327 / 376
17-20 恋とは人を変えるもの
しおりを挟む
「よし!全員揃ったな!」
馬上でエルウィンが集められた騎士たちを前に声を上げた。
『はい!!』
エルウィンの言葉に声を揃えて返事をする騎士たち。その数、およそ70人。
「あ、あの……エルウィン様」
そのとき、1人の騎士が恐る恐る手を上げた。
「何だ?サム。何か意見でもあるのか?」
「はい。エルウィン様。それにしても……いくらスティーブたちを救い出すためとは言え……少々数が多すぎはしないですか?」
サムと呼ばれた騎士が勇気ある発言をした。
するとたちまちエルウィンの眉が上がり、途端に激しく怒声を浴びせられる。
「何だと貴様!俺の決定に文句でもあるのか?!これは重大な決定事項だ!いいか、お前達!自体は一刻一秒を争うのだ。今、こうしている間にも危険が迫っているかもしれないのだぞ?!こんな風に話している時間すら惜しい!すぐに『ウルス』の宿場村へ向けて出発だ!遅れた者は容赦しない!行くぞ!!」
エルウィンは一気にまくし立てると、先頭を切って猛スピードで馬を走らせた。更にその後ろを遅れてはただでは済まないと、騎士たちが必死で追う。
そして、エルウィン率いる騎士団は地響きをたてながら、あっという間に地平線の彼方に見えなくなってしまった。
「「……」」
その様子を半ば呆気に取られた様子で見守っていたシュミットとエデルガルト。
「いやはや……何とも凄い有様だったな」
エデルガルトが苦笑しながら隣にいるシュミットに語りかけてきた。
「はい……驚きました。まさか戦地に赴くわけでも無いのに、選りすぐりの騎士を70人も引き連れて出るのですから。もし、万一敵がこの城を襲ってきた時、どうするおつもりなのでしょうね」
呆れた様子でシュミットが答える。
「何、案ずるな。シュミット。この俺は齢60を超える爺だが、まだまだやれるぞ?それに城にはまだ、あのオズワルドが指揮していた騎士団も残っているからな?」
オズワルド側についていた騎士たちは、今ではすっかりエデルガルドに懐柔されていた。中には反抗的な者達もいたが、彼らは全員城を追い出されていたのだった。
「そうですね。エデルガルト様がいれば、エルウィン様の不在中に万一のことがあっても、大丈夫でしょう」
シュミットが頷く。そして2人は同じことを思った。
恋とは人を変えるものだ……と――。
****
一方、『ウルス』の宿場村では……。
「よーし、アイゼンシュタットの騎士共はこれで全員運び込んだな」
リーダー各の男が眠りについたまま縛り上げられたスティーブ達を見下ろした。
「ああ、全員だ」
頷く1人の男。
「よし!なら鍵を掛けて、出られないようにしておけ!これからアイゼンシュタットを急襲する準備を始めるぞ!」
「おう!」
意気揚々と返事をするカルタン族の男たち。
彼らはまだ知らない。
エルウィン率いるアイゼンシュタットのエリート騎士たちが70名もの大人数で、この宿場村を目指しているということに――。
馬上でエルウィンが集められた騎士たちを前に声を上げた。
『はい!!』
エルウィンの言葉に声を揃えて返事をする騎士たち。その数、およそ70人。
「あ、あの……エルウィン様」
そのとき、1人の騎士が恐る恐る手を上げた。
「何だ?サム。何か意見でもあるのか?」
「はい。エルウィン様。それにしても……いくらスティーブたちを救い出すためとは言え……少々数が多すぎはしないですか?」
サムと呼ばれた騎士が勇気ある発言をした。
するとたちまちエルウィンの眉が上がり、途端に激しく怒声を浴びせられる。
「何だと貴様!俺の決定に文句でもあるのか?!これは重大な決定事項だ!いいか、お前達!自体は一刻一秒を争うのだ。今、こうしている間にも危険が迫っているかもしれないのだぞ?!こんな風に話している時間すら惜しい!すぐに『ウルス』の宿場村へ向けて出発だ!遅れた者は容赦しない!行くぞ!!」
エルウィンは一気にまくし立てると、先頭を切って猛スピードで馬を走らせた。更にその後ろを遅れてはただでは済まないと、騎士たちが必死で追う。
そして、エルウィン率いる騎士団は地響きをたてながら、あっという間に地平線の彼方に見えなくなってしまった。
「「……」」
その様子を半ば呆気に取られた様子で見守っていたシュミットとエデルガルト。
「いやはや……何とも凄い有様だったな」
エデルガルトが苦笑しながら隣にいるシュミットに語りかけてきた。
「はい……驚きました。まさか戦地に赴くわけでも無いのに、選りすぐりの騎士を70人も引き連れて出るのですから。もし、万一敵がこの城を襲ってきた時、どうするおつもりなのでしょうね」
呆れた様子でシュミットが答える。
「何、案ずるな。シュミット。この俺は齢60を超える爺だが、まだまだやれるぞ?それに城にはまだ、あのオズワルドが指揮していた騎士団も残っているからな?」
オズワルド側についていた騎士たちは、今ではすっかりエデルガルドに懐柔されていた。中には反抗的な者達もいたが、彼らは全員城を追い出されていたのだった。
「そうですね。エデルガルト様がいれば、エルウィン様の不在中に万一のことがあっても、大丈夫でしょう」
シュミットが頷く。そして2人は同じことを思った。
恋とは人を変えるものだ……と――。
****
一方、『ウルス』の宿場村では……。
「よーし、アイゼンシュタットの騎士共はこれで全員運び込んだな」
リーダー各の男が眠りについたまま縛り上げられたスティーブ達を見下ろした。
「ああ、全員だ」
頷く1人の男。
「よし!なら鍵を掛けて、出られないようにしておけ!これからアイゼンシュタットを急襲する準備を始めるぞ!」
「おう!」
意気揚々と返事をするカルタン族の男たち。
彼らはまだ知らない。
エルウィン率いるアイゼンシュタットのエリート騎士たちが70名もの大人数で、この宿場村を目指しているということに――。
応援ありがとうございます!
0
お気に入りに追加
2,819
1 / 5
この作品を読んでいる人はこんな作品も読んでいます!
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる