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第8話
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馬車に揺られること約四時間。
目的地であるアルディアの街に到着する。
オデットとベルナールはおしゃべりをしたり、シャルドーの街で購入したロールパンとジュースを飲み食いしたり、変わりゆく風景を眺めたりして過ごした。
到着したアルディアの街は自然豊かな保養地として有名なだけはあって、今現在、オデットとベルナールがいるアルディアの街の中心部分――飲食店や宿泊施設、旅人の為のお土産を扱う商店等が立ち並び、人が集う場所――でも沢山の樹木が植えられており、如何にも緑の街といった様相である。
オデットとベルナールは馬車を寄り合い所に返却し、予定通りにまず宿を探すことにした。
そうは言っても二人ともアルディアの街は初めて訪れる為、自分達の予算以内で泊まれる宿の中で、値段・サービス・安全面で良い宿は知らない。
なので、観光案内所で聞くことにした。
観光案内所は初めて訪れる人や詳しくない人の為に、飲食店や宿泊施設などを教えるというサービスを提供している。
観光案内所で働く職員はある程度、そのお店や施設の値段や客層、飲食店ならどんな料理が食べられるのか把握しているので、その人に合った条件のお店や施設を紹介してくれるのだ。
地図はあるが、旅人の為の情報誌等はない為、基本的にどこの国のどの街に行っても観光案内所はある。
観光案内所に行くか、現地に住んでいる人に教えてもらうかの二択だ。
オデットとベルナールは観光案内所で旅人の列に並ぶ。
順番が回ってきたので、ベルナールが職員に尋ねる。
「予算は一人銀貨8枚程度で泊まれて、安全面で安心出来るような宿を教えて頂きたいのですが。出来れば美味しい食事を提供している宿だったらより有り難いです」
「そうですね……その条件でした満月のうさぎ亭がよろしいかと。予算は一人金貨1枚になりますが、その条件を全て満たしていると思います。おまけにお風呂は温泉です。優しい女将さんがやっている宿で、ここから歩いて十分以内にあります」
銀貨10枚で金貨1枚と同じ価値だ。
若干予算は出るが、条件は満たしており、温泉も楽しめるとのこと。
ベルナールは満月のうさぎ亭に決めた。
「ありがとうございます。一応、念の為にあなたのお名前をお伺いしてもよろしいですか?」
「アーシャと申します」
「アーシャさんですね。では早速紹介して頂いた満月のうさぎ亭へ向かいます。もし空いていなかったらまたここに戻ります」
「満月のうさぎ亭は観光所を出て右側にまっすぐ歩いて行って、一つ目の角を左に行ったらすぐありますよ」
オデットとベルナールは教えてもらった満月のうさぎ亭へ向かう。
「良さそうな宿を紹介してもらえて良かったですわね」
「ええ。若干予算をはみ出しますが、目的の一つである温泉も楽しめる宿だったので」
「それはそうと、あの人の名前を聞いたのはどうして?」
「もし紹介してもらった宿が明らかに悪い宿だった場合に備えてですよ。名前を聞いておけばその人の責任ということで追及出来ます。残念ながら、悪い宿と観光案内所の職員が結託して悪い宿に客を紹介するということも完全にないとは言えません。万が一に備えるのは大切なことですよ」
「そうだったのですわね。流石ベルナールね。そんなことに考えが及びもしなかったですわ」
「お嬢様が生きてきた貴族社会にも当然悪事を働く悪い者はいたでしょうが、平民も善良な者ばかりではないのです。どこの社会にも悪いことをする者はいますから」
観光案内所でアーシャという職員に教えてもらった通りの道を進むと、満月のうさぎ亭という看板のついた宿が目に入る。
入り口の扉を開けるとリーン、リーンという音が鳴り、この宿の女将らしき貫禄のある女性が現れる。
「いらっしゃいませ。二名様ですか?」
「はい、そうです。今夜ここに宿泊したいのですが、二部屋空いていますか?」
「確認して参りますので、少しお待ち下さい」
彼女は確認の為、一旦席を外し、少し経ってから戻ってくる。
「確認しましたところ、今日のお部屋の空き具合は、ほとんど満室でして。一人一部屋は空いてないのです」
彼女は申し訳なさそうに説明する。
「そうですか……」
「お客様方が二人で一部屋使うということでしたら、お二人用のお部屋をご用意出来ます」
ベルナールとオデットは小声で相談する。
「オデットお嬢様、私と同室でもよろしいですか?」
「また宿を探すのも大変ですし、今日は同室でも構いませんわ」
「では、同室ということで予約を入れますね」
「連れの彼女が了承したので、私達は二人で一部屋借りるということでお願いします」
「ありがとうございます。夕飯は7時から、この宿の食堂スペースで提供するのでそれまではご自由にして頂いて構いません」
「それでは私達は一旦ここを出て、6時くらいまで街を散策してきます」
「畏まりました。では、お待ちしております」
今夜の宿が決まったので、二人は散策に出かけることにした。
**************
貨幣価値については現実性を取り入れたくなかった為、敢えて日本円で何円程度という説明や注釈を敢えて入れません。
なので、読者様のお好みで解釈して下さい。
目的地であるアルディアの街に到着する。
オデットとベルナールはおしゃべりをしたり、シャルドーの街で購入したロールパンとジュースを飲み食いしたり、変わりゆく風景を眺めたりして過ごした。
到着したアルディアの街は自然豊かな保養地として有名なだけはあって、今現在、オデットとベルナールがいるアルディアの街の中心部分――飲食店や宿泊施設、旅人の為のお土産を扱う商店等が立ち並び、人が集う場所――でも沢山の樹木が植えられており、如何にも緑の街といった様相である。
オデットとベルナールは馬車を寄り合い所に返却し、予定通りにまず宿を探すことにした。
そうは言っても二人ともアルディアの街は初めて訪れる為、自分達の予算以内で泊まれる宿の中で、値段・サービス・安全面で良い宿は知らない。
なので、観光案内所で聞くことにした。
観光案内所は初めて訪れる人や詳しくない人の為に、飲食店や宿泊施設などを教えるというサービスを提供している。
観光案内所で働く職員はある程度、そのお店や施設の値段や客層、飲食店ならどんな料理が食べられるのか把握しているので、その人に合った条件のお店や施設を紹介してくれるのだ。
地図はあるが、旅人の為の情報誌等はない為、基本的にどこの国のどの街に行っても観光案内所はある。
観光案内所に行くか、現地に住んでいる人に教えてもらうかの二択だ。
オデットとベルナールは観光案内所で旅人の列に並ぶ。
順番が回ってきたので、ベルナールが職員に尋ねる。
「予算は一人銀貨8枚程度で泊まれて、安全面で安心出来るような宿を教えて頂きたいのですが。出来れば美味しい食事を提供している宿だったらより有り難いです」
「そうですね……その条件でした満月のうさぎ亭がよろしいかと。予算は一人金貨1枚になりますが、その条件を全て満たしていると思います。おまけにお風呂は温泉です。優しい女将さんがやっている宿で、ここから歩いて十分以内にあります」
銀貨10枚で金貨1枚と同じ価値だ。
若干予算は出るが、条件は満たしており、温泉も楽しめるとのこと。
ベルナールは満月のうさぎ亭に決めた。
「ありがとうございます。一応、念の為にあなたのお名前をお伺いしてもよろしいですか?」
「アーシャと申します」
「アーシャさんですね。では早速紹介して頂いた満月のうさぎ亭へ向かいます。もし空いていなかったらまたここに戻ります」
「満月のうさぎ亭は観光所を出て右側にまっすぐ歩いて行って、一つ目の角を左に行ったらすぐありますよ」
オデットとベルナールは教えてもらった満月のうさぎ亭へ向かう。
「良さそうな宿を紹介してもらえて良かったですわね」
「ええ。若干予算をはみ出しますが、目的の一つである温泉も楽しめる宿だったので」
「それはそうと、あの人の名前を聞いたのはどうして?」
「もし紹介してもらった宿が明らかに悪い宿だった場合に備えてですよ。名前を聞いておけばその人の責任ということで追及出来ます。残念ながら、悪い宿と観光案内所の職員が結託して悪い宿に客を紹介するということも完全にないとは言えません。万が一に備えるのは大切なことですよ」
「そうだったのですわね。流石ベルナールね。そんなことに考えが及びもしなかったですわ」
「お嬢様が生きてきた貴族社会にも当然悪事を働く悪い者はいたでしょうが、平民も善良な者ばかりではないのです。どこの社会にも悪いことをする者はいますから」
観光案内所でアーシャという職員に教えてもらった通りの道を進むと、満月のうさぎ亭という看板のついた宿が目に入る。
入り口の扉を開けるとリーン、リーンという音が鳴り、この宿の女将らしき貫禄のある女性が現れる。
「いらっしゃいませ。二名様ですか?」
「はい、そうです。今夜ここに宿泊したいのですが、二部屋空いていますか?」
「確認して参りますので、少しお待ち下さい」
彼女は確認の為、一旦席を外し、少し経ってから戻ってくる。
「確認しましたところ、今日のお部屋の空き具合は、ほとんど満室でして。一人一部屋は空いてないのです」
彼女は申し訳なさそうに説明する。
「そうですか……」
「お客様方が二人で一部屋使うということでしたら、お二人用のお部屋をご用意出来ます」
ベルナールとオデットは小声で相談する。
「オデットお嬢様、私と同室でもよろしいですか?」
「また宿を探すのも大変ですし、今日は同室でも構いませんわ」
「では、同室ということで予約を入れますね」
「連れの彼女が了承したので、私達は二人で一部屋借りるということでお願いします」
「ありがとうございます。夕飯は7時から、この宿の食堂スペースで提供するのでそれまではご自由にして頂いて構いません」
「それでは私達は一旦ここを出て、6時くらいまで街を散策してきます」
「畏まりました。では、お待ちしております」
今夜の宿が決まったので、二人は散策に出かけることにした。
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貨幣価値については現実性を取り入れたくなかった為、敢えて日本円で何円程度という説明や注釈を敢えて入れません。
なので、読者様のお好みで解釈して下さい。
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