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5章
5-4
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カオルはくるりと中を見回す。
「何か珍しいか?」
「いえ、前は中を見る余裕がなかったので」
タンスに鏡に、ベッドに机ぐらいで、珍しいものがあるわけではない。だけど、ノアの部屋にある物は全て、傷がありつつも丁寧に手入れがされていた。
寝台を撫でる。
「大事に、使われているんですね」
「貧民時代の癖だな。壊れても買い換えられるわけではないから、手入れの腕ばかり上がっていく」
「私は、新品よりこちらの方が好きです」
「それは良かった」
――私のことも、出来るだけ長く愛してくれるだろうか……。
とは、流石に言わなかったけれど。
そしてぱちりと目を開けると、ノアがくつくつと笑っていた。
「考えていることがわかりやすいな」
「……からかわないでください」
「心配するな。死んでも離さない。執着は強い方なんだ」
ベッドに腰掛けたノアが、ゆっくりと手を伸ばしてくる。
前ボタンを上から順に外される。カオルはそれを、見ていた。レースの下着が覗き、抑えきれない匂いが漏れる。
ショーツの底は、既に重たく濡れていた。
「触っても、いいか?」
「聞かないで、ください……」
自分でも何でかわからないが、こういう時だけ身体は動く。
ノアの膝に乗り上げて、口付けを落とす。白い髪がベールのように影を作った。
くちゅ、……と唾液の糸を作ったまま、カオルは言う。
「たくさん、してください。……忘れられる、ように」
意味は伝わったようだった。ノアの手が、何も言わずにカオルに触れる。汗ばんだ首筋から、鎖骨を撫でられ、背中に回され、ぱちり、とホックが外された。
もう、上半身を守るものは何もない。けれど、少しも不安には思わなかった。
つんとした蕾を撫でられて、吐息が漏れる。
「ふぅ、ああ……」
周りをなぞられ、きゅ、と摘まれる。繰り返されて、胸が熱く重たくなる。
「あ、あう、……っあ。……んあっ!」
「痛いか?」
見上げてくるノアの眼は、瞳孔が開いていて一層黒さを増していた。
「……もっと」
引き締まった背に腕を回し、頬を擦り寄せる。胸を押し付ける格好のまま、近くにあった耳を舐めた。
もっと近づきたい。暖めてほしい。そして何より。
「……もっと、触って」
ノアの喉が、大きく上下した、ような気がした。
くるりと身体を反転させられ、カオルはベッドに寝かされる。
額から汗を流したノアが、じっとカオルを見つめていた。
「頼むから何かあったら言え。……たぶん、激しくなる」
◇
(血筋でコレなのだとしたら、まあ……イルミナ家が栄える理由も、わからなくはない……)
カオルに言ったら幻滅されそうだし、ケアラに言ったら殺されそうなので胸に留めるが。
ショーツも抜き取らせ、一糸纏わぬ姿となったカオルが、仄かに染まった身体を仰向けにしている。
呼吸のたびに胸が揺れ、形の良い双丘を汗が伝う。肉付きが良いのにくびれた腰は、ノアが手を添えると張りを見せながらも柔く沈む。
「ん、ぅぅ……う、あ……っ。気持ち、良い……です」
「……ああ、そのようだな」
「からかわ、ないで……っ。ん、あう……っ!」
髪と同色の下生えに指を通した。濡れて光る茂み、その中央の突起を、緩く摘む。
「……あっ! んあっ!」
蜜の匂いが立ち込める。どんな媚薬より頭を犯す。浮いた腰とシーツは、愛液の線で繋がったままだった。
「……好きなだけ喘げ。その声が好きだ」
陰核を親指で押したまま、蜜壺に中指を沈めていった。
「ぁぁああああ……っ。あ、あああっ」
入れた指を鉤状にして、親指も曲げる。摘むような形にした手で、陰核とGスポットを挟んで揺する。
たちまち、カオルは切羽詰まった声を上げた。
「の、あ様……っ! それだめ、すぐに……っ! イ……っ」
「もっとしろと言ったのはお前だ。……我慢するな。果てろ」
「……ひ、っーー~~~っ!」
ノアの言葉に応えるように、カオルの体が縮こまる。膣に入った指は抜けなさそうなほど締められていた。
このまま挿れても、入るだろうが。
(……眺めていたいな)
指を二本に増やして、さらに中を圧してやった。
「やっ、あああっ! また、……んうっ! な、んで……っ! そんなに……っ! っくうあああっ!」
こぽり、と指の隙間から漏れる愛液は既に白く、溢れんばかりの淫匂がする。既に準備は終わっているのに、ノアは延々と指を動かす。
「あああ、イ……って、ますっ、からあ! ひゃあああああああっ!」
「……はは。綺麗だぞ、誇れ」
シーツを掻き抱いてのたうつカオルを、ノアは上から見続けていた。まだ指は、止まらない。
「何か珍しいか?」
「いえ、前は中を見る余裕がなかったので」
タンスに鏡に、ベッドに机ぐらいで、珍しいものがあるわけではない。だけど、ノアの部屋にある物は全て、傷がありつつも丁寧に手入れがされていた。
寝台を撫でる。
「大事に、使われているんですね」
「貧民時代の癖だな。壊れても買い換えられるわけではないから、手入れの腕ばかり上がっていく」
「私は、新品よりこちらの方が好きです」
「それは良かった」
――私のことも、出来るだけ長く愛してくれるだろうか……。
とは、流石に言わなかったけれど。
そしてぱちりと目を開けると、ノアがくつくつと笑っていた。
「考えていることがわかりやすいな」
「……からかわないでください」
「心配するな。死んでも離さない。執着は強い方なんだ」
ベッドに腰掛けたノアが、ゆっくりと手を伸ばしてくる。
前ボタンを上から順に外される。カオルはそれを、見ていた。レースの下着が覗き、抑えきれない匂いが漏れる。
ショーツの底は、既に重たく濡れていた。
「触っても、いいか?」
「聞かないで、ください……」
自分でも何でかわからないが、こういう時だけ身体は動く。
ノアの膝に乗り上げて、口付けを落とす。白い髪がベールのように影を作った。
くちゅ、……と唾液の糸を作ったまま、カオルは言う。
「たくさん、してください。……忘れられる、ように」
意味は伝わったようだった。ノアの手が、何も言わずにカオルに触れる。汗ばんだ首筋から、鎖骨を撫でられ、背中に回され、ぱちり、とホックが外された。
もう、上半身を守るものは何もない。けれど、少しも不安には思わなかった。
つんとした蕾を撫でられて、吐息が漏れる。
「ふぅ、ああ……」
周りをなぞられ、きゅ、と摘まれる。繰り返されて、胸が熱く重たくなる。
「あ、あう、……っあ。……んあっ!」
「痛いか?」
見上げてくるノアの眼は、瞳孔が開いていて一層黒さを増していた。
「……もっと」
引き締まった背に腕を回し、頬を擦り寄せる。胸を押し付ける格好のまま、近くにあった耳を舐めた。
もっと近づきたい。暖めてほしい。そして何より。
「……もっと、触って」
ノアの喉が、大きく上下した、ような気がした。
くるりと身体を反転させられ、カオルはベッドに寝かされる。
額から汗を流したノアが、じっとカオルを見つめていた。
「頼むから何かあったら言え。……たぶん、激しくなる」
◇
(血筋でコレなのだとしたら、まあ……イルミナ家が栄える理由も、わからなくはない……)
カオルに言ったら幻滅されそうだし、ケアラに言ったら殺されそうなので胸に留めるが。
ショーツも抜き取らせ、一糸纏わぬ姿となったカオルが、仄かに染まった身体を仰向けにしている。
呼吸のたびに胸が揺れ、形の良い双丘を汗が伝う。肉付きが良いのにくびれた腰は、ノアが手を添えると張りを見せながらも柔く沈む。
「ん、ぅぅ……う、あ……っ。気持ち、良い……です」
「……ああ、そのようだな」
「からかわ、ないで……っ。ん、あう……っ!」
髪と同色の下生えに指を通した。濡れて光る茂み、その中央の突起を、緩く摘む。
「……あっ! んあっ!」
蜜の匂いが立ち込める。どんな媚薬より頭を犯す。浮いた腰とシーツは、愛液の線で繋がったままだった。
「……好きなだけ喘げ。その声が好きだ」
陰核を親指で押したまま、蜜壺に中指を沈めていった。
「ぁぁああああ……っ。あ、あああっ」
入れた指を鉤状にして、親指も曲げる。摘むような形にした手で、陰核とGスポットを挟んで揺する。
たちまち、カオルは切羽詰まった声を上げた。
「の、あ様……っ! それだめ、すぐに……っ! イ……っ」
「もっとしろと言ったのはお前だ。……我慢するな。果てろ」
「……ひ、っーー~~~っ!」
ノアの言葉に応えるように、カオルの体が縮こまる。膣に入った指は抜けなさそうなほど締められていた。
このまま挿れても、入るだろうが。
(……眺めていたいな)
指を二本に増やして、さらに中を圧してやった。
「やっ、あああっ! また、……んうっ! な、んで……っ! そんなに……っ! っくうあああっ!」
こぽり、と指の隙間から漏れる愛液は既に白く、溢れんばかりの淫匂がする。既に準備は終わっているのに、ノアは延々と指を動かす。
「あああ、イ……って、ますっ、からあ! ひゃあああああああっ!」
「……はは。綺麗だぞ、誇れ」
シーツを掻き抱いてのたうつカオルを、ノアは上から見続けていた。まだ指は、止まらない。
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