326 / 376
17-19 エルウィンの復活
しおりを挟む
「いいかい?ゼロ。この手紙をエルウィン様に必ず届けるんだよ?」
ミカエルは伝書鳩の右足に手紙を巻き付けると頭を撫でた。
「クゥルルルル……」
ゼロと呼ばれたハトはすぐにバサリと羽を広げて空にふわりと舞い上がると、アイゼンシュタット城へ向けて飛んで行った。
飛び去って行く鳩を見送りながらマティアスがミカエルに話しかけた。
「それにしても知りませんでした。まさかミカエル様とウリエル様が伝書鳩を飼いならしていたとは」
するとミカエルは首を振った。
「違うよ、飼いならしているんじゃないよ。ゼロは僕とウリエルの友達なんだよ?」
「うん、そうだよ!」
ウリエルが頷く。
「成程……お友達、ですか。それではお友達が城の仲間を連れて戻ってくるまでの間、我々だけで出来ることをしましょう」
マティアスの言葉に、3人は頷いた――。
****
その頃、アイゼンシュタット城では何とか笑いを収めて来たシュミットとエデルガルトがエルウィンを説得していた。
「とにかく、アリアドネ様は誤解されていただけですよ。クビにされたと思い込んでしまったから出て行かれたのですよ」
「そうですとも、シュミットの言う通りですぞ?アリアドネ様だってエルウィン様のことを憎からず思っていたはずです。だからこそ、ショックを受けて誰にも知られないように出て行かれたのです。迎えに行けば、きっと戻られますとも」
「そうです!エルウィン様。今にスティーブがアリアドネ様を連れて城に戻ってくるはずですから!」
シュミットとエデルガルトは必死になってエルウィンを説得する。
何しろ、越冬期間が開けた今……いつまたこの国を狙って、敵が襲ってくるか分からないのだ。
「戦場の暴君」と呼ばれるエルウィンがまるで抜け殻のような状態になってしまっていては非常に困るのであった。
しかしエルウィンは机の上に頭をつけたまま、ボソリと言う。
「それは単なる憶測だろう……?アリアドネは血の気が多くて、気の利かない俺が嫌になって出て行ったに違いない……」
「エルウィン様……」
「しっかりなさって下さい!貴方はこの国を守る『辺境伯』なのですぞ!」
その時――。
コン!コン!
窓を叩く音が執務室に響き渡った。
「あ!伝書鳩ではありませんか!」
シュミットが窓を開けると、ミカエルの放った伝書鳩が室内に飛び込んできた。そしてエルウィンの伏している机の上に降りると「クルルル」と喉を鳴らす。
「何やら手紙が巻き付けてあるようだ」
「手紙……?」
エデルガルトの言葉に反応したエルウィンは少しだけ顔を上げた。
「拝読致します」
シュミットは鳩の足から手紙を取ると、広げて目を通し……驚きの声を上げた。
「た、大変です!アリアドネ様の捜索に向かったスティーブ達が……どうやら見知らぬ男たちによって、眠らされた上に縛り上げられたようです!」
「何だって?!それは大変だ!場所はどこだ?!」
エデルガルトはシュミットに尋ねた。
「宿場村『ウルス』です!エルウィン様!今すぐ救出に向かいましょう!」
「ああ……そうだな。それでは師匠。指揮をとって『ウルス』へ向かって下さい。悪いですが、今は剣を持つ気にもなれなくて‥‥‥」
エルウィンの発言に目を見開くシュミットとエデルガルト。
「何を言っているのですか!スティーブ達が捕まったのですよ?!」
シュミットが血相を変えてエルウィンに訴える。
「ええ、そうです!『ウルス』と言えば、『アイデン』の一番外れにある最後の宿場村です。恐らくスティーブ達はアリアドネ様の行方をそこまで追っていたのでしょう。そして『ウルス』で見知らぬ男たちに捕まった…‥‥つまり、アリアドネ様も捕らえられている可能性があると言う事ですぞ!」
「な、何だってっ?!」
エデルガルトの言葉にエルウィンは真っ青になって立ち上がった。
「よし!すぐに『ウルス』へ向かう!1番部隊の騎士達と遠隔攻撃を行う騎士たちを大至急集めろ!!」
シュミットに命じるエルウィンは……いつものオーラをまとった『戦場の暴君』に戻っていた――。
ミカエルは伝書鳩の右足に手紙を巻き付けると頭を撫でた。
「クゥルルルル……」
ゼロと呼ばれたハトはすぐにバサリと羽を広げて空にふわりと舞い上がると、アイゼンシュタット城へ向けて飛んで行った。
飛び去って行く鳩を見送りながらマティアスがミカエルに話しかけた。
「それにしても知りませんでした。まさかミカエル様とウリエル様が伝書鳩を飼いならしていたとは」
するとミカエルは首を振った。
「違うよ、飼いならしているんじゃないよ。ゼロは僕とウリエルの友達なんだよ?」
「うん、そうだよ!」
ウリエルが頷く。
「成程……お友達、ですか。それではお友達が城の仲間を連れて戻ってくるまでの間、我々だけで出来ることをしましょう」
マティアスの言葉に、3人は頷いた――。
****
その頃、アイゼンシュタット城では何とか笑いを収めて来たシュミットとエデルガルトがエルウィンを説得していた。
「とにかく、アリアドネ様は誤解されていただけですよ。クビにされたと思い込んでしまったから出て行かれたのですよ」
「そうですとも、シュミットの言う通りですぞ?アリアドネ様だってエルウィン様のことを憎からず思っていたはずです。だからこそ、ショックを受けて誰にも知られないように出て行かれたのです。迎えに行けば、きっと戻られますとも」
「そうです!エルウィン様。今にスティーブがアリアドネ様を連れて城に戻ってくるはずですから!」
シュミットとエデルガルトは必死になってエルウィンを説得する。
何しろ、越冬期間が開けた今……いつまたこの国を狙って、敵が襲ってくるか分からないのだ。
「戦場の暴君」と呼ばれるエルウィンがまるで抜け殻のような状態になってしまっていては非常に困るのであった。
しかしエルウィンは机の上に頭をつけたまま、ボソリと言う。
「それは単なる憶測だろう……?アリアドネは血の気が多くて、気の利かない俺が嫌になって出て行ったに違いない……」
「エルウィン様……」
「しっかりなさって下さい!貴方はこの国を守る『辺境伯』なのですぞ!」
その時――。
コン!コン!
窓を叩く音が執務室に響き渡った。
「あ!伝書鳩ではありませんか!」
シュミットが窓を開けると、ミカエルの放った伝書鳩が室内に飛び込んできた。そしてエルウィンの伏している机の上に降りると「クルルル」と喉を鳴らす。
「何やら手紙が巻き付けてあるようだ」
「手紙……?」
エデルガルトの言葉に反応したエルウィンは少しだけ顔を上げた。
「拝読致します」
シュミットは鳩の足から手紙を取ると、広げて目を通し……驚きの声を上げた。
「た、大変です!アリアドネ様の捜索に向かったスティーブ達が……どうやら見知らぬ男たちによって、眠らされた上に縛り上げられたようです!」
「何だって?!それは大変だ!場所はどこだ?!」
エデルガルトはシュミットに尋ねた。
「宿場村『ウルス』です!エルウィン様!今すぐ救出に向かいましょう!」
「ああ……そうだな。それでは師匠。指揮をとって『ウルス』へ向かって下さい。悪いですが、今は剣を持つ気にもなれなくて‥‥‥」
エルウィンの発言に目を見開くシュミットとエデルガルト。
「何を言っているのですか!スティーブ達が捕まったのですよ?!」
シュミットが血相を変えてエルウィンに訴える。
「ええ、そうです!『ウルス』と言えば、『アイデン』の一番外れにある最後の宿場村です。恐らくスティーブ達はアリアドネ様の行方をそこまで追っていたのでしょう。そして『ウルス』で見知らぬ男たちに捕まった…‥‥つまり、アリアドネ様も捕らえられている可能性があると言う事ですぞ!」
「な、何だってっ?!」
エデルガルトの言葉にエルウィンは真っ青になって立ち上がった。
「よし!すぐに『ウルス』へ向かう!1番部隊の騎士達と遠隔攻撃を行う騎士たちを大至急集めろ!!」
シュミットに命じるエルウィンは……いつものオーラをまとった『戦場の暴君』に戻っていた――。
52
あなたにおすすめの小説
【完結】消された第二王女は隣国の王妃に熱望される
風子
恋愛
ブルボマーナ国の第二王女アリアンは絶世の美女だった。
しかし側妃の娘だと嫌われて、正妃とその娘の第一王女から虐げられていた。
そんな時、隣国から王太子がやって来た。
王太子ヴィルドルフは、アリアンの美しさに一目惚れをしてしまう。
すぐに婚約を結び、結婚の準備を進める為に帰国したヴィルドルフに、突然の婚約解消の連絡が入る。
アリアンが王宮を追放され、修道院に送られたと知らされた。
そして、新しい婚約者に第一王女のローズが決まったと聞かされるのである。
アリアンを諦めきれないヴィルドルフは、お忍びでアリアンを探しにブルボマーナに乗り込んだ。
そしてある夜、2人は運命の再会を果たすのである。
【電子書籍化・1月末削除予定】余命一カ月の魔法使いは我儘に生きる
大森 樹
恋愛
【本編完結、番外編追加しています】
多くの方にお読みいただき感謝申し上げます。
感想たくさんいただき感謝致します。全て大切に読ませていただいております。
残念ですが、この度電子書籍化に伴い規約に基づき2026年1月末削除予定です。
よろしくお願いいたします。
-----------------------------------------------------------
大魔法使いエルヴィは、最大の敵である魔女を倒した。
「お前は死の恐怖に怯えながら、この一カ月無様に生きるといい」
死に際に魔女から呪いをかけられたエルヴィは、自分の余命が一カ月しかないことを知る。
国王陛下から命を賭して魔女討伐をした褒美に『どんな我儘でも叶える』と言われたが……エルヴィのお願いはとんでもないことだった!?
「ユリウス・ラハティ様と恋人になりたいです!」
エルヴィは二十歳近く年上の騎士団長ユリウスにまさかの公開告白をしたが、彼は亡き妻を想い独身を貫いていた。しかし、王命により二人は強制的に一緒に暮らすことになって……
常識が通じない真っ直ぐな魔法使いエルヴィ×常識的で大人な騎士団長のユリウスの期間限定(?)のラブストーリーです。
※どんな形であれハッピーエンドになります。
【完結】身勝手な旦那様と離縁したら、異国で我が子と幸せになれました
綾雅(りょうが)要らない悪役令嬢
恋愛
腹を痛めて産んだ子を蔑ろにする身勝手な旦那様、離縁してくださいませ!
完璧な人生だと思っていた。優しい夫、大切にしてくれる義父母……待望の跡取り息子を産んだ私は、彼らの仕打ちに打ちのめされた。腹を痛めて産んだ我が子を取り戻すため、バレンティナは離縁を選ぶ。復讐する気のなかった彼女だが、新しく出会った隣国貴族に一目惚れで口説かれる。身勝手な元婚家は、嘘がバレて自業自得で没落していった。
崩壊する幸せ⇒異国での出会い⇒ハッピーエンド
元婚家の自業自得ざまぁ有りです。
【同時掲載】 小説家になろう、アルファポリス、カクヨム、エブリスタ
2022/10/07……アルファポリス、女性向けHOT4位
2022/10/05……カクヨム、恋愛週間13位
2022/10/04……小説家になろう、恋愛日間63位
2022/09/30……エブリスタ、トレンド恋愛19位
2022/09/28……連載開始
人質姫と忘れんぼ王子
雪野 結莉
恋愛
何故か、同じ親から生まれた姉妹のはずなのに、第二王女の私は冷遇され、第一王女のお姉様ばかりが可愛がられる。
やりたいことすらやらせてもらえず、諦めた人生を送っていたが、戦争に負けてお金の為に私は売られることとなった。
お姉様は悠々と今まで通りの生活を送るのに…。
初めて投稿します。
書きたいシーンがあり、そのために書き始めました。
初めての投稿のため、何度も改稿するかもしれませんが、どうぞよろしくお願いします。
小説家になろう様にも掲載しております。
読んでくださった方が、表紙を作ってくださいました。
新○文庫風に作ったそうです。
気に入っています(╹◡╹)
【完結】いくら溺愛されても、顔がいいから結婚したいと言う男は信用できません!
大森 樹
恋愛
天使の生まれ変わりと言われるほど可愛い子爵令嬢のアイラは、ある日突然騎士のオスカーに求婚される。
なぜアイラに求婚してくれたのか尋ねると「それはもちろん、君の顔がいいからだ!」と言われてしまった。
顔で女を選ぶ男が一番嫌いなアイラは、こっ酷くオスカーを振るがそれでもオスカーは諦める様子はなく毎日アイラに熱烈なラブコールを送るのだった。
それに加えて、美形で紳士な公爵令息ファビアンもアイラが好きなようで!?
しかし、アイラには結婚よりも叶えたい夢があった。
アイラはどちらと恋をする? もしくは恋は諦めて、夢を選ぶのか……最後までお楽しみください。
【完結】妖精姫と忘れられた恋~好きな人が結婚するみたいなので解放してあげようと思います~
塩羽間つづり
恋愛
お気に入り登録やエールいつもありがとうございます!
2.23完結しました!
ファルメリア王国の姫、メルティア・P・ファルメリアは、幼いころから恋をしていた。
相手は幼馴染ジーク・フォン・ランスト。
ローズの称号を賜る名門一族の次男だった。
幼いころの約束を信じ、いつかジークと結ばれると思っていたメルティアだが、ジークが結婚すると知り、メルティアの生活は一変する。
好きになってもらえるように慣れないお化粧をしたり、着飾ったりしてみたけれど反応はいまいち。
そしてだんだんと、メルティアは恋の邪魔をしているのは自分なのではないかと思いあたる。
それに気づいてから、メルティアはジークの幸せのためにジーク離れをはじめるのだが、思っていたようにはいかなくて……?
妖精が見えるお姫様と近衛騎士のすれ違う恋のお話
切なめ恋愛ファンタジー
【完結】偽物聖女は冷血騎士団長様と白い結婚をしたはずでした。
雨宮羽那
恋愛
聖女補佐官であるレティノアは、補佐官であるにも関わらず、祈りをささげる日々を送っていた。
というのも、本来聖女であるはずの妹が、役目を放棄して遊び歩いていたからだ。
そんなある日、妹が「真実の愛に気づいたの」と言って恋人と駆け落ちしてしまう。
残されたのは、聖女の役目と――王命によって決められた聖騎士団長様との婚姻!?
レティノアは、妹の代わりとして聖女の立場と聖騎士団長との結婚を押し付けられることに。
相手のクラウスは、「血も涙もない冷血な悪魔」と噂される聖騎士団長。クラウスから「俺はあなたに触れるつもりはない」と言い放たれたレティノアは、「これは白い結婚なのだ」と理解する。
しかし、クラウスの態度は噂とは異なり、レティノアを愛しているようにしか思えなくて……?
これは、今まで妹の代わりの「偽物」として扱われてきた令嬢が「本物」として幸せをつかむ物語。
◇◇◇◇
お気に入り登録、♡、感想などいただければ、作者が大変喜びます!
モチベになるので良ければ応援していただければ嬉しいです♪
※いつも通りざまぁ要素は中盤以降。
※完結まで執筆済み
※表紙はAIイラストです
※アルファポリス先行投稿(他投稿サイトにも掲載予定です)
【完結】白い結婚成立まであと1カ月……なのに、急に家に帰ってきた旦那様の溺愛が止まりません!?
氷雨そら
恋愛
3年間放置された妻、カティリアは白い結婚を宣言し、この結婚を無効にしようと決意していた。
しかし白い結婚が認められる3年を目前にして戦地から帰ってきた夫は彼女を溺愛しはじめて……。
夫は妻が大好き。勘違いすれ違いからの溺愛物語。
小説家なろうにも投稿中
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる