転生モブ一家は乙女ゲームの開幕フラグを叩き折る

月野槐樹

文字の大きさ
201 / 334
第1章

第201話 謎の魔法陣を観察

しおりを挟む
魔法陣が発生する場所をじっと見てみると魔法陣が檻の扉の辺りから浮かんできている。何だろう……。

蛇型魔獣がもっと遠くまで届く魔法を使ったら危険ではあるんだけど、もう一つの魔法陣をじっくり見たくてその場に立ち止まって様子を伺う。

「シャー!」

ポワン。
スー……。

やっぱり二つ目の魔法陣は変化して行っている。気になる。
二つ目の魔法陣をもっと良く見たくて、風魔法で壁を作りながら一歩踏み出した。

「シャー!」
ポワン。
スー……。
スー……。

「二回?」

二つ目の魔法陣が二回浮かんできた!

「クリス、何か気になるのか?」
「うん、ちょっと……」

背後から声をかけてきた兄上の方に一度振り返り、再び、蛇魔獣の檻に目を向けた。
檻に小さい金属製の箱みたいなものがくっついていて、その箱から魔法陣が浮かび上がっているようだ。

檻を制御している装置か何かかな。何の機能の魔法陣だろう。

「シャー!」
ポワン。
スー……。
スー……。

蛇魔獣が放つ風魔法は、風魔法の壁で弾き返しているから僕に当たることはない。
一度発動して壁を作っておけばその都度防御しなくても良いから便利だ。
風魔法の壁が、蛇魔獣の風魔法を弾き返したタイミングで、檻の装置から魔法陣が浮かんできた気がする。

魔法陣は浮かびながらクルクルと回るタイプのもので、じっくりと見るのが難しいんだけどさっきと違うと思ったところに集中してじっと見る。

「九……、八……?」

よーく見てみると魔法陣の中の三箇所に描かれている数字が変化しているのがわかった。

確認の為に、もう一度蛇魔獣が魔法を発するのを待った。

「シャー!」
ポワン。
スー……。
スー……。

「七、六……」

三歩ほど、檻から離れてみた。

「シャー!」
ポワン。
スー……。

「五。一回になった!」

僕が遠かったら二つ目の魔法陣が浮かぶ回数が一回になった。

蛇魔獣からの風魔法が届かない位置なので、風の壁を解く。

もしかして、風の壁のせいだった?
風魔法の壁が、蛇魔獣の風魔法を弾き返したから、檻についている装置の魔法陣が浮かんだのだとしたら魔法に反応しているのかな。

魔法を当てたらどうなるかなとちょっと考えたけど、騎士さん達が管理しているものだから勝手をしたら良くないよね。訊いた方が早いかな。

くるりと踵を返して、兄上とボブ、騎士さん達が立っているところまで戻ってきた。

「あの檻って魔道具なんですか?」

素直に騎士さんに聞いてみることにした。

「ああ、魔法で施錠しているものですよ」
「へえ。鍵の魔道具ですか」

鍵の魔道具の魔法陣の数値が変わっていくのって何だろう。使える鍵が変わっていくとか?

騎士さんが、丸くて平べったいものを取り出した。金属部分に装飾があり中央に魔石がついている。

「この鍵で檻の鍵を施錠したり開錠したりできるんです」
「へえ……」

カチャン!

騎士さんが見せてくれた檻を開ける魔道具を覗き込んでいたら背後で音がした。

「あ!蛇が!」

騎士さんの声で、檻の方を振り向くと、檻の扉が開いていて蛇魔獣が外に這い出てきていた。
しおりを挟む
感想 37

あなたにおすすめの小説

いきなり異世界って理不尽だ!

みーか
ファンタジー
 三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。   自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!

追放された万能聖魔導師、辺境で無自覚に神を超える ~俺を無能と言った奴ら、まだ息してる?~

たまごころ
ファンタジー
王国一の聖魔導師アレンは、嫉妬した王子の策略で「無能」と断じられ、国を追放された。 辿り着いた辺境の村で、アレンは「ただの治癒師」として静かに暮らそうとするが――。 壊れた街を再生し、疫病を一晩で根絶し、魔王の眷属まで癒しながら、本人はただの村医者のつもり。 その結果、「あの無能が神を超えた」と噂が広がり、王と勇者は頭を抱えることに。 ざまぁとスカッとが止まらない、無自覚最強転生ファンタジー開幕!

ようこそ異世界へ!うっかりから始まる異世界転生物語

Eunoi
ファンタジー
本来12人が異世界転生だったはずが、神様のうっかりで異世界転生に巻き込まれた主人公。 チート能力をもらえるかと思いきや、予定外だったため、チート能力なし。 その代わりに公爵家子息として異世界転生するも、まさかの没落→島流し。 さぁ、どん底から這い上がろうか そして、少年は流刑地より、王政が当たり前の国家の中で、民主主義国家を樹立することとなる。 少年は英雄への道を歩き始めるのだった。 ※第4章に入る前に、各話の改定作業に入りますので、ご了承ください。

ちっちゃくなった俺の異世界攻略

ちくわ
ファンタジー
あるとき神の采配により異世界へ行くことを決意した高校生の大輝は……ちっちゃくなってしまっていた! 精霊と神様からの贈り物、そして大輝の力が試される異世界の大冒険?が幕を開ける!

異世界転生した時に心を失くした私は貧民生まれです

ぐるぐる
ファンタジー
前世日本人の私は剣と魔法の世界に転生した。 転生した時に感情を欠落したのか、生まれた時から心が全く動かない。 前世の記憶を頼りに善悪等を判断。 貧民街の狭くて汚くて臭い家……家とはいえないほったて小屋に、生まれた時から住んでいる。 2人の兄と、私と、弟と母。 母親はいつも心ここにあらず、父親は所在不明。 ある日母親が死んで父親のへそくりを発見したことで、兄弟4人引っ越しを決意する。 前世の記憶と知識、魔法を駆使して少しずつでも確実にお金を貯めていく。

転生令嬢の食いしん坊万罪!

ねこたま本店
ファンタジー
   訳も分からないまま命を落とし、訳の分からない神様の手によって、別の世界の公爵令嬢・プリムローズとして転生した、美味しい物好きな元ヤンアラサー女は、自分に無関心なバカ父が後妻に迎えた、典型的なシンデレラ系継母と、我が儘で性格の悪い妹にイビられたり、事故物件王太子の中継ぎ婚約者にされたりつつも、しぶとく図太く生きていた。  そんなある日、プリムローズは王侯貴族の子女が6~10歳の間に受ける『スキル鑑定の儀』の際、邪悪とされる大罪系スキルの所有者であると判定されてしまう。  プリムローズはその日のうちに、同じ判定を受けた唯一の友人、美少女と見まごうばかりの気弱な第二王子・リトス共々捕えられた挙句、国境近くの山中に捨てられてしまうのだった。  しかし、中身が元ヤンアラサー女の図太い少女は諦めない。  プリムローズは時に気弱な友の手を引き、時に引いたその手を勢い余ってブン回しながらも、邪悪と断じられたスキルを駆使して生き残りを図っていく。  これは、図太くて口の悪い、ちょっと(?)食いしん坊な転生令嬢が、自分なりの幸せを自分の力で掴み取るまでの物語。  こちらの作品は、2023年12月28日から、カクヨム様でも掲載を開始しました。  今後、カクヨム様掲載用にほんのちょっとだけ内容を手直しし、1話ごとの文章量を増やす事でトータルの話数を減らした改訂版を、1日に2回のペースで投稿していく予定です。多量の加筆修正はしておりませんが、もしよろしければ、カクヨム版の方もご笑覧下さい。 ※作者が適当にでっち上げた、完全ご都合主義的世界です。細かいツッコミはご遠慮頂ければ幸いです。もし、目に余るような誤字脱字を発見された際には、コメント欄などで優しく教えてやって下さい。 ※検討の結果、「ざまぁ要素あり」タグを追加しました。

規格外で転生した私の誤魔化しライフ 〜旅行マニアの異世界無双旅〜

ケイソウ
ファンタジー
チビで陰キャラでモブ子の桜井紅子は、楽しみにしていたバス旅行へ向かう途中、突然の事故で命を絶たれた。 死後の世界で女神に異世界へ転生されたが、女神の趣向で変装する羽目になり、渡されたアイテムと備わったスキルをもとに、異世界を満喫しようと冒険者の資格を取る。生活にも慣れて各地を巡る旅を計画するも、国の要請で冒険者が遠征に駆り出される事態に……。

ざまぁされるための努力とかしたくない

こうやさい
ファンタジー
 ある日あたしは自分が乙女ゲームの悪役令嬢に転生している事に気付いた。  けどなんか環境違いすぎるんだけど?  例のごとく深く考えないで下さい。ゲーム転生系で前世の記憶が戻った理由自体が強制力とかってあんまなくね? って思いつきから書いただけなので。けど知らないだけであるんだろうな。  作中で「身近な物で代用できますよってその身近がすでにないじゃん的な~」とありますが『俺の知識チートが始まらない』の方が書いたのは後です。これから連想して書きました。  ただいま諸事情で出すべきか否か微妙なので棚上げしてたのとか自サイトの方に上げるべきかどうか悩んでたのとか大昔のとかを放出中です。見直しもあまり出来ないのでいつも以上に誤字脱字等も多いです。ご了承下さい。  恐らく後で消す私信。電話機は通販なのでまだ来てないけどAndroidのBlackBerry買いました、中古の。  中古でもノーパソ買えるだけの値段するやんと思っただろうけど、ノーパソの場合は妥協しての機種だけど、BlackBerryは使ってみたかった機種なので(後で「こんなの使えない」とぶん投げる可能性はあるにしろ)。それに電話機は壊れなくても後二年も経たないうちに強制的に買い換え決まってたので、最低限の覚悟はしてたわけで……もうちょっと壊れるのが遅かったらそれに手をつけてた可能性はあるけど。それにタブレットの調子も最近悪いのでガラケー買ってそっちも別に買い換える可能性を考えると、妥協ノーパソより有意義かなと。妥協して惰性で使い続けるの苦痛だからね。  ……ちなみにパソの調子ですが……なんか無意識に「もう嫌だ」とエンドレスでつぶやいてたらしいくらいの速度です。これだって10動くっていわれてるの買ってハードディスクとか取り替えてもらったりしたんだけどなぁ。

処理中です...