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ミシェルの独白⑤
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ミシェルの言葉に一瞬セルジュは固まる。
しかし、彼は明るく笑い飛ばすように否定する。
「私が国王陛下の婚外子? また面白いご冗談を。何でそう思ったのかは知らないけれど、それは違う」
「セルジュ先輩、誤魔化す必要はないですわよ。国王夫妻について調べていたら先輩のことを知ったのです。先輩が目を隠すような恰好をしているのは瞳の色が見えないようにですわよね? 勿論、通常時の瞳の色ではなく、色が変色している時の瞳の方です。それにその亜麻色の髪、それもひょっとしたら淡い金髪ではなくて?」
「……ふーん。やっぱり国王陛下関連で探っていたんだ。そこまで知っているなら隠したり誤魔化しても無駄だね。そう、私は国王陛下の婚外子で間違いないよ。それにこんな格好をしている理由も正解。バレて騒がれるのは嫌だったし、もし私の存在が明るみに出たら、王位継承権争いにも発展しかねない。それくらいなら遠巻きにされてもこの格好で過ごそうと決めたんだ」
「確かに婚外子がいるとなると、本人の意思は関係なく、周囲が勝手に担ぎ出してしまうこともあり得る話ですからね。セルジュ先輩の場合、その恰好はちょうどいい女除けになったかもしれませんが」
「そうかもね。この格好のおかげで、学生時代は君を除いた女子生徒から声をかけられるなんて全くなかったし、今でもそうだね。自分で言うのも変だけど、確かに前髪を上げて普通に過ごしていたら女性関係で大変な思いをしたかも」
セルジュは生徒会に選ばれるだけあって学業成績は優秀だったが、同性の友人もほぼ作らず、基本的に一人だった。
ミシェルは生徒会で彼と知り合ったが、仕事を教わりつつ、仕事の合間の休憩時間には雑談を交わしていた。
なお、フレデリックは王族としての仕事が忙しいという理由で生徒会活動は辞退している。
「でもまぁ、好きな人以外に興味を持たれても鬱陶しいだけだから丁度よかったよ」
セルジュの発言にミシェルは驚いた。
「セルジュ先輩、お好きな女性がいらっしゃるの?」
「うん。彼女とは学園で知り合ったんだ。こんな格好の私でも見た目で遠巻きにせず、普通に話しかけてくれた。それがとても嬉しかった。一見クールだけど、ふとした瞬間に見せる可愛いところもある。でも、彼女は婚約者がいたから距離を縮めることはなかった」
「今、その彼女とはどんな状態ですの?」
「彼女は婚約者と結婚したからね。もうどうこうなれるような関係ではないよ。そろそろこの片想いも終わらせないと」
「……セルジュ先輩。その女性とはもしかして私が知っている方?」
「うん。だって私が言っているのはミシェル嬢、君のことだ」
「え……!? そんなまさか……」
「冗談やからかっているつもりもない。もう君も結婚したから、想いを伝えてもこれから先、私達の関係は仲の良い先輩・後輩以上にはならない。それでも、私が君を想っていたことを知っていて欲しいという私の我が儘」
セルジュは切ない表情で告げる。
「私、フレデリック第一王子殿下と結婚はしたけれど、初夜で”お前とは白い結婚だ”と言われてしまいましたの。側妃としてお迎えする方を愛していて、その方を裏切りたくないのですって。だから、白い結婚を承諾する代わりに私からも要求を突き付けたわ」
「その要求って……」
「今後、私が誰と恋人関係になろうと殿下は一切口を挟まないという要求。セルジュ先輩の気持ちを知って言うのは卑怯かもしれないけれど、私と恋愛をして欲しい。一度でいいから愛し愛される関係というものを知りたい。表向きには言えない関係だし、今のところ離婚する予定はないから結婚する約束は出来ない。それでも良ければ私と付き合って下さいませ」
セルジュは弾けるように立ち上がり、ミシェルを力強く抱きしめる。
「いいよ、それでも。付き合えるなんて思っていなかったから。夢みたいだ」
この日からセルジュとミシェルの秘密の関係が始まった――。
しかし、彼は明るく笑い飛ばすように否定する。
「私が国王陛下の婚外子? また面白いご冗談を。何でそう思ったのかは知らないけれど、それは違う」
「セルジュ先輩、誤魔化す必要はないですわよ。国王夫妻について調べていたら先輩のことを知ったのです。先輩が目を隠すような恰好をしているのは瞳の色が見えないようにですわよね? 勿論、通常時の瞳の色ではなく、色が変色している時の瞳の方です。それにその亜麻色の髪、それもひょっとしたら淡い金髪ではなくて?」
「……ふーん。やっぱり国王陛下関連で探っていたんだ。そこまで知っているなら隠したり誤魔化しても無駄だね。そう、私は国王陛下の婚外子で間違いないよ。それにこんな格好をしている理由も正解。バレて騒がれるのは嫌だったし、もし私の存在が明るみに出たら、王位継承権争いにも発展しかねない。それくらいなら遠巻きにされてもこの格好で過ごそうと決めたんだ」
「確かに婚外子がいるとなると、本人の意思は関係なく、周囲が勝手に担ぎ出してしまうこともあり得る話ですからね。セルジュ先輩の場合、その恰好はちょうどいい女除けになったかもしれませんが」
「そうかもね。この格好のおかげで、学生時代は君を除いた女子生徒から声をかけられるなんて全くなかったし、今でもそうだね。自分で言うのも変だけど、確かに前髪を上げて普通に過ごしていたら女性関係で大変な思いをしたかも」
セルジュは生徒会に選ばれるだけあって学業成績は優秀だったが、同性の友人もほぼ作らず、基本的に一人だった。
ミシェルは生徒会で彼と知り合ったが、仕事を教わりつつ、仕事の合間の休憩時間には雑談を交わしていた。
なお、フレデリックは王族としての仕事が忙しいという理由で生徒会活動は辞退している。
「でもまぁ、好きな人以外に興味を持たれても鬱陶しいだけだから丁度よかったよ」
セルジュの発言にミシェルは驚いた。
「セルジュ先輩、お好きな女性がいらっしゃるの?」
「うん。彼女とは学園で知り合ったんだ。こんな格好の私でも見た目で遠巻きにせず、普通に話しかけてくれた。それがとても嬉しかった。一見クールだけど、ふとした瞬間に見せる可愛いところもある。でも、彼女は婚約者がいたから距離を縮めることはなかった」
「今、その彼女とはどんな状態ですの?」
「彼女は婚約者と結婚したからね。もうどうこうなれるような関係ではないよ。そろそろこの片想いも終わらせないと」
「……セルジュ先輩。その女性とはもしかして私が知っている方?」
「うん。だって私が言っているのはミシェル嬢、君のことだ」
「え……!? そんなまさか……」
「冗談やからかっているつもりもない。もう君も結婚したから、想いを伝えてもこれから先、私達の関係は仲の良い先輩・後輩以上にはならない。それでも、私が君を想っていたことを知っていて欲しいという私の我が儘」
セルジュは切ない表情で告げる。
「私、フレデリック第一王子殿下と結婚はしたけれど、初夜で”お前とは白い結婚だ”と言われてしまいましたの。側妃としてお迎えする方を愛していて、その方を裏切りたくないのですって。だから、白い結婚を承諾する代わりに私からも要求を突き付けたわ」
「その要求って……」
「今後、私が誰と恋人関係になろうと殿下は一切口を挟まないという要求。セルジュ先輩の気持ちを知って言うのは卑怯かもしれないけれど、私と恋愛をして欲しい。一度でいいから愛し愛される関係というものを知りたい。表向きには言えない関係だし、今のところ離婚する予定はないから結婚する約束は出来ない。それでも良ければ私と付き合って下さいませ」
セルジュは弾けるように立ち上がり、ミシェルを力強く抱きしめる。
「いいよ、それでも。付き合えるなんて思っていなかったから。夢みたいだ」
この日からセルジュとミシェルの秘密の関係が始まった――。
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