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第1章
第117話 魔魚漁
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朝食を食べ終えて離れの玄関から出て、正門の方に向かおうとした時、視界の端に灰色の猫が映った。
「あ、猫さん!」
灰色の猫は、多々たっと跳ねるようにかけていって、通路を回り込んで離れの裏手の方に向かっていった。
多分、行き先は中庭だ。
「猫さん、鹿魔獣のロースト食べるかな」
「塩味が濃いのはやめておけよ」
「じゃあ、何もつけずに焼いたのをあげたら良いかな」
そう言いながら、灰色の猫さんの姿が見えなくなった方向を眺めた。
「ねえ。厨房に猫さんの分の鹿魔獣の肉を貰いに行って良い?」
「……そもそも魔獣の肉って食べさせて大丈夫なのか?」
「あー……わからない……」
兄上に指摘されてちょっと心配になってしまった。鹿魔獣は大きい魔獣だから魔石も大きかったんだよね。だから魔力が強いんだ。肉の部分にも魔力は残っているだろうし猫ちゃんが食べて大丈夫なのかは自信がない。
川の魔魚の肉とかはあげちゃってたけど、魔魚と鹿魔獣だと大きさがや魔力量が全然違うからなぁ。
「……わかった!魔魚にする!」
猫ちゃんには魔魚の肉をあげようと決意を固めて拳を握りしめたら兄上が首を傾げた。
「わかったって何だ?午後は川に魔魚釣りに行くのか? また泉に行くのかと思ってたけど」
「川までだったら、お昼までに帰って来れるでしょう?泉は午後行けばよと思って」
「そういうことか。……まあ、良いよ。自由に狩りできるのは楽しいし」
兄上は、猫ちゃんの為に魔魚釣りに行くことを賛成してくれたけど、殿下達の狩りの案内は楽しくなかったって言っているみたいに聞こえたよ。
狩りの案内はお仕事みたいなものだからね。自分達で狩りをする方が気楽だよね。
朝食前は解毒治癒玉の準備で忙しかったし、さっきまでお話しをしていたから、今日はまだ鍛錬になるようなことをしていない。
魔石に魔力を補充はしていたけど、ちょっと力が余っているような感じがしていた。魔魚釣りは鍛錬代わりになるかな。
鍛錬も兼ねるつもりで張り切って支度をして兄上と二人で川までやってきた。
川の淵に立って槍を構える。
魔魚の気配を伺おうと周囲に意識を向けたんだけど魔魚は流れる川の中を泳いでいるから気配が分かりにくかった。もっと気配を探ることに集中しよう。
深く深く水面より深く。上流にも遡って気配を探る。
集中して何度か気配を探る波のようなものを送り続けると暫くしてワラワラと魔力が揺れ動く気配をいくつか感じた。そのうちの一つが上流からこちらの岸に沿って動いてくる。
近づくに連れ、何か「殺気」に近いものを感じた。
槍をしっかりに握り、魔力を込める。気配がこっちに向かってくる。槍を構えた。槍を持つ手を振り上げた瞬間、ザバーッと水の中から何かが飛び上がって僕に向かってきた。大きな口を開けてきた魔魚と目があった気がした。
ギザギザと鋭い歯のある口の中にタイミングぴったりに槍を突き入れた。槍を通して風刃を発動したら、魔魚のお腹が真っ二つになった。ビシャッと血が飛び散る。
「あ、いけない!」
尾の方が二つに分かれちゃった状態だと、槍がちゃんと刺さっていない。このままだと魔魚の切り身が川の中に落ちてしまう!
慌てて、槍を横に振り回しながら、風魔法で吹き上げるように風を起こして魔魚の切り身を岸に打ち上げた。
ボトボトと二枚におろしたみたいな状態で魔魚の切り身が落ちてきた。
切り口に土がついちゃったけど何とか魔魚の切り身をゲットできた。
「ふぃーっ」
獲物を川に落とさずに済んで安堵の息を吐いていると、少し離れた場所にいた兄上から声がかかった。
「大物じゃないか、クリス」
「うん!……でも、兄上の方が大漁だね」
「俺は普通に干し肉使って釣りしてるぞ」
兄上は糸を結んだフックに干し肉を引っ掛け、それを水中に垂らして寄ってきた魔魚を槍で突き刺すという方法をとっていた。
僕のイメージする釣りとちょっと違う気がするけど、岸に魔魚が積み重なっていた。
「あ、猫さん!」
灰色の猫は、多々たっと跳ねるようにかけていって、通路を回り込んで離れの裏手の方に向かっていった。
多分、行き先は中庭だ。
「猫さん、鹿魔獣のロースト食べるかな」
「塩味が濃いのはやめておけよ」
「じゃあ、何もつけずに焼いたのをあげたら良いかな」
そう言いながら、灰色の猫さんの姿が見えなくなった方向を眺めた。
「ねえ。厨房に猫さんの分の鹿魔獣の肉を貰いに行って良い?」
「……そもそも魔獣の肉って食べさせて大丈夫なのか?」
「あー……わからない……」
兄上に指摘されてちょっと心配になってしまった。鹿魔獣は大きい魔獣だから魔石も大きかったんだよね。だから魔力が強いんだ。肉の部分にも魔力は残っているだろうし猫ちゃんが食べて大丈夫なのかは自信がない。
川の魔魚の肉とかはあげちゃってたけど、魔魚と鹿魔獣だと大きさがや魔力量が全然違うからなぁ。
「……わかった!魔魚にする!」
猫ちゃんには魔魚の肉をあげようと決意を固めて拳を握りしめたら兄上が首を傾げた。
「わかったって何だ?午後は川に魔魚釣りに行くのか? また泉に行くのかと思ってたけど」
「川までだったら、お昼までに帰って来れるでしょう?泉は午後行けばよと思って」
「そういうことか。……まあ、良いよ。自由に狩りできるのは楽しいし」
兄上は、猫ちゃんの為に魔魚釣りに行くことを賛成してくれたけど、殿下達の狩りの案内は楽しくなかったって言っているみたいに聞こえたよ。
狩りの案内はお仕事みたいなものだからね。自分達で狩りをする方が気楽だよね。
朝食前は解毒治癒玉の準備で忙しかったし、さっきまでお話しをしていたから、今日はまだ鍛錬になるようなことをしていない。
魔石に魔力を補充はしていたけど、ちょっと力が余っているような感じがしていた。魔魚釣りは鍛錬代わりになるかな。
鍛錬も兼ねるつもりで張り切って支度をして兄上と二人で川までやってきた。
川の淵に立って槍を構える。
魔魚の気配を伺おうと周囲に意識を向けたんだけど魔魚は流れる川の中を泳いでいるから気配が分かりにくかった。もっと気配を探ることに集中しよう。
深く深く水面より深く。上流にも遡って気配を探る。
集中して何度か気配を探る波のようなものを送り続けると暫くしてワラワラと魔力が揺れ動く気配をいくつか感じた。そのうちの一つが上流からこちらの岸に沿って動いてくる。
近づくに連れ、何か「殺気」に近いものを感じた。
槍をしっかりに握り、魔力を込める。気配がこっちに向かってくる。槍を構えた。槍を持つ手を振り上げた瞬間、ザバーッと水の中から何かが飛び上がって僕に向かってきた。大きな口を開けてきた魔魚と目があった気がした。
ギザギザと鋭い歯のある口の中にタイミングぴったりに槍を突き入れた。槍を通して風刃を発動したら、魔魚のお腹が真っ二つになった。ビシャッと血が飛び散る。
「あ、いけない!」
尾の方が二つに分かれちゃった状態だと、槍がちゃんと刺さっていない。このままだと魔魚の切り身が川の中に落ちてしまう!
慌てて、槍を横に振り回しながら、風魔法で吹き上げるように風を起こして魔魚の切り身を岸に打ち上げた。
ボトボトと二枚におろしたみたいな状態で魔魚の切り身が落ちてきた。
切り口に土がついちゃったけど何とか魔魚の切り身をゲットできた。
「ふぃーっ」
獲物を川に落とさずに済んで安堵の息を吐いていると、少し離れた場所にいた兄上から声がかかった。
「大物じゃないか、クリス」
「うん!……でも、兄上の方が大漁だね」
「俺は普通に干し肉使って釣りしてるぞ」
兄上は糸を結んだフックに干し肉を引っ掛け、それを水中に垂らして寄ってきた魔魚を槍で突き刺すという方法をとっていた。
僕のイメージする釣りとちょっと違う気がするけど、岸に魔魚が積み重なっていた。
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