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第1章
第145話 消えたメイド
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「メイドの人とかいなかったよね。リネリア嬢のところのノンナさんもいなかった。狩りの時だって着いてきてたのになあ」
「そう言えば……、そうだな」
兄上が考え込むように眉間に皺を寄せた。
背びれイタチの狩りの時だってお茶の時間があって、それぞれの家のメイドの人とかがお茶を入れたりテーブルをセットしたり動き回っていたのを覚えている。
お祝いの宴はリネリア嬢にとっても「初討伐」のお祝いだよね。なんで居な買ったんだ?
「え……、どう言うこと?怖い話?」
メイリがフォークを持つ手をぴたりと止めて、怯えたような表情になる。あ、メイリを怖がらせちゃったかも。
「怖い話じゃ、ない……、はず……?」
ノンナさんがいなかったのは不思議だけど、何か用事があってどこかに行っていただけかもしれないよね。……ね?
「やだ、怖い!」
「怖くないよ!」
メイリには「怖くない」って言いながらまさかまさか、全員毒を盛られて?とか想像してしまって怖くなってしまう。
「……何処かに追いやられてた……?ってことはあるかもしれないな」
「殿下じゃなくて使用人の人達が狙われてたってこと?」
「いや……。あの毒が殿下を狙うためだとしたら、殿下より先に他の人が毒入りドリンクを飲んだらバレるからだろう」
「ええー!」
「怖!」
メイリ同時に小さく悲鳴をあげてしまった。何か怖いことが家で起きている。
最初に乾杯をした時は何にも起きなかった。
おかわり用のゴブレットに毒が塗られていて、確実に殿下に飲ませようとしていたのだとすると、他の家の給仕をする人が邪魔だったってことなのか。
ノンナさん、無事なのかな……。どこかに閉じ込められちゃってたりしないかな。
「あれ、でもマーサは居たよね?」
「マーサは料理を運んでたからじゃないか。もしかしたら、マーサも広間を出たらどこかに閉じ込められたりとかしていたのかもしれない」
「……殿下に飲み物を運ぼうとしていたあの侍女の人も怪しいってことなのかな」
「可能性はあるよな……」
「ひぇ!」
何だか皆が怪しいような気がしてきてしまう。
「ノンナさん、探しに行った方が良くない?」
ノンナさんや他の使用人の人達がどこに行ったのか探しに行こうかと立ち上がりかけたら兄上が止めた。
「落ち着け。離れに居ろって言われただろ。何人も使用人が居なくなったなら、すぐ気づいて探されているさ。今行っても邪魔するだけだぞ」
「……無事だと良いんだけど……」
ストンと座り直す。
確かに僕が今僕が本館に行ってウロウロしても邪魔になっちゃうだろうな。
ソワソワしてしまう。
僕がまだ落ち着きなく見えたのか兄上が果実炭酸光水の入ったグラスを置いて、僕をじっと見た。
「食べ終わったら、広間で見たこととかを書き留めておくか」
「あ、そうだね!忘れないように何かに書いておいた方が良いね!」
ナイスアイデア!と思ったら、兄上は「うーん……」とちょっと複雑そうな表情になった。
「気づいたことを書いてまとめておけば、後で呼び出されても説明の手間が省けるだろう」
「説明かぁ……」
「ああ。クリスは最初にあの騎士が毒を持ってるって見抜いただろう。何を見たのか聞かれると思う。なんで気がついたんだ?」
「あの騎士の手袋の指先に毒が付いてたんだよ。黒っぽくなってたでしょ」
「手袋だったのか……。黒っぽくなってたんなら、『手袋が汚れてたから
毒だと思った』って説明するのが良いかもな。毒鑑定のことは言わないで済むだろ」
「あ、そうか……」
毒鑑定のことは知られないようにしながら、見たこととかをまとめることにした。
「そう言えば……、そうだな」
兄上が考え込むように眉間に皺を寄せた。
背びれイタチの狩りの時だってお茶の時間があって、それぞれの家のメイドの人とかがお茶を入れたりテーブルをセットしたり動き回っていたのを覚えている。
お祝いの宴はリネリア嬢にとっても「初討伐」のお祝いだよね。なんで居な買ったんだ?
「え……、どう言うこと?怖い話?」
メイリがフォークを持つ手をぴたりと止めて、怯えたような表情になる。あ、メイリを怖がらせちゃったかも。
「怖い話じゃ、ない……、はず……?」
ノンナさんがいなかったのは不思議だけど、何か用事があってどこかに行っていただけかもしれないよね。……ね?
「やだ、怖い!」
「怖くないよ!」
メイリには「怖くない」って言いながらまさかまさか、全員毒を盛られて?とか想像してしまって怖くなってしまう。
「……何処かに追いやられてた……?ってことはあるかもしれないな」
「殿下じゃなくて使用人の人達が狙われてたってこと?」
「いや……。あの毒が殿下を狙うためだとしたら、殿下より先に他の人が毒入りドリンクを飲んだらバレるからだろう」
「ええー!」
「怖!」
メイリ同時に小さく悲鳴をあげてしまった。何か怖いことが家で起きている。
最初に乾杯をした時は何にも起きなかった。
おかわり用のゴブレットに毒が塗られていて、確実に殿下に飲ませようとしていたのだとすると、他の家の給仕をする人が邪魔だったってことなのか。
ノンナさん、無事なのかな……。どこかに閉じ込められちゃってたりしないかな。
「あれ、でもマーサは居たよね?」
「マーサは料理を運んでたからじゃないか。もしかしたら、マーサも広間を出たらどこかに閉じ込められたりとかしていたのかもしれない」
「……殿下に飲み物を運ぼうとしていたあの侍女の人も怪しいってことなのかな」
「可能性はあるよな……」
「ひぇ!」
何だか皆が怪しいような気がしてきてしまう。
「ノンナさん、探しに行った方が良くない?」
ノンナさんや他の使用人の人達がどこに行ったのか探しに行こうかと立ち上がりかけたら兄上が止めた。
「落ち着け。離れに居ろって言われただろ。何人も使用人が居なくなったなら、すぐ気づいて探されているさ。今行っても邪魔するだけだぞ」
「……無事だと良いんだけど……」
ストンと座り直す。
確かに僕が今僕が本館に行ってウロウロしても邪魔になっちゃうだろうな。
ソワソワしてしまう。
僕がまだ落ち着きなく見えたのか兄上が果実炭酸光水の入ったグラスを置いて、僕をじっと見た。
「食べ終わったら、広間で見たこととかを書き留めておくか」
「あ、そうだね!忘れないように何かに書いておいた方が良いね!」
ナイスアイデア!と思ったら、兄上は「うーん……」とちょっと複雑そうな表情になった。
「気づいたことを書いてまとめておけば、後で呼び出されても説明の手間が省けるだろう」
「説明かぁ……」
「ああ。クリスは最初にあの騎士が毒を持ってるって見抜いただろう。何を見たのか聞かれると思う。なんで気がついたんだ?」
「あの騎士の手袋の指先に毒が付いてたんだよ。黒っぽくなってたでしょ」
「手袋だったのか……。黒っぽくなってたんなら、『手袋が汚れてたから
毒だと思った』って説明するのが良いかもな。毒鑑定のことは言わないで済むだろ」
「あ、そうか……」
毒鑑定のことは知られないようにしながら、見たこととかをまとめることにした。
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