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第2章
第264話 アザレア王国
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黒ローブの話題がほぼなかったこともあって、「お疲れ様会」は穏やかに進んだ。
久々に父上と一緒というか家族揃って食事をすることが出来て嬉しかった。
父上と同行して領境まで殿下達を見送ったり、殿下達の滞在中に警備だとかをしていたゲンティアナの騎士達も「お疲れ様会」をやっていたんだろうな。
ネイサン殿下や辺境伯様達がゲンティアナから去って行かれて、また普通の日常になるのだろうなと思うけど、
黒ローブの件とかがあって、ちょっと落ち着かない。
ゲンティアナに危害を加えようとしてたってことだもんね。黒ローブ単独の犯行じゃなくて黒幕とかがいるなら、黒ローブを捕まえたからと言って安心はできないよね。
川に流れてしまった毒はかなり薄まったと思うけど、他にも毒を流している可能性もあるし予防策として、殿下達が移動するときに渡した、毒耐性の水瓶をゲンティアナの領地内のあちこちに設置することになった。
手軽に利用できるように水魔石で水を注ぎ入れることができる装置を設置している。
冒険者ギルドや食堂などに置いてもらって多くの人が毒耐性水を飲んでもらえるようにしている。
水瓶の準備はルドおじさんがやってくれるので、僕と兄上はせっせと泉まで毒耐性魔石を持った魔獣を狩る作業をしていた。
ゲンティアナ男爵領は大きな領地ではないけど、各村や町にも配るにはそこそこの量の毒耐性魔石が必要だけど、泉に行くと何体かは、毒耐性の魔石を持った魔獣を狩ることが出来ているから毒耐性魔石の数は何とかなりそうだ。
「アザレア王国?」
毒耐性じゃない魔獣の毛皮剥ぎをしていた手を止めて兄上に訊き返した。
「ああ。あの黒ローブの従魔の従魔タグはアザレア王国で発行されたものだったらしい」
兄上は魔獣の魔石取りをしながら言った。「解体」の魔法陣魔石を使えば解体する効率は良くなるんだけど「解体」のスキルの熟練度も上げたいから、ある程度は手で解体作業をしていた。
アザレア王国は、僕たちがいるペオニア王国の南に位置している国だ。ゲンティアナ男爵領からみると森の向こう側にある。
「黒ローブはアザレア王国のスパイだったってこと?」
「登録した場所ってだけだから断定はできないけど……、可能性はあるかもな」
従魔タグは、川の近くで僕達を襲撃してきた狼系魔獣と魔鷹系の魔獣が落としたものだ。
落としたっていうか「解体」の短剣でバラバラにしてしまったので、一旦全部「収納」したんだけど「収納」した物の中に入っていたんだよね。
ぱっと見では錆びているし汚れてたから、良くわからなかったんだけど、調べてもらったら登録した場所が分かったらしい。
「……アザレア王国か何処かの国が、ゲンティアナを狙ってるのかなぁ?」
「一応国境に面しているからな。……間に森がない場所の方が狙われそうだけど……」
「この森のこと?魔獣が多いよね」
「ああ、泉の向こう側はな。森があるから攻めにくい場所だと思うんだけどな」
「攻めてくるの?毒じゃなくて?」
「侵略するなら実際に土地を占領するだろう?
占領しに森を抜けようとしたら強い魔獣やら毒だとか色々問題ありそうじゃないか。
何年か前の戦争でも、この辺までは敵は来なかったって話だよ」
「父上が活躍したってやつ!」
「そう」
兄上は木の枝を拾い上げて、地面に線を描いた。大まかな地図というか国境の図みたいなやつだ。
国境の線の北側がペオニア王国。西の国境を覆うように存在する広大な森があって、その北側にゲンティアナがちょこんとある。
ゲンティアナの東側にアンソラ男爵領。更に東にナスタチウム辺境伯領がある。
ナスタチウム辺境伯領の国境に、アザレア王国と行き来する門があるそうだ。
久々に父上と一緒というか家族揃って食事をすることが出来て嬉しかった。
父上と同行して領境まで殿下達を見送ったり、殿下達の滞在中に警備だとかをしていたゲンティアナの騎士達も「お疲れ様会」をやっていたんだろうな。
ネイサン殿下や辺境伯様達がゲンティアナから去って行かれて、また普通の日常になるのだろうなと思うけど、
黒ローブの件とかがあって、ちょっと落ち着かない。
ゲンティアナに危害を加えようとしてたってことだもんね。黒ローブ単独の犯行じゃなくて黒幕とかがいるなら、黒ローブを捕まえたからと言って安心はできないよね。
川に流れてしまった毒はかなり薄まったと思うけど、他にも毒を流している可能性もあるし予防策として、殿下達が移動するときに渡した、毒耐性の水瓶をゲンティアナの領地内のあちこちに設置することになった。
手軽に利用できるように水魔石で水を注ぎ入れることができる装置を設置している。
冒険者ギルドや食堂などに置いてもらって多くの人が毒耐性水を飲んでもらえるようにしている。
水瓶の準備はルドおじさんがやってくれるので、僕と兄上はせっせと泉まで毒耐性魔石を持った魔獣を狩る作業をしていた。
ゲンティアナ男爵領は大きな領地ではないけど、各村や町にも配るにはそこそこの量の毒耐性魔石が必要だけど、泉に行くと何体かは、毒耐性の魔石を持った魔獣を狩ることが出来ているから毒耐性魔石の数は何とかなりそうだ。
「アザレア王国?」
毒耐性じゃない魔獣の毛皮剥ぎをしていた手を止めて兄上に訊き返した。
「ああ。あの黒ローブの従魔の従魔タグはアザレア王国で発行されたものだったらしい」
兄上は魔獣の魔石取りをしながら言った。「解体」の魔法陣魔石を使えば解体する効率は良くなるんだけど「解体」のスキルの熟練度も上げたいから、ある程度は手で解体作業をしていた。
アザレア王国は、僕たちがいるペオニア王国の南に位置している国だ。ゲンティアナ男爵領からみると森の向こう側にある。
「黒ローブはアザレア王国のスパイだったってこと?」
「登録した場所ってだけだから断定はできないけど……、可能性はあるかもな」
従魔タグは、川の近くで僕達を襲撃してきた狼系魔獣と魔鷹系の魔獣が落としたものだ。
落としたっていうか「解体」の短剣でバラバラにしてしまったので、一旦全部「収納」したんだけど「収納」した物の中に入っていたんだよね。
ぱっと見では錆びているし汚れてたから、良くわからなかったんだけど、調べてもらったら登録した場所が分かったらしい。
「……アザレア王国か何処かの国が、ゲンティアナを狙ってるのかなぁ?」
「一応国境に面しているからな。……間に森がない場所の方が狙われそうだけど……」
「この森のこと?魔獣が多いよね」
「ああ、泉の向こう側はな。森があるから攻めにくい場所だと思うんだけどな」
「攻めてくるの?毒じゃなくて?」
「侵略するなら実際に土地を占領するだろう?
占領しに森を抜けようとしたら強い魔獣やら毒だとか色々問題ありそうじゃないか。
何年か前の戦争でも、この辺までは敵は来なかったって話だよ」
「父上が活躍したってやつ!」
「そう」
兄上は木の枝を拾い上げて、地面に線を描いた。大まかな地図というか国境の図みたいなやつだ。
国境の線の北側がペオニア王国。西の国境を覆うように存在する広大な森があって、その北側にゲンティアナがちょこんとある。
ゲンティアナの東側にアンソラ男爵領。更に東にナスタチウム辺境伯領がある。
ナスタチウム辺境伯領の国境に、アザレア王国と行き来する門があるそうだ。
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