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5章

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 カオルはくるりと中を見回す。

「何か珍しいか?」
「いえ、前は中を見る余裕がなかったので」

 タンスに鏡に、ベッドに机ぐらいで、珍しいものがあるわけではない。だけど、ノアの部屋にある物は全て、傷がありつつも丁寧に手入れがされていた。
 寝台を撫でる。

「大事に、使われているんですね」
「貧民時代の癖だな。壊れても買い換えられるわけではないから、手入れの腕ばかり上がっていく」
「私は、新品よりこちらの方が好きです」
「それは良かった」

 ――私のことも、出来るだけ長く愛してくれるだろうか……。
 とは、流石に言わなかったけれど。
 そしてぱちりと目を開けると、ノアがくつくつと笑っていた。

「考えていることがわかりやすいな」
「……からかわないでください」
「心配するな。死んでも離さない。執着は強い方なんだ」

 ベッドに腰掛けたノアが、ゆっくりと手を伸ばしてくる。
 前ボタンを上から順に外される。カオルはそれを、見ていた。レースの下着が覗き、抑えきれない匂いが漏れる。
 ショーツの底は、既に重たく濡れていた。

「触っても、いいか?」
「聞かないで、ください……」

 自分でも何でかわからないが、こういう時だけ身体は動く。
ノアの膝に乗り上げて、口付けを落とす。白い髪がベールのように影を作った。
 くちゅ、……と唾液の糸を作ったまま、カオルは言う。

「たくさん、してください。……忘れられる、ように」

 意味は伝わったようだった。ノアの手が、何も言わずにカオルに触れる。汗ばんだ首筋から、鎖骨を撫でられ、背中に回され、ぱちり、とホックが外された。
 もう、上半身を守るものは何もない。けれど、少しも不安には思わなかった。
 つんとした蕾を撫でられて、吐息が漏れる。

「ふぅ、ああ……」

 周りをなぞられ、きゅ、と摘まれる。繰り返されて、胸が熱く重たくなる。

「あ、あう、……っあ。……んあっ!」
「痛いか?」

 見上げてくるノアの眼は、瞳孔が開いていて一層黒さを増していた。

「……もっと」

 引き締まった背に腕を回し、頬を擦り寄せる。胸を押し付ける格好のまま、近くにあった耳を舐めた。
 もっと近づきたい。暖めてほしい。そして何より。

「……もっと、触って」

 ノアの喉が、大きく上下した、ような気がした。
 くるりと身体を反転させられ、カオルはベッドに寝かされる。
 額から汗を流したノアが、じっとカオルを見つめていた。

「頼むから何かあったら言え。……たぶん、激しくなる」



(血筋でコレなのだとしたら、まあ……イルミナ家が栄える理由も、わからなくはない……)
 カオルに言ったら幻滅されそうだし、ケアラに言ったら殺されそうなので胸に留めるが。
 ショーツも抜き取らせ、一糸纏わぬ姿となったカオルが、仄かに染まった身体を仰向けにしている。
 呼吸のたびに胸が揺れ、形の良い双丘を汗が伝う。肉付きが良いのにくびれた腰は、ノアが手を添えると張りを見せながらも柔く沈む。

「ん、ぅぅ……う、あ……っ。気持ち、良い……です」
「……ああ、そのようだな」
「からかわ、ないで……っ。ん、あう……っ!」

 髪と同色の下生えに指を通した。濡れて光る茂み、その中央の突起を、緩く摘む。

「……あっ! んあっ!」

 蜜の匂いが立ち込める。どんな媚薬より頭を犯す。浮いた腰とシーツは、愛液の線で繋がったままだった。

「……好きなだけ喘げ。その声が好きだ」

 陰核を親指で押したまま、蜜壺に中指を沈めていった。

「ぁぁああああ……っ。あ、あああっ」

 入れた指を鉤状にして、親指も曲げる。摘むような形にした手で、陰核とGスポットを挟んで揺する。
 たちまち、カオルは切羽詰まった声を上げた。

「の、あ様……っ! それだめ、すぐに……っ! イ……っ」
「もっとしろと言ったのはお前だ。……我慢するな。果てろ」
「……ひ、っーー~~~っ!」

 ノアの言葉に応えるように、カオルの体が縮こまる。膣に入った指は抜けなさそうなほど締められていた。
 このまま挿れても、入るだろうが。
(……眺めていたいな)
 指を二本に増やして、さらに中を圧してやった。

「やっ、あああっ! また、……んうっ! な、んで……っ! そんなに……っ! っくうあああっ!」

 こぽり、と指の隙間から漏れる愛液は既に白く、溢れんばかりの淫匂がする。既に準備は終わっているのに、ノアは延々と指を動かす。
「あああ、イ……って、ますっ、からあ! ひゃあああああああっ!」
「……はは。綺麗だぞ、誇れ」

 シーツを掻き抱いてのたうつカオルを、ノアは上から見続けていた。まだ指は、止まらない。
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