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第1章
第73話 見えた景色のことを打ち明ける
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もし……、本当に辺境伯様のところに男の子が生まれたら?
現実のシェリル嬢は辺境伯家の後継者ではなくなってしまうのだろうか。
僕の兄上は、父上の後を継ぐために勉強とか剣術とか凄く頑張っているのを僕は知っている。シェリル嬢だって後継者って言われて後を継ぐ為に頑張っているんだと思う。
だけど、弟が生まれて、女性であるシェリル嬢はもうお役御免って言われたら……、ショックだろうなぁ……。
実際にシェリル嬢に弟が生まれるとは」限らないのだけど。
それでも、もしもそうなったら……。
「……うーん……。どうしよう……。」
毒なら解毒剤をつくれば対応できそうだけど、辺境伯様のところに、シェリル嬢の弟が生まれるというようなことは対応できるとは思えない。
「起きてて夢見た?」
「うん。メイリの夢みたいな内容なんだけど起きている時に見えるんだ。」
翌朝早く、薬師のおばあちゃんの店に向かいながら、僕は思い切って兄上に脳裏に浮かぶ光景の話をしてみることにした。
脳裏に色々と浮かんでくるのって、メイリが夢で見るような内容を僕は起きていて見ているみたいな感じかなと思って「起きて見る夢」と説明をした。
メイリの夢の登場人物とも関連した光景が見えてたし、「夢」って言った方が伝わりやすいと思ったんだ。
町の建物が建ち並んでいるエリアの手前の道で、周りに人がいないのを確認してから、気になっていた光景をかいつまんで説明していく。兄上は立ち止まって黙って聞いていてくれたけど、段々と眉間に皺が寄っていった。
「……眠ってもいないのに夢を見るなんて変だよね。」
わけわからないことを言っていると思っているだろうなと思って兄上を見上げると、兄上は静かに首を横に振った。
「うーん……。クリスは毒がわかったり、魔獣やら人やらが狙ってきてたりするのを察知するじゃないか。
それと同じようなもんなんじゃないか?きっと、何か察知したんだろう。」
兄上は驚いたり呆れたりしてはいなさそうだし、無理に僕を慰めようとしているわけではなさそうに見えた。
「おかしい」って言われるかもと思ってたけど、兄上は僕が言うことをおかしいとは思わなかったみたいだった。
「未来に起きるかもしれないと思ったりもするんだけど、起きないかもしれないし……。
でも心配になっちゃったりで……、どうしたら良いかわからなくなっちゃったんだ。」
「レオノールさんが毒で倒れる夢を見たって言ってたのもそれか。」
「うん。」
兄上は腕組みをして少し考える様子を見せた後、僕の方を振り向いた。
「まあ……、気になるよなぁ。知り合ったばかりの人だけど、レオノールさんが毒にやられる可能性があるなら、解毒剤を渡してあげたい気持ちはわかるよ。」
兄上が、光水の試作品が入ったリュックのショルダーストラップ部分をクイっと引っ張った。
「うん……。」
「じゃあ、できることがあればするってことで良いんじゃないか。」
「だけど、……毒ナイフで刺されるから解毒剤を持ってって、信じてもらえるかどうか……。僕だって本当に起きることなのかよくわかってないのに。
光水が役に立ちそうだとして、どう言って渡せば良いかな。」
答えを求めるように兄上をじっと見上げたら、兄上は何でもなさそうにクールな様子で少し眉を上げた。
「夢に見ました、で良いんじゃないか?」
「胡散臭くない?」
「胡散臭い。」
「えー?」
兄上がプハっと吹き出す。僕はムゥっと頬を膨らませた。
兄上はすぐに真剣な顔をして僕を見た。
「……うちの家族とか、この町の事とかについては何も見ていないのか?」
「うん。今のところ。」
「そうか。」
兄上は僕の肩の上にポンと手を乗せた。
現実のシェリル嬢は辺境伯家の後継者ではなくなってしまうのだろうか。
僕の兄上は、父上の後を継ぐために勉強とか剣術とか凄く頑張っているのを僕は知っている。シェリル嬢だって後継者って言われて後を継ぐ為に頑張っているんだと思う。
だけど、弟が生まれて、女性であるシェリル嬢はもうお役御免って言われたら……、ショックだろうなぁ……。
実際にシェリル嬢に弟が生まれるとは」限らないのだけど。
それでも、もしもそうなったら……。
「……うーん……。どうしよう……。」
毒なら解毒剤をつくれば対応できそうだけど、辺境伯様のところに、シェリル嬢の弟が生まれるというようなことは対応できるとは思えない。
「起きてて夢見た?」
「うん。メイリの夢みたいな内容なんだけど起きている時に見えるんだ。」
翌朝早く、薬師のおばあちゃんの店に向かいながら、僕は思い切って兄上に脳裏に浮かぶ光景の話をしてみることにした。
脳裏に色々と浮かんでくるのって、メイリが夢で見るような内容を僕は起きていて見ているみたいな感じかなと思って「起きて見る夢」と説明をした。
メイリの夢の登場人物とも関連した光景が見えてたし、「夢」って言った方が伝わりやすいと思ったんだ。
町の建物が建ち並んでいるエリアの手前の道で、周りに人がいないのを確認してから、気になっていた光景をかいつまんで説明していく。兄上は立ち止まって黙って聞いていてくれたけど、段々と眉間に皺が寄っていった。
「……眠ってもいないのに夢を見るなんて変だよね。」
わけわからないことを言っていると思っているだろうなと思って兄上を見上げると、兄上は静かに首を横に振った。
「うーん……。クリスは毒がわかったり、魔獣やら人やらが狙ってきてたりするのを察知するじゃないか。
それと同じようなもんなんじゃないか?きっと、何か察知したんだろう。」
兄上は驚いたり呆れたりしてはいなさそうだし、無理に僕を慰めようとしているわけではなさそうに見えた。
「おかしい」って言われるかもと思ってたけど、兄上は僕が言うことをおかしいとは思わなかったみたいだった。
「未来に起きるかもしれないと思ったりもするんだけど、起きないかもしれないし……。
でも心配になっちゃったりで……、どうしたら良いかわからなくなっちゃったんだ。」
「レオノールさんが毒で倒れる夢を見たって言ってたのもそれか。」
「うん。」
兄上は腕組みをして少し考える様子を見せた後、僕の方を振り向いた。
「まあ……、気になるよなぁ。知り合ったばかりの人だけど、レオノールさんが毒にやられる可能性があるなら、解毒剤を渡してあげたい気持ちはわかるよ。」
兄上が、光水の試作品が入ったリュックのショルダーストラップ部分をクイっと引っ張った。
「うん……。」
「じゃあ、できることがあればするってことで良いんじゃないか。」
「だけど、……毒ナイフで刺されるから解毒剤を持ってって、信じてもらえるかどうか……。僕だって本当に起きることなのかよくわかってないのに。
光水が役に立ちそうだとして、どう言って渡せば良いかな。」
答えを求めるように兄上をじっと見上げたら、兄上は何でもなさそうにクールな様子で少し眉を上げた。
「夢に見ました、で良いんじゃないか?」
「胡散臭くない?」
「胡散臭い。」
「えー?」
兄上がプハっと吹き出す。僕はムゥっと頬を膨らませた。
兄上はすぐに真剣な顔をして僕を見た。
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