7 / 8
第7話
しおりを挟む
食事を終えたオデットとベルナールは会計を済ませ、喫茶店を出る。
先程まで歩いていた時と同様に手を繋いで歩く。
ただ、オデットは喫茶店に入るまではベルナールのはぐれない為という言葉を文字通りの意味で受け取っていたが、喫茶店であんなことをされて言われたら、この手を繋ぐという行為にもそのような意味合いが含まれているのかと考えてしまい、ドキドキしながら歩いていた。
そのオデットの心中をベルナールは察していたが、特に追求はしなかった。
ベルナールは先程かなりオデットを動揺させてしまった自覚がある。
一度に距離を詰め過ぎると人間の習性的に逃げたくなる。
焦らずじっくりと距離を縮めるのが良い。
「さて、お嬢様。軽食も頂きましたし、次の場所へ移動しましょう」
「次の場所はどこ?」
「ここ、シャルドーから次はアルディアに向かいます。アルディアはラリアーノ王国に属する街です。地図で見れば、ラリアーノ王国の北方に位置します」
「どのくらいの時間、馬車に乗るのですか?」
「大体4時間くらいですね。今日はアルディアで宿を取って一泊する予定です。あまり長時間移動するとどうしても疲れますし、夕方には宿を確保しないと泊まる場所がなくなってしまいますので、今日の移動はアルディアまでという予定にしました。それに、アルディアは自然豊かな保養地としても有名ですので、旅の疲れを取るには最良かと」
「ではアルディアに着いたらまず宿を取って、それから夕食の時間まで散策するということで合っておりますか?」
「そうですね。せっかく行くのですから、夕食の前に散策しましょう」
話しながら歩くと馬車の乗り合い所まであっと言う間に到着する。
王都と違ってシャルドーは遠方の街になるので、シャルドーからアルディアに向かう為の馬車の予約は入れていない。
その為、乗り合い所の受付で空いている馬車がないか交渉する必要がある。
ベルナールは自分一人で受付に行って手続きをしている間、オデットを一人にすると色々問題がありそうだと判断したので、オデットと一緒に受付に向かった。
オデット本人はあまり頓着はしていないようだが、客観的に見ても美少女なので、見知らぬ男からのナンパや誘拐――ちょうどお誂え向きにここは馬車の乗り合い所なので誘拐してすぐに馬車に乗せ、攫うことは容易である――などの標的になりやすい。
誘拐された後の展開は言わずもがなだ。
そのような事態は避けるべきなので、ベルナールは自分と行動を共にさせることにしたのである。
受付で交渉した結果、30分後にこの乗り合い所に戻ってくる馬車を借りられることになった。
これはかなり運が良い方だ。
運が悪ければ三時間・四時間待たされることもあり得る。
オデットとベルナールは馬車を待つ30分の間に、馬車の中でも食べられそうなパンや飲み物を買うことにした。
馬車に乗る時間が長い為、小腹が空いた時の為に用意する。
乗り合い所の近場にパン屋もジューススタンドもあるので、そこで調達することにした。
二人はロールパンを3つとオレンジジュースとミックスジュースを一つずつ購入した。
ジュースはオデットの分がミックスジュース、ベルナールの分がオレンジジュースである。
二つ購入したのは味の好みが問題だ。
30分後、予定通り馬車が到着した為、オデットとベルナールは馬車に乗る。
「思ったよりも早く馬車に乗ることが出来て良かったです。この分だと恐らく夕方までにアルディアに到着するので、先程お嬢様にお伝えしたように散策は出来そうですね」
「馬車がない時はもっと時間がかかるのですか?」
「そうです。予約を入れたらそんなことはないのですが、私達みたいに予約を入れられなかった場合は、言われた時間待つしかないのです」
「そうなのですわね。私達が今から行くアルディアは自然豊かな保養地とのことですが、何か観光名所のような場所はありますの?」
「確かモンテルボ湖という名前の湖がありましたね。あとは温泉が湧いているので、温泉を楽しめる施設もありますよ」
「温泉?」
聞きなれない単語が出て来たのでオデットはベルナールに問い返す。
「色々な成分を含んだお湯です。温泉に浸かると美容効果がありますよ。お肌がつるつるになります」
「それは嬉しいですわ!」
無邪気にはしゃぐオデットにベルナールは温かな瞳で見守る。
「お嬢様、また長旅になりますので、眠たくなった時はお休み下さい。でも、昼間あまり寝すぎると夜に眠れなくなってしまいますので、出来る限り起きていることを勧めます」
「先程馬車でひと眠りしたから今は平気ですわ。馬車の窓から風景を眺めるのも楽しいですし」
馬車は今、先程まで二人がいたシャルドーの街中からもうかなり離れていて、田舎の農村地帯を走っている。
あちこちに緑が広がっており、とても長閑な風景だ。
大きな風車がゆっくりと回っている。
二人は馬車の中で風景を楽しんでいた。
先程まで歩いていた時と同様に手を繋いで歩く。
ただ、オデットは喫茶店に入るまではベルナールのはぐれない為という言葉を文字通りの意味で受け取っていたが、喫茶店であんなことをされて言われたら、この手を繋ぐという行為にもそのような意味合いが含まれているのかと考えてしまい、ドキドキしながら歩いていた。
そのオデットの心中をベルナールは察していたが、特に追求はしなかった。
ベルナールは先程かなりオデットを動揺させてしまった自覚がある。
一度に距離を詰め過ぎると人間の習性的に逃げたくなる。
焦らずじっくりと距離を縮めるのが良い。
「さて、お嬢様。軽食も頂きましたし、次の場所へ移動しましょう」
「次の場所はどこ?」
「ここ、シャルドーから次はアルディアに向かいます。アルディアはラリアーノ王国に属する街です。地図で見れば、ラリアーノ王国の北方に位置します」
「どのくらいの時間、馬車に乗るのですか?」
「大体4時間くらいですね。今日はアルディアで宿を取って一泊する予定です。あまり長時間移動するとどうしても疲れますし、夕方には宿を確保しないと泊まる場所がなくなってしまいますので、今日の移動はアルディアまでという予定にしました。それに、アルディアは自然豊かな保養地としても有名ですので、旅の疲れを取るには最良かと」
「ではアルディアに着いたらまず宿を取って、それから夕食の時間まで散策するということで合っておりますか?」
「そうですね。せっかく行くのですから、夕食の前に散策しましょう」
話しながら歩くと馬車の乗り合い所まであっと言う間に到着する。
王都と違ってシャルドーは遠方の街になるので、シャルドーからアルディアに向かう為の馬車の予約は入れていない。
その為、乗り合い所の受付で空いている馬車がないか交渉する必要がある。
ベルナールは自分一人で受付に行って手続きをしている間、オデットを一人にすると色々問題がありそうだと判断したので、オデットと一緒に受付に向かった。
オデット本人はあまり頓着はしていないようだが、客観的に見ても美少女なので、見知らぬ男からのナンパや誘拐――ちょうどお誂え向きにここは馬車の乗り合い所なので誘拐してすぐに馬車に乗せ、攫うことは容易である――などの標的になりやすい。
誘拐された後の展開は言わずもがなだ。
そのような事態は避けるべきなので、ベルナールは自分と行動を共にさせることにしたのである。
受付で交渉した結果、30分後にこの乗り合い所に戻ってくる馬車を借りられることになった。
これはかなり運が良い方だ。
運が悪ければ三時間・四時間待たされることもあり得る。
オデットとベルナールは馬車を待つ30分の間に、馬車の中でも食べられそうなパンや飲み物を買うことにした。
馬車に乗る時間が長い為、小腹が空いた時の為に用意する。
乗り合い所の近場にパン屋もジューススタンドもあるので、そこで調達することにした。
二人はロールパンを3つとオレンジジュースとミックスジュースを一つずつ購入した。
ジュースはオデットの分がミックスジュース、ベルナールの分がオレンジジュースである。
二つ購入したのは味の好みが問題だ。
30分後、予定通り馬車が到着した為、オデットとベルナールは馬車に乗る。
「思ったよりも早く馬車に乗ることが出来て良かったです。この分だと恐らく夕方までにアルディアに到着するので、先程お嬢様にお伝えしたように散策は出来そうですね」
「馬車がない時はもっと時間がかかるのですか?」
「そうです。予約を入れたらそんなことはないのですが、私達みたいに予約を入れられなかった場合は、言われた時間待つしかないのです」
「そうなのですわね。私達が今から行くアルディアは自然豊かな保養地とのことですが、何か観光名所のような場所はありますの?」
「確かモンテルボ湖という名前の湖がありましたね。あとは温泉が湧いているので、温泉を楽しめる施設もありますよ」
「温泉?」
聞きなれない単語が出て来たのでオデットはベルナールに問い返す。
「色々な成分を含んだお湯です。温泉に浸かると美容効果がありますよ。お肌がつるつるになります」
「それは嬉しいですわ!」
無邪気にはしゃぐオデットにベルナールは温かな瞳で見守る。
「お嬢様、また長旅になりますので、眠たくなった時はお休み下さい。でも、昼間あまり寝すぎると夜に眠れなくなってしまいますので、出来る限り起きていることを勧めます」
「先程馬車でひと眠りしたから今は平気ですわ。馬車の窓から風景を眺めるのも楽しいですし」
馬車は今、先程まで二人がいたシャルドーの街中からもうかなり離れていて、田舎の農村地帯を走っている。
あちこちに緑が広がっており、とても長閑な風景だ。
大きな風車がゆっくりと回っている。
二人は馬車の中で風景を楽しんでいた。
19
あなたにおすすめの小説
初夜に暴言を吐いた夫は後悔し続ける──10年後の償い【完結保証】
星森 永羽(ほしもりとわ)
恋愛
王命により、辺境伯ロキアのもとへ嫁いだのは、金髪翠眼の美しき公爵令嬢スフィア。
だが、初夜に彼が告げたのは、愛も権限も与えないという冷酷な宣言だった。噂に踊らされ、彼女を「穢れた花嫁」と罵ったロキア。
しかし、わずか一日でスフィアは姿を消し、教会から届いたのは婚姻無効と慰謝料請求の書状──。
王と公爵の怒りを買ったロキアは、爵位も領地も名誉も奪われ、ただの補佐官として生きることに。
そして十年後、運命のいたずらか、彼は被災地で再びスフィアと出会う。
地位も捨て、娘を抱えて生きる彼女の姿に、ロキアの胸に去来するのは、悔恨と赦しを乞う想い──。
⚠️本作はAIの生成した文章を一部に使用しています。
〖完結〗旦那様には出て行っていただきます。どうか平民の愛人とお幸せに·····
藍川みいな
恋愛
「セリアさん、単刀直入に言いますね。ルーカス様と別れてください。」
……これは一体、どういう事でしょう?
いきなり現れたルーカスの愛人に、別れて欲しいと言われたセリア。
ルーカスはセリアと結婚し、スペクター侯爵家に婿入りしたが、セリアとの結婚前から愛人がいて、その愛人と侯爵家を乗っ取るつもりだと愛人は話した……
設定ゆるゆるの、架空の世界のお話です。
全6話で完結になります。
9年ぶりに再会した幼馴染に「幸せに暮らしています」と伝えたら、突然怒り出しました
柚木ゆず
恋愛
「あら!? もしかして貴方、アリアン!?」
かつてわたしは孤児院で暮らしていて、姉妹のように育ったソリーヌという大切な人がいました。そんなソリーヌは突然孤児院を去ってしまい行方が分からなくなっていたのですが、街に買い物に出かけた際に9年ぶりの再会を果たしたのでした。
もう会えないと思っていた人に出会えて、わたしは本当に嬉しかったのですが――。現状を聞かれたため「とても幸せに暮らしています」と伝えると、ソリーヌは激しく怒りだしてしまったのでした。
腹に彼の子が宿っている? そうですか、ではお幸せに。
四季
恋愛
「わたくしの腹には彼の子が宿っていますの! 貴女はさっさと消えてくださる?」
突然やって来た金髪ロングヘアの女性は私にそんなことを告げた。
王妃ですが都からの追放を言い渡されたので、田舎暮らしを楽しみます!
藤野ひま
ファンタジー
わたくし王妃の身でありながら、夫から婚姻破棄と王都から出て行く事を言い渡されました。
初めての田舎暮らしは……楽しいのですが?!
夫や、かの女性は王城でお元気かしら?
わたくしは元気にしておりますので、ご心配御無用です!
〔『仮面の王と風吹く国の姫君』の続編となります。できるだけこちらだけでわかるようにしています。が、気になったら前作にも立ち寄っていただけると嬉しいです〕〔ただ、ネタバレ的要素がありますのでご了承ください〕
国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします。
樋口紗夕
恋愛
公爵令嬢ヘレーネは王立魔法学園の卒業パーティーで第三王子ジークベルトから婚約破棄を宣言される。
ジークベルトの真実の愛の相手、男爵令嬢ルーシアへの嫌がらせが原因だ。
国外追放を言い渡したジークベルトに、ヘレーネは眉一つ動かさずに答えた。
「国外追放ですか? 承りました。では、すぐに国外にテレポートします」
結婚初夜、「何故彼女が死んでお前が生きているんだ」と夫に言われました
ましゅぺちーの
恋愛
侯爵令嬢のアリサは婚約者だった王太子テオドールと結婚した。
ちょうどその半年前、アリサの腹違いの妹のシアは不慮の事故で帰らぬ人となっていた。
王太子が婚約者の妹のシアを愛していたのは周知の事実だった。
そんな彼は、結婚初夜、アリサに冷たく言い放った。
「何故彼女が死んでお前が生きているんだ」と。
いざ離婚!と思ったらそもそも結婚していなかったですって!
ゆるぽ
恋愛
3年間夫婦としての実態が無ければ離婚できる国でようやく離婚できることになったフランシア。離婚手続きのために教会を訪れたところ、婚姻届けが提出されていなかったことを知る。そもそも結婚していなかったことで最低だった夫に復讐できることがわかって…/短めでさくっと読めるざまぁ物を目指してみました。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる