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16-18 違和感ある2人の会話
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エルウィンとアリアドネが騎士たちの元へ戻ってきたので、全員で遅めの昼食を取ることになった。
全員でこの村唯一の宿屋件食堂に入り、昼食を取っていたのだが……。
「おい、見ろ。アリアドネ様とエルウィン様の様子を」
一人の騎士が小声で同じテーブルに座る2人の仲間たちに話かけてきた。
「ああ、何だかおかしな雰囲気だな?」
「お前もそう思うか?」
「当然だろう?エルウィン様だけ、やたらと上機嫌だ。それに引き換え……」
「「「何故、アリアドネ様は元気がないのだろう?」」」
3人が声を揃えて首を傾げるのだった……。
そんな彼らの会話を近くの席でマティアスとカインは聞いていた。
「どう思う?カイン?」
肉料理を口に入れていたカインにマティアスが尋ねてきた。
「そうですね……。お2人で戻られたときからアリアドネ様の様子がおかしいですよね?」
「ああ、そうなんだ。時折笑顔を見せてはいるものの……何だか無理に笑っているようにも見える」
「はい。エルウィン様はアリアドネ様が好きな木彫りのアクセサリーをプレゼントすることが出来て満足しているようですが……」
「これは何か2人の間で行き違いが合ったかもしれないな」
マティアスの言葉に頷くカイン。
そして2人は思った。
やはり、エルウィンは女心に疎い……と――。
「アリアドネ、食事が終わればまた出発する。次の場所で今日は宿泊する予定だ。そこはこの村よりもずっと大きな町だ。到着したら、好きなだけ欲しいものを買ってやろう」
エルウィンは上機嫌で向かい側に座るアリアドネに話しかけていた。
「いえ、もうあんなに沢山素晴らしい木彫りのアクセサリーを頂いたので、もう十分です」
「何故だ?その……俺からの褒美は欲しくはないのか?」
「いえ、そうではありません。とても嬉しいです。でも私には過ぎたものですから」
「そうか?なら、やはりここはお前に金を渡すべきなのだろうな。そのほうがいいだろう?好きなものを自分で買えるわけだし……何より生きていくには金は必要うだからな。大体今迄給金を貰っていなかったのだろう?まとめて支払うことにしよう」
「お金……ですか?」
「ああ、そうだ。それなら受け取ってもらえるだろう?やはり自由にできる金が無いとこの先も困るだろうしな」
エルウィンは特に深い意味を持ってこの言葉を言ったわけでは無かったが、アリアドネはその言葉を重く受け取った。
(まとめて支払う……それは下働きやメイドとして働いたお金と退職金のことを言っているのかしら……?)
けれどアイゼンシュタット城を出れば必然的にお金は必要になってくる。今は衣食住に困らない生活をおくれてはいるものの、城を出れば一切の補助を受けられなくなるのだ。
「それでは……お金を頂けますか?」
「ああ、勿論だ。お前の好きなだけくれてやろう」
そんな2人の会話をその場にいる騎士達が違和感のある目で見つめていることに、エルウィンもアリアドネも気付いてはいなかった――。
全員でこの村唯一の宿屋件食堂に入り、昼食を取っていたのだが……。
「おい、見ろ。アリアドネ様とエルウィン様の様子を」
一人の騎士が小声で同じテーブルに座る2人の仲間たちに話かけてきた。
「ああ、何だかおかしな雰囲気だな?」
「お前もそう思うか?」
「当然だろう?エルウィン様だけ、やたらと上機嫌だ。それに引き換え……」
「「「何故、アリアドネ様は元気がないのだろう?」」」
3人が声を揃えて首を傾げるのだった……。
そんな彼らの会話を近くの席でマティアスとカインは聞いていた。
「どう思う?カイン?」
肉料理を口に入れていたカインにマティアスが尋ねてきた。
「そうですね……。お2人で戻られたときからアリアドネ様の様子がおかしいですよね?」
「ああ、そうなんだ。時折笑顔を見せてはいるものの……何だか無理に笑っているようにも見える」
「はい。エルウィン様はアリアドネ様が好きな木彫りのアクセサリーをプレゼントすることが出来て満足しているようですが……」
「これは何か2人の間で行き違いが合ったかもしれないな」
マティアスの言葉に頷くカイン。
そして2人は思った。
やはり、エルウィンは女心に疎い……と――。
「アリアドネ、食事が終わればまた出発する。次の場所で今日は宿泊する予定だ。そこはこの村よりもずっと大きな町だ。到着したら、好きなだけ欲しいものを買ってやろう」
エルウィンは上機嫌で向かい側に座るアリアドネに話しかけていた。
「いえ、もうあんなに沢山素晴らしい木彫りのアクセサリーを頂いたので、もう十分です」
「何故だ?その……俺からの褒美は欲しくはないのか?」
「いえ、そうではありません。とても嬉しいです。でも私には過ぎたものですから」
「そうか?なら、やはりここはお前に金を渡すべきなのだろうな。そのほうがいいだろう?好きなものを自分で買えるわけだし……何より生きていくには金は必要うだからな。大体今迄給金を貰っていなかったのだろう?まとめて支払うことにしよう」
「お金……ですか?」
「ああ、そうだ。それなら受け取ってもらえるだろう?やはり自由にできる金が無いとこの先も困るだろうしな」
エルウィンは特に深い意味を持ってこの言葉を言ったわけでは無かったが、アリアドネはその言葉を重く受け取った。
(まとめて支払う……それは下働きやメイドとして働いたお金と退職金のことを言っているのかしら……?)
けれどアイゼンシュタット城を出れば必然的にお金は必要になってくる。今は衣食住に困らない生活をおくれてはいるものの、城を出れば一切の補助を受けられなくなるのだ。
「それでは……お金を頂けますか?」
「ああ、勿論だ。お前の好きなだけくれてやろう」
そんな2人の会話をその場にいる騎士達が違和感のある目で見つめていることに、エルウィンもアリアドネも気付いてはいなかった――。
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