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第3章
第320話 説得?
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「そこを退いて。」
「だゔぇだあ!はしがぁ~こゔぁれる~!ショーがぁはしぃからおぢるぅ~。」
騎士が橋を通ろうとするのをオデ君が両手を大きく広げて、バタバタしながら邪魔をしている。
「退いてくれ。火を消しに行くんだ。」
「だゔぇだあ!はしがぁおぢる~。ショーもおぢじゃう~!」
オデ君が大きな体で手足を振り回して泣き叫んでいる。橋は馬車がやっと通れるほどの幅で、騎士が突っ切ろうとするとオデ君が邪魔をする。しかし、オデ君は確かに大男だけど、騎士が手に追えない程ではないんじゃないか?何人かでオデ君を拘束してその隙に進んで仕舞えば良いのに。
「無理矢理にでも火を消しに行った方が良いのではないか?」
デリックさんが眉間の皺に軽く指を触れながら目を細めて不思議そうに行った。
「そうであるな。このままでは燃え広がってしまうである。」
少し離れた位置に立って、人を橋に近づけないように指示していた騎士に話しかけてみた。声をかけた時は、訝しげな顔をして振り向いたがこちらを見て表情が変わった。こちらが貴族令息だと分かったのかもしれない。
「な、何か?」
「何故、彼を拘束して消火に向かおうとしないんですか?」
「それは‥‥命令が出ていないので‥‥。」
「命令?」
「許可がないとですね…。」
騎士が言い淀んでるのを見て、何となく察した。
「もしかして、彼は貴族令息?」
「は、はあ‥‥。そうらしいと‥‥」
騎士を更に突いて聞いてみたところ、どうやらオデ君とわがまま坊やはここら辺では結構目立っていて、何処かの貴族の庶子だという噂があるのだそうだ。もしも貴族に連なるものだとすると傷つけたら不味いから、無闇に近づいて拘束できないでいるらしい。
拘束の許可の為に領主に連絡しに行っているそうだ。
「我々で拘束するであるか?相手の爵位は不明であるが、状況が状況であるからな。」
「そうだね。でも一応怪我させない方が良いだろうから、一度だけ話をしてみるか。」
騎士の一人に、俺達で説得してみると告げるとすんなり道を開けてくれた。何だか堅苦しい表情をしていると思ったら、フォーゲル君が着ている上着がいかにも貴族らしい毛皮がフカフカのコートだった。
納得した後、オデ君の方に向き直った。
オデ君は、俺と目が合うとビクリと肩を跳ねさせて唸るようにしてこちらを睨んだ。
「だ、だんだおばえ‥‥。」
「やあ、オデ君。」
「オデ、オデでない。」
「ああ、確か‥‥ベン君だったっけ。」
わがまま坊やが冒険者ギルドでそんな風に呼んでいた気がする。
「そだ‥‥オデ、ベンだ‥‥。」
オデ君、ベン君がぎこちなく頷いた。
「俺はマーカスだよ。ベン君、そこを退いてくれる?火を消しに行かないと。」
「だ、だゔぇだ‥‥。はしがおぢる‥‥。うう‥‥。」
「ベン君、そこを退いてくれる?」
「うう‥‥。」
ベン君の顔から血の気が引いていく。じり、じりと後ろに下がっていく。
「べん君、そこを退いて。」
「うう‥‥。」
じわじわと強めていた威圧を、一歩踏み出したタイミングで更に強めると、ベン君はドタドタと数歩後ろに下がった後、地面に座り込んでしまった。
「だゔぇだあ!はしがぁ~こゔぁれる~!ショーがぁはしぃからおぢるぅ~。」
騎士が橋を通ろうとするのをオデ君が両手を大きく広げて、バタバタしながら邪魔をしている。
「退いてくれ。火を消しに行くんだ。」
「だゔぇだあ!はしがぁおぢる~。ショーもおぢじゃう~!」
オデ君が大きな体で手足を振り回して泣き叫んでいる。橋は馬車がやっと通れるほどの幅で、騎士が突っ切ろうとするとオデ君が邪魔をする。しかし、オデ君は確かに大男だけど、騎士が手に追えない程ではないんじゃないか?何人かでオデ君を拘束してその隙に進んで仕舞えば良いのに。
「無理矢理にでも火を消しに行った方が良いのではないか?」
デリックさんが眉間の皺に軽く指を触れながら目を細めて不思議そうに行った。
「そうであるな。このままでは燃え広がってしまうである。」
少し離れた位置に立って、人を橋に近づけないように指示していた騎士に話しかけてみた。声をかけた時は、訝しげな顔をして振り向いたがこちらを見て表情が変わった。こちらが貴族令息だと分かったのかもしれない。
「な、何か?」
「何故、彼を拘束して消火に向かおうとしないんですか?」
「それは‥‥命令が出ていないので‥‥。」
「命令?」
「許可がないとですね…。」
騎士が言い淀んでるのを見て、何となく察した。
「もしかして、彼は貴族令息?」
「は、はあ‥‥。そうらしいと‥‥」
騎士を更に突いて聞いてみたところ、どうやらオデ君とわがまま坊やはここら辺では結構目立っていて、何処かの貴族の庶子だという噂があるのだそうだ。もしも貴族に連なるものだとすると傷つけたら不味いから、無闇に近づいて拘束できないでいるらしい。
拘束の許可の為に領主に連絡しに行っているそうだ。
「我々で拘束するであるか?相手の爵位は不明であるが、状況が状況であるからな。」
「そうだね。でも一応怪我させない方が良いだろうから、一度だけ話をしてみるか。」
騎士の一人に、俺達で説得してみると告げるとすんなり道を開けてくれた。何だか堅苦しい表情をしていると思ったら、フォーゲル君が着ている上着がいかにも貴族らしい毛皮がフカフカのコートだった。
納得した後、オデ君の方に向き直った。
オデ君は、俺と目が合うとビクリと肩を跳ねさせて唸るようにしてこちらを睨んだ。
「だ、だんだおばえ‥‥。」
「やあ、オデ君。」
「オデ、オデでない。」
「ああ、確か‥‥ベン君だったっけ。」
わがまま坊やが冒険者ギルドでそんな風に呼んでいた気がする。
「そだ‥‥オデ、ベンだ‥‥。」
オデ君、ベン君がぎこちなく頷いた。
「俺はマーカスだよ。ベン君、そこを退いてくれる?火を消しに行かないと。」
「だ、だゔぇだ‥‥。はしがおぢる‥‥。うう‥‥。」
「ベン君、そこを退いてくれる?」
「うう‥‥。」
ベン君の顔から血の気が引いていく。じり、じりと後ろに下がっていく。
「べん君、そこを退いて。」
「うう‥‥。」
じわじわと強めていた威圧を、一歩踏み出したタイミングで更に強めると、ベン君はドタドタと数歩後ろに下がった後、地面に座り込んでしまった。
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