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第1章
第198話 門前払い
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急いで屋敷に戻って父上に報告に行くと、ちょっとした騒動みたいになってしまった。
檻に入れた魔獣を屋敷の敷地内に運び込んでも良いなんて父上は許可は出していないらしくて誰がそんな指示を出したのかって、ゴーシュさんとかレオノールさんとか色々な人が呼ばれて行った。
ピリピリした空気が凄い。
父上達が話し合いをしている最中に、正門の所でも揉め事が起きていた。
檻に入れた魔獣を屋敷内に運び込もうとした人がいて、門番が阻止をしているという状況だった。
兄上と二人で会議室の様子を伺っていたら、正門の方から怒鳴り声が聞こえてきた。
「困ります!領主邸に魔獣を入れるわけにはいきません!」
「殿下の訓練の為に必要とのことで捕らえて来たのだ!」
「領主様からは了承していない旨の通達がありました」
「何だと!殿下の訓練に協力をしないと言うことか!」
門番は門を閉ざしたまま小窓を開けて話をしているので門の外の様子はよくわからないけど、多分、檻に入れた魔獣を運んできているんだろう。
「どうしよう。父上を呼びに行った方が良いかな」
門番が困っていそうだったので兄上に訊いてみた。兄上が眉間に皺を寄せて一歩踏み出した時、レオノールさんが正門に向かって走っていくのが見えた。
「魔獣を敷地内に運び入れるな!殿下を危険に晒す気か!」
「し、しかし……。これはどうしたら……」
「一時的に、東の林の手前の拓けた場所に運べ。町が近いんだ。絶対に逃したりするなよ!」
「了解しました!」
レオノールさんが指示したら門の外が静かになった。
レオノールさんに続いて、王宮騎士らしき人が何人かやってきた。
馬を引き連れて来た人は門から出て行って、馬を連れていない人は門の所に留まった。
レオノールさんは門の所に来た騎士に何か指示を出した後、本館の方に引き返してきた。窓から見ていた僕達の方に顔を向けた。
僕がぺこりと小さくお辞儀をすると、少しだけ口角を上げた。軽く手を振って本館に入って行ったと思ったらあっという間に近くに来た。
「騎士が迷惑をかけたと聞いたわ。ごめんなさい。怪我はなかった?」
少し緊迫した気配を纏いながらレオノールさんが眉を下げた。
「レオノールさんが謝ることじゃ……」
言いかけた僕の前に兄上が進み出た。
「騎士団からの謝罪は父を通して正式にしていただければ。できればどういうことなのか説明いただけないでしょうか」
キリッとして兄上が言うとレオノールさんが目をかすかに見開いた。
「ええ……。実は、敷地内で魔獣討伐をするように指示を出したものがいたの。
統率が取れていなくてお恥ずかしいのだけど……」
レオノールさんの話では、殿下が「もう少し魔獣狩りをしたかった」と発言をしたのを聞いて、檻に入れたままなら魔獣を屋敷の敷地内に持ち込んで訓練ができるんじゃないかって考えた人が勝手に指示を出したらしい。
弱い魔獣だし、檻に入れたままだったら問題ないだろうと思って、
ゲンティアナ家には確認を取らなかったのだそうだ。
何やってんだろうね。父上が怒ったら怖いのに。
檻に入れた魔獣を屋敷の敷地内に運び込んでも良いなんて父上は許可は出していないらしくて誰がそんな指示を出したのかって、ゴーシュさんとかレオノールさんとか色々な人が呼ばれて行った。
ピリピリした空気が凄い。
父上達が話し合いをしている最中に、正門の所でも揉め事が起きていた。
檻に入れた魔獣を屋敷内に運び込もうとした人がいて、門番が阻止をしているという状況だった。
兄上と二人で会議室の様子を伺っていたら、正門の方から怒鳴り声が聞こえてきた。
「困ります!領主邸に魔獣を入れるわけにはいきません!」
「殿下の訓練の為に必要とのことで捕らえて来たのだ!」
「領主様からは了承していない旨の通達がありました」
「何だと!殿下の訓練に協力をしないと言うことか!」
門番は門を閉ざしたまま小窓を開けて話をしているので門の外の様子はよくわからないけど、多分、檻に入れた魔獣を運んできているんだろう。
「どうしよう。父上を呼びに行った方が良いかな」
門番が困っていそうだったので兄上に訊いてみた。兄上が眉間に皺を寄せて一歩踏み出した時、レオノールさんが正門に向かって走っていくのが見えた。
「魔獣を敷地内に運び入れるな!殿下を危険に晒す気か!」
「し、しかし……。これはどうしたら……」
「一時的に、東の林の手前の拓けた場所に運べ。町が近いんだ。絶対に逃したりするなよ!」
「了解しました!」
レオノールさんが指示したら門の外が静かになった。
レオノールさんに続いて、王宮騎士らしき人が何人かやってきた。
馬を引き連れて来た人は門から出て行って、馬を連れていない人は門の所に留まった。
レオノールさんは門の所に来た騎士に何か指示を出した後、本館の方に引き返してきた。窓から見ていた僕達の方に顔を向けた。
僕がぺこりと小さくお辞儀をすると、少しだけ口角を上げた。軽く手を振って本館に入って行ったと思ったらあっという間に近くに来た。
「騎士が迷惑をかけたと聞いたわ。ごめんなさい。怪我はなかった?」
少し緊迫した気配を纏いながらレオノールさんが眉を下げた。
「レオノールさんが謝ることじゃ……」
言いかけた僕の前に兄上が進み出た。
「騎士団からの謝罪は父を通して正式にしていただければ。できればどういうことなのか説明いただけないでしょうか」
キリッとして兄上が言うとレオノールさんが目をかすかに見開いた。
「ええ……。実は、敷地内で魔獣討伐をするように指示を出したものがいたの。
統率が取れていなくてお恥ずかしいのだけど……」
レオノールさんの話では、殿下が「もう少し魔獣狩りをしたかった」と発言をしたのを聞いて、檻に入れたままなら魔獣を屋敷の敷地内に持ち込んで訓練ができるんじゃないかって考えた人が勝手に指示を出したらしい。
弱い魔獣だし、檻に入れたままだったら問題ないだろうと思って、
ゲンティアナ家には確認を取らなかったのだそうだ。
何やってんだろうね。父上が怒ったら怖いのに。
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