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第2章
第280話 感染症対策と魔道具の説明
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シャル叔父さんの商隊の人々。ルシャル商会の従業員の人だとか護衛で同行していた冒険者の人だとかの全員は感染症対策だとかで臨時の野営場で滞在してもらうことになった。
臨時の場所といっても、実は殿下達がきていた時に騎士達が野営していた場所で、地面とかは綺麗に整地されているし近くに井戸もある。
そこに臨時の水浴び小屋が作られた。シャワーを浴びて服も洗濯し身綺麗にしてもらう。
数日経っても特に感染症の症状が出ていないことを確認するまでは、町にも出ないでもらうようにお願いしたそうだ。
シャワーの装置の魔道具はルドおじさんが作っていた。僕もお湯を出す魔法陣魔石とか作ろうかと思ったんだけど大勢が使うものだから、魔力はあまり使わない装置が良いということで基本的には井戸の水を汲んできて、薪を燃やして湯を沸かす仕組みで水量の調整のところだけ魔石を使うんだって。
冒険者の人達の中にはあまり水浴びをしたがらない人もいたみたいだけど、お湯のシャワーは好評だったみたいだ。
「え?何これ?どういう仕組み!?」
僕の作った魔道具についてのちゃんとした相談は、シャル叔父さんを含む商隊の人達に流行病の心配がなくなってからということにしようかって話はあったんだけど、
感染症予防の為に直接接するのを避けるなら、「お話」の魔道具や「手紙」の魔道具は有効なので商会で扱うかとかは後で相談するという前提で極秘で使ってもらうことになった。
何か秘密保持みたいな誓約書とか書いた上で、衝立を置いてやりとりしていた。
用途や使い方の説明もあらかじめ板に書いたものを渡している。
「『離れていても話ができる』って?『離れた場所に手紙を送ることができる』って? 何?何?指輪で?」
「……とりあえず、使ってみてくれ。まずは指輪と腕輪の方だ」
ちょっと興奮気味なシャル叔父さんと対照的に父上が淡々と話す。
僕と兄上は部屋の一番隅で様子を伺っていた。父上が説明をするから僕は同席しなくても良いって言われたんだ。でも僕が作った魔道具のことだから、シャル叔父さんの魔道具に対する反応は見たいので部屋の隅で様子を見させてもらっていた。
それなら、同席するのは僕だけで良さそうなんだけど兄上は「クリスは突然近づいて行ったりしそうだから」と心配なんだそうで、僕の隣に居る。
アンソラ男爵領の流行病の噂とかがなかったら、一つ一つ僕が説明できたんだけど、仕方ない。
「うわ!腕輪が震えてる!何これ、何これ!」
「説明に書いてあるだろう。魔力を流せ」
「へ?」
「流したか?」
「わ!?兄上の声が指輪から聞こえる?兄上、指輪に入っちゃった?」
「そんなわけないだろ!」
「ほぉぉ!もしかして、こっちの声も兄上が持っている指輪から聞こえるんですかあ?聞こえますかあ?元気ですかあ!?」
「聞こえてる。うるさい」
「ひゃあ!やっべえ!」
衝立の向こうからシャル叔父さんのはしゃいだ声が聞こえる。
「また、兄上の声が指輪から聞こえてきましたよ。衝立の向こうからも声がするのに。
ちょっと、これ!これはやばいですよ!」
ぴょこっと、衝立の上からシャル叔父さんが顔を出した。
「これ!離れた場所って、どのくらい離れたところまで使えるんですか?魔石ですよね!
どのくらいの時間、維持できるんですか!? 」
「立ち上がるな」
「だって、だって!これ、大変な発明じゃないですか!どうしたんですか、これ!」
「落ち着け」
「あー、はいはい。でもぉ、兄上、これがどれだけ凄いことか分かってます?」
座ったのかスッと衝立の向こうにシャル叔父さんが消える。
「分かってるから、お前を呼んだんだろ?」
「はあ……、また大変なものを……。しかも、じっくり話が聞きたいのに近づいちゃダメなんて」
「話はその魔道具を使ってできるだろう」
「あ、そうか!」
「立ち上がるな」
シャル叔父さんが再びピョコっと衝立から顔を出して、また引っ込んだ。
臨時の場所といっても、実は殿下達がきていた時に騎士達が野営していた場所で、地面とかは綺麗に整地されているし近くに井戸もある。
そこに臨時の水浴び小屋が作られた。シャワーを浴びて服も洗濯し身綺麗にしてもらう。
数日経っても特に感染症の症状が出ていないことを確認するまでは、町にも出ないでもらうようにお願いしたそうだ。
シャワーの装置の魔道具はルドおじさんが作っていた。僕もお湯を出す魔法陣魔石とか作ろうかと思ったんだけど大勢が使うものだから、魔力はあまり使わない装置が良いということで基本的には井戸の水を汲んできて、薪を燃やして湯を沸かす仕組みで水量の調整のところだけ魔石を使うんだって。
冒険者の人達の中にはあまり水浴びをしたがらない人もいたみたいだけど、お湯のシャワーは好評だったみたいだ。
「え?何これ?どういう仕組み!?」
僕の作った魔道具についてのちゃんとした相談は、シャル叔父さんを含む商隊の人達に流行病の心配がなくなってからということにしようかって話はあったんだけど、
感染症予防の為に直接接するのを避けるなら、「お話」の魔道具や「手紙」の魔道具は有効なので商会で扱うかとかは後で相談するという前提で極秘で使ってもらうことになった。
何か秘密保持みたいな誓約書とか書いた上で、衝立を置いてやりとりしていた。
用途や使い方の説明もあらかじめ板に書いたものを渡している。
「『離れていても話ができる』って?『離れた場所に手紙を送ることができる』って? 何?何?指輪で?」
「……とりあえず、使ってみてくれ。まずは指輪と腕輪の方だ」
ちょっと興奮気味なシャル叔父さんと対照的に父上が淡々と話す。
僕と兄上は部屋の一番隅で様子を伺っていた。父上が説明をするから僕は同席しなくても良いって言われたんだ。でも僕が作った魔道具のことだから、シャル叔父さんの魔道具に対する反応は見たいので部屋の隅で様子を見させてもらっていた。
それなら、同席するのは僕だけで良さそうなんだけど兄上は「クリスは突然近づいて行ったりしそうだから」と心配なんだそうで、僕の隣に居る。
アンソラ男爵領の流行病の噂とかがなかったら、一つ一つ僕が説明できたんだけど、仕方ない。
「うわ!腕輪が震えてる!何これ、何これ!」
「説明に書いてあるだろう。魔力を流せ」
「へ?」
「流したか?」
「わ!?兄上の声が指輪から聞こえる?兄上、指輪に入っちゃった?」
「そんなわけないだろ!」
「ほぉぉ!もしかして、こっちの声も兄上が持っている指輪から聞こえるんですかあ?聞こえますかあ?元気ですかあ!?」
「聞こえてる。うるさい」
「ひゃあ!やっべえ!」
衝立の向こうからシャル叔父さんのはしゃいだ声が聞こえる。
「また、兄上の声が指輪から聞こえてきましたよ。衝立の向こうからも声がするのに。
ちょっと、これ!これはやばいですよ!」
ぴょこっと、衝立の上からシャル叔父さんが顔を出した。
「これ!離れた場所って、どのくらい離れたところまで使えるんですか?魔石ですよね!
どのくらいの時間、維持できるんですか!? 」
「立ち上がるな」
「だって、だって!これ、大変な発明じゃないですか!どうしたんですか、これ!」
「落ち着け」
「あー、はいはい。でもぉ、兄上、これがどれだけ凄いことか分かってます?」
座ったのかスッと衝立の向こうにシャル叔父さんが消える。
「分かってるから、お前を呼んだんだろ?」
「はあ……、また大変なものを……。しかも、じっくり話が聞きたいのに近づいちゃダメなんて」
「話はその魔道具を使ってできるだろう」
「あ、そうか!」
「立ち上がるな」
シャル叔父さんが再びピョコっと衝立から顔を出して、また引っ込んだ。
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