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10-20 衝撃
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アリアドネには一瞬何が起こったのか理解出来なかった。
突然エルウィンが部屋の中に現れたかと思えば、一瞬苦し気な表情を見せ…次の瞬間名前を呼ばれ、気づけば抱きしめられていた。
「アリアドネ…本当に無事で良かった…すまなかった!俺のせいでお前をこんな目に遭わせてしまって…」
どこか苦しげな声で謝罪しながら、エルウィンはますますアリアドネを抱きしめる腕に力を込める。
「エ、エルウィン様……?」
一方のアリアドネは戸惑うばかりだった。
自分の名を呼び、胸に埋め込まんばかりの力強いエルウィンの抱擁が信じられなかった。
(な、何…これは一体…。私は夢を見ているのかしら……?)
「俺がお前を傍に置いておけば…お前をあんな目に遭わせることは無かったのに…許してくれ…アリアドネ…」
その言葉にアリアドネは一気に冷静になった。
エルウィンが自分の名前を呼んでいることに今更ながら気付いたのだ。
(バレている…エルウィン様に…私の身元がバレていたのだわ…!どうすればいいの…?出て行けと言われていたのに…!)
アリアドネはエルウィンを騙してたことがバレていたという事実を知り、思わず身体が震えてしまった。
その震えがアリアドネを抱きしめているエルウィンにも伝わった。
「どうした…?アリアドネ…。お前、震えているじゃないか…?」
エルウィンがアリアドネを抱きしめる腕を緩め、見おろしてきたその時―。
アリアドネはエルウィンの身体を押し、距離を取ると頭を下げた。
「も…申し訳ございません!」
「え…?何故、謝罪をするのだ?むしろ悪いのはこの俺の方だろう?」
謝られたエルウィンは訳が分からず、首を傾げた。
「それは…エルウィン様に城を出て行くように言われておりましたのに、背いたからです。名前を偽り……図々しくも居座ってしまいました…」
「違う、それは俺が…」
次の瞬間、エルウィンはアリアドネの言葉に凍り付くことになる。
「…出ていきます…」
「え…?」
「越冬期間も終わった事ですし…一度城に戻った後、お世話になった皆様にお別れを言わせてください。その後はヨゼフさんと一緒にここを出ていきますので」
「アリアドネ…お前、さっきから一体何を言ってるんだ?ここを出ていくだと?本気でそんなこと言っているのか?」
「はい。初めからエルウィン様に言われた通り、城を出ていれば、そもそもこんなことにはならなかったわけですから。私のせいで…エルウィン様だけでなく、皆様に多大なるご迷惑をおかけしてしまいました。本当に申し訳ございませんでした」
「いや、それは違うぞ?ダリウスの奴は最初からアイゼンシュタット城を狙っていたんだ。越冬期間が始まる前から奴は『アイデン』に忍び込んでいたんだぞ?むしろこんな結果を招いたしまったのは侵入者を許してしまった城主である俺の落ち度だ。大体出て行くって何処へ行くつもりなんだ?行き場はあるのか?それにミカエルとウリエルだって、あんなにお前に懐いているじゃないか」
自分が卑怯な言い方をしているのは百も承知だ。
それにアリアドネが反論出来ないようにまくし立てているのもエルウィンは自覚していた。
「エルウィン様…」
アリアドネは大きな目を見開いて、エルウィンを見つめている。
(何故なの?今のエルウィン様は……まるで私をここに引き留めようとしているみたいだけど…)
「聞いてくれ、アリアドネ。俺は…」
エルウィンが次の言葉を言いかけた時…。
バンッ!!
扉が乱暴に開けられ、ノックも無しにスティーブが部屋の中に飛び込んできた。
「た、大変ですっ!大将っ!!」
「何だ?!騒がしい奴め…」
突然乱入してきたスティーブにいら立ちを感じつつ、エルウィンは尋ねた。
「はい、立った今城に放っていた伝書鳩が伝令を持って戻ってきたのですが…城が、アイゼンシュタット城が…オズワルドによって乗っ取られてしまいましたっ!!」
「何だってっ?!」
それはあまりにも衝撃的な話であった――。
突然エルウィンが部屋の中に現れたかと思えば、一瞬苦し気な表情を見せ…次の瞬間名前を呼ばれ、気づけば抱きしめられていた。
「アリアドネ…本当に無事で良かった…すまなかった!俺のせいでお前をこんな目に遭わせてしまって…」
どこか苦しげな声で謝罪しながら、エルウィンはますますアリアドネを抱きしめる腕に力を込める。
「エ、エルウィン様……?」
一方のアリアドネは戸惑うばかりだった。
自分の名を呼び、胸に埋め込まんばかりの力強いエルウィンの抱擁が信じられなかった。
(な、何…これは一体…。私は夢を見ているのかしら……?)
「俺がお前を傍に置いておけば…お前をあんな目に遭わせることは無かったのに…許してくれ…アリアドネ…」
その言葉にアリアドネは一気に冷静になった。
エルウィンが自分の名前を呼んでいることに今更ながら気付いたのだ。
(バレている…エルウィン様に…私の身元がバレていたのだわ…!どうすればいいの…?出て行けと言われていたのに…!)
アリアドネはエルウィンを騙してたことがバレていたという事実を知り、思わず身体が震えてしまった。
その震えがアリアドネを抱きしめているエルウィンにも伝わった。
「どうした…?アリアドネ…。お前、震えているじゃないか…?」
エルウィンがアリアドネを抱きしめる腕を緩め、見おろしてきたその時―。
アリアドネはエルウィンの身体を押し、距離を取ると頭を下げた。
「も…申し訳ございません!」
「え…?何故、謝罪をするのだ?むしろ悪いのはこの俺の方だろう?」
謝られたエルウィンは訳が分からず、首を傾げた。
「それは…エルウィン様に城を出て行くように言われておりましたのに、背いたからです。名前を偽り……図々しくも居座ってしまいました…」
「違う、それは俺が…」
次の瞬間、エルウィンはアリアドネの言葉に凍り付くことになる。
「…出ていきます…」
「え…?」
「越冬期間も終わった事ですし…一度城に戻った後、お世話になった皆様にお別れを言わせてください。その後はヨゼフさんと一緒にここを出ていきますので」
「アリアドネ…お前、さっきから一体何を言ってるんだ?ここを出ていくだと?本気でそんなこと言っているのか?」
「はい。初めからエルウィン様に言われた通り、城を出ていれば、そもそもこんなことにはならなかったわけですから。私のせいで…エルウィン様だけでなく、皆様に多大なるご迷惑をおかけしてしまいました。本当に申し訳ございませんでした」
「いや、それは違うぞ?ダリウスの奴は最初からアイゼンシュタット城を狙っていたんだ。越冬期間が始まる前から奴は『アイデン』に忍び込んでいたんだぞ?むしろこんな結果を招いたしまったのは侵入者を許してしまった城主である俺の落ち度だ。大体出て行くって何処へ行くつもりなんだ?行き場はあるのか?それにミカエルとウリエルだって、あんなにお前に懐いているじゃないか」
自分が卑怯な言い方をしているのは百も承知だ。
それにアリアドネが反論出来ないようにまくし立てているのもエルウィンは自覚していた。
「エルウィン様…」
アリアドネは大きな目を見開いて、エルウィンを見つめている。
(何故なの?今のエルウィン様は……まるで私をここに引き留めようとしているみたいだけど…)
「聞いてくれ、アリアドネ。俺は…」
エルウィンが次の言葉を言いかけた時…。
バンッ!!
扉が乱暴に開けられ、ノックも無しにスティーブが部屋の中に飛び込んできた。
「た、大変ですっ!大将っ!!」
「何だ?!騒がしい奴め…」
突然乱入してきたスティーブにいら立ちを感じつつ、エルウィンは尋ねた。
「はい、立った今城に放っていた伝書鳩が伝令を持って戻ってきたのですが…城が、アイゼンシュタット城が…オズワルドによって乗っ取られてしまいましたっ!!」
「何だってっ?!」
それはあまりにも衝撃的な話であった――。
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