身代わり婚~暴君と呼ばれる辺境伯に拒絶された仮初の花嫁

結城芙由奈@コミカライズ連載中

文字の大きさ
160 / 376

10-6 エルウィンの本音

しおりを挟む
「シュミットの報告が入るまでは、一旦会議は終了だ。次の作戦会議は城の鐘を鳴らして知らせる。全員念の為にいつでも出立出来るよう準備をしておけ!これにて一旦解散!」

『はい!』

全員が力強く返事をした―。


**

「エルウィン様、私は老いぼれですが…お役に立てると思います。私も連れて行って頂けますかな?」

会議が終わるとすぐにエデルガルトが名乗りを挙げてきたが、エルウィンは首を振った。

「いえ、師匠。折角の申し出、大変ありがたいのですが今回は城にとどまって頂きたい。お願いします」

「何故です?」

「はい、恐らく今回の拉致事件はオズワルドが絡んでいると思います。奴は何かよからぬ企みを抱いているかも知れない。なので俺が不在中は師匠にこの城をお願いしたいと思っています」

「そうですか…やはり、エルウィン様自ら動くのですね?越冬期間空けはすぐに国王からの命令で出陣することが多々あるのに?」

「ええ、当然です。今回の失態は俺が招いてしまったことです。責任は取らなければ。国王からの命令は二の次です」

エルウィンの碧眼の瞳には…強い意志が見えた。

「分かりました…。エルウィン様の妻となる方のお顔は…この城に戻ってくるまで楽しみにとっておきましょう。では私は一度下がらせて頂きます」

「ええ、また後ほど」

エデルガルトは頭を下げると、会議室を出ていった。



「大将」

エデルガルトが去ると、スティーブがエルウィンに声を掛けてきた。

「どうした?」

「当然…俺はメンバーに入れてもらいますよ?」

「ああ、勿論だ。何しろお前はこの城の一番部隊の団長だからな」

ニヤリと笑うエルウィンにスティーブは頭を下げた。

「大将…申し訳ありませんでした」

「…アリアドネのことか?」

「はい。まさか…大将が気付いていたとは思いもしませんでした」

「お前、俺をどれだけ見くびっているんだ?初めて後ろ姿を見た時から気付いていたぞ。何を今更そんなことを」

「なら、何故今迄何も知らないふりをしていたのですか?」

「それはお前もシュミットも必死で隠そうとしていたからだろう?アリアドネだってそうだ。自分の身元がバレるのを恐れているようだった。だが、そうさせてしまったのは…全て俺が原因なのも分かっていた」

「大将…」

「俺がいけなかったんだ。この城を出ていくように剣を向けたから…。だが、恐らくアリアドネは行き場が無かったんだろう?それでシュミットか…お前にこの城に置いてもらいたいと頼んだんじゃないか?労働する代わりに」

「そうです…俺とシュミットで決めました」

「もっと早く事情を知っていればな…いや、こんなのは言い訳に過ぎないな。とにかく、俺は何としてもアリアドネを必ず連れ戻す。スティーブ、準備をしておけ」

「はい!分かりました!」

スティーブは敬礼すると、足早に会議室を去って行った。

「よし…俺も準備に入るか」

エルウィンは会議室を出ると、自室へ向った―。



しおりを挟む

あなたにおすすめの小説

恐怖侯爵の後妻になったら、「君を愛することはない」と言われまして。

長岡更紗
恋愛
落ちぶれ子爵令嬢の私、レディアが後妻として嫁いだのは──まさかの恐怖侯爵様! しかも初夜にいきなり「君を愛することはない」なんて言われちゃいましたが? だけど、あれ? 娘のシャロットは、なんだかすごく懐いてくれるんですけど! 義理の娘と仲良くなった私、侯爵様のこともちょっと気になりはじめて…… もしかして、愛されるチャンスあるかも? なんて思ってたのに。 「前妻は雲隠れした」って噂と、「死んだのよ」って娘の言葉。 しかも使用人たちは全員、口をつぐんでばかり。 ねえ、どうして?  前妻さんに何があったの? そして、地下から聞こえてくる叫び声は、一体!? 恐怖侯爵の『本当の顔』を知った時。 私の心は、思ってもみなかった方向へ動き出す。 *他サイトにも公開しています

身代わり婚~暴君と呼ばれた辺境伯に拒絶された仮初の花嫁<外伝>

結城芙由奈@コミカライズ連載中
恋愛
【前作の登場人物たちのもう一つの物語】 アイゼンシュタット城の人々のそれぞれの物語 ※他サイトでも投稿中

【R18】熱い夜の相手は王太子!? ~婚約者だと告げられましたが、記憶がございません~

世界のボボブラ汁(エロル)
恋愛
激しい夜を過ごしたあと、私は気づいてしまった。 ──え……この方、誰? 相手は王太子で、しかも私の婚約者だという。 けれど私は、自分の名前すら思い出せない。 訳も分からず散った純潔、家族や自分の姿への違和感──混乱する私に追い打ちをかけるように、親友(?)が告げた。 「あなた、わたくしのお兄様と恋人同士だったのよ」 ……え、私、恋人がいたのに王太子とベッドを共に!? しかも王太子も恋人も、社交界を騒がすモテ男子。 もしかして、そのせいで私は命を狙われている? 公爵令嬢ベアトリス(?)が記憶を取り戻した先に待つのは── 愛か、陰謀か、それとも破滅か。 全米がハラハラする宮廷恋愛ストーリー……になっていてほしいですね! ※本作品はR18表現があります、ご注意ください。

余命六年の幼妻の願い~旦那様は私に興味が無い様なので自由気ままに過ごさせて頂きます。~

流雲青人
恋愛
商人と商品。そんな関係の伯爵家に生まれたアンジェは、十二歳の誕生日を迎えた日に医師から余命六年を言い渡された。 しかし、既に公爵家へと嫁ぐことが決まっていたアンジェは、公爵へは病気の存在を明かさずに嫁ぐ事を余儀なくされる。 けれど、幼いアンジェに公爵が興味を抱く訳もなく…余命だけが過ぎる毎日を過ごしていく。

遡ったのは君だけじゃない。離縁状を置いて出ていった妻ーー始まりは、そこからだった。

沼野 花
恋愛
夫と子供たちに、選ばれなかったイネス。 すべてを愛人に奪われ、彼女は限界を迎え、屋敷を去る。 だが、その先に待っていたのは、救いではなかった。 イネスを襲った、取り返しのつかない出来事。 変わり果てた現実を前に、 夫はようやく、自分が何を失ったのかを思い知る。 深い後悔と悲しみに苛まれながら、 失ったイネスの心を取り戻そうとする夫。 しかし、彼女の心はすでに、外の世界へと向かっていた。 贖罪を背負いながらもイネスを求め続ける夫。 そして、母の心を知っていく子供たち。 イネスが求める愛とは、 そして、幸せとは――。

虜囚の王女は言葉が通じぬ元敵国の騎士団長に嫁ぐ

あねもね
恋愛
グランテーレ国の第一王女、クリスタルは公に姿を見せないことで様々な噂が飛び交っていた。 その王女が和平のため、元敵国の騎士団長レイヴァンの元へ嫁ぐことになる。 敗戦国の宿命か、葬列かと見紛うくらいの重々しさの中、民に見守られながら到着した先は、言葉が通じない国だった。 言葉と文化、思いの違いで互いに戸惑いながらも交流を深めていく。

【完結】優しいあなたに、さようなら。二人目の婚約者は、私を殺そうとしている冷血公爵様でした

ゆきのひ
恋愛
伯爵令嬢であるディアの婚約者は、整った容姿と優しい性格で評判だった。だが、いつからか彼は、婚約者であるディアを差し置き、最近知り合った男爵令嬢を優先するようになっていく。 彼と男爵令嬢の一線を越えた振る舞いに耐え切れなくなったディアは、婚約破棄を申し出る。 そして婚約破棄が成った後、新たな婚約者として紹介されたのは、魔物を残酷に狩ることで知られる冷血公爵。その名に恐れをなして何人もの令嬢が婚約を断ったと聞いたディアだが、ある理由からその婚約を承諾する。 しかし、公爵にもディアにも秘密があった。 その秘密のせいで、ディアは命の危機を感じることになったのだ……。 ※本作は「小説家になろう」さん、カクヨムさんにも投稿しています ※表紙画像はAIで作成したものです

【完結】何もできない妻が愛する隻眼騎士のためにできること

大森 樹
恋愛
辺境伯の娘であるナディアは、幼い頃ドラゴンに襲われているところを騎士エドムンドに助けられた。 それから十年が経過し、成長したナディアは国王陛下からあるお願いをされる。その願いとは『エドムンドとの結婚』だった。 幼い頃から憧れていたエドムンドとの結婚は、ナディアにとって願ってもいないことだったが、その結婚は妻というよりは『世話係』のようなものだった。 誰よりも強い騎士団長だったエドムンドは、ある事件で左目を失ってから騎士をやめ、酒を浴びるほど飲み、自堕落な生活を送っているため今はもう英雄とは思えない姿になっていた。 貴族令嬢らしいことは何もできない仮の妻が、愛する隻眼騎士のためにできることはあるのか? 前向き一途な辺境伯令嬢×俺様で不器用な最強騎士の物語です。 ※いつもお読みいただきありがとうございます。中途半端なところで長期間投稿止まってしまい申し訳ありません。2025年10月6日〜投稿再開しております。

処理中です...