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第1章
第11話 レオノールさん
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「弟に何をする気だ!」
「い、いやぁ……。」
「ちょっと、話を……。」
戸惑った様子でモゴモゴと何か言っている。岩場を移動している時に何か背後に害意を感じたのは気のせいだったのかな。
もう一度、3人の方を見た時、視界の端にチラリと人影が動いた。
「チッ。」
離れた場所だけど微かに舌打ちが聞こえた気がした。2人組の冒険者が少し離れた場所から睨むようにこちらの方を見ているようだ。
実際は表情ははっきりはわからないんだけど、黒っぽい思念みたいなのを感じるんだ。
その人達と違うところからも害意が向けられていたのだと思う。何か意識が向けられていたのが逸れた気がした。
キョロキョロと見回すと、岩場の向こうの方にこちらに背を向けた歩き出している人達がいた。
視線を逸らしたから向けられあた害意も逸れたのかな。
何、どうなってるの?何が起きてるの?
ドキドキと心臓が脈打つ。不安で涙が出そうになる。
ザッと兄上が一歩踏み出して、炎を纏った剣を振り上げた。3人組がちょっと焦った声を上げた。
「ちょっ……。待ってくれよ。何もしねえよ!俺たちは!」
「そ、そうだよ。俺たちはな。」
「そうそうっ。」
3人組が口々に言う。何だか含みのある言い方だ。
「なんで追ってきた?」
兄上が怪訝そうな声を出した。
「あんた達、何やってんのよ。」
急に背後で声がしてギョッとした。振り向くと、サラサラした長い銀髪に濃い紫色の瞳をした背の高い美形が立っていた。
騎士服を着ている。男装の女性にも見えなくはないけど、男性だ、と思う。声も低いし。そして、何となく見覚えがあるような気がした。
ーーー氷華の騎士レオン
ふと、頭の中に浮かび上がった。氷?
あったことある人かな。
「ラ、ライラック小隊長。」
「ンンッ!」
3人組の一人、痩せていて灰色のボサボサ髪をした人物が言うと、銀髪美形が咳払いをした。知り合いか。小隊長と呼ばれているから銀髪美形は騎士なんだと思うけど、
呼び方からして、3人組も騎士なのか?でも冒険者の格好をしているし。
「一体なんですか!あなた達は!」
兄上が剣を構えたまま、3人組と小隊長と呼ばれた銀髪美形を交互にみた。
銀髪美形が両手を上げて手のひらを見せ、苦笑しながら言う。
「ああ、ごめんね。脅かすつもりはなかったのよ。……私は、レオノール。王宮騎士をしているの。」
銀髪美形はレオノールって名乗った。でもさっき、灰色髪の人は「ライラック小隊長」って呼んでなかったっけ。
僕達には家名を名乗らないつもりなのかな。
そんなことを考えていたら、兄上が警戒した声のまま言った。
「……さっき、ライラック小隊長って……。」
「……あら、聞こえたの?レオノールって呼んでちょうだいね。ね!!」
バチン!とウインクをする銀髪美形。まつ毛が長くて、効果音が出そうだった。
同時にブワッと魔力の圧を感じた。この圧はちょっと知ってる。母様がお説教時とかに出してるやつ。
「……レオノール、さん達は、僕達に何か用ですか?」
レオノールさんが圧を出したせいか、兄様の声がちょっと小さくなった。怯えている感じじゃないけど、さっきより慎重になった感じだ。
「私は後ろの彼らが子供を怯えさせているみたいだったから、声をかけただけよ。……で、あなた達は、どうしてこの子達を脅してたの?」
ジロリと紫色の瞳が3人組を睨んだ。圧の向き先が3人組に一気に向かう。
ビクっと灰色髪の人が肩を震わせた。
「……呼び止めようとして……。」
灰色髪の人が絞り出すように声を出した。
「だ、か、ら、なぜ呼び止めようとしたの?」
ビシビシビシっと圧の波が3人組に降りかかる。
灰色髪の人の右斜め後ろに立っていた赤茶髪の人が項垂れたまま苦しげに言う。
「い、いやぁ……。」
「ちょっと、話を……。」
戸惑った様子でモゴモゴと何か言っている。岩場を移動している時に何か背後に害意を感じたのは気のせいだったのかな。
もう一度、3人の方を見た時、視界の端にチラリと人影が動いた。
「チッ。」
離れた場所だけど微かに舌打ちが聞こえた気がした。2人組の冒険者が少し離れた場所から睨むようにこちらの方を見ているようだ。
実際は表情ははっきりはわからないんだけど、黒っぽい思念みたいなのを感じるんだ。
その人達と違うところからも害意が向けられていたのだと思う。何か意識が向けられていたのが逸れた気がした。
キョロキョロと見回すと、岩場の向こうの方にこちらに背を向けた歩き出している人達がいた。
視線を逸らしたから向けられあた害意も逸れたのかな。
何、どうなってるの?何が起きてるの?
ドキドキと心臓が脈打つ。不安で涙が出そうになる。
ザッと兄上が一歩踏み出して、炎を纏った剣を振り上げた。3人組がちょっと焦った声を上げた。
「ちょっ……。待ってくれよ。何もしねえよ!俺たちは!」
「そ、そうだよ。俺たちはな。」
「そうそうっ。」
3人組が口々に言う。何だか含みのある言い方だ。
「なんで追ってきた?」
兄上が怪訝そうな声を出した。
「あんた達、何やってんのよ。」
急に背後で声がしてギョッとした。振り向くと、サラサラした長い銀髪に濃い紫色の瞳をした背の高い美形が立っていた。
騎士服を着ている。男装の女性にも見えなくはないけど、男性だ、と思う。声も低いし。そして、何となく見覚えがあるような気がした。
ーーー氷華の騎士レオン
ふと、頭の中に浮かび上がった。氷?
あったことある人かな。
「ラ、ライラック小隊長。」
「ンンッ!」
3人組の一人、痩せていて灰色のボサボサ髪をした人物が言うと、銀髪美形が咳払いをした。知り合いか。小隊長と呼ばれているから銀髪美形は騎士なんだと思うけど、
呼び方からして、3人組も騎士なのか?でも冒険者の格好をしているし。
「一体なんですか!あなた達は!」
兄上が剣を構えたまま、3人組と小隊長と呼ばれた銀髪美形を交互にみた。
銀髪美形が両手を上げて手のひらを見せ、苦笑しながら言う。
「ああ、ごめんね。脅かすつもりはなかったのよ。……私は、レオノール。王宮騎士をしているの。」
銀髪美形はレオノールって名乗った。でもさっき、灰色髪の人は「ライラック小隊長」って呼んでなかったっけ。
僕達には家名を名乗らないつもりなのかな。
そんなことを考えていたら、兄上が警戒した声のまま言った。
「……さっき、ライラック小隊長って……。」
「……あら、聞こえたの?レオノールって呼んでちょうだいね。ね!!」
バチン!とウインクをする銀髪美形。まつ毛が長くて、効果音が出そうだった。
同時にブワッと魔力の圧を感じた。この圧はちょっと知ってる。母様がお説教時とかに出してるやつ。
「……レオノール、さん達は、僕達に何か用ですか?」
レオノールさんが圧を出したせいか、兄様の声がちょっと小さくなった。怯えている感じじゃないけど、さっきより慎重になった感じだ。
「私は後ろの彼らが子供を怯えさせているみたいだったから、声をかけただけよ。……で、あなた達は、どうしてこの子達を脅してたの?」
ジロリと紫色の瞳が3人組を睨んだ。圧の向き先が3人組に一気に向かう。
ビクっと灰色髪の人が肩を震わせた。
「……呼び止めようとして……。」
灰色髪の人が絞り出すように声を出した。
「だ、か、ら、なぜ呼び止めようとしたの?」
ビシビシビシっと圧の波が3人組に降りかかる。
灰色髪の人の右斜め後ろに立っていた赤茶髪の人が項垂れたまま苦しげに言う。
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