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第2章
第268話 光水の増産
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乳白色の魔石と毒耐性魔石と泉の水を合わせたら光水ができてしまった。
今までの光水は父上が、どこかの魔境で採取してきたドームの果実を使って作っていた。
数が限られていたから、ドームの果実の残りは塩漬けにして少しずつ使っていたんだ。
足りなくなってきたら、父上に頼むか、父上が忙しそうだったら父上に大体の場所を聞いて兄上と採りに行けないかなとかちょっと考えていた。
危険な場所だと、母様に反対されそうだけど。
それが、森の中にいたあまり強くない魔獣の魔石で光水を作ることができてしまうなんて……。
嬉しいけど、ちょっと戸惑ってしまう。
「……光水がこんなに簡単に作れてしまって良いのかな」
「いや、簡単じゃないだろ。この蛇の魔獣だってそこらにウヨウヨいるわけじゃないだろうし。
毒耐性魔石や泉の水も、わざわざ泉近くまで行って採取してこないといけないんだ」
「確かに……」
泉の近くの魔獣が毒耐性の魔石を持っているのは、毒にやられたけど何とか生き延びて泉にまで辿り着いた魔獣がいるというだけでいつでもいくらでも狩ることができるということではない。
泉はかなり特殊な場所だと思う。この地にいなかったらどうやって光水を作ったら良いかわからない。
ドームの果実が一番入手困難だったから、それが森にいた魔獣の魔石で代用できるってなって、簡単かと思ったけどそうでもないんだな。
これで光水が量産できる……。でも、僕は蛇魔獣が使っていた魔法が気になってしまっている。
水魔法で洗い流した乳白色の魔石を手の中で転がして、じっと見つめた。
「ねえ、兄上。この魔石……、いくつかあるから、一つか二つ実験に使っても良いかな」
「うん?解毒剤を作る分を確保しておけば、後は使っても良いと思うよ。クリスだって魔獣を倒してるんだし」
「やった!……じゃあ、とりあえず二個もらうね!」
兄上の了承を得たので、僕の実験用とそれ以外の魔石をそれぞれ皮袋に分けてから「収納」した。
「とりあえずって……」
「また同じ魔獣を狩ってもっと集まったら、使えるのが増えるかなって思って」
そう言いながら、意識を広げて周囲の魔力を探った。
その時は見つけられなかったけど、馬に乗って森を進みながら、魔力を探り続けたら、木の上にいた三匹を見つけることができた。
屋敷に帰ったら早速魔道具を作りたかったけど、白い蛇魔獣の魔石を使って光水を作ることができるっていう話を父上と母様に報告に行った。
「……光属性の魔獣が森にいたのね」
「光属性の魔石は希少だが、これは濁っているしかなり小さいから、クズ魔石の扱いだったのだろう。
それが、『呪いの毒』の解毒剤の原料になるとはな」
母様は光属性の魔石は珍しいと驚いていたけど、父上は魔石が小さいから騒がれてなかっただけだろうって考えたようだ。父上も母様も光水を作る手段が増えたことを喜んでくれた。
早速、光水を増産することになった。
聞いてみたらそろそろ、ドームの果実が足りなくなるところだったらしい。
今までの光水は父上が、どこかの魔境で採取してきたドームの果実を使って作っていた。
数が限られていたから、ドームの果実の残りは塩漬けにして少しずつ使っていたんだ。
足りなくなってきたら、父上に頼むか、父上が忙しそうだったら父上に大体の場所を聞いて兄上と採りに行けないかなとかちょっと考えていた。
危険な場所だと、母様に反対されそうだけど。
それが、森の中にいたあまり強くない魔獣の魔石で光水を作ることができてしまうなんて……。
嬉しいけど、ちょっと戸惑ってしまう。
「……光水がこんなに簡単に作れてしまって良いのかな」
「いや、簡単じゃないだろ。この蛇の魔獣だってそこらにウヨウヨいるわけじゃないだろうし。
毒耐性魔石や泉の水も、わざわざ泉近くまで行って採取してこないといけないんだ」
「確かに……」
泉の近くの魔獣が毒耐性の魔石を持っているのは、毒にやられたけど何とか生き延びて泉にまで辿り着いた魔獣がいるというだけでいつでもいくらでも狩ることができるということではない。
泉はかなり特殊な場所だと思う。この地にいなかったらどうやって光水を作ったら良いかわからない。
ドームの果実が一番入手困難だったから、それが森にいた魔獣の魔石で代用できるってなって、簡単かと思ったけどそうでもないんだな。
これで光水が量産できる……。でも、僕は蛇魔獣が使っていた魔法が気になってしまっている。
水魔法で洗い流した乳白色の魔石を手の中で転がして、じっと見つめた。
「ねえ、兄上。この魔石……、いくつかあるから、一つか二つ実験に使っても良いかな」
「うん?解毒剤を作る分を確保しておけば、後は使っても良いと思うよ。クリスだって魔獣を倒してるんだし」
「やった!……じゃあ、とりあえず二個もらうね!」
兄上の了承を得たので、僕の実験用とそれ以外の魔石をそれぞれ皮袋に分けてから「収納」した。
「とりあえずって……」
「また同じ魔獣を狩ってもっと集まったら、使えるのが増えるかなって思って」
そう言いながら、意識を広げて周囲の魔力を探った。
その時は見つけられなかったけど、馬に乗って森を進みながら、魔力を探り続けたら、木の上にいた三匹を見つけることができた。
屋敷に帰ったら早速魔道具を作りたかったけど、白い蛇魔獣の魔石を使って光水を作ることができるっていう話を父上と母様に報告に行った。
「……光属性の魔獣が森にいたのね」
「光属性の魔石は希少だが、これは濁っているしかなり小さいから、クズ魔石の扱いだったのだろう。
それが、『呪いの毒』の解毒剤の原料になるとはな」
母様は光属性の魔石は珍しいと驚いていたけど、父上は魔石が小さいから騒がれてなかっただけだろうって考えたようだ。父上も母様も光水を作る手段が増えたことを喜んでくれた。
早速、光水を増産することになった。
聞いてみたらそろそろ、ドームの果実が足りなくなるところだったらしい。
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