218 / 334
第1章
第218話 ブローチの魔道具の説明会
しおりを挟む
「わぁ、可愛い」
四枚の葉っぱのモチーフの小さなブローチを手にしてリネリア嬢が微笑んだ。
「これが魔道具……?」
ハロルド君はランプの近くで色々な角度から興味深げにマジマジと見つめている。
「みんなとお揃いってなんだか嬉しいね!」
ネイサン殿下は襟元や胸元に当ててみたりして嬉しそうにしている。気に入って貰えたようだ。
「使い方はこれから説明しますけど、火が出るものもあるので、ここでは試さないでくださいね」
「え?火が出るの?」
シェリル嬢がギョッとしてブローチに近づけていた顔を離した。
「真ん中の金具を押し込んだ状態じゃないと発動しない作りなので、そのままで火が出たりはしないですよ。
でも、金具を押し込んだ状態で魔石に魔力を通すと、触れた魔石の属性の魔法が発動します」
「四種類あるということは、四属性の魔法が発動できるってこと?」
「凄い!」
ネイサン殿下達は関心したり、恐る恐るブローチに触れてみたりしながら兄上がブローチの使い方を説明するのを聞いていた。
使い方の説明は兄上にお任せしたんだ。
僕が説明をすると、うっかり作ったことを言っちゃいそうだからって、兄上が説明することになった。
「……魔石の色で属性は判断してください。小さい魔石なので発動する魔石の規模は大きくはないですが風と火と土と治癒の魔法が発動します」
「え?治癒も出来るって、凄くない?」
「ちょっとした傷に使える程度だと思ってください。それと魔力もすぐ消費しちゃうので、一度に何度も使えません。
身につけていれば自然と魔力は補充されていきますけど、時間がかかります」
兄上は実演用に持ってきたブローチの真ん中の金具を押し込んで、水の魔石のついた葉の部分を指で摘んでみせた。
「水魔石以外は、危ないので屋内では使わないでくださいね。それと無闇に人に向けて発動させたりしないように気をつけてください。
こんな風に使う属性の魔石に触れて魔力を流すのですけど、
魔法が発動するのは真ん中の金具のところからなので、ブローチの正面を対象に向けてください」
「治癒する相手に向けるのだね。……誰か、怪我してないかな」
ネイサン殿下がキョロキョロと周囲を見回した。実際に使っているところを見たいらしい。
ドアの側に立っていた騎士がピクッと肩を少し揺らした。
ちょっと警戒しているような気配が漂っている。
兄上は首を横に振った。
「初見の魔道具をいきなり使うのは、警備の人も心配だと思いますので今は説明だけにしておきますね」
この場では実演しないと聞いて、ネイサン殿下達は残念そうだったけど、他の三つの魔石の機能も説明をしたら凄く興味を示したようだった。
みんなちょっとちょっとソワソワした様子になった。
「……これから訓練場に行って試すのはどうだろう」
「今からですか?」
兄上はちょっと驚いた様子で目を見開いた。チラリと扉の側の護衛騎士がいる方に視線を走らせた。
護衛騎士の人はちょっと困ったように少し目を彷徨わせていた。
兄上は少しだけ間を置いてから首を横に振った。
「明日の朝とかはいかがですか?急だと警備が大変だと思いますし、
そもそも暗いと魔道具の効果が見えづらいですから」
「……まあ、確かに効果が分かりにくいか……。
明日か……。もし、急に出発ってなったら、試せなくなってしまうよ」
「朝食の前だったらどうですか?……警備とかも手配が間に合えばですけど」
「良いね!流石に急に出発ってことになっても、朝食は食べてからだろうし」
急遽、明日の早朝にブローチの魔道具お試し会が開催されることになった。
ゴーシュさんとかが了承してくれたらということになっているけど、敷地の外に出るわけじゃないから多分大丈夫だろうって話だ。
まだ実演して見せていないからか、四人ともブローチの魔道具への期待が凄いような気がする。
凄くキラキラした目でブローチを眺めている。
一撃で魔獣を倒せるような魔法を期待されていたらどうしよう。
「小さい魔石だから」って兄上が説明してくれたし、規模が大きくなくてもがっかりされたりしないよね。
四枚の葉っぱのモチーフの小さなブローチを手にしてリネリア嬢が微笑んだ。
「これが魔道具……?」
ハロルド君はランプの近くで色々な角度から興味深げにマジマジと見つめている。
「みんなとお揃いってなんだか嬉しいね!」
ネイサン殿下は襟元や胸元に当ててみたりして嬉しそうにしている。気に入って貰えたようだ。
「使い方はこれから説明しますけど、火が出るものもあるので、ここでは試さないでくださいね」
「え?火が出るの?」
シェリル嬢がギョッとしてブローチに近づけていた顔を離した。
「真ん中の金具を押し込んだ状態じゃないと発動しない作りなので、そのままで火が出たりはしないですよ。
でも、金具を押し込んだ状態で魔石に魔力を通すと、触れた魔石の属性の魔法が発動します」
「四種類あるということは、四属性の魔法が発動できるってこと?」
「凄い!」
ネイサン殿下達は関心したり、恐る恐るブローチに触れてみたりしながら兄上がブローチの使い方を説明するのを聞いていた。
使い方の説明は兄上にお任せしたんだ。
僕が説明をすると、うっかり作ったことを言っちゃいそうだからって、兄上が説明することになった。
「……魔石の色で属性は判断してください。小さい魔石なので発動する魔石の規模は大きくはないですが風と火と土と治癒の魔法が発動します」
「え?治癒も出来るって、凄くない?」
「ちょっとした傷に使える程度だと思ってください。それと魔力もすぐ消費しちゃうので、一度に何度も使えません。
身につけていれば自然と魔力は補充されていきますけど、時間がかかります」
兄上は実演用に持ってきたブローチの真ん中の金具を押し込んで、水の魔石のついた葉の部分を指で摘んでみせた。
「水魔石以外は、危ないので屋内では使わないでくださいね。それと無闇に人に向けて発動させたりしないように気をつけてください。
こんな風に使う属性の魔石に触れて魔力を流すのですけど、
魔法が発動するのは真ん中の金具のところからなので、ブローチの正面を対象に向けてください」
「治癒する相手に向けるのだね。……誰か、怪我してないかな」
ネイサン殿下がキョロキョロと周囲を見回した。実際に使っているところを見たいらしい。
ドアの側に立っていた騎士がピクッと肩を少し揺らした。
ちょっと警戒しているような気配が漂っている。
兄上は首を横に振った。
「初見の魔道具をいきなり使うのは、警備の人も心配だと思いますので今は説明だけにしておきますね」
この場では実演しないと聞いて、ネイサン殿下達は残念そうだったけど、他の三つの魔石の機能も説明をしたら凄く興味を示したようだった。
みんなちょっとちょっとソワソワした様子になった。
「……これから訓練場に行って試すのはどうだろう」
「今からですか?」
兄上はちょっと驚いた様子で目を見開いた。チラリと扉の側の護衛騎士がいる方に視線を走らせた。
護衛騎士の人はちょっと困ったように少し目を彷徨わせていた。
兄上は少しだけ間を置いてから首を横に振った。
「明日の朝とかはいかがですか?急だと警備が大変だと思いますし、
そもそも暗いと魔道具の効果が見えづらいですから」
「……まあ、確かに効果が分かりにくいか……。
明日か……。もし、急に出発ってなったら、試せなくなってしまうよ」
「朝食の前だったらどうですか?……警備とかも手配が間に合えばですけど」
「良いね!流石に急に出発ってことになっても、朝食は食べてからだろうし」
急遽、明日の早朝にブローチの魔道具お試し会が開催されることになった。
ゴーシュさんとかが了承してくれたらということになっているけど、敷地の外に出るわけじゃないから多分大丈夫だろうって話だ。
まだ実演して見せていないからか、四人ともブローチの魔道具への期待が凄いような気がする。
凄くキラキラした目でブローチを眺めている。
一撃で魔獣を倒せるような魔法を期待されていたらどうしよう。
「小さい魔石だから」って兄上が説明してくれたし、規模が大きくなくてもがっかりされたりしないよね。
326
あなたにおすすめの小説
俺に王太子の側近なんて無理です!
クレハ
ファンタジー
5歳の時公爵家の家の庭にある木から落ちて前世の記憶を思い出した俺。
そう、ここは剣と魔法の世界!
友達の呪いを解くために悪魔召喚をしたりその友達の側近になったりして大忙し。
ハイスペックなちゃらんぽらんな人間を演じる俺の奮闘記、ここに開幕。
3点スキルと食事転生。食いしん坊の幸福無双。〜メシ作るために、貰ったスキル、完全に戦闘狂向き〜
幸運寺大大吉丸◎ 書籍発売中
ファンタジー
伯爵家の当主と側室の子であるリアムは転生者である。
転生した時に、目立たないから大丈夫と貰ったスキルが、転生して直後、ひょんなことから1番知られてはいけない人にバレてしまう。
- 週間最高ランキング:総合297位
- ゲス要素があります。
- この話はフィクションです。
異世界に落ちたら若返りました。
アマネ
ファンタジー
榊原 チヨ、87歳。
夫との2人暮らし。
何の変化もないけど、ゆっくりとした心安らぐ時間。
そんな普通の幸せが側にあるような生活を送ってきたのにーーー
気がついたら知らない場所!?
しかもなんかやたらと若返ってない!?
なんで!?
そんなおばあちゃんのお話です。
更新は出来れば毎日したいのですが、物語の時間は割とゆっくり進むかもしれません。
【㊗️受賞!】神のミスで転生したけど、幼児化しちゃった!〜もふもふと一緒に、異世界ライフを楽しもう!〜
一ノ蔵(いちのくら)
ファンタジー
※第18回ファンタジー小説大賞にて、奨励賞を受賞しました!投票して頂いた皆様には、感謝申し上げますm(_ _)m
✩物語は、ゆっくり進みます。冒険より、日常に重きありの異世界ライフです。
【あらすじ】
神のミスにより、異世界転生が決まったミオ。調子に乗って、スキルを欲張り過ぎた結果、幼児化してしまった!
そんなハプニングがありつつも、ミオは、大好きな異世界で送る第二の人生に、希望いっぱい!
事故のお詫びに遣わされた、守護獣神のジョウとともに、ミオは異世界ライフを楽しみます!
カクヨム(吉野 ひな)にて、先行投稿しています。
転生ちびっ子の魔物研究所〜ほのぼの家族に溢れんばかりの愛情を受けスローライフを送っていたら規格外の子どもに育っていました〜
幸運寺大大吉丸◎ 書籍発売中
ファンタジー
高校生の涼太は交通事故で死んでしまったところを優しい神様達に助けられて、異世界に転生させて貰える事になった。
辺境伯家の末っ子のアクシアに転生した彼は色々な人に愛されながら、そこに住む色々な魔物や植物に興味を抱き、研究する気ままな生活を送る事になる。
ちっちゃくなった俺の異世界攻略
ちくわ
ファンタジー
あるとき神の采配により異世界へ行くことを決意した高校生の大輝は……ちっちゃくなってしまっていた!
精霊と神様からの贈り物、そして大輝の力が試される異世界の大冒険?が幕を開ける!
いきなり異世界って理不尽だ!
みーか
ファンタジー
三田 陽菜25歳。会社に行こうと家を出たら、足元が消えて、気付けば異世界へ。
自称神様の作った機械のシステムエラーで地球には帰れない。地球の物は何でも魔力と交換できるようにしてもらい、異世界で居心地良く暮らしていきます!
才がないと伯爵家を追放された僕は、神様からのお詫びチートで、異世界のんびりスローライフ!!
にのまえ
ファンタジー
剣や魔法に才能がないカストール伯爵家の次男、ノエール・カストールは家族から追放され、辺境の別荘へ送られることになる。しかしノエールは追放を喜ぶ、それは彼に異世界の神様から、お詫びにとして貰ったチートスキルがあるから。
そう、ノエールは転生者だったのだ。
そのスキルを駆使して、彼の異世界のんびりスローライフが始まる。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる