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13−12 エルウィンとマティアス
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明日も早く出発するということで、アリアドネは一足先に部屋へと戻った。
一方、エルウィンは食堂に残ってチーズをつまみに好きなワインを1人で飲んでいるとマティアスが現れた。
「エルウィン様。御一緒しても宜しいでしょうか?」
マティアスの手にはワインとグラスが握りしめられている。
「ああ、構わないぞ。座れ」
「はい、では失礼致します」
マティアスはエルウィンと同じテーブルにつくと、早速ワインをエルウィンの空いているグラスに注いだ。
「うん、すまないな」
赤く透明に澄んだ液体がグラスに注がれるのを見ながらエルウィンは礼を述べた。
「いえ、とんでもありません」
マティアスはエルウィンのグラスにワインを注ぎ入れると、次に自分のグラスにもワインを注ぎ入れた。
「では、乾杯致しましょう」
「そうだな」
エルウィンとマティアスは共にグラスをカチンと合わせると、口に入れた。
「どうです?お味は?」
「うむ、そうだな。やはりカルザス地方のワインは美味いな」
ワインに目がないエルウィンは満足そうに頷く。余程美味しかったのか、あっという間にグラスの中は空になっていた。
「ですよね?しかもこれは当たり年のワインですから格別ですよ」
再度エルウィンにワインを注ぎながらマティアスは笑みを浮かべた。
「そうなのか?だからか」
嬉しそうに笑みを浮かべるエルウィンにマティアスは尋ねた。
「ところでエルウィン様。先程アリアドネ様と2人きりで何を話されていたのですか?」
「ん?アリアドネとか?」
「ええ、そうです」
頷くマティアス。
実は初めから、これが目的でマティアスはワインを携えてエルウィンの元へと足を運んできたのだ。
騎士たちを代表して……。
「別にお前たちが気にするような大した話ではないぞ」
煽るようにワインを飲み干すエルウィンにマティアスは更にワインを注ぎなが食い下がる。
「まぁそう言わずに教えて下さいませんか?何やらとても楽しげに話していらしたではありませんか」
「そんなに楽しそうに見えたか?」
「ええ。とても親しげで楽しそうでした」
「そうか…なら話してみてもいいか……。実はな、夜会の話をしていたのだ」
「夜会の話…ですか?」
「ああ。アリアドネが俺に訴えてきたんだ。城の夜会ではダンスを踊れないから欠席したいと」
「ああ…成程。それは一理ありますね」
踊れないなら不参加は当然だろうとマティアスは考えた。
「だから俺はアリアドネに言ったんだ。俺も踊れないから大丈夫だと」
「はい?」
マティアスは一瞬耳を疑った。
「何だ?お前……ひょっとして俺がダンスが出来ると思っていたのか?」
眉間にシワを寄せるエルウィン。
「い、いえ…で、でも確かにエルウィン様にダンスはあまり似合わないような…」
「当然だろう?何が楽しくて、音楽に合わせて派手に着飾って香水の臭いをプンプンさせた女と一緒に踊らなければならないのだ?冗談じゃない。見世物でもあるまいし」
言いながら一気にワインを飲み干すエルウィン。
「う~ん…確かにエルウィン様の場合は戦場で剣を振り回す姿がお似合いですね」
「そうだ、当然だろう。ダンスなんてものはな、ナヨナヨした男が踊るものなんだ。俺は絶対にやらないかららな」
(アリアドネ様は今後も苦労が耐えないだろうな……。頑張って下さい)
ブツブツ文句を言いながらワインを飲み続けるエルウィンを前に、マティアスは心の中でアリアドネを応援した――。
一方、エルウィンは食堂に残ってチーズをつまみに好きなワインを1人で飲んでいるとマティアスが現れた。
「エルウィン様。御一緒しても宜しいでしょうか?」
マティアスの手にはワインとグラスが握りしめられている。
「ああ、構わないぞ。座れ」
「はい、では失礼致します」
マティアスはエルウィンと同じテーブルにつくと、早速ワインをエルウィンの空いているグラスに注いだ。
「うん、すまないな」
赤く透明に澄んだ液体がグラスに注がれるのを見ながらエルウィンは礼を述べた。
「いえ、とんでもありません」
マティアスはエルウィンのグラスにワインを注ぎ入れると、次に自分のグラスにもワインを注ぎ入れた。
「では、乾杯致しましょう」
「そうだな」
エルウィンとマティアスは共にグラスをカチンと合わせると、口に入れた。
「どうです?お味は?」
「うむ、そうだな。やはりカルザス地方のワインは美味いな」
ワインに目がないエルウィンは満足そうに頷く。余程美味しかったのか、あっという間にグラスの中は空になっていた。
「ですよね?しかもこれは当たり年のワインですから格別ですよ」
再度エルウィンにワインを注ぎながらマティアスは笑みを浮かべた。
「そうなのか?だからか」
嬉しそうに笑みを浮かべるエルウィンにマティアスは尋ねた。
「ところでエルウィン様。先程アリアドネ様と2人きりで何を話されていたのですか?」
「ん?アリアドネとか?」
「ええ、そうです」
頷くマティアス。
実は初めから、これが目的でマティアスはワインを携えてエルウィンの元へと足を運んできたのだ。
騎士たちを代表して……。
「別にお前たちが気にするような大した話ではないぞ」
煽るようにワインを飲み干すエルウィンにマティアスは更にワインを注ぎなが食い下がる。
「まぁそう言わずに教えて下さいませんか?何やらとても楽しげに話していらしたではありませんか」
「そんなに楽しそうに見えたか?」
「ええ。とても親しげで楽しそうでした」
「そうか…なら話してみてもいいか……。実はな、夜会の話をしていたのだ」
「夜会の話…ですか?」
「ああ。アリアドネが俺に訴えてきたんだ。城の夜会ではダンスを踊れないから欠席したいと」
「ああ…成程。それは一理ありますね」
踊れないなら不参加は当然だろうとマティアスは考えた。
「だから俺はアリアドネに言ったんだ。俺も踊れないから大丈夫だと」
「はい?」
マティアスは一瞬耳を疑った。
「何だ?お前……ひょっとして俺がダンスが出来ると思っていたのか?」
眉間にシワを寄せるエルウィン。
「い、いえ…で、でも確かにエルウィン様にダンスはあまり似合わないような…」
「当然だろう?何が楽しくて、音楽に合わせて派手に着飾って香水の臭いをプンプンさせた女と一緒に踊らなければならないのだ?冗談じゃない。見世物でもあるまいし」
言いながら一気にワインを飲み干すエルウィン。
「う~ん…確かにエルウィン様の場合は戦場で剣を振り回す姿がお似合いですね」
「そうだ、当然だろう。ダンスなんてものはな、ナヨナヨした男が踊るものなんだ。俺は絶対にやらないかららな」
(アリアドネ様は今後も苦労が耐えないだろうな……。頑張って下さい)
ブツブツ文句を言いながらワインを飲み続けるエルウィンを前に、マティアスは心の中でアリアドネを応援した――。
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