なのだ…」
すると、その言葉が耳に入ったのか、1人の騎士が振り向いた。
「どうだ?驚いただろう?城を取り囲む城壁は過去に一度も破られた事が無い鉄壁の壁なのだ。鼠一匹通した事は無い。なので城に忍び込もうとするような愚かな考えは捨てる事だな」
「!わ、私は決してそのような事は考えておりません!」
「フンッ!どうだかな…分った物では無い」
さらに別の騎士が鼻で嘲笑う。
馬車の中からその様子をじっと見守っていたアリアドネは益々不安が募って来る。
(お父様はお姉さまを花嫁にと辺境伯が望んでいると話して下さったけれども…本当にそうだったの?とてもそんな風に思えないわ…)
しかし、アリアドネは首を振った。
(いいえ、きっと何かの手違いよ。辺境伯に会えば…全て誤解だったと分かる筈だわ…)
アリアドネはここに来てもまだ少しの望みを持っていたのだった―。
やがて馬車が城の敷地内に入っていくと、眼前にまるで要塞のような巨大な城が現れた。その城は壁も屋根も全て石で出来ており、とても城とは呼べない武骨な作りであった。
「あ、あれが…アイゼンシュタット城なの…?」
馬車の中から城を見たアリアドネは息を飲んだ。
目の前にそびえ立つアイゼンシュタット城は…真っ白な壁に青い屋根の美しいステニウス伯爵家の城とは似ても似つかない物で、アリアドネにとってはまるで監獄の様に見えてしまった。
それはここまで御者としてアリアドネを連れて来たヨゼフにとっても同様だった。
(な、何だ…?この建物は…これでも城と呼べるのだろうか…?城と呼ぶよりは砦のようだ)
そこで改めてヨゼフはこの城が何と呼ばれているのかを思い出した。
厳塞要徼―
まさにその言葉を表すのに、これほどふさわしい呼び名は無いだろうとヨゼフは感じた。
やがて城の鉄の大門に辿り着くと2人の騎士は馬から降り、ヨゼフに命じた。
「城に到着した。降りるんだ」
「は、はい…」
別の騎士は馬車の中のアリアドネに声を掛けた。
「おい!お前も降りろ!」
「はい」
アリアドネは顔を隠す為にかぶっていたベールをもう一度、しっかりかぶり直すと返事をした。
アリアドネは2人の騎士がこの馬車に近付いてきた時から手荷物の中から父であるステニウス伯爵から手渡されたヴェールを被っていたのだ。アリアドネは言い含められていた。
『お前はミレーユではない。ミレーユの瞳は青だ。他の者にその紫の瞳を見られてはお前が偽物だとバレて辺境伯に会う前に追い出されてしまうかもしれない。決して彼に会うまではヴェールを脱ぐなよ』
そう言われていた。
「…」
アリアドネは無言で馬車の扉を開けると、手摺につかまり降りて来た。
「何だ?そのみすぼらしい恰好は?」
「ヴェール等被って…本当にエルウィン様と婚姻するつもりでやってきたのか?愚かな女だ」
2人の騎士はアリアドネを見て嘲け笑った。アリアドネが着ているドレスは騎士たちの目から見ても粗末なドレスだったのだ。
「…」
しかし、アリアドネは黙って騎士の言葉を聞いていた。このような嘲笑は散々受けて来たので今更何を言われても動じるようなアリアドネでは無かった。
「何だ?この女…」
「少しは怯えれば可愛げがあるものを」
(アリアドネ…)
ヨゼフは騎士たちの手前、アリアドネに声を掛けてあげる事が出来ずに胸を痛めながらその様子を見守っていた。
「よし、お前たち。中へ入るぞ。エルウィン様にお前たちの処遇を判断して貰おう」
「「はい」」
アリアドネとヨゼフは返事をすると、2人の騎士に連れられて城の中へと入って行った―。
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